本文の先頭へ
LNJ Logo [韓半島討論会](2) - 『東北アジア新秩序形成と韓半島の将来』
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
Document 200510korea2
Status: published
View


「多者協力体制ために民衆運動の国際関係への介入能力が必要」

[韓半島討論会](2) - 『東北アジア新秩序形成と韓半島の将来』

チョ・シネ記者 shin@jinbo.net

民教協共同議長金世均ソウル大教授の司会で進められたこの日の討論会は、 ソンジュミョン韓神大教授の「東北アジア新秩序形成と韓半島の将来」という 発表で始まった。

ソンジュミョン教授は現在の東アジア秩序の転換期的性格を探り、考慮すべき 主な争点と東アジア各国の戦略について詳細に説明した。彼はこうした秩序の 中で重要な争点がいかに展開されるのかを予測し、韓国が選べる選択肢と その選択が持つ、あるいは持たなければならない進歩的実践への含意は何か という問題を提起した。

脱冷戦期米国の覇権戦略変化が東アジアの新秩序を率いる

ソンジュミョン教授は「現在の東アジア秩序の特徴は、脱冷戦的秩序をさまざ まな次元で模索する『転換期的』な様相を見せている」とし、これを導くのは 「世界秩序の『単極』的覇権といえる米国」と指摘した。脱冷戦条件で米国の 威嚇の認識と覇権戦略の変化が、東アジア各国に一定の影響を及ぼし、全体的 な転換につながっているということだ。

ソンジュミョン教授は、東アジア新秩序形成で考慮されるべき主要争点として △北朝鮮問題△中国『威嚇』(China Threat)問題△中国『危険』(China Risk) 問題△日本のナショナリズム国家戦略と『安保国家』、『地域覇権国』指向性 △エネルギー危機の展望△歴史問題△領土問題などを選んだ。

ソン教授は特に中国の威嚇・危険の問題が、今後どのように流れるのかに注目 しなければならないと指摘した。中国威嚇論は2種類で分けられ、ひとつは経 済成長と軍事費増大、台湾問題、中国の海洋影響力増大などの『安保的威嚇論』 と、もうひとつは中国の成長に従う資源、市場、資本などの他国経済への負の 影響力などの『経済的威嚇論』がそれだ。中国危険論は、中国経済成長の持続 性、高成長の調整問題(いわゆるハードランディングとソフトランディング)、 ソフトランディングの場合は中国に巨大な経済的利益を持つ東アジア諸国の 同時危機の問題をいう。

米、中国の成長による地域覇権秩序の変動の主張に焦点。対北朝鮮政策もこれに合わせて

これらの争点が存在する東アジア各国の主な戦略はどうか。ソンジュミョン教 授は米国、日本、中国が、それぞれどのような対北朝鮮、対中国、対朝鮮半島 政策を取っているかを簡略に説明した。彼は米国は『核の拡散と以前防止』と いう目標の下に北朝鮮の核保有を理由に中東への核移転を事前に防止し、北朝 鮮体制の崩壊あるいは交替により東北アジアで中国の包囲政策を展開するのが 米国の政策だと説明した。中国問題については経済的機会論と政治軍事的威嚇 論が今なお残っているが、ブッシュ政権になってから、政治軍事的威嚇論は変 わらない反面、経済的威嚇や危険問題についての認識は比重を増していると説 明した。特に中国の成長による東アジア地域覇権秩序の変動に関心があるとい う指摘だ。

日、親米追随戦略/民族主義的国家戦略を通じて安保大国に成長

日本の場合、名実共に世界的な戦争可能国家、『安保大国』に成長しており、 日米同盟の強化を通じた親米追随戦略を中長期的戦略とする民族主義的国家戦 略を採択している。ソンジュミョン教授は、「現在日本の国内政治の構図では、 改憲は世論化作業を進めた後、2010年以前に達成される」とし、「この時点ま でに国連常任理事国進出を実現させ、その後日米同盟の再定義が形成される」 と予測した。「改憲は、小泉が政治的な危険があるために次の政権で、国連で 常任理事国になってから改憲する」とし、「こうした民族主義的国家戦略とい う前提のもとで、対北朝鮮政策と対中政策が展開され」と説明した。

ソン教授はまた「現在の日本の対北朝鮮政策は、過去の融和的な外交ではなく、 北朝鮮を政治的に武装解除させる攻勢的な性格」だと指摘し、「拉致問題に見 られるように、北朝鮮は日本右傾化の容易な素材として活用されている」と話 した。一方、日本は対北朝鮮政策で両面性を見せているが、「反北朝鮮世論を 植えつけると同時に、外務省と小泉は二度の北朝鮮訪問に見られるように北朝 鮮との関係正常化を通して東アジアの新秩序を形成する過程で主導権を獲得す るジェスチャーを取っている」と指摘した。

六カ国協議での北核暫定合意と国交正常化に対しては「直ちに拉致問題やミサ イル問題など北日間の懸案問題を、北核暫定合意とともにパッケージで妥結さ せようとしていて、こうしたパッケージ交渉と国交正常化交渉がかみあいなが ら進められる」と予測した。日朝正常化は、韓半島をめぐる日中間の競争で影 響力を確保する重要な契機になるためだ。

中国を排除する海洋中心のFTAネットワーク戦略を追求する日本

ソンジュミョン教授は「日朝間の関係正常化が急速に展開する可能性があるが、 北朝鮮は多くは取れず、政治的には日本が優位を占める方向に行く可能性が高 い」と述べた。また「日本の究極的な路線は中国だ」と指摘し、「東アジアで の中国の覇権こそ日本としての死活がかかった問題」と話した。彼は「政治的 には日米同盟を軸として台湾問題への介入能力を確保し、独自に海洋における 『力の均衡』を追求して、経済的には中国の『威嚇』と『危険』を軽減するた めに、中国を排除する海洋中心のFTAネットワーク、つまり韓国、台湾、フィ リピン、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、アセアン多国間協 定の戦略を追求している」と診断した。

中、高成長政策により避けられない地域秩序の再編と中国威嚇・危険論

東アジア問題の核心というべき中国は、どんな戦略を取っているのだろうか。 ソンジュミョン教授は、中国の威嚇論と危険論を払拭させることが重要だと指 摘しつつ、中国が威嚇として実在する要素を正しく認識する必要があると伝え た。米国と日本により、伝統的な安保的観点から提起されてきた中国威嚇論は 誇張の部分があることは事実だが、中国の大規模な成長は世界と東アジア地域 秩序の変更を持たらさざるをえない。中国が自分で覇権に挑戦する意思がない といっても、中国の成長は世界秩序の一部と東アジア地域秩序の相当部分を再 編しないわけにはいかないとソン教授は分析した。

中国の高成長政策は、2008年北京オリンピックと2010年の上海博覧会まで維持 されるが、この時点でエネルギー問題、不動産などのインフラバブルの発生、 中国指導部の交替、失業問題解決難関といった深刻な調整を体験することにな り、これがsoft-landingすればバランスの取れた民族経済論が台頭する可能性 があるが、hard-landingでは排他的な民族経済論と共に対外的な冒険主義ある いは中国中心の多国間軍事同盟構築の可能性が存在すると指摘した。

前述の重要争点については、北朝鮮問題は核問題の妥結と同時にさらに難しい 局面になる可能性が高いと予想した。韓米日中の間での戦略的な構想の差が顕 著になり始め、日米が国交正常化により今後中国の『防波堤』をなくす努力を 傾ければ、中国と日米の緊張は極に達すると展望した。中国威嚇と危険問題も、 中国の経済成長とともに持続的に提起されることになり、日本の民族主義的な 国家戦略は、東アジアの新しい軍事力均衡体制到来の可能性を高めて、地域的 な紛争と論争の大きな火種を内包すると指摘した。

「エネルギー危機、民族主義・領土問題とからまって、深刻な安保問題として登場する」

ソンジュミョン教授は、重要な問題としてエネルギー危機を提起した。現在の 原油高騰は、経済学者が話すように一時的で周期的な石油価格の動きとは違っ て、地質学者を中心とする現在全世界的なoil peakの到来の可能性が相当な説 得力を持っている状況で、石油の枯渇の可能性と供給制約の可能性が同時に高 まっており、こうした構造的な状況を反映して、投機資本の運動が形成されて いるという。彼はこうしたエネルギー危機の可能性が「各国のエネルギー安保 政策を触発し、エネルギー確保のための死活をかけた競争と闘争を展開する」 と展望し、「こうしたエネルギー闘争は中国威嚇/危険問題、民族主義問題、 領土問題などと複合的に結びついて、深刻な安保問題に浮上する可能性が高い」 と付け加えた。

最悪のシナリオ「日米vs中国.複合的力の均衡体制」

ソンジュミョン教授はこうした転換期における新しい東アジア秩序の国家間の 関係として最も発生しやすい体制、すなわち2010年以後に登場する最大の秩序 は、強まった日米同盟と中国間の対立と競争を軸とする『複合的な力の均衡体 制』だと予測した。彼は2010年以後、現実的に想定できる東アジア秩序の新し い類型として、△米国を筆頭とする単極体制△日米の対中国(+ロシア) の対立 体制△米中日の間での強大国協力体制△韓国、北朝鮮+米中日露の多国間協力 体制などを提示した。ソン教授はこのうちの二番目、すなわち複合的な力均衡 体制が最も可能性が大きいと話し、「複合的力均衡の限界を主要強大国が自覚 すれば、三回目か四回目の可能性が全くないわけではない」と付け加えた。

ソン教授は最後に韓国の選択肢と進歩陣営の役割に言及した。韓国としては、 いわゆる『複合的力均衡体制』に行った時に、対立の一つを選択しなければな らないが、現在の条件が続くと『韓米日同盟』に編入される可能性が高いと指 摘した。彼は「こうなった時に望まない対立と破局の一つの軸になるだろうし、 韓国、北朝鮮平和体制や北朝鮮経済の正しい、非新自由主義的離陸に必要な平 和と協力の条件から遠ざかる」と主張した。またこの最悪のシナリオに行った 場合、韓国の『国家利益』にも合わないだけでなく、究極的には『民衆的生存』 の根本的な危機を引き起こすだろうと付け加えた。したがって韓国の進歩勢力 の役割が重要だ彼は結論した。

「進歩陣営が最悪のシナリオを防ぐための中間段階を想定、そのために実践的状況に介入すべき

ソンジュミョン教授は「これまで進歩陣営は国際関係の状況に鈍感だった」と し、「客観的状況として、国際秩序への理解が必要で、目標として進歩的国際 秩序をデザインする能力と国内政治の進歩的発展に望ましい国際秩序の中間段 階を想定して、そのために状況介入能力を形成する必要がある」と指摘した。

換言すれば、進歩勢力は複合的力の均衡体制という最悪のシナリオを主張する ために設定できる秩序の代案について、発展にふさわしい選択肢を躍動的に設 定し、それを運動の目標に反映させていくべきだということだ。そのためにソ ンジュミョン教授が実践的に考慮すべき部分として言及したのは、まず北朝鮮 六カ国協議の性格を、現在の北朝鮮圧迫協力制度から北朝鮮の安全と復興のた めの協力制度へ、そこからさらに韓半島平和定着のための協力制度に変えてい かなければならないということだった。多国間協力モデルを形成し、それを通 じて、中国問題やエネルギー問題にも対処すべきだという構想も提示した。彼 は、「FTAはゼロサムゲーム」であり「機能的で包括的な多国間協力を要求し て民衆的介入体制を作り、反新自由主義、平和の国際ネットワークと政府間多 者協力の摸索を同時に進め、相互に侵入しなければならない」と提案した。

また、「韓米同盟問題を再検討しなければ、他の問題に接近できない」とし、 民衆的要求として韓米同盟の廃棄と国家的な目標あるいは戦術的課題として、 韓米同盟の『柔軟化』を連動させる方案を考えるべきだと主張した。最後に、 進歩勢力の国際関係の変化への介入は、民主主義の深化、国家権力の民主化が なければ困難であり、反対に国際秩序への民衆運動の介入は、民主化の深化と 国家能力の改善としての意味を持つと主張し、国際秩序への進歩陣営、民衆陣 営の介入の必要性と運動の意義を再度強調して、発表を終えた。

2005年10月04日5時07分

原文(チャムセサン)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2005-10-06 10:37:41 / Last modified on 2005-10-06 10:38:30 Copyright: Default

世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について