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韓国:イーランド女性労働者が戦いに立ち上がった理由
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イーランド女性労働者が戦いに立ち上がった理由

[イーランド事態解決法はどこに](3) 『補助』で価値が切り下げられる女性労働の問題を解決せよ

イ・コンマム記者 iliberty@jinbo.net / 2007年08月07日16時44分

サムソンSDI社内下請業者ハイビット労働者300余人
蔚山科学大清掃外注労働者27人
光州市庁清掃外注労働者24人
学校非正規職労働者自殺試み
KTX-セマウル号乗務員450余人
ニューコア-イーランド非正規職労働者700余人

彼らの共通点は何だろうか。

彼らはほとんどが非正規職を保護すると言って作られた非正規法が施行される 直前または直後に解雇の危機に置かれたり置かれている、いやすでに解雇され た非正規職労働者だ。そして苦しい戦いに立ち上がった労働者たちだ。戦いの あげく、誰かは復職し、誰かは解雇された状態で戦っている。

もう一つの共通点は、ほとんどが女性労働者だということだ。裸デモまでして 解雇と戦った清掃外注労働者たちも、一年以上戦っているKTX乗務員たちも、 自殺まで試みて非正規法の問題点を知らせた学校非正規職労働者たちも、 終わりのない苦しい戦いをしているニューコア-イーランドの非正規職労働者 たちも、ほとんどが女性だ。

ではなぜ女性労働者が戦いに立ち上がるのか。

20年前の彼女たちと、20年後の彼女たち

女性労働者は韓国で労働運動が始まる時点からすでに戦っていた。彼女たちは 兄の学費のために、家族を食べさせるために大挙して工場に入った。85年の夏 を熱くした九老同盟ストライキに参加した女性労働者の声は、これをよく説明 している。一昨年、九老同盟ストライキ20周年を迎えて開かれた証言大会に出 た当時大宇アパレル労組組合員だったクォン・ヨンジャ氏はこう話した。

「人文系高等学校に入ったが、兄の授業料を払うためには私がやめなければな りませんでした。それで職業学校に行き、卒業式を終えるとすぐ大きな観光バ スがきて、私たちをのせて九老に来ました」

▲20年前、九老で同盟ストライキをした彼女たち[出処:九老同盟ストライキ20周年記念事業会]

こうして彼女たちは「家族の責任を負う兄の授業料」のために工場に入った。 当時、彼女たちは家族の責任を負うという名分を持っていたが、内心は『家族 に責任を負うべき兄』の授業料を払う『補助』的な役割を担当していたのだ。 『補助』的な役割と扱われた彼女たちの賃金は、男性労働者の半分にも達しな かった。

20年過ぎた今、ニューコア-イーランドで働く女性労働者たちはどうか。

イーランド一般労組のホ・ヘギョン組合員はインタビューでこう話した。

「子供が4人います。子供が多いからか夫一人で稼ぐ金では生活できません。 それで家に近いホームエバーに就職しました。いくらにもならない金ですが、 生活費に使えます。しかし一日で解雇されて失業者になってしまいました」

▲20年後また窓際に立った彼女たち/チャムセサン資料写真

彼女は「夫一人で稼ぐ金では生活できない」世の中で暮らすためにホームエバー に就職した。しかし彼女の労働は「夫一人が稼ぐ金で」生活しなければならな い社会で、おかずの代金程度を稼ぐ『補助』的な仕事と扱われた。彼女は一日 10時間、ずっと座ることもできずに働いても、ようやく最低賃金を受けた。

家族の中での女性の労働、家族の外での女性の労働

時代は変わり、女性が担当していた製造業は斜陽産業になり、女性たちは大挙 サービス業に進入した。金を計算し、清掃し、子供たちを助け、笑いながら、 顧客の安全と危機を助けることが女性にまかせられた。こうしたサービス業の 部分を政府は新しい事業と称して、女性の雇用を大挙拡大する契機にしている が、その裏には非正規職という不安定な雇用と男性の半分にもならない低賃金 があった。

一般的にこうした労働を『ケア労働』と称する。ケア労働の役割は、しばしば 家族の中で女性が担当していた部分だ。『家族』を維持するために家計簿をつ け、清掃し、子供の世話をし、食事の仕度をするなど、彼女たちがしていた労 働は家族の中で労働と認められず、彼女たちは家で何もせずに遊んでいるかの ように扱われた。このように核心労働でなく『非核心』で、男性を『補助』と いう労働として扱われた女性たちの労働は、家族の外でも生計に責任を負う労 働ではなく、生計を『補助』する労働と認識されているのだ。そのため女性の 労働は非正規職、低賃金に追いやられているのだ。

イーランドの非正規職女性労働者の大量解雇事態はこうした文脈から始まった。 すでに非正規職に、低賃金に追いやられていた女性労働者の労働をイーランド 会社側は核心的な業務と考えず、外注化でさらに低賃金の女性労働者を雇用す れば良いと認識していたのだ。

▲男性の顔をした資本主義は女性労働者を非正規職に、低賃金労働者に追いやっている。/チャムセサン資料写真

コジョン・ガビ韓神大教授はチャムセサンの論説で「保護と処罰の主体である 政府と法は、非正規職の中でも女性を社会的弱者に追いやり続けている」とし、 「KTX女性乗務員労組とイーランド女性労働者が今日、非正規職闘争の最前線 にいるのは偶然ではない」と指摘、「非正規職を拡散する資本は、初めから家 父長的だったし、今でも家父長的だからだ」と説明した。

男性の労働だけを核心と認識する『男性の顔』をした資本主義が女性労働者を 非正規職へ、低賃金へと追いやっているということだ。だからニューコア-イー ランド非正規職女性労働者の戦いは、20年前に同盟ストライキをした九老の女 性労働者の戦いであり、蔚山で、光州で、ソウルで、全国各地で戦いを繰り広 げている清掃外注、学校非正規職、乗務員たちの戦いである。

「女性をめぐる社会構造自体が変わらなければ」

これに対して社会進歩連帯のキム・ヘジン女性部長は「女性の労働は相変らず 根深い『家族賃金イデオロギー』により、常に『付随的』なもの、つまり男性 生計扶養者の労働に対する『補充物』と見なされてきた」とし「資本は男性と 比べて、従順で、労組を組織する傾向がさらに低く、さらに劣悪な作業環境に 耐える準備ができている対象である女性を好むようになった。だがこうした面 で女性の雇用が拡大するということは、つまり低賃金サービス部門と非公式部 門での雇用増大を意味する」と指摘した。

続いて「ニューコア-イーランド労働者の闘争で、最近ほとんどの非正規職の 闘争と同じように単に『女性労働者が多い事業場の闘争』以上のものを読み取 らなければならない」とし「女性労働者の労働権争奪が単に雇用安定だけでは 達成できないという点で、女性を取り巻く支配的な観念とイデオロギー、労働 条件、社会構造全般を変化させる要求を出さなければならない」と述べた。

結局、女性の労働を取り巻く社会全般の認識を変えなければ、第2、第3の イーランド事態は再び起きざるを得ないのだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-08-10 23:28:35 / Last modified on 2007-08-10 23:28:36 Copyright: Default

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