財閥社内留保金710兆の還収、どのように?
「社内留保金を還収して、低賃金、非正規職、失業問題を解決しよう」...討論会開催
ユン・ジヨン記者 2015.08.13 13:14
30大財閥の大企業社内留保金を還収して、
最低賃金、非正規職、青年失業解消などの民生予算に投入しろという主張が提起された。
現行の税制では、この13年間、幾何級数的に増えた社内留保金の問題を解決できないため、
「還収」という特別な措置が必要だという要求だ。
今年の下半期から直ちに財閥社内留保金還収運動のための大衆的闘争を組織すべきだという注文もあった。
すでに野党と市民団体などが法人税値上げ方式、超過利益共有制施行などの財閥改革を要求しており、
労働、社会陣営も反資本闘争に立ち上がる準備を終えていて、
財閥独占利益をめぐる戦いが本格化する兆しが見えている。
13年間で財閥の社内留保金が幾何級数的に増加
「非正規職、勤労貧困層、失業者の量産など家計所得から奪った金」
労働者階級政党推進委員会(推進委)は8月12日午後7時、
民主労総15階の教育院で「財閥社内留保金還収運動討論会」を開催した。
問題提起をしたキム・テヨン推進委政策教育委員長は
「30大財閥の社内留保金710兆ウォンは、労働者庶民の財布から出た」とし
「これを還収して、至急な4大民生、公共課題を解決しなければならない」と主張した。
今年3月末を基準として、30大財閥企業の社内留保金総額は710兆3002億ウォンに達する。
これは今年の政府予算375兆ウォンの約二倍になる金額だ。
財閥大企業が社内留保金を本格的に積み始めたのは今から約13年前からだ。
キム・テヨン委員長は「IMF外国為替危機を契機として2002年に社内留保金に対する税金が廃止され、
財閥大企業の社内留保金が急増し始めた」と説明した。
実際に1991年、政府は企業の適正留保を超過する社内留保金に対して25%の課税制度を導入したが、
94年に課税率を15%に下げ、2002年には結局この制度を廃止した。
結局、2001年に4.6%だった企業社内留保金の合計は、2010年には24%まで沸き上がった。
社内留保金課税制度が廃止された時期から企業所得と家計所得の格差が拡大した。
2014年末、韓国の家計負債は1089兆ウォンに増え、
それとともに全企業の社内留保金も1000兆ウォンまで増えた。
キム委員長は「これまで850万人の非正規職と400万の勤労貧困層を量産して賃金を搾取したし、
400万人の実質失業者を放置して一銭の賃金も払わなかった。
1900万の全労働者のうち930万人が月収200万ウォン未満の低賃金」とし
「資本家は2000年以後、新しい投資による富を創り出さなかった。
彼らの蔵に積まれた社内留保金1000兆ウォンは、
労働者庶民の家計所得を奪っていったもの」と強調した。
また彼は、もし2002年に社内留保金課税制度が廃止されていなければ、
現在の社内留保金の相当部分はすでに税金として払うはずの金額だと主張した。
91年に社内留保金課税制度を導入した場合の30大財閥の社内留保金710兆ウォンのうち50兆ウォンは税金として還収すべきだという指摘だ。
社内留保金が天文学的に増え、新政治民主連合の李仁栄(イ・イニョン)議員も適正留保超過所得に対し、
15%の税率を適用する法人税新設案を出したことがある。
これを適用すると、1年に2兆ウォン程度の増税効果を上げられるという。
だがこうすると、現在710兆ウォンもの社内留保金を還収するためには350年以上かかる。
キム・テヨン委員長は現在の課税制度では13年間で累積した社内留保金問題を解決できないので、
「還収」という特別な措置を取るべきだと強調した。
また彼は社内留保金を還収し、
最低賃金、非正規職、青年失業、公共医療体系構築などの至急な4大民生、公共課題の解決に投入しろと主張した。
157兆ウォン程度あれば、
△最低賃金1万ウォン適用(4年間120兆ウォン)、
△300人以上の企業間接雇用非正規職87万人の正規職化(10兆4400億ウォン)
△45万の青年失業解消(3年間で16兆ウォン)、
△医療公共性強化のための基盤拡充(9兆5000億ウォン)等が可能だという。
キム委員長は「『還収』という用語には議論があるかもしれない。
だが財閥還収は韓国社会で機会があるたびに話されてきたお馴染みの用語」とし
「1994年の財閥不実資金還収運動と1998年の不実財閥還収運動、
2014年財閥不当収益還収特別法など、
韓国社会では財閥問題を解決するために『還収』方式が制度政界の内外を問わず、提出されてきた」と説明した。
財閥の社内留保金の還収をはじめとする多様な社会化の方法が出てくるか
討論者として参加した民主労総のチェガル・ヒョンスク政策研究院長は
「結局、資本の私的所有構造に対する根本的な変化はいかにして可能なのかに対する多くの議論が必要だ」と強調した。
チェガル・ヒョンスク院長は
「総選挙・大統領選挙で福祉国家と財政問題が台頭すれば、
資本と政府は被支配階級主体を分化させる。
正規職課税を持ち出して、これに反対すれば利己的な組織労働者として片付ける。
資本の利益一人占めに関して、労働者と被支配階級の運動的ルートが詰まっている状況」と説明した。
続いて「正規職労働者がもっと多く金を払い、
私達で分けようというのはナイーブな発想だ。
もっと階級的に接近しなければならない」と注文した。
参与連帯のアン・ジンゴル協同事務局長は、
社内留保金還収などをはじめ、
多様な財閥の独占利益の社会化方式が必要だと強調した。
彼は「現在、市民団体でも財閥大企業事業を中小商工人に委譲する方式、
超過利益共有制施行などを要求している。
社内留保金回収であれ法人税導入であれ超過利益共有制施行であれ、
さまざまな方式で財閥の独占利益を社会化する方式が必要だ」とし
「最近のロッテ財閥事態を契機として財閥の独占的利益を分け合おうという大衆的運動の可能性が高まるものと見ている」と説明した。
社内留保金が企業自己資本のほとんどすべてなので、
実質的な還収は可能ではなく、
財閥が所有する株式の社会化や既存の循環出資構造解消など、他の方案を探すべきだという指摘も出た。
民主社会のための弁護士の会のクォン・ヨングク弁護士は、
民主労総のパク・ハスン政策研究員の文を引用し、
社内留保金還収運動に疑問を提起した。
財閥企業の社内留保金を還収すると、会社は資本金と負債だけが残り、
企業経営が不可能になるという。
100兆ほどの財閥所有限度を社会化する方案もあるが、
株式確保の実現の可能性が低いとも指摘した。
クォン弁護士は「企業の犯罪収益還収さえ難しい状況で、
単に不当だという理由で社内留保金を還収するのは憲法的な正当性を獲得できるのかという問題も出てくる」とし
「財閥の独占寡占的市場支配力解消が足の甲に落ちた火だけに、まず既存循環出資構造を切ってしまうことから始めなければならないのではないか」と主張した。
しかしチャムセサン研究所(準)のソン・ミョングァン研究委員は
「現金性資産を還収するのはいいのに、投資された実物資産は全く触ってはいけないのか、
根本的な質問を投げてみる必要がある」とし
「現在、企業がもうこれ以上の生産単位の機能を円滑に随行できないとすれば、
われわれは認識を変える必要がある」と強調した。
ソン研究委員は「企業が生産単位の役割を果たせないのなら、
生産基盤を還収し、他の主体が違う方式で生産をしなければならない」とし
「財閥の社内留保金還収の目標は、財閥の利益を再配分することだけではない。
生産と再生産をどのように新しく再組織するかにある」と明らかにした。
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可( 仮訳 )に従います。
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Created on 2015-08-14 05:57:24 / Last modified on 2015-08-14 05:57:25 Copyright:
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