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李明博式柔軟性と実利追求が南北関係を規定[李明博時代展望](7) -南北関係展望
ペ・ソンイン(編集委員)/ 2007年12月22日16時30分
今回の選挙は、一言で政策、理念、風、関心、競争、夢、理想などは、目を皿 のようにして探しても見つからず、退屈で一方的な、そして醜悪で汚い泥仕合 が乱舞するだけの選挙だった。盧武鉉の学習効果がかなり深く刻み込まれたこ とで李明博の独走が長く持続し、予想された結果がそのままあらわれた選挙で あった。それでもBBK事件で一発挽回をもくろみ、状況を逆転させようとする無 謀な試みは、有権者に大きな失望を抱かせた。 真実と偽り 今回の大統領選挙の評価は多くの部分が一致するが、意図的なよじれが存在し ている。李明博勝利の一等功労者が盧武鉉であるということは幼稚園児でも皆 知っている常識に属する。盧武鉉の失政と失言、傲慢と独善に対する冷静で峻 厳な審判だと評価することには異議がない。その意味で李明博は無賃乗車に近 く、ほとんど半分はただでゲームに参加したのだ。 問題は李明博の勝利により、権力のパラダイムが左派的なものから右派的なも のに移動していて、進歩改革陣営の惨敗だと評価されている部分だ。もちろん、 こうした用語の使用がこれまで一般的に通用し、あまり無理はないかもしれな いが、一般大衆の認識水準はそうではない。すべての進歩勢力を市場の屋台で サバが売れるのを待つように青田買いをしているためだ。 盧武鉉の敗北と李明博の勝利は、新自由主義イデオロギーに追従し、信奉する 一部の勢力が改革を旗じるしにして一部の市民団体と進歩勢力を結合させ、旧 態から抜け出さないまま、小心で卑怯な、そして絶望的な統治をした結果だ。 あとの進歩勢力は、反新自由主義を掲げて与野をはじめすべての新自由主義勢 力との勝負を掲げ、要求した。だが現実の覇権的な力の論理に埋もれてしまっ た。彼らは反ハンナラ党戦線とは明確に違い、その性格と方向もまた明確に違 う。だから今回の選挙は、新自由主義内での左と右の戦であり、一言で支配ブ ロック内部の人物交替に過ぎないのだ。だから改革性向勢力のパニック状態は 当然のことだ。 速断可能な大統領選挙と新しいムルッパク導師 今回の選挙ではいくつかの特徴が眼につく。『韓国大統領選挙の結果に対する 速断は禁物』という最高の純真な命題が壊れてしまった。李明博は2006年10月 に支持率が1位になった後、一度も1位を奪われなかった。初めからその結果が 予測可能にならざるをえない選挙だった。1987年の大統領直接選挙制導入以来、 1、2位の格差が最大だったことが、これを物語る。だが鄭東泳側の『一方企画』 とやらは、なにか妥当なものだっただろうか。かなり傲慢不遜で野放図な態度 そのものだった。 最大の特徴の一つは、おそらく経済共和党の『ホ・ギョンヨン現象』が選ばれ るだろう。インターネット空間で彼の人気は誰も無視できなかったし、大統領 選挙の後も、天を突くばかりに上がり続けている。ネチズンは彼に『ホボン チャ』という名前さえ付けてやり、姜鎬童を凌駕する『ムルッパク導師』を連 想させた。こうしたホ・ギョンヨン現象は、彼の公約の実現の可能性とは無関 係に、政治的ニヒリズムとシニカリズムへの反証であり、1987年の大統領直選 制以後、最低の投票率がこれを物語っている。ホ・ギョンヨン現象は現実政治 に対する真の冷笑であり、これに対する有権者の笑いは真の意味の苦笑である。 これを見て笑うことができない政治家たちが笑っているのは本当にバカという ものだ。 南北関係と韓米関係の二重変奏曲 李明博の自己規定が、経済大統領と実用政府を標榜したように、今後の政権の 性格はフランスのサルコジ政権と似た親米成長優先政権だという展望が支配的 だ。内部的には親資本・反労働的な政策の指向は目新しいことはない。外交安 保政策は、まさに韓米同盟を強化し、対北朝鮮関係は相互主義の原則を強調す ると見られ、大きに憂慮されている。すぐ北朝鮮が核を廃棄して門戸を開放す れば、国際社会とともに積極的な対北朝鮮政策を展開するという発言がこれを 予告している。 ところが李明博の、対北朝鮮と外交安保分野の政策の優先順位は、かなり後に 押しやられている。今回の選挙でのハンナラ党の20の公約を見ると、外交安保 の分野は一番最後の19〜20位に上がっている。そして彼が実用主義的外交を強 調したことを考えると、ある程度予測が可能だ。結論から言えば、既存の対北 朝鮮政策の平和繁栄政策、太陽政策などを根本的に修正するものではなさそう だ。ただし、北朝鮮に対して相互主義を要求する方向に行くものと見られる。 良く言えば、これまでの金大中-盧武鉉政権の対北朝鮮政策とハンナラ党の既存 の相互主義を融合した政策になるだろう。冷静に見れば、無色無臭の政策にな りうる。もちろん、韓米同盟の強化は彼らの性格と体質に合わせ本能的に推進 されるだろう。 対北朝鮮政策の相互主義の原則が南北関係を梗塞させるという憂慮には基本的 に同意するが、柔軟性を発揮して基本的な枠組みを変えることは容易ではなさ そうだ。最大の理由は、現在進められている北核六カ国協議の持続性を中断さ せる変数として作用してはならず、六カ国協議の継続の可能性に韓国が積極的 に関与してきたためだ。ハンナラ党も、南北関係が元に戻せない過去に回帰し てはならないということは誰よりもよく知っている。 李明博の『非核開放3000』構想は、実現の可能性は別として長い時間を必要と するという点で、強い忍耐心が必要だ。その意味で朝鮮半島平和体制に関し、 非核化の問題が急務だ。だが、これもまた長い時間を要するもので、過去の敵 対的な関係に戻ったときに発生する費用は天下の李明博にも耐えがたい。 特にエネルギー外交を強調する李明博が、1990年代初期の現代建設の時から構 想していた中央アジア〜ロシアのシベリア〜中国〜朝鮮半島に至る送油管によ る『エネルギーシルクロード』を推進するという実用外交を考慮すれば、当然 だろう。また、中小企業が開城工業団地や海州経済特区による中小企業の活路 の摸索と南北の和解協力による経済共同体の形成も、彼らには重要な課題だか らだ。真の『李明博式実用』は、まさにこうしたことではないだろうか。 ただし李明博の実用と柔軟性は、南北首脳会談をはじめとする南北間で合意さ れた事項についての速度調節論が適用されるものと見られる。実現の可能性と 妥当性調査、そして付加価値創出などを考慮し、時間を調節しながら北との関 係を設定するものと見られる。実利社会主義を追求する北との一本勝負の実利 戦争が興味を引くのもこのためだ。 それにもかかわらず、心配なのは韓米同盟の強化が南北関係の進展に大きな変 数に作用するという点だ。韓米同盟と日米同盟を軸として東北アジア情勢を主 導し、地形を率いようとする意図が強いので、南北関係が一部損傷する可能性 は排除できない。 10年ぶりの政権交替で、韓米双方で保守的コード合わせの動きが速まっている。 李明博とブッシュが12月20日の電話通話で韓米関係の増進と北核問題解決のた めの協調を約束したという。この10年間、韓米懸案の相当部分が米国側の腹案 のとおりに解決されながらも迂余曲折をあじわった韓米関係についての反作用 はどれほどの強さになるのだろうか。李明博には南北関係より韓米同盟が優先 するのは確実だ。 李明博式経営は盧武鉉の統治方式を凌駕するか だが李明博の将来は、あまなり明るくはなさそうだ。歴代大統領選挙で最低の 投票率も問題だが、むしろ盧武鉉学習効果をどう克服するのかがカギだからだ。 48.7%の得票率と500万票以上の差で当選したが有権者の期待水準を充たせなけ れば、そのときに発生する状況への対処と管理能力が弱いと見られるためだ。 それは、支配勢力と一般大衆間の関係における精神的な交流がなく、相手方の 体温を感じられないという短所があるためだ。厳密につき詰めれば、一般大衆 のほとんどが心の底から待ち望んでいた指導者のイメージが、現実と適合しな くなると負担が大きいためだ。 後で李明博の成果をめぐって不満と後悔をすることになれば、地面を叩きなが ら、慟哭しながら、また別の指導者のイメージを想像するが歴史の後退を戻す ことはできないではないか。自分の選択の不満と後悔も、精神的な愛情の交流 がなく現れた一種の生理的快感でしかない虚しさにより生じる悲哀のようなも のだ。 だから減税や不動産緩和などのポピュリズム的な政策で大衆の支持を受けるた としても、教育、労働などの問題は二極化や社会の対立をさらに深める可能性 が濃い。そうなればむしろレイムダック現象がさらにはやまる可能性が高まる。 結局、李明博式経営が盧武鉉式の統治方式を克服できるかどうかの核心になる ものと見られる。彼も政権延長の夢を見る一介の政治家ではないのか。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2007-12-27 15:54:32 / Last modified on 2007-12-27 15:54:33 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |