韓国:17代大統領選挙、階級投票の反映 | |||||||
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17代大統領選挙、階級投票の反映[発行人コラム]民主労働党、問題は覇権主義ではなく階級的基礎にある
イ・ジョンフェ(発行人)/ 2007年12月26日10時07分
大統領選挙は終わった。概して進歩に対する保守の勝利または左派に対する右 派の勝利という評価が一般的だ。ここで進歩とは、盧武鉉が語る左派新自由主 義から民主労働党までを包括する意味のようだが、実際に進歩があったのかど うかを問い直してみよう。歴代最低の投票率はいくら悪臭が漂っても競争者も なく最初から最後まで、圧倒的に先頭を走り続けた選挙の流れを競馬中継のよ うに世論調査を中心に報道したメディア選挙の結果だったと言うだけだ。しか し果たしてそれだけだろうか? むしろ多くの人々が投票する進歩がなかったか らではないだろうか。 李明博と経済を生かす 今回の大統領選挙のキーワードは、断然『経済を生かす』だった。新自由主義 経済体制の時代では稀な5%に近い成長率を示し、貿易額は史上最高値の7000億 ドルを越え、世界10位圏にあって、株価は2000を上下する。盧武鉉のくやしさ に満ちた強弁の通り、実物指標はそれほど悪くない。それでも経済が苦しいの か。輸出が経済の80%を占める国でこれほどの貿易指標を持ってしても経済が 苦しいから経済を生かすというスローガンが大衆的な説得力を持つ理由は何か。 企業の輸出が好調で金を稼いでも、貧乏な人々の手には金がない。2000年序盤 から輸出と内需が分離して、輸出が好調でも内需が生き返らない。技術が発展 して成長しても雇用創出効果がない。非正規職労働者が80%に達し、労働費用は 絶対的に減らせる。左派政権という汚名(!)を負っても盧武鉉大統領執権以後、 法人税はむしろ2%も減った。 50大財閥の留保資金が300兆を越えても、500兆を越える金は米国をはじめとす る外国の不動産に入っていると言い、500兆以上の金が不動産市場と株式市場を 行き来していたずらをしていても、輸出さえうまくいけば良くなるという景気 がよくなるわけがない。青年失業に始まり、非正規職と失業を行き来する大多 数の国民は絶対的・相対的な貧困にやつれるだけだ。 このような状態にした金大中、盧武鉉そして統合新党に何の言葉が必要だろう。 だがCEO出身を押し出して、7%の成長で国民所得4万ドルを達成し、世界七大経 済大国に入るという『747公約』という李明博のスローガンは功を奏した。貧困 を語り、彼らの畑に出口を開いて票を持っていったのだ。しかも新自由主義的 資本蓄積戦略に対抗して、ケインズ主義的代案で声を上げた人は多かったが、 山に失業者たちを引っ張って上げてダム建設で払った労賃で金を回すという、 過剰生産恐慌をしばらく延長しようとするケインズ式の発想に、死んだ経済を 生き帰らせると運河を作り第2京釜高速道路を建設し、あらゆる所を掘り返そ うと言う李明博のほうがむしろ似ている。 市民運動の政治勢力化、そしてムン・グキョン 創造韓国未来構想には、チェ・ヨルの緑色政党、チョン・デファの民主労働党 ではなく市民団体が中心となる政治勢力化の夢が埋まっている。結局、オ・チュ ンイル、チェ・ヨル、チョン・デファは統合新党に、イ・スホ、チ・グムジョ ンは進歩大連合で大統領選挙の後に進歩新党創党を計画する新進歩連帯に分か れたが、創造韓国未来構想は創造韓国党として勢力化した。選挙の末にチョン・ デファは統合新党と単一化しろとテントを張って大騒ぎをしたが、ムン・グキョ ンは自分の道を行った。 隠れていた強豪の固守が登場した。それまで市民運動の後援者として大統領選 候補に登場したムン・グキョンは、非正規職をなくすというスローガンの代わ りに『2年から3年以上、長期間非正規職を使う雇用は正規職化するようにして、 850万の非正規職を半分に減らす』という公約を出した。また『500万の雇用創 出で雇用率を現在の64%から70%に高め、青年失業率は8%から4%に減らす』とし た。それまでの市民運動の政策とあまり違わない。彼らは予想した二席得票は できなかったが、民主労働党の権永吉は越えた。選挙直前に登場した、それも 非正規職と失業は認めながら、中小企業を生かすと言って立候補したムン・グ キョンにも権永吉は遅れをとったのだ。民主労働党の内部評価もそうであるよ うに、権永吉の票が市民運動の政策を続けていった創造韓国党のムン・グキョ ンに移動したのだ。これこそがこれまでの韓国社会の政治地形を最も正確に見 せる事例だ。 非正規職撤廃と羊飼いの少年 大衆はあれほど不安定労働、非正規職撤廃を叫んできたが、羊飼いの少年を信 じなかった。外国為替危機直後の代議員大会で否決され、たとえ職権調印の形 ではあっても、民主労総を含む労使政合意で整理解雇と派遣制が立法した。そ して今年の民主労総の羊飼いストライキと民主労働党の黙認の下で非正規法案 が通過した。民主労総と韓国労総の組織的基盤である男性中心の大工場労働者 とネクタイ部隊は、多くの部分すでにこの社会の所得20%の中に入っており、民 主労総が完成させようとしているいわゆる産別という組織に非正規職労働者は 包まれない。しかし非正規職の独自の組織化は複数労組を認めないことにより 封鎖されている。誰でもが知る話だ。 民主労働党の社会連帯戦略は、単純に見れば非正規職を認めて正規職の所得を 分け合おうという政策だ。非正規職を包括できない民主労総の産別体制の限界 を補完しようとするものだ。イーランド労働者の闘争の真っ最中に、マイクを つかんで何枚かの写真を撮っても、比例代表2番に非正規職を選出すると、あわ てて規約を変えてしゃべりたてても、結果的には過去すべての過程を共にした 民主労働党と権永吉が非正規職問題を解決できると信頼しなかったようだ。非 正規職をなくすと口先だけで大騒ぎする人よりも、むしろ非正規職対策の限界 を率直に認め、その代わりに雇用を伸ばすというムン・グキョンの提案が大衆 にとってさらに説得力があったようだ。 3者構図でも食われずに5%だといっていた民主労働党の実体が大衆的に確認され てしまった。大衆運動に基づくと言っていた民主労働党が、市民のいない市民 運動が政治勢力化した創造韓国党にも負けたのだ。民主労働党と民主労総は互 いに階級投票の失敗を口にするが、排他的支持ほどでなくとも、李錫行が権永 吉で、権永吉が李錫行という状態で、責任転嫁のほかに何の言葉が必要なのか。 今回の大統領選挙ぐらい、政治的信念と道徳性が排除されたまま投票が行われ たことがあったのか? 大衆はいつよりも徹底して自分の利害関係による投票を 行使した。問題は民衆競選ではなく、民主労働党の政策フレームと実力に対す る不信と冷静な評価だ。 覇権主義、そしてもうひとつの覇権主義 誰が権永吉を恨むのだろうか、自ら招いたことなのに。初めは政治勢力化のた めに、二つ目は進歩政党の院内進出のために立候補するという新鮮さもあった が、全く新しいものも、打ち出すほどのものもあまりない不人気な三浪大統領 候補が今のようなメディア選挙の構図でアピールする根拠は、初めからほとん どないと思われていた。誰もが予想できたことだが、結論は単に政派対立の構 図の産物であり、また権永吉だった。 97年『目覚めよコリア』の後続便というか、『コリア連邦共和国』という基調 とスローガンが、97年選挙の時と同じように内部の動揺だけを極大化させた。 自分たちも合意できない党の政策を、どういう方法で大衆に説得できようか。 しかも『一発で行く』を基調にBBK事件など、李明博と関係のあるあらゆる臭い ものをてをごみ箱から探し出した鄭東泳の選挙基調は、キャンドルデモと共に いわゆる進歩、市民運動と称する連中の後押しで、民主労働党の主要選挙基調 の一つとしてまい進してきたことを否定するのは難しいだろう。哲学やビジョ ンは二の次としても、票がなければイヤだと言って韓国労総のズボンの裾を引っ 張ることも厭わず、得票を至高の善とする選挙から抜け出せないのだ。 公的基金を投入して生き返らせたウリ銀行はもちろん、産業銀行、企業銀行な どを民営化する、そして金産分離政策をやめるという李明博の政策に対して、 既存の国有銀行を維持して民営化した銀行も国有化し、産業を統制して市場中 心体制を変えるという公約がそんなに難しいことなのか。ローンスターによる 外換銀行買収などでどこの誰もが問題があることを知っている投機的金融資本 と多国籍企業の権利を制限しようと提案することが負担になるのか。国民年金 などさまざまな年金が金融部門に流れて行くことに反対して、社会連帯戦略を 廃棄することは得票に役に立たないのだろうか。水、電気、通信、そして鉄道 といった国家の必須サービスを国家が維持することは、無償医療・無償教育を 提起することと違わない。そして、競争ではなく相互共存に基づく社会を作ろ うという提案が難しいのか。 李明博の経済を生かすに対抗して、富裕税の風船でも飛ばすわけでもなく、社 会化、社会的統制という実践的な提案をビジョンと政策で立案しるのが難しい というのなら、そもそも進歩政党の進歩という形容は取ってしまうほうがいい。 選挙が終わったが、相変らず民主労働党の中には覇権主義だけが残っている。 選挙の間、ずっとそうだったように、政派対立の構図が極端に駆け上がって、 テーブルをひっくり返さなければならない、いや違うといった通信は多いが、 結局は総選挙比例代表というご馳走を一人占めするか、分け合って食べるかで 覇権主義論争は弱くもなり、拡大もするのではないかと思う。孫浩哲教授の提 案のとおり、ノ・フェチャン、シム・サンジョンが自主派から離れれば問題が 解決するのだろうか? 民主労働党だけでなく、運動陣営全体に蔓延した自主派 の覇権主義は極端に駆け上がっているが、民主労総・民主労働党両翼論に基づ く非正規職の代案と社会連帯戦略を立案・主導した人々が自主派ではないとい う点で、そうして離れることが代案なのかどうか、きわめて疑わしい。事実、 覇権主義に左右があるのだろうか。敗北の原因を特定政派の覇権主義のせいに して政治的免罪符を得ようとすることは、覇権主義のもう一つの姿ではなかっ たか。問題の核心は、政派そのものではなく、その政派間の対立の中で表現さ れるコンテンツの質そのものが根本的に不十分なことにある。 覇権主義の裏にある政派の政治的理念の根本から出発してみよう。問題はむし ろ、『排他的支持』という呪いを唱え、失業と非正規職を行き来する不安定労 働で苦しむ人々が出ていく町角に陣取った覇権主義の方がさらに大きな罪悪で あるようだ。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2007-12-27 15:58:51 / Last modified on 2007-12-27 15:58:52 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |