本文の先頭へ
LNJ Logo 発電ストライキが残したもの
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 20020402kpub4
Status: published
View


報道資料1

発電ストライキが残したもの

---------------------------------------------------------------

大きく遅れた感もあるとはいえ、一か月以上続いた発電ストライキが終りの 局面に行っています。常にそうであるように、惜しまれる点は多くあります が、自ら全情熱を傾けて戦った37日でした。発電所売却賛否の社会的な議論 の発源地だった発電ストライキが残した意義を整理してみました。

----------------------------------------------------------------

まず、今回のストライキが残した最も重要な点は、発電所売却をはじめとする 鉄道・ガスなどの基幹産業民営化をめぐる活発な討論と、国民的合意の課題を 提起したことにある。

  • 2月25日に始まった鉄道・ガス・発電3社の公共ストライキは、発電ストライ キの妥結で一か月以上かけて公式に終わった。鉄道・ガスのストライキは早 く終わったが、発電ストライキは1か月を超えて、韓国社会に基幹産業を外 国資本と財閥に売ることが正しいのかに対する大きな問題を提起した。政府 は、発電産業の民営化関連の法律が与野合意で国会を通過し、国民の同意を 得たといったが、各界各層はもちろん、国民の多数は考えが違った。ハンギ ルリサーチの世論調査によると、国民の81%が発電所を売却することに反対 し、86%が国民的合意を経るべきだと考えていることが表れた。
  • ストライキ一か月以上の間、ボクシングでいえば14ラウンドまでは発電所売 却留保と国民的合意を主張する労組側が国民世論戦で「判定勝ち」をおさめ ていたと言える。政府は最後の15ラウンドでこれをひっくり返して逆転KO勝 ちをしようと考え、「民営化に同意しなければ4千名全員を解雇」という劇 薬処方を選択し、労組はこれを「民営化ノーコメント」合意論で正面から受 けた。振り返れると、労組は早くから団体協約は不十分だが、中労委の仲裁 裁定の結果で確保した状況で、発電所売却の不当性を知らせることに闘争目 標を集中し、これはかなり成功したのは事実だ。残されたものは、民営化の 同意を拒み、成果を固めて妥結させることだったため、結果的に見れば妥結 内容はいずれにせよ民営化縫合-懲戒最小化と早くから決まっていたと言っ ても過言ではない。ただし、政府がKO逆転勝ちに執着しようと超強硬策を使 い、妥結日時が遅れただけだ。
  • 政府は発電ストライキの1か月間に広がった発電所売却留保世論をかわそう とするかのように、「民営化に同意しなければ対話自体を拒否して4千人を 集団解雇する」と言ったが、結局、ストライキの仕上げは政府の「今後の交 渉で再論しない」の代わりに、労組が修正提示した「3.8中労委仲裁裁定を 尊重して、発電所民営化関連交渉は議論の対象から除外する」で合意された。 この文句を巡り、恐らく政府は元来主張したかったように、今後は民営化に 対して労組が提起しないことにしたと解釈することは明らかだが、3.8中労 委という修飾語から見ても、ストライキと交渉の流れから見ても、このよう に一方的に解釈することは難しい。結局、この合意案を互いが強調する点を 別々に解釈するなかで、発電所売却問題は相変らず最も大きな火種として残 るだろう。しかも、1か月間に広がった発電所売却留保の世論はそっくり残っ ているので、なおさらである。
  • さらに、今回のストライキで現政権の任期中に発電所を売却することは物理 的にも政治社会的にも、既に水泡に帰したということが大多数の専門家の診 断だ。労組の途方もない抵抗と国民世論の反発、政府の拙速推進からみて、 不可能だということだ。合わせて、まだ国会で法が通過していない鉄道・ガ スの民営化も事実上、次の政権に送られる可能性が高く、もし政府が無理に 任期内の推進を強行すれば、また未曽有のストライキが爆発する可能性がた いへん高い。
  • 基幹産業の民営化に対する充分な討論と公論化の必要性が提起されただけに、 この課題を自然に解くことが今回のようなストライキを再発させない方法だ ろう。合わせて、発電ストライキを労働問題とだけ認識せず、国民生活と国 の経済の重要な問題だと判断して、連帯に乗り出した数多くの知識人、社会 元老、社会団体、文化芸術人などの連帯もまた貴重な成果として位置づけら れる。これを踏み台として、今後、真の国民的討論を繰り広げるという課題 を私達の社会に抱かせた。

    ※発電所売却留保と国民的合意要求各界宣言現況:

    • 3月7日、カンウォンリョン牧師など各界各層988人国民的討論要求宣言
    • 3月8日、民主化のための教授協議会発電所売却留保時局宣言
    • 3月16日、朴炯圭牧師、李敦明弁護士など社会元老5人対話要求記者会見
    • 3月18日、ハンナラ党アンヨングン議員、民主党朴仁相議員など与野議員 26人対話解決要求宣言
    • 3月19日、ソウル大キムスヘン教授など経済学経営学専攻教授102人発電 所売却留保要求宣言
    • 3月20日、社会学専攻教授43人発電所売却留保要求時局宣言
    • 3月21日、教育医療13団体発電所売却留保要求宣言
    • 3月27日、環境連合緑色連合参与連帯女性連合民主労総電力民営化留保要 求共同声明発表
    • 3月28日、チョンジヨン映画監督など文化芸術人105人発電所売却留保宣言
    • 3月28日、発電所初級幹部発電所売却留保要求宣言
    • 3月28日、キリスト教社会布教連帯会議発電所売却留保対話解決要求宣言
    • 3月29日、西江大孫浩哲教授など政治学者30人発電所売却留保声明発表
    • 3月29日、経実連、政府に発電ストライキ対話解決要求声明
    • 3月31日、発電所の海外売却に対するカトリック仁川教区の立場声明発表
    • 4月01日、英国11の大学留学生40人が電力産業民営化対話解決要求見解発表
    • 4月01日、大邱地域学界、法曹界、宗教界、市民団体など332人発電売却留保 要求時局宣言
    • 4月01日、韓国産業労働学会発電売却国民合意留保対話解決要求時局宣言

次に、既存の労政関係、労働界内部の地形に変化要素が表れ、これは今後一層 加速化するものと見られる。

  • 民主労総は、2月25日の公共3社ストライキが爆発すると、26日に100以上 の事業場で10万余人規模の第一次連帯ゼネストを決行した。また、鉄道ガ スとは違い、発電ストライキが長期化すると、散開ストライキ中の組合員 を宿泊させる運動、募金運動をはじめ、週3〜4回の大規模集会はもちろん、 4月2日のゼネストを宣言する等、総力支援した。この過程で、韓国労総に 所属するガス公社労組が上級団体を民主労総に変え、鉄道労組も組合員総 会を経て上級団体変更を推進する等、闘争にともなう組織強化の成果を上 げた。4月2日に予定された民主労総のゼネストと連係して、鉄道、ガス労 組が第二次連帯ゼネストを決議することもした。
  • このような労働界の地形変化の動きは、政府をかなり緊張させ、強硬対応 をさせる要因になったが、民主労総の4.2ゼネストが予想を越えて大規模 に組織され、強硬対応に対する世論が悪化したことで、対話による早期解 決側に手順が捕えられるようになった。
  • 交渉についても、政府はこれまで労使政委員会が唯一の対話の窓口として 民主労総が要求した労政交渉を拒否してきた。だが、特に公共部門では、 労政交渉は不回避であり、発電ストライキを解決する過程で実質的な労政 交渉を数多く体験した。
  • このような変化は、今後の労政関係の展開の様相にも相当な影響をおよぼ すと判断される。すぐに週5日勤務制導入を巡り、民主労総を除く労使政 合意を推進しようとしていた政府の計画は修正が不回避だろう。この点は、 公務員労組許容問題も同じだ。民主労総が現行の政府案が労働法改悪内容 が過度に多く、週5日導入の趣旨の面目を失わせるのであれば強力に反対 し、これは韓国労総の方向性を大きく制約するはずであり、政府も内容の 大幅な修正無くそのまま強行すると、新しい強い反発を呼び起こすためだ。 ひいては、この4年にわたる労使政委員会の評価作業が始まっているが、 民主労総排除戦略と小銭の両面関係にある労使政委員会の将来にも大きな 影響を及ぼすだろう。
  • 政府はすでに大統領が「過激な労働運動」はいけないとか、労組が民営化 をこれ以上の交渉対象とみなさないことにしたと規定し、民主労総運動を 妨害しようとしている。だが、既に明確な労働界の軸を形成した民主労総 排除戦略は、社会的に大きな代価を払うことになるということが37日にわ たる公共ストライキ過程で得るべき教訓のひとつだ。

三つ目に、発電ストライキの過程で金属中心の第一次連帯ゼネスト、4.2に予 定された14万規模のゼネストの準備は、労働運動の歴史を新しく書き変える貴 重な連帯闘争として、今後の労働運動の気風を新しくする大きな要素になるだ ろう。

  • 民営化同意を強要した政府の超強硬方針は、結局、民主労総のゼネストを 目前にして、交渉妥結側に方向が変った。自分の事業場の問題ではなく、 他の事業場の問題で同調連帯ストライキを行ったこと自体も、90年の現代 重工業ストライキ強制鎮圧に抗議する全労協ゼネスト後10余年ぶりのこと だ。さらに、国家基幹産業を外国と財閥に売ることに反対して決行された ゼネストは、90年代の労働運動に広がっていた企業別労組主義と賃団交闘 争中心の活動の気風を大きく刷新する契機になった。
  • また、発電ストライキばかりでなく、民主労総活動に対する強い排除の意 思を含む政府の度を越した民営化同意の強要、4千名集団解雇に対抗して 予想を越える実際のストライキ決議で集めた4.2ゼネストの準備は、今後 の民主労組運動の気風に健康な連帯精神を吹き込むことに大きな要素にな るだろう。このような健康な連帯闘争の結果として、発電労組の破壊を狙 う政府の超強硬弾圧を防ぎきっただけでなく、ガス労組の民主労総加入、 鉄道労組の民主労総加入推進に見られるように、民主労組運動を強化させ る大きな成果を成し遂げたのである。

四つ目に、ストライキの後遺症を最小化し、円満な労使関係を形成する対等な 労使関係を回復しなければ、いつでもまた爆発するという点だ。

  • 政府の基幹産業民営化強行も大きな要因だったが、発電ストライキが爆発 して長期化したもう一つの要因は、一言で対話不足だ。発電会社の社長団 は、会社が韓電から分離され、発電労組が新しく結成された後、7か月の 間に150あまりの団交条項の大部分を妥結しないなど、極度の対話忌避の 徴侯を見せた。このため、労組は専従も無く活動しなければならず、会社 が組合費を控除しないために労組委員長が銀行から私費で借金して活動す るとんでもないことが行われた。
  • ストライキ後も、労使間の対話不足の後遺症はそのままあらわれ、ストラ イキの1か月間に労使が会った時間もそれほど長くないが、会った場でも 実質的な対話は行なわれなかった。政府と産資部を代弁する発電5社の社 長団は、ストライキの期間中、何と三回も対話の中断を宣言した。

    ストライキ終結後、懲戒と損賠請求問題などで労使はさらに難しい局面を 迎えるだろう。一層根気強い対話の姿勢が要求されるが、大量懲戒と弾圧 を広げれば、鉄道と共にまた再ストライキの動きに進むことができる。し たがって、ストライキ後の収拾に政府が責任持って乗り出すべきだ。

五つ目に、インターネットと携帯電話を利用した「散開ストライキ」、「稲妻 作戦」など、独特のストライキ戦術と労組員家族等の積極的活動は、今後の労 働界のストライキの新しい典型を作ったという評価だ。

  • 2月26日、ソウル大で座り込みをしていた5千余人の労組員が、あっという 間に脱出した時、警察と記者は当惑そのものであった。指導部が留まる明 洞や鉄道労組員が集まる建国大に再集結すると見て、兵力を配置し、記者 は組に分かれた労組員を尾行までした。だが、労組員は大部分が組になっ て疲れた体を休めようと公衆浴場に入っていき、出てくるとは思わなかっ た。一日が過ぎた後、別名「散開ストライキ」に突入した事実が知らされ て、このストライキは1か月を超えた。労組は散開ストライキの途中、2度 にわたり、稲妻のように集結し、警察を締め出してまた散開する稲妻作戦 も駆使した。
  • 警察の鎮圧を避けて長期ストライキを可能にした散開ストライキは、イン ターネットと携帯電話などの情報通信の活用で可能な戦術だった。散開ス トライキは、ソウル大に集まった5千余人の労組員の班討論で最も多く出 てきた戦術から採択された。強い組織力の裏付けがなけれはば成功が難し い散開戦術を生まれて初めてストライキをする発電労組員が、復帰率の論 議を眠らせ成功させた秘訣については、言うべき事は多い。発電所売却に 対する強い抵抗、過去の御用韓電労組に対する強い背信感、家族等の後援、 明洞指導部の強い指導力等等、はなはだしきは政府は奥地で勤務する人々 だから可能だなどという奇想天外な解釈まで出した。
  • 32の発電所のうち、20余の発電所で組織された家族会合の家族対策委の活 動は眩しかった。初期の会社側の説明会を無視したことから始め、数回の ソウル上京集会はもちろん、集団で社宅で居住する家族等のしんばり棒に なった。会社が4千人集団解雇という超強気をめぐり、1千人あまりを半強 制的に復帰させると、家族が出ていって出勤闘争をし、夫等のストライキ を守ってくれることもした。
  • ストライキの過程で鎮圧対象を逃した警察が、労組員が宿泊した旅館やコ ンドミニアムなどを検問検索して、強制的に復帰書を書かせようとし、民 主労総がこれを人権委員会に申請するに至った。3月24日、延世大での稲 妻集会の後に連行された労組員を警察が強制的に復帰書を書かせようとし た後、25日、鍾路署前で会社車両に乗せようとし、民主労総の弁護士が監 禁行為だと抗議して解放させたともあった。婦女子と子供が留まる社宅を 空けろという政府の処置が伝えられ、政府はやり過ぎるという世論が沸騰 した。「敗北はしても降参はしない」という言葉に代表される発電労組の イホドン委員長などのストライキ指導部の動きも、大いなる関心を集めた。
  • 世界初の電力ストライキである発電ストライキは、果してストライキの後、 電力大乱がいつ起きるかを巡るものだった。人によっては三日、五日と予 想したが、全員はずれた。1か月は頑張れるという産資部の公言も、19日 後に節電運動の呼び掛けに変わった。だが、とにかく不安感はあっても、 1か月間、電力供給に大きな問題がなく、千万多幸だった。

以上

http://www.nodong.org/html/maybbs_press.php?db=kctuinfo&code=press&n=1899


Created byStaff. Created on 2002-04-03 02:58:18 / Last modified on 2005-09-05 08:14:18 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について