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韓国:性少数者嫌悪の根元、保守キリスト教と政界の「汚いコネクション」
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性少数者嫌悪の根元、保守キリスト教と政界の「汚いコネクション」

人権活動家・性少数者研究者の会「トランス-クライスト」インタビュー
少数者を「資格のない市民」に追いやる嫌悪、新しいフレームで対抗せよ

カル・ホンシク記者 2016.03.15 17:46

最近、少数者嫌悪の論理で武装した保守キリスト教団体が存在感を誇示している。 2月29日、保守キリスト教団体が主催した国会での祈祷会でチョン・グァンフン牧師は 「二党(セヌリ党、共に民主党)の代表が来て降参宣言をしたようだ」と自評した。 巨大両党の代表級の政治家がこの日の祈祷会に参加し、 保守キリスト教団体が思う通りに「差別禁止法」の制定に反対するという立場を明らかにしたためだ。 特に、共に民主党(以下、共に民主)の朴映宣(パク・ヨンソン)非対委員はこの法を「同性愛法」、「イスラム法」、「人権関連法」と表現して、 決して受け入れられないという立場を表明した。

保守キリスト教界が性少数者嫌悪を助長し、差別禁止法制定反対活動を展開して政界を圧迫してきたのは昨日や今日のことではないが、 最近になってその様相はさらに過熱している。 これに対し、人権活動家と性少数者の研究会である「トランス-クライスト」は昨年1月から、 保守キリスト教団体の歴史と彼らが流布する嫌悪論理の意味、 政界と保守キリスト教団体の連結の輪を分析し、 嫌悪に対抗する運動の方向を模索してきた。

ビーマイナーは「トランス-クライスト」の二人の研究者と会い、 韓国の社会性少数者嫌悪の動きの根元がどこにあり、 それがどのように広がっていったのかについての詳しい話を聞いた。 これを通じて嫌悪に対抗する人権運動が進むべき方向に対する悩みも共に分けあった。

▲嫌悪論理を流布する保守キリスト教界を分析してきた研究会トランス-クライストで活動するキム・ヒョンチョル研究者(左)、ナヨン活動家(中央)

インタビュー参加者: ナヨン(地球地域行動ネットワーク「セクシュアリティ工作所」活動家、トランス-クライスト研究者)、 キム・ヒョンチョル(トランス-クライスト研究者)、 パク・チョンス、カル・ホンシク(ビーマイナー記者)

保守キリスト教はどのようにして政治に出てきたか

カル・ホンシク: トランス-クライストが反性少数者運動をする保守キリスト教団体に対する追跡調査をしてきたと理解している。 これらの団体はどのようにして社会の前面に登場することになったのか。

ナヨン: 解放以後、多くの教会が政府から日帝が残した土地の払い下げを受けたり、 朴正煕(パク・チョンヒ)政府の時はセマウル運動の助けになるなど、 保守キリスト教と政治の関係は着実にあった。 しかしニューライト団体を作るなどして本格的に結集する契機は2004年だった。 それまでは主に牧師個人が活動に参加したり、進歩プロテスタント団体が活動する程度だった。

金大中(キム・デジュン)-盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の時に危機を感じた趙甲濟(チョ・ガプチェ)氏などの保守右派が牧師に保守を支えるキリスト教の役割を注文した。 そのうちに2004年に4大改革立法(私立学校法、国家保安法、過去事真相究明法、言論関係法)が推進され、 右派と保守キリスト教の利害関係がかみ合うようになった。

牧師たちは特に国家保安法廃止と私立学校法改正案(理事・監事の一部を開放的な方式で選任するなど、私立学校の民主的運営のための内容を含む法案-編集者 注)に反対し、 広場に出てきて大規模な集会を開いた。 国家保安法の場合、解放後に保守キリスト教が親米・反共・反北朝鮮を旗じるしにしたからで、 私立学校法はキリスト教が運営する学校に手を付ける直接的な事案だった。

その年の末からニューライト全国連合、キリスト教社会責任というキリスト教右派を基盤とする団体が生まれた。 今、選民ネットワークなどの非営利民間団体を基盤として反同性愛活動などを積極的に展開しているキム・ギュホ牧師の場合、 キリスト教社会責任の時からの経験に基づいて保守キリスト教の活動を作ったと見られる。

保守キリスト教側は、李明博(イ・ミョンバク)前大統領を当選させるために遠慮なく選挙運動をした。 その後の2008年の総選挙と2012年の朴槿恵大統領の大統領選挙には、 キリスト教有権者連盟、韓国キリスト教公共政策協議会を作り、 キリスト教の要求を掲げて活動した。 朴槿恵大統領引継委員会にも多くの保守キリスト教界の人物が入った。 教育部長官だった黄祐呂(ファン・ウヨ)セヌリ党議員も、 これらの団体で同性愛問題と歴史教科書改正の要求を出した人だ。 チェ・イウ国家人権委員会委員も一緒にそうした活動をした人だ。 彼らが現政権内で自分たちが主張してきた政策を現実化している。

(こうした過程を通じ)金大中-盧武鉉政権を 「失われた10年」と規定する右派にキリスト教は、 いつでも動員可能な勢力になった。 キリスト教の立場としては、当時、牧師の不正、性暴力議論の中で、 アンチキリスト教運動が活発になった時だった。 その上、盧武鉉元大統領が私立学校法に手を付けたことをキリスト教に対する弾圧だとして保守右派と結合した。 2007年の(法務部が立法予告した)差別禁止法がまたキリスト教を威嚇するとし、 保守キリスト教界の行動が出てくることになる。

保守キリスト教の危機、少数者嫌悪を呼びさます

カル・ホンシク: 保守キリスト教界が政治化したのが反キリスト教意識に危機を感じたためだとすれば、 彼らの政治的メッセージである少数者嫌悪はどうして危機を克服する論理になったのか。

ナヨン: (小さな組織と大型教会では)脈絡を分けて見る必要がある。 行動グループとして登場する基盤がない小さな組織、 または極端的に霊性を追求する組織には、老人、貧しい方々、生活が苦しい方々が行く。 その方たちは社会の中で生活の問題を解決する関係網もない。 それで絶対的に教会にしがみつく傾向がある。 こうした教会は倫理的な側面、特に性的摘発を強調する。 なおさら教会の信者たちが「うちの牧師様は霊的な方で聖書に忠実でキリスト者らしい方」と絶対的に信頼をすることになる。

しかし、大型教会は政治的なネットワークを作り、情報を交換する場だ。 そこに行けば、自分の事業の役にも立ち、必要な情報も得られる。 事実、こうした教会は嫌悪行動をすることが果たして現在の教会の危機突破の役に立つのか迷ったのは事実だった。 名分が確実で、政治的な影響力もある私立学校法や国家保安法反対とは違い、 「肛門性交」を叫びながらプラカードを持って行動をするのは次元が違うというものだ。 そのうち2011年以後、小さな組織が本格的に行動を始めてこれをマスコミが報道し、 彼らの宗教界と教会の信者の間で混濁した時期に同性愛に反対することで確実に牧師としての名分が得られるという競争意識に置かれていたのではないかと思う。

2014年から2015年のクィアー文化フェスティバルの間の時期に、こうした雰囲気が頂点に達した。 2014年のクィアー文化フェスティバルから積極的に行動を始めた組織がイベントを妨害し、マスコミで大きく報道された。 その時から保守キリスト教団体は世論戦を始めた。 「同性結婚まで認める西欧のように、韓国も堕落するだろう。 しかし韓国はそのように堕落してはいけない」ということだ。 彼らは米国やイスラエルはすでに堕落しており、 「この混濁した時期に韓国のキリスト教が使命を負わなければならない」という信念をまき散らす。

キム・ヒョンチョル: 江南のように共同体が抹殺されたような所では、すべての情報共有と交流が教会中心に行われる傾向がある。 その中で嫌悪の価値も共有されるのだ。 自分の子供を教育して、成功させたいという欲望と、 教会の人々と交流しながらその中で考えを規範化する過程は別物ではない。 規範から抜け出したことに対する嫌悪、そして私はここに属しているという所属感が一つにつながっている。

カル・ホンシク: では保守キリスト教が少数者を嫌悪の対象とする理由は何か。 少数者がキリスト教の教理を威嚇すると考えているからか?

ナヨン: 事実、同性愛者は教理に挑戦するというより、差別禁止法に対する過度な危機意識の方が大きな理由だ。 例えば法が通過すると同性愛は罪だと説教をすると罰金を払わせられるとか、 ミッションスクールで同性愛に反対という内容を教えられなくなるという憂慮だ。 (差別禁止法は性別、年齢、人種、学歴、出生地域、宗教、性的指向などを理由とする不当な差別を禁じる。 保守キリスト教団体は、この内容が同性愛関連の教理を説明したり、イスラムを対象にした宣教など、 自分たちの宗教的行為を妨害すると反発している。-編集者 注)

差別禁止法反対のために同性愛反対に動くことになったのだが、 ちょうど同性愛者が私たちを乱れさせ、彼らのためにエイズが広がり、 学校で肛門性交を教えるようになるといった論理で危機感を造成するためには良い対象だったのだ。

パク・チョンス: (差別禁止法について)キリスト教界が感じている危機は、事実、まず米国で先に提起された。 米国では差別禁止法が通過した時、説教のような宗教的なことにも介入するので、心配になったのだ。

ナヨン: 彼らは米国福音主義右派陣営の認識と戦略をそのまま持ってきた。 70〜90年代福音主義右派陣営は、団体メールやメディアを活用しながら選挙の時に彼らが支持する候補を応援した。 そして健康、家族の価値を政治的な問題にするのだ。 特に教育や青少年の問題を論点にして、危機感をあたえる戦略を積極的に使った。

「資格ある市民」と「資格ない市民」を分ける彼らの嫌悪

カル・ホンシク: むしろ差別禁止法反対から攻撃しやすい同性愛に対する嫌悪が発生したということが特異だ。 しかし嫌悪が宗教的な利害関係から始まったものであっても、現実には波及力が大きい。

ナヨン: そうだ。 同性愛から始まった嫌悪を他の内容と意図的につなげて拡大していきつつある。 実際に2011年にソウル学生人権条例の論議がおきた時、 彼らは同性愛だけでなく、青少年の妊娠出産を助長するという反対の論理を打ち出した。 最近、憲法裁判所が姦通罪を廃止するにあたって掲げた性的自己決定権についても、 同性愛と性売買も認めるようになって家庭と社会が崩壊するという論理で反対している。 イ・ジャスミン セヌリ党議員の「移住児童権利保障法(2014年発議)」に反対する広告を見ると 「貧しい第3世界の人、東南アジアのムスリムが集まってきて、 彼らは13歳未満の子供を韓国の小児性愛者と結婚させようとするだろうし、 結局は税金を浪費して社会を堕落させるだろう」という論理で移住民に対する嫌悪を助長した。 また、同性結婚に対する反対討論会で彼らは 「同性愛の子供は不幸にならざるをえない。 片親の家族は不幸ではないか」とし、片親の家族に対する偏見を連結させる。

米国プロテスタント右派側の文章を読むと、 彼らが非常にうまくやっていることは少数者集団の内部を分離することだ。 未婚の母に福祉を与えても、未婚の母もみな同じ未婚の母ではないという調子だ。 やむを得ずに未婚の母になった人と、いわばふしだらで子を生んだ未婚の母、 つまり自分がふしだらだったのに福祉の恩恵を受ける未婚の母を区分する論理を作った。 一番心配になるのは、彼らがこのような形で福祉の対象を減らして国家から福祉を受ける「資格ある市民」とそうではない市民を分ける倫理を作ることだ。 そして、この倫理がキリスト教を超えて大衆的な嫌悪に押し寄せる。

パク・チョンス: 「日刊ベスト(イルベ)」を中心とする若者たちの新しい極右の論理は、 教会の極右の論理と出会う危険性はないか?

ナヨン: イルベだけの問題ではないが、もうこれ以上は社会システムが(自分に)責任を持ってくれることができず、 自分一人で暮らすのも難しい状況だという認識が蔓延している。 そうした中で(極右の論理が)社会に不満を提起したり、少数者だと言って権利を主張する人々に対して 「ただでさえ大変な社会に混乱をあおり、税金と雇用を奪っていく」という認識を強めかねない。 北朝鮮やムスリムに対しても、不安を大きくするという考えを強化しているようだ。

嫌悪の論理を公認する政治家と保守キリスト教の連結の輪

カル・ホンシク: 4月13日の総選挙をむかえて、政治家が保守キリスト教団体と一緒にする姿がよく見られるが、 これは保守キリスト教界が持つ票のためなのか。 あるいはそれを越える影響があるのか。

キム・ヒョンチョル: 保守キリスト教勢力と右派のネットワークに同調する人々は信心があるからというよりも、 政治勢力化の問題として見なければならないようだ。 あるいは韓国社会がますます恐怖社会に進入する状況で、 そうした社会を作る主体の中に入ることが安全だと感じているのではないかと思う。

パク・チョンス: 少数者を攻撃することは、事実少数者を除く他の人々だけの垣根を形成することだ。 そして、多くの人々が自分は少数者ではないと考えるようにする。 (差別禁止法について「同性愛法、イスラム法、人権関連法、みんな反対する」と話した)朴映宣(パク・ヨンソン)議員も自分の信念があるのだろうが、文字通り降参した。 保守キリスト教勢力の話を繰り返すことが安全で、また多くのことを得られるという心理が作動したのだろうと思う。

ナヨン: 最も確実な理由は、それでもキリスト教が票畑だからだ。 セヌリ党は基本的に李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵政権を保守キリスト教が作ってくれた基盤がある。 共に民主は信じられない。 進歩と打ち出す市民だけを信じるには不安で、 またそれでも保守層を信じるには自分のアイデンティティが不安なので、 行ったり来たりの動きを見せる。 保守キリスト教界が共に民主議員や朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長を主に攻撃する理由は、 彼らが自分たちの側ではないと考えるためでもあるが、 揺さぶりやすい対象だと考えているのではないのか。 共に民主を攻撃して嫌悪発言を誘導し、その過程で自分たちの論理が公認されるのだ。

パク・チョンス: これはまるで「金日成、犬畜生と言ってみろ」と全く同じだ。

ナヨン: 共に民主には重要な局面ごとに自分たちがイデオロギー攻撃を受けて失敗してきたというトラウマがある。 過去はそれが従北だったが、今は同性愛だ。 基盤が弱い人たちの方が動揺するという点で、崔東益(チェ・ドンイク)議員も象徴的だ。

カル・ホンシク: 本人が少数者であり、性少数者嫌悪発言をしたからか?

ナヨン: そうだ。イ・ジャスミン議員がセヌリ党議員になったのと、 崔東益(チェ・ドンイク)議員がこうした発言をしたのとは同じだ。 彼らは少数者として主流社会に基盤を作り、障害や移住民のように自分が所属する小さな領域だけでも守ろうとする状況だ。 それで自分を社会的な攻撃対象になりやすい対象とは分離しようとする。 問題は、その攻撃が同性愛者だけに向かうのではないので、 他の少数者の人々もさらに嫌悪に脆弱になるのだ。

崔東益議員は障害者政策を語れる議員として、 ここで自分が同性愛で攻撃され、次の選挙や自分が構築した固有の領域を失うことを憂慮しなかったようだ。 もちろん他の宗教的信念があり得るのではあるが。

地域福祉を握る保守キリスト教、国家政策を左右する

カル・ホンシク: 金栄培(キム・ヨンベ)城北区庁長が2014年末、危機性少数者青少年支援事業に配分された住民参加予算を 「牧師と約束したので予算を配分しない」と言った。 背景には地域福祉の相当数を担当する城北教区委員会の圧力があるという話を聞いたことがある。 保守キリスト教の基盤は地域政治を左右することができるほどに強い。

ナヨン: 青少年福祉関連事業、老人事業をする時、地方自治体が予算を確保して委託する一番良いところが教会だ。 ソウル市民人権憲章を制定した当時、(同性愛に対する社会的合意がないという理由で留保の態度を見せた)朴元淳(パク・ウォンスン)市長の動きも、 愛の煉炭事業を韓国長老総連合会と官民協力で進めた関係などのため、のっぴきならない羽目に陥ったという理由が大きい。 城北区も教会がずいぶん地方自治体事業を遂行していた。 そのうちに教会の圧力から地方自治体が自由ではない状況になったのだ。

また申宜真(シン・ウィジン)セヌリ党議員が2013年 「中毒予防管理および治療のための法律案」を発議するにあたり、 4大中毒として、賭け、酒、麻薬、ゲームを指定したが、 保守宗教界がここに性中毒も入れようといった。 法案はまだ制定されていないが、当時の宗教界の新聞を見ると中毒法制定を予想して教会が中毒相談センターを準備していた。 法ができれば関連事業ができ、福祉や教育事業を教会が担当する。 児童、青少年、老人、障害、移住、北脱分野の事業は教会が手を延ばせばすることができる。

パク・チョンス: 事実、教会自身の人的資源、ネットワークは福祉事業を得ることに最適化されている。 中世の間に積み重ねてきた教会の援助と統治のノウハウは国家を越える。 国家は今頃になって福祉をすると言っているのに。

ナヨン: 法制度と事業、人的基板がすべて教会と政治の連結の輪だ。 教会は教育と福祉事業を通じて宣教費用を作り、 宣教事業によって、また教育、福祉事業を広げる。 ところが宣教をするにはイスラムのようなものに反対しなければならないので、さらに嫌悪を打ち出す。 以前は教会の信者は信仰心により福祉事業をしたのに対して、 今は福祉事業そのものが彼らの社会的基盤をはっきりとさせる。

2014年11月「ソウル市民人権憲章」の公聴会に保守キリスト教団体の会員が乱入し、 イベントの開催を妨害した。 結局、保守キリスト教団体の反発に勝てなかった朴元淳ソウル市長は人権憲章制定を放棄した。

保守キリスト教の嫌悪の論理に対抗する新しいフレームをいかに組むべきか

カル・ホンシク: 最近、性少数者人権団体は4.13総選挙にどう対応しているのか。

ナヨン: 性少数者陣営は最近、レインボーボート(Rainbow vote)を通じ、 保守キリスト教と右派政治家のいわゆる「汚いコネクション」を明らかにする落選運動を展開している。 昨年末から総選挙の時に性少数者だけでなく、保守キリスト教界は非正常、非市民の領域にしようしている人たちとの持続的な連帯が必要だと考えている。 今は「障害等級制・扶養義務制廃止党」(障害者らが20代総選挙で障害等級制・扶養義務制など、 差別を引き起こす社会制度を変えるために作った対市民キャンペーンの集まりで、 正式な政党ではない。-編集者 注)と連帯している。

性倫理摘発の目的は、絶えず「健康な」、「正常な」人間を再生産できるようにすることだ。 各自の性の役割に忠実な異性愛家族を維持し、その中でも非障害異性愛者たちが結婚して障害のない子供を生もうということだ。 そして子供を適切な労働力として育て、生産に尽くさなければならないということだが、 その論理に対抗するためには今後も着実に障害者と性少数者運動が出会わなければならない。

パク・チョンス: 今年の総選挙で差別禁止法問題を提起するのはどうなのか。 保守キリスト教が差別禁止法に対して各党に反対を尋ねたので、 こちらも同じように尋ねなければならないのではないか。 少数者たちが20代国会でこの問題を提起する動きはないか。

ナヨン: 金(キム)ハンギル国民の党議員が新政治民主連合(旧共に民主)にいた時、 2013年に再発議して放棄したため、実際に法を制定する影響力がある政党ではそれを打ち出すのが難しい。 その上、共に発議した朴映宣議員は遠慮なく 「差別禁止法と同性愛法、イスラム、人権法みんな反対する。 こうしたものに誰が賛成するか」とまで発言したではないか。 以前、野党は人権を保障するために差別禁止法制定するといっていたが、 今は差別禁止法に言及すること自体を敬遠する状況になったのだ。

カル・ホンシク: 3月初めに開かれたLGBTフォーラムでは、 嫌悪に対抗する論理として少数者が非正常性の価値を表わすことを明らかにしたが、 具体的にはどのようなものだったのか?

ナヨン: 正常だと思うことは、馴染みがあって効率的で、一番良い方式に見える。 しかし他の方式で対話して関係を結ぶことができ、 それが結局この社会を買えられると考える。 まるで聴覚障害者は話すことができないから手話をするのではなく、 手話が異なる体系を持つ言語であり、非障害者のコミュニケーションの体系とは異なる聾文化を作ったようにね。

性少数者も子供を生み、規範のとおりに暮らさなければならない異性愛関係とは異なる方式の愛を発見し、 「愛」という範疇だけでは包括できない多様な方式の関係を結べるようにもする。 このような関係が異性愛家族と全く同じになる必要はない。

カル・ホンシク: 米国はキリスト教勢力が大きいが、 オバマ政府が昨年、同性結婚合法化を引き出すなどの変化があった。 主流政治家を変えた米国の性少数者運動から何が参考にできるか。

ナヨン: 私たちもフレームをしっかり組まなければならないという気がする。 個人的にはオバマ大統領はあまり好きではないが、 オバマ大統領の当選演説で驚いたのは、これまで保守的な性倫理を通じて愛国と家族の価値を強調した保守のフレームを逆転させたことだ。 むしろ黒人が大統領になること、性少数者も尊重されることが世界的な国家としての米国が持つべき価値だと演説して、保守のフレームを逆利用した。

米国、ハワイで活動する活動家から聞いた話だが、 彼らは保守プロテスタントが「同性愛は青少年に危険だ」と主張する時、 「保守プロテスタントの同性愛嫌悪扇動こそ、青少年に危険だ。児童虐待だ」、このように言うという。 彼らが青少年を家の外に追いやって、無理に転換治療を試みることは児童虐待と違わないということだ。 同じように、私たちもそうしたことが必要なようだ。 彼らのフレームにとどまらず、嫌悪反対を超えて私たちの価値を込めたフレームを作ることを考える時だ。

キム・ヒョンチョル: 新都市構築の過程を見れば、アパートができて教会がアパート団地にできるという方式が江南モデルと似た側面がある。 保守的な価値が守られる空間形成の方式は恐ろしく感じられる。 都市空間ではいわゆる非正常人が見えないのは、単に隠喩ではなく実際にそうだ。 最近とても広がっている村共同体事業がそうした保守的な都市空間を解体し、 「非正常」と見なされていた人々が主体に入れるようにする方式であればいい。

付記
カル・ホンシク記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン/ビーマイナー)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-03-16 18:23:33 / Last modified on 2016-03-16 18:23:34 Copyright: Default

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