韓国:文在寅政府4年、所得主導成長論を振り返る | |||||||
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文在寅政府4年、所得主導成長論を振り返る[最近の経済]所得主導成長論はどこへ行ったか
ソン・ミョングァン(チャムセサン研究所) 2021.06.11 09:47
5月20日、大統領直属雇用企画団副団長は 「産業大転換が良質の雇用で移動できるようにすることが雇用委の使命だと思う」とし 「これまで新型コロナによる(雇用危機という)足元の火を消すことに総力をつくしたとすれば、 下半期から産業大転換に関して雇用労働部をはじめ各政府部処がどんな役割を果たすべきなのか、対策中心に準備したい」と話した。[1] 新型コロナ事態を契機としてあちこちの言論メディアで 新産業動力に対する話題が毎日のようにあふれている。 韓米首脳会談でも半導体とワクチンのビッグディールが話題として提起された。 今、世界的に新産業動力に対する激しい角逐が明らかに行われているのは事実だ。 そして韓国にとってこうした技術覇権をめぐる展望に大きな関心を見せる理由は、 韓国人の人生に責任を持つべき飯の種を探そうとする希望のためだろう。 いわゆる良質の雇用が作られて、 ここで自分の労働を代価で人生を領有する根拠地を作れるという希望だ。 それで新産業動力と労働の話題は共に強調されなければならない。 しかし労働問題に対し、どの政府より実質的な成果を上げると信じていた文政府の4年は残念この上ない。 雇用状況版、最低賃金引き上げ、非正規職の正規職化…。 4年前、文在寅(ムン・ジェイン)政府の初期に広く知られた事件と政策だ。 文政府は所得主導成長論を看板に掲げ、野心に充ちて出発した。 しかし誰もが知るように、その結果は乙たちの戦いに転落した最低賃金議論を残しただけで龍頭蛇尾に終わった。 そして今はKニューディールと看板を変えた。 所得主導成長論の基本は、労働と資本の1次分配で労働の部分を大きくし、 これが内需消費と投資を刺激して経済成長に転換するという論理を基礎にしている。 それで労働の分配を大きくするために労働親和的な政策を取るべきだというのが 政策方向の結論だ。 実質的な分配改善と経済成長には長い時間が必要だ。 1〜2年間で画期的な成果を出すことはできない。 資本自らが自然に自分の持分を労働に譲歩するはずがないからだ。 しかも労組の組織率が非常に低い韓国の状況では、 所得主導成長論の主体になるべき労働者の要求を簡単に達成するのは難しい。 したがって、所得主導成長論を推進する政府の役割が大きくならざるをえない。 大統領自身も4年前にマスコミを通じて言及したように、 政府の財政が所得主導成長論の呼び水の役割を果たさなければならないと強調した。 しかしそもそも政府の役割を呼び水だと認識したこと自体が安易な判断だった。 呼び水とは、井戸のポンプから水が出てこない時、 水を押し上げるために上から注ぐ水だ。 何かが詰まっている時に糸口を取り出す役割ということなのだが、 これは井戸に水がいっぱい満ちている状況を前提にしている。 だが果たして井戸に水がいっぱいになっているのか? 前述のように、資本が譲歩しない限り、労働の持分は自然に増加することはない。 井戸の水を満たすことが先だ。 これは、その成果を見るためには1、2年で終わらない中長期的な課題だ。 文字通り政権の命運をかける死活的な問題である。 古典的な表現を借りれば、資本に対抗する労働の階級闘争で 文在寅政権が 先頭になることを意味する。 だが文在寅政権の4年を振り返ってみた今、 恐らくこうした主張に対してむなしい笑いしか出ないだろう。 残る1年、あるいはこれからの5年を考える時、 われわれはこの失敗の過程を振り返るべきだ。 そして教訓を残さなければならない。 労働政策の問題を政府財政と天秤で量る恩恵授与的な態度を捨てなければならない。 文在寅政府は 議論の決定的な瞬間にいつも政府財政を理由に後退したり、むしろ改悪させた。 たとえば、最低賃金引き上げの圧迫で零細自営者の生計に問題が起きると、 政府がそれを積極的に補填する方案を取るべきだった。 政府初期、最低賃金が議論が「乙」どうしの対立に飛火して、 社会的な対立によって政策推進の力量が浪費されるというミスをおかした。 その上、決定的瞬間に最低賃金算入範囲を拡大し、 結局最低賃金が上がっても月給が上がらないことが起きてしまった。 実際、2019年の低賃金労働者20万人の実質引上げ率は、 算入範囲拡大の議論があった当時に2.2%水準で終わると展望した。 所得主導成長論を叫ぶ政府が所得増大を押さえ込む政策を取るという とんでもないことをしたわけだ。 階級闘争の先頭になると豪語大言壮語しておいて、仲裁者あるいは反対者になった。 こうした政府の態度の背景には、均衡財政論者の国家財政に対する攻撃と合理性で包装された 企画財政部の財政運営の論理が敷かれている。 しかしところで文在寅政府初期、 IMFなどの国際機構は韓国をドイツとともに拡張的財政政策を推進できる国に上げて、 財政政策の転換を勧告していた。 すでに世界的な潮流は赤字財政の憂慮よりも長期沈滞への憂慮のほうを心配して、 これを打開するための論争を繰り広げている状況だった。 だが時代的な流れに遅れをとった古い均衡財政論にしばられて、 所得主導成長論は方向性を失い言葉だけが残るようになった。 良質の雇用? 働いて死ぬ命をまず救おうところで、こうした古い観念から抜け出せない態度は、 所得主導成長論の失敗だけではない。 セウォル号惨事に対する社会的反省を契機に安全な大韓民国を作ると 文在寅政府は公言した。 子供たちの空しい死が二度と繰り返されない社会を作ると両眼を大きく開いて叫んだ。 だが先月、港湾で非正規職として働いていた20代の青年が300kgを越える 鉄の塊の下敷きになって死亡する事故が起きた。 誰一人、作業過程の危険を知らせず、言われるままに現場に投入されて被害に遭ったのだ。 数年前に石炭発電所で亡くなったキム・ヨンギュン氏の死亡を契機に 今年、重大災害処罰法ができた。 韓国社会が抱く慢性的な問題の労災に対し、 もう悪習を切ろうとする社会的熱望が集まって作られたのだ。 だが5人未満の事業場には適用されず、 50人未満の事業場は適用が3年延期された。 昨年労災で亡くなった882人のうち、5人未満の事業場は312人、 5人以上〜50人未満の事業場は402人だった。 80%もの労働者たちの死が、この法の適用対象から除外されたり延期されたのだ。 また、最近5年以内に安全措置義務関連法を3回以上違反すれば、 事業主が事実上、災害に責任があると見なす「因果関係推定の原則」も削除された。 こうした後退の理由は、国家が実質的に介入して労災を防ぐべきなのに、 処罰条項を強化するだけで、 零細事業場の場合、経営上の財政能力を理由に除外されたり延期されることが行われたのだ。 政府自ら、零細事業場は労災が起きても特に責任を取らない所だと認めたようなものだ。 良質の雇用を作るという文在寅政府が 不安定な雇用を確認させる逆説的な状況を作ってしまったのだ。 良質の雇用とは新産業の動力を強めて作られるものではない。 そしてそれは長い時間がかかる。 不安定な雇用を安定化するのがまさに良質の雇用を作る一番はやい方法だ。 危険の外注化を防ぐ方法は、零細事業場が優良になるまで待って延期するのではなく、 国家がすぐに直接的に介入することだ。 Kニューディールに半導体、水素自動車、太陽光産業等等に数百兆の金を支援しているのに、 なぜ労働者の命を守ることには後ろ向きなのか? なぜ安全ニューディールは作れないのかということだ。 新産業動力に支援する規模の100分の1だけで充分だ。 今後残された1年、文在寅政府に望むとすれば、 修辞だけ残った所得主導成長論の代わりに 「安全な雇用作り」のように明快な目標を達成することに邁進してほしい。 大企業が新産業に投資することを待つよりも、 安全な雇用を作るほうが良質の雇用を作る確実な近道だ。 国家の帰還と果断性の時代また所得主導成長論の話に戻ろう。 政権の序盤期に見せたいくつかの事件と政策で 「これで何か変わるのか」という期待を国民に一気に抱かせたのは事実だ。 だが実質的な財政投資が土台にならないまま、 制度の改善だけでは当初期待した目標を達成するのは難しい。 われわれが体験した経済問題は、検察改革のように制度改善だけでは解決しない。 国家の役割を呼び水程度に認識するということは、 まるでピンセット処方のように適材適所に介入して、 国家が何か出口を開く役割をするということを意味する。 言葉はとても素晴らしく見える。 しかしこの言葉は好況期の状況で何か均衡が取れない点を ピンセットのように細かい処方を使う時に使う言葉だ。 今はそのような好況期の局面ではない。 米国を見よ。 数千兆を一度に注いでいる。 今は呼び水ではなく、消防ホースが必要な時代だ。 「国家の帰還」という話題が大勢になる今、 私たちに必要なのは果断性で、捨てるべきなのは古い新自由主義理念だ。 〈脚注〉 [1] 『雇用委「残った1年産業再編・気候変動雇用に集中」』、〈毎日労働ニュース〉、2021.5.21 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2021-06-18 20:19:36 / Last modified on 2021-06-18 20:19:38 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |