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韓国:なぜ『社長』がストライキをするのですか?
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「なぜ『社長』がストライキをするのですか?」

ダンプ・生コン労働者たちはなぜ 「いっそ殺せ」と叫ぶのか

チェ・イニ記者 flyhigh@jinbo.net / 2006年11月14日17時38分

12日に無期限ゼネストに突入して三日目になる建設運送労組・ダンプ分科、生 コン分科の組合員たちは、特殊雇用労働者、実際には「労働者」だが法的には 「個人事業者」、すなわち「社長」だ。彼らは「勤労契約書」や「委託契約書」 ではなく「請負契約書」を書いて仕事を始め、「月給」ではなく「手数料」を 受け、「所得税」ではなく「事業所得税」を出す。

彼ら特殊雇用労働者たちがストライキに入った理由を詳しく見れば、道路法、 不法多段階下請け、標準賃貸借契約、許可制、需給調節などの見慣れない用語 で、目がくらむような感じがするかもしれないが、事実はやさしい。信用不良 者の奈落につき落とす誤った政策を変えろということであり、「社長」ではな く「労働者」として認めてくれと言うことであり、団結する権利、ストライキ をする権利、人間らしく生きられる権利を保証しろということだ。

12日の夜に開かれたダンプ連帯と生コン労組のゼネスト出征式/チャムセサン資料写真

チャムセサン資料写真

1ヶ月に半月も仕事ができない信用不良者たち

ダンプ労働者と生コン労働者たちは、本来建設会社と生コン会社に所属してい た正規職労働者だった。だが90年代初期からこれらの会社の新しい労務管理に より強制的にアウトソーシングされ、事業者に転換された。大規模ゼネコンは、 当時、強制的に1台当たり5千万ウォンほどのミキサー車を運転手に払い下げ、 毎月の運搬料から払い下げ費用(トラック価格)を天引きした。だが彼らは形式 としては事業主だが、会社の指示を受けて正規職労働者と同じ業務に従事して いる。

ダンプ労働者たちは、建設現場で骨材と土砂、アスファルトコンクリートを運 送し、生コン労働者は生コンを運送するが、全国的に見るとダンプは5万余台、 生コンは2万3千余台が登録されている。しかし実際に稼動している車両は全体 の半分にしかならない。なぜだろうか?

建設景気はますます下落しているが、ダンプ、生コンはとても多い。飽和状態 に達した建設運送機械のため、建設運送労働者たちは仕事がなく、毎月赤字の 境遇を免れず、全体の4分の1という途方もない数の運転手たちが信用不良者 に転落した。一度に15時間以上の長時間労働にもかかわらず、売り上げの半分 以上が燃料価格に支払われる。車両の修理やタイヤなどの部品交替も、ここか ら引かれるという現実のために毎月100万ウォン以上の赤字が累積している。

そのため、ストライキに入ったダンプ・生コン労働者たちは「許可制への転換」 を要求している。これは、建設機械の需給調節のための方案で、建設運送労働者 の生存権問題に直結している。

チャムセサン資料写真

無期限ゼネスト二日目の13日、雨の中で果川政府総合庁舎前で決意大会を開くダンプ労働者/アン・チャンヨン記者

建設現場「諸悪の根源」、不法多段階下請け

大規模建設会社は、建物を作る時に他の会社に下請けする。下請けの会社は、 また別の会社に再下請けをする。建設費用を削減するためのこうした胸算用は 厳格には不法だが、建設業界の慢性的な慣例だ。数回の多段階下請けによる被 害は、運搬費のダンピングや横領、不払いなど、そのまま労働者たちに押し付 けられる。

多段階下請けで運搬費単価が過度に低下し、労働者たちは過度な労働時間を甘 受することになり、それが過剰積載や大型事故などにつながり、不十分な下請 け社の不渡りになり、紛争で運搬費の不払いが増えている。こうした絶え間な い矛盾した構造を打開する最小限の方便が「標準賃貸借契約」だ。標準賃貸借 契約書を明文化し、建設機械(ダンプ・生コン)運転手が建設会社と直接契約で きるようになれば、労働者たちは適正な運搬費を受ける道が開かれ、建設産業 に蔓延する中間建設会社の工事費流用や脱税といった不正も減るという公共的 な意味も含んでいる。

過剰積載強要に前科者レッテル、申告しても運転手だけを処罰

ダンプ労働者たちの闘争と粘り強い要求で勝ち取った改正道路法は、過剰積載 (制限規定を超過して積載すること)を指示した賃借人を処罰するが、過剰積載 を強要、指示された運転手は処罰しないことになっている。「荷主から受ける 経済的不利益を憂慮して申告しないことで過剰積載運行が根絶されず、経済的 弱者である運転手を保護し、賃借人を処罰する」という趣旨だ。

道路法の改正にもかかわらず、建設運送労働者たちは過剰積載摘発に苦しみ続 けている。ダンプ連帯の組合員は1件当たり平均200万ウォンの罰金を払う過剰 積載摘発で、1人当り平均4回の「前科者」だ。過剰積載をしたくない労働者は、 建設現場で最下位の位置にあるため、契約解除を覚悟して「もっとたくさん積 め」という指示と強要を拒否することは難しい。

改正された道路法により、これを強要した賃借人を申告すると言ったとしよう。 実際に物を積む建設現場に過剰積載取り締まり員が入る権限はない。では、過 剰積載した車両が直接道路で申告しなければならないが、過剰積載を申告して も道路で取り締まられた運転手だけが処罰されるケースは一度や二度ではない。 過剰積載が起きる建設現場をまず調べ、これを強要した賃借人を処罰してくれ という要求は、そのまま「法の通り」すれば良いだけだ。

無期限ゼネスト突入と共に上京闘争を展開するダンプ生コン労働者が弁当で昼食をしている。/アン・チャンヨン記者

アン・チャンヨン記者

十の経済法による保護ではなく、ただ一つ「労働者性認定」

ダンプ・生コン労働者が要求する「制度改善」の問題より、最も上位にある要 求が「労働基本権保障」だ。彼らは実際には労働者でありながら、自営業者に 変身させられたため、四大保険や失職、労災に対するいかなる対策もない。健 康保険と国民年金は一般事業者として納付し、雇用保険はまったく該当しない。

こうした状況に対し、労働部は10月25日に特殊形態勤労従事者保護対策として 出した対策は、むしろ彼らを「社長」に固着させようとする内容を含んでいる。 政府がダンプ・生コン・貨物労働者を対象に出した経済法的保護方案は、すで に施行されているか立法予告されたもので、「労働法」上の保護との両立は難 しい。政府の対策自体が「労働者ではない」という前提を持っているのだ。

すでに6月には国際労働機構(ILO)が「特殊雇用労働者が労働者と規定できる事 実が一つでもあれば、労働者と認定するのが正しい」と勧告したのにだ。クォ ン・ドゥソプ民主労総法律院弁護士によれば、政府の保護対策はむしろ「特殊 雇用労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権を制限したり剥奪できることに なる」という指摘だ。

民主労働党の段炳浩議員は、11月3日に労働法上の特殊雇用労働者を「勤労者」 と規定する法改正案を発議した。政府はさまざまな複雑な経済法を動員し、彼 らを「保護」するよりも、そのまま特殊雇用労働者を「労働者」と呼べば、多 くのことが解決するという事実を果たして知らないのだろうか。ダンプ・生コ ン労働者たちは、今日で三日間、労働部、ヨルリンウリ党、専門建設協会、国 会前など、あちこちを行き来して「いっそ殺せ」と叫んでいる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2006-11-16 00:41:25 / Last modified on 2006-11-16 00:41:28 Copyright: Default

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