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統合進歩党解散の論理、飛躍の連結の輪は金栄煥

大法院も排除した憲法裁判所の判決...どこまで正当なのか?
実体が不明なRO会合発言+金栄煥証言+主観的文書解釈を混ぜ合わせた論理の飛躍

キム・ヨンウク記者 2014.12.20 11:29

12月19日の憲法裁判所による統合進歩党解散決定は、 その政党解散審判の理由が厳格であると言いながら、 論理的な誤りと飛躍による決定ではないかという疑問を生むものだった。

▲19日の政党解散判決直後、茫然自失の表情で大審判廷前に立つ統合進歩党指導部[写真/キム・ヨンウク記者]

統合進歩党解散決定の論理的な誤りは、李石基(イ・ソッキ)議員のRO(革命組織)内乱陰謀事件の大法院(最高裁)判決以前に解散宣告をすることに決めた所から始まる。 憲法裁判所は内乱陰謀事件とは別個に調査を行ったと明らかにしたが、 李石基議員の裁判で出されたRO会合の発言は、解散判決の根拠に借用した。 大法院判決もなく判決を出すという批判を遮断するために、内乱陰謀刑事の裁判と統合進歩党の違憲性は別個の問題だと線を引いたが、事実上 ROが存在すると言って始まった内乱陰謀事件の検察側の証拠はすべて認めた。

憲法裁判所側は、李石基議員のRO事件の審理対象と政党解散請求事件の審理対象は違うので問題がないと言うが、 RO事件が今回の政党解散審判を触発したという点は認めた。 実際、約350ページもの判決文にも、RO会合と言われるマリスタ修道院での会合の発言が民主的な基本秩序に反していると認めた。 問題は、政党解散審判の渦中でRO事件の控訴審裁判所がROの実体を認めず、内乱陰謀ではなく内乱扇動だけを認めた後、大法院判決への期待感も高まっていたというところにある。 ところが憲法裁判所が宣告期日を大法院の判決以前に決められたことで、憲法裁判所の政治的判決の可能性に対する憂慮があふれ、 大法院の最終判断を排除した政党解散が決定された。 決定文を調べれば、憲法裁判所は検察がRO会合と主張した会合での実行されない発言だけで、民主的基本秩序に反するものである重要な証拠だと認定した。

決定文にはRO会合に関して 「統合進歩党の主導勢力は、李石基(イ・ソッキ)が主導した国家基幹施設の破壊、武器製造および奪取、通信撹乱など、戦争勃発時の後方撹乱手段などを議論した内乱関連の会合に参加した」、 「主導勢力は内乱関連の会合に関して、政府の操作だという主張を繰り返し、呉秉潤(オ・ビョンユン)は院内代表の資格で国会で演説し、『ROは国家情報院と検察の小説でしかない』と主張した。 また、被請求人は内乱関連会合の参席者のうち30人以上を国会議員、地方議員候補に公認した」と指摘した。

憲法裁判所のキム・ジョンウォン専任部長研究官は 「統合進歩党の主導勢力らの活動と目的が民主的基本秩序に反するかどうかが判断の主な考慮要素だ。 RO関連の部分がこの事件を触発したのは事実だが、それを唯一の根拠として解散決定に達したわけではない」と述べた。 RO関連の部分が解散根拠の一部分になっているということだ。 それでもRO会合での発言の内乱扇動を最終的に判断する大法院判決は排除したことになる。

キム・ジョンウォン研究官は 「ROという犯罪団体が実際に存在するかどうかは、民主的基本秩序とは違う領域だと見てほしい」とし 「内乱陰謀は無罪になったが、内乱陰謀の刑事的な評価と政党解散審判の民主的基本秩序背反の評価は別個の問題だ。 ROに実体があるという刑事判決の中での事実のうち、憲法裁判所が認めた事実は李石基に関する内乱関連活動で、内乱関連の活動が民主的基本秩序背反の事実を認めたと見てほしい」と付け加えた。

ROで始まった内乱陰謀-統合進歩党解散審判の過程で、ROの実体は認めないながら、 RO会合は統合進歩党の公式活動だと認定し、 ここに中央委員会での暴力事態、比例代表不正競選などを混ぜ合わせ、 総合的に民主的基本秩序に反すると見たわけだ。

キム・ジョンウォン研究官は 「大法院が内乱扇動も無罪だとすれば、憲法裁判所の判決が社会的混乱をあおる形になるのではないか」という質問には再度 「決定文を全体的に見れば、内乱事件での事実関係だけで認めたのではない」とし 「判決の核心は北朝鮮式の社会主義を追求したかどうかが核心であり、 北朝鮮式の社会主義の追求が認められると、次の段階はれば民主的基本秩序に反するかどうかになるが、それについては意見が分れた」と答えた。

▲政党解散宣告直前大審判廷に入場した憲法裁判官[写真/キム・ヨンウク記者]

抵抗権の行使、全国民抗争による暴力革命と誇大に解釈

憲法裁判所の論理は、統合進歩党が大法院事件とは別個に北朝鮮式社会主義を追求したのかを中心に調べ、統合進歩党の主導勢力はそうだったということだ。 これが民主的基本秩序に反するという論法だ。 問題はこうした結論は相当な論理的な飛躍に起因することだ。

まず、憲法裁判所が提示した北朝鮮式社会主義追求の主な根拠は、進歩的民主主義の綱領と、証人になった民主革命党偽装活動家と言われる金栄煥(キム・ヨンファン)証言、 いわゆるRO会合の録音を検察に提供したパク某氏の証言と、踏み絵を使った核心指導部の指向分類、 そして各個人が主張する発表文と実体が曖昧な文書が証拠だった。 ここに大衆闘争の全国民抗争への発展による暴力革命論についての理論的分析が加味された。

憲法裁判所は「被請求人の主導勢力は自由民主の体制から社会主義に安定的に移行するための過渡政府として、進歩的民主主義体制を設定した」とし 「大衆闘争が全国民抗争に発展し、抵抗権的な状況が展開する場合、暴力を行使して自由民主主義体制を転覆し、 憲法制定による新しい進歩的民主主義体制を構築して執権するという立場を持っている。 彼らのこのような立場は、李石基などの内乱関連事件で現実に確認された」と民主的基本秩序背反のさまざまな連結の輪を繋いだ。

憲法裁判所はこうした結論を導くために、統合進歩党の綱領に 東学農民革命、3.1運動、4.19革命、87年民主抗争、労働者闘争、釜馬抗争、キャンドル闘争を継承するという内容が存在するだけとしつつ、 抵抗権と全国民抗争との関係を説明するために2009年6月の1次政策党大会で承認された執権戦略委員会の報告書や党員のさまざまな主張を含む文書の内容を連係させた。

憲法裁判所は「統合進歩党の執権戦略報告書では『抵抗権は現存する政府を否定し、新しい政府を樹立することを目的としているので、その本質上革命的だ。 実際に抵抗権と革命権は明確に区分できない』とし、 『革命的抵抗権は、民衆が既存の法秩序全体を合法的な暴力と認識し、新しい法秩序を用意する爆発的な過程だ』と説明している」と提示した。

続いて「全民衆的な抗議と闘争を意味する全国民抗争と抵抗権の関係について、 『全国民抗争は市民不服従運動を基本とする抗議から始まるが、 国家権力の正当性や弾圧、これによる犠牲の様相により、不当な権力を打倒して新しい権力を創出する抵抗権、革命権に発展する』と主張する」とし 「『進歩的民主主義は古い政治勢力との非妥協的大衆闘争なしでは確立されない。 自主権闘争戦線を主軸とし、民生と民主主義を実現するための大衆闘争を同時に展開し、 6月抗争のような全国的な抗争を呼び起こさなければならない』とし、 大衆闘争は全国民抗争を経て、抵抗権、革命権へと発展し、進歩的民主主義は大衆闘争と全国民抗争がなければ確立されないと見る」と解釈した。

だが、こうした主張は憲法が認める抵抗権的な状況で、抵抗権の行使により既存の違憲的な政権を退陣させ、 その後に民主的な方法によって執権するという趣旨に解釈することも可能だが、全く異なる解釈をして結論付けた。 憲法裁判所は抵抗権による執権と選挙による執権とを共に主張し続けたという理由をあげて 「民主的基本秩序に対する全般的な侵害ないし破壊に至らない場合でも、抵抗権の行使を念頭に置いていたと見られる」と暴力革命論の根拠に提示した。

このような形の進歩的民主主義体制と大衆闘争による執権戦略が、北朝鮮社会主義への追従と暴力行使による実現にあるという憲法裁判所の論法は、 過度に暴力革命論のために図式化したという印象が強い。 統合進歩党の綱領に提示された過去の民主主義抗争や革命などは、全国民抗争的な性格によるさらに進展した民主政府建設の可能性を示す事例だからだ。

唯一、解散反対意見を出したキム・イス裁判官も 「進歩的民主主義の具体的な内容は、進歩政治勢力が数十年にわたり主張し形成されてきたさまざまな論理と政策を選択的に受け入れ、組み合わせたもので、 広義の社会主義の理念だと評価されるが、民主的基本秩序に反する内容を含むものではない」とし 「被請求人が北朝鮮式社会主義を追求するための前提条件として進歩的民主主義を導入したと見る証拠もない」と指摘した。

▲11月25日最終弁論期日[写真/キム・ヨンウク記者]

金栄煥の原罪、民主革命党から派生した主導勢力概念

憲法裁判所のもうひとつの論理的飛躍は、統合進歩党に党費を払う3万人の党員全てを違憲行為者と規定することができないところから借用した主導勢力の概念だ。 こうした主導勢力の概念は、統合進歩党の主要政派である指導部が20数年前に活動していた民主革命党出身の可能性と、一部の党員に利敵性があるということから出発する。

検察は、主導勢力の概念を導くために、2012年以後、統合進歩党の地域的な親疎関係から形成された京畿東部、釜山蔚山慶南、光州全南連合が、 指導部、代議員、中央委員会のほとんどを掌握した状態だという各種の党内選挙結果の分析を提出した。 さらにこれらの政派の代表級が旧民主革命党の出身者だという連結の輪を作るために、 金栄煥の確認できない証言を加味し、主体思想に追従する勢力が党を掌握したという三段論法につなげた。

しかしところで金栄煥の証言では信憑性を立証することが難しかったという指摘が証言の当時も多く、 キム・イス裁判官もこの問題を指摘した。

金栄煥が憲法裁判所での証言で行った話を総合すれば、 金栄煥が民主革命党事件の河泳沃(ハ・ヨンオク)氏の裁判ですべてが民主革命党員ではないと言っていた人々は、約20年後に全員が民主革命党員になっていたり、民主革命党傘下のRO組織員になっていた。 彼らは証拠のない金栄煥の一言で、スパイに従う組織員とされ、金栄煥が受けた北朝鮮からの指令により、組織的に民主労働党に加入したスパイの下部組織員にされた。

その上、金栄煥は自分がすでに転向した状態だったのに、主体思想派を転向させるために民主革命党を維持し続け、 北朝鮮からの工作金と指令を受けたと述べた。 彼は北朝鮮の放送を聞き、乱数表として使ったという小説で指令を解読した。 彼が主張するとおりなら、彼は北朝鮮が送った金を受け取り、その金で北朝鮮の指令によって組織員に選挙に行けと促し、北朝鮮の工作金も使った。 すでに金日成に会った後、金日成に失望して転向を固めたのに、北朝鮮スパイ行為を続けたわけだ。

彼が金日成に会って来たことも知らず、独裁政権に反対して民主化を望む青年をスパイ活動に巻き込む形になった。 そして彼は、自分が金日成と会って北の指令を受けたという事実を情報機関に明らかにし、 一部の組織員に対する法廷証人になるなどの行為の代価として事実上処罰を免がれ、 今は北朝鮮人権闘争の伝導師に変わっている。 彼が北朝鮮スパイ行為をしていたかもしれない当時の無名の活動家は、20年後のある日の朝、北朝鮮が送った金を受け取り、北朝鮮指令のとおりに進歩政党運動に参加していたことにされた。 金栄煥は憲法裁判所での証言で「証拠があるか」という弁護人側尋問に 「彼らは知っていただろう」としか言わなかった。 「金が渡されず配達事故があった可能性はないか」という質問には 「金の伝達者の道徳性を信じる」と言い抜けた。 「民主革命党は地下組織なので、そのくせで証拠を残さない」とも付け加えた。

金栄煥はこうした事実を過去の民主革命党裁判で明らかにしなかったのは、彼らを保護するための偽証だと述べた。 少なくとも過去の民主革命党裁判か、憲法裁判所での証言か、二つに一つで偽証をしたわけだ。 北朝鮮の工作金まで受け取って活動した実際のスパイが、自分がすでに捨てた思想に抱き込まれたと主張する人物の名前をあげて善処を受け、 偽装活動家の論議がおきたのに、彼の証言の信憑性をすべて認め、裁判所の権威を自ら押し倒した形になった。

その上、金栄煥李石基議員など統合進歩党の主導勢力のほとんどに直接会ったことがないと述べ、 統合進歩党の主導勢力が民主革命党の路線と同じと見られる証拠は金栄煥の推論による主張が全てだった。

これについてキム・イス裁判官は 「被請求人構成員のうち民主革命党の組織員や下部組織員、または関係者だったと認められる人は、 直接有罪を受けるか判決で組織員と言及されたわずか数人に過ぎない」とし 「京畿東部連合が過去の民主革命党または民主革命党組織員などによって思うままに意志決定される状態にあったという点でも、 各連合が何かの理念を共有したり統一的に団結して活動しているという点も立証されたとは見られない」とした。

▲[写真/キム・ヨンウク記者]

北朝鮮式社会主義の追求に適当に混ぜ込まれた非民主的政治行為の差別化

論理的な誤りはこれにとどまらない。 民主的基本秩序背反の主な根拠の一つとして提示された比例競選不正事件や、中央委員会暴力事態、李正姫(イ・ジョンヒ)代表の野党圏連帯選挙での世論操作問題につながる。 全国民抗争に統合進歩党比例競選不正などを連結させ、党全体が民主的基本秩序に反したと見たのだ。 既存の保守政党とは明らかに差別的な判断をしたという批判を避けるために 「北朝鮮式社会主義+全国民抗争路線+比例競選不正=主導勢力の民主的基本秩序背反」という論法を展開したと見られる。

本来、比例代表を競選で選ぶ政党は進歩政党だけだった。 基本的に保守政党は1人ボス体制に基づく党権掌握勢力の密室会議で比例代表を選出する。 比例代表選出に競選制度を導入したシステムこそ、1人ボス体制を打破するための民主的運営システムだった。 ただ統合進歩党はその運営の過程で不正選挙が発生するシステム的な誤りを残したことに対し、国民的な責任を全うするために真相調査を行い、比例代表全員辞任の決定を下したのだ。 これは、相対的に進歩政党が保守政党より小さな不正も容認しないという政治的厳格さを適用した結果だ。

より厳しい民主的運営システムの問題を民主的基本秩序背反の証拠に使ったわけだ。 実際、保守政党には全く作動しない国会議員選出システムを考慮せず、現象だけをみた結果だ。 また、世論調査操作の議論もやはり与野政界すべてに蔓延している方式であるという点で、統合進歩党に対する逆差別的な判断基準と見ることができる。 中央委員会での暴力事態も過去に角材で衝突をしてきた保守政党では、もっと深刻な暴力としてあらわれた政治態度の問題なのであり、違憲的要素ではなかった。

憲法裁判所は政党解散審判の理由として 「民主的基本秩序背反とは、民主的基本秩序に対する単なる違反や抵触を意味するのではなく、 政党の目的や活動が民主的基本秩序に実質的な害悪をおよぼす具体的な危険性を招く場合をいう」としたが、 保守政党と統合進歩党に異なる定規を突きつけたわけだ。

キム・イス裁判官はこれについて 「これまで韓国社会が散発的な選挙不正行為や政党関係者の犯罪に対し、行為者への刑事処罰と当該政党の政治的責任の問題として解決してきた点を考慮すれば、 上のような活動が民主的基本秩序に実質的な害悪をおよぼす具体的な危険があると見るには不足する」と指摘した。

この日の宣告の結果について、統合進歩党訴訟代理人団のイ・ジェファ弁護士は 「憲法裁判官らが果たして証拠裁判をしたのかはなはだ疑わしい」とし 「17万ページにのぼる記録を全く見ず、1か月も経たないうちに解散宣告期日を決めたこと自体が、 当選2年目でコーナーに追いつめられた大統領へのプレゼントのようで、 政治的に独立した判断をしたとはとうてい信じられない」と述べた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-12-22 14:29:48 / Last modified on 2014-12-24 19:13:36 Copyright: Default

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