韓国:[李明博時代展望](8) -教育、さらなる競争と苦痛はあってはならない | |||||||
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私教育の費用が爆発的に増加[李明博時代展望](8) -教育、さらなる競争と苦痛はあってはならない
イ・チョロ(学閥のない社会)/ 2007年12月24日8時28分
大統領選挙が終わり、マスコミ各社は当選者を祝って溜っていた注文をしてい る。左派政権で失った十年を取り戻さなければならず、以前の政府の失敗を教 訓に、政府の規制を緩和し、権力を市場と企業に渡せと口を揃えてわめきたて ている。はなはだしくは、李明博当選者の勝利の原因は李明博候補への支持と いうよりも現政権の失政への反感だという不快な表現もはばからない。 李明博時代を診断するためには2つの段階が必要だろう。現政権の教育政策の失 敗状況と、大衆の教育に関する期待を占うことが一つだ。そしてその具体的な 実現計画として、李明博候補の大統領選挙公約を分析してみることだ。 まず、教育部門での現政権の失敗は何だろうか? 二度にわたり、WTOに教育を商 品市場に出す開放譲歩案を提出したこと、韓米FTA交渉に教育市場化を含めたこ と、国立大法人化という名で国立大学を私営化し、国公立大学を統廃合して定 員を削減、物価上昇率を上回る登録料と期成会費の値上げ、教員の養成と任用 政策の破綻による予備教師の反発、自立型私立高校と国際学校という名の利潤 追求型学校の導入、教員評価と差別成果給による教職社会の混乱など、とても 数えきれないほど多い。 何よりも大きな問題は、殺人的な入試競争がさらに強化され、すべての決定権 を大学に渡してから統制不能状態に陥った。2008年の入試制度変更により学生 のキャンドルデモと論述波動を招いたことと、内申の反映比率を高めると大学 とけんかをして、結局は大学に拒否されたという。その結果、今この瞬間にも 入試の苦痛の中で死にそうだ。 言論が、こうした実情を正して入試を廃止しようとか、教育の不平等を解消す るために福祉を強化しろとか、学校を学生の人権が侵害されない自治と民主的 な空間にしろと要求するなら心配はないだろう。 しかし李明博当選者への言論の注文は、新自由主義市場化をさらに強く押し通 し、経済の規模を広げろということで、税金の負担を低下させ、公企業の民営 化を再度推進し、反企業政策の枠組みから抜け出せということだ。減税と規制 緩和で政府の規模を小さくしたり、あるいは露骨に権力を市場に渡せと要求し ている。その上、「社会秩序を破壊する勢力には法を厳格に執行して公権力の 威厳を高めろ」という部分では、ひやりとさえする。 このような要求が作動すれば、商品化が可能な学科を中心として大学の学問を さらに強く構造調整すること、学校を市場化し、教育により利益をあげること、 そうでなくても足りない教育予算を削減する方向に、韓国の教育が変貌するこ とと考えられる。 また李明博当選者の公約をみると、まったくこのように解釈できないから心配 が先んじるばかりだ。李明博当選者の教育公約は、特定階級の利害関係が露骨 に反映されていて、大学に関する公約は教育部の規制撤廃以外にないのが特徴 だ。大学に関する公約が不十分な理由は簡単だ。大学はすでにサービス産業に 分類され、利益を創出する市場になってしまったし、大学の構造調整は市場の 法則によって進行しているためだ。 李明博当選者は、すでに十分に市場化が進められた、そして進められると予想 される大学部門には言及せず、それ以前の段階で階級政党として党派性が強い 政治的選択をした。こうした選択の結果が大学入試の自律化と高校多様化だ。 大学入試の自律化は、本試験の復活と同意語だ。現在の大学入試制度の要諦は、 大学別選考にある。修学能力等級制、内申拡大などは大学が選択できる選考資 料の種類と使用方法を羅列したにすぎない。大学はさまざまな資料のうち、利 用したい資料を選んでその比重を決めるすべての権限を持っている。そして、 大学が内申を反映してもしなくても、修学能力を資格基準だけに使っても、は なはだしくはSATを要求したとしても、受験生と高校はこれに伴うしかない。 その上に規制が残る領域は、筆記本試験、寄付金入学制、高校等級制だけで、 これは個人の学業能力ではなく両親の社会経済的地位による選抜にしないため の最低限の牽制装置に過ぎない。ところが李明博当選者の大学入試の自律化は、 それさえ廃止しようということだ。これは教育により階級を相続しようという ことと違わない。 大学入試の自律化は、高等学校の多様化により増幅されている。李明博候補は 『高校多様化300プロジェクト』(寄宿型公立高150校、マイスター高校50校、自 律型私立高100校)を始め、私教育が不要な多様な高校を作るという。全国の 2100校程度の高校のうち300校を集中育成し、さらに教育の国際化などの名分で 教育開放も積極的に推進すれば、そして今でさえ深刻な社会問題になっている 多様な特別な学校らがそのままなら、あとの学校は何なのか? 結局、普通学校 は低級な学校になり、社会の二極化の正体である貧困の拡大を考えれば、階級 を分けようということに違わない。 大学による富と権力の不公平な分配、大学序列体制による学閥社会、その進入 機制である大学入試により、韓国社会はすでに教育を通じて階級が再生産され ている。裕福な既得権層はそれ以前の段階から強力な安全装置を作るために平 準化を攻撃してきたし、多様な需要者の好みに合わせて教育サービスが供給さ れなければならないと叫んできた。市場競争のためにはまず消費者が選択でき る多様な商品がなければならない。市場の多様な商品には価格が決められてい て、この商品は費用を支払える者だけに効用を提供する。そしてこれを問題に すれば、彼らはこう叫ぶ。なぜ競争を阻害するのかと。国家がどうして自律化 を規制するのかと? いっそ外国に行ってしまうと。 彼らだけの鉄甕城を構築しようとする裕福な既得権層の要求により、教育とし ての存在意義を失った外国語高等学校は、むしろ増設されている。私教育の費 用だけでなく、公教育の過程でも確固たる優位を占め、子供たちが安全に学閥 を獲得するための差別的な学校が新しく誕生している。これが良い学校だと言 われる国際学校、特別目的高校、寄宿型公立高、自律型私立高などの名前を持 つ多様な学校の本質だ。 学校多様化プロジェクトが完成すれば、高等学校の全定員の約15%を占めるだろ う。小中学校の段階でここに入るための私教育にかかる費用が爆発的に増加す るだろう。また、多様な高等学校が設立されれば高等学校の段階で私教育にか かる費用を与えるというのも偽りだ。これは学校の教育で私教育の費用をなく すという自立型私立高等学校が、むしろさらに多くの私教育のための費用を支 出しているということが明らかになったことで証明された。 高等学校の多様化は、教育を市場化し、階級化するための全面的な攻撃だ。既 得権層が望む良い学校の画龍点睛は高校等級制であり、これを達成する手段が 大学入試自律化だ。大学入試自律化は、こっそり施行された高校等級制を全面 化し、いわゆる良い学校の出身者に学閥を獲得させる近道を作ろうとするもの だ。結局、李明博当選者の公約は、階級間の不平等を深める金持ちのためだけ の公約だった。 この文を書いて、この数日間にも大学入試をめぐる残念な死の知らせが続いて いる。以前にも、またそれ以前にも、そして今でも起きている。李明博当選者 の公約と言論の要求が重なれば、破壊的な結果をもたらすだろう。 また、生活の全領域を商品化して利益を追求する資本の貪欲は、公共サービス 領域、特に教育と医療に現れるだろう。だから労働者進歩陣営と、直ちにこの 戦線で激突するほかはない。教育と医療と水とエネルギーなどを市場化しよう とする人々との間での、公共性を守り強化しようとする闘争が最前線にならざ るをえない現実で、教育部門の武器は入試廃止大学平準化でなければならない。 入試廃止-大学平準化運動は新自由主義を越える新しい社会秩序を表現し、要求 する進歩陣営の攻勢的な代案闘争だ。核心課題が入試廃止-大学平準化で代表さ れるが、この運動は韓国教育の根本的な枠組みを民衆の利害、ニーズに合わせ て再編していく運動であり、韓国社会の変革運動であるためだ。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2007-12-27 15:57:15 / Last modified on 2007-12-27 15:57:23 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |