労働部の根拠なき賃金体系改編、「給与体系が人件費負担を加重?」
なぜ成果主義賃金制度導入...「労働者の競争を助長、内部統制を強化する試み」
ユン・ジヨン記者 2014.03.30 16:13
3月19日に雇用労働部が発表した「賃金体系改編マニュアル」の成果主義賃金制度は、企業の経営成果や人件費減少と直接の関連がないという主張が提起されている。
これまで給与体系は人件費負担を加重させる「絶対悪」だと考えてきた政府と財界が、何の実証的な根拠もなく無条件に成果主義賃金制度を導入したという説明だ。
雇用労働部は3月19日に「賃金体系改編マニュアル」を発表して
△基本給中心の賃金構成項目の単純化
△年俸(給与体系)の代わりに職務給、職能給などを導入
△成果と連動した賞与金または成果給の割合拡大などの方針を明らかにした。
勤続によって賃金が上昇する年功賃金により、労働者間の賃金格差が他の国より顕著に高く、年令による号俸の上昇を緩和させるということだ。
また労働部は年俸が高齢化の傾向に合わず、むしろ中壮年の雇用不安を招いていると賃金体系を改編する理由を説明した。
[出処:金属労働者]
韓国が他の国より「年功性」が、強いと?
超短期勤続の傾向により「年功性」』享受できず...年齢別生計費も受け取れず
だが専門家の意見は違う。
韓国のような平均勤続年数が短い国では、労働者は年功賃金の効果を享受できないと指摘する。
韓国労働社会研究所のキム・ユソン専任研究委員は3月28日、「賃金体系改編議論、批判的検討と代案摸索」のイシュー・ペーパーを発表し、韓国の年功賃金はほとんどの労働者には享受できない「見えない障壁」のようなものだと指摘した。
実際に昨年8月現在の勤続年数別の労働者構成を見ると、労働者1824万人のうち勤続年数1年未満は597万人(32.7%)だ。
2年未満は844万人(46.2%)で、5年未満は何と1196万人(65.6%)に達する。
キム・ユソン専任研究員は
「韓国は平均勤続年数が一番短く、勤続年数1年未満の短期勤続者の割合は一番高く、勤続年数10年以上の長期勤続者の割合は一番低い」とし
「韓国のような超短期勤続国では、年功賃金は見えない障壁(glass ceiling)といえる。
ほとんどの労働者はとても勤続年数が短く、年功賃金の効果を享受できないからだ」と説明した。
超短期勤続の傾向のため、年功賃金の効果を享受できない労働者たちは、年齢別生計費も充足できない。
昨年8月現在の月平均賃金は、男性は40代後半で323万ウォンを頂点として年を取るほど低下する。
女性は30代初めから月199万ウォンを頂点として年を取るほど賃金が低下する傾向だ。
年功賃金問題の代表的な事例としてしばしばあげられる製造業生産職の場合も、年功性は強くないことが明らかになった。
むしろ成果主義の賃金構成が賃金の半分を占める歪んだ賃金構成体系が目立った。
キム・ユソン研究委員は
「しばしば賃金体系の問題を論じる時にH社の年俸が論じられるが、公務員と較べると年功性は強くない。
勤続1年未満よりも勤続35年は1.6倍程度高い賃金を受ける」とし
「むしろ問題は、長時間労働といい加減な成果配分制で、賃金構成が大きく歪んでいる点だ。
超過勤務手当(21%)と成果賞与金(22%)が年間賃金総額の半分ほどを占めている」と説明した。
続いて「H社の問題は、賃金体系ではない賃金構成に始まっており、過度な超過勤労を減らしていい加減な成果主義を克服することに解決策を見出さなければならない」と強調した。
成果主義賃金制度、経営成果にも効果なし
「労働者の競争を助長、内部統制を強化する試み」
政府が導入しようとしている職務給、職能給などの成果主義賃金制度は、
企業の経営成果に肯定的な効果を及ぼすという根拠も弱いという。
キム・ユソン研究委員は
「年功賃金(号俸級)は、人件費の負担が大きいので高齢化社会では持続可能ではなく、職能給や職務給に転換すべきだという主張に接することになる」とし
「しかし2005年〜2011年の賃金水準と昇級額推移を見ると、賃金体系とは無関係に職級別賃金水準と昇級額は同じ水準になる」と説明した。
実際にキム・ユソン研究委員が労働研究院の事業体パネル調査(2005年〜2011年)を実証分析した結果、
号俸級から職能給に賃金体系が改編されると高卒初任給、大卒初任給をはじめ、
課長1年目の年俸、部長1年目の年俸の賃金水準は変わらないことが明らかになった。
新入社員で新入〜課長まで、あるいは課長〜部長までの年平均昇級額も変わらなかった。
号俸級から職務給に改編された場合も、高卒初任給が1.7%減少するだけで、あとは変化がなかった。
ただし号俸給から無体系に転換する時だけ、課長および部長の1年目の年俸が各々3.3%、2.9%程度低くなった。
雇用構造を見ても、号俸級から職能給に改編されると非正規職の割合だけが1.2%程度上昇した。
離職率や50歳以上の割合、30歳未満の割合の変化は現れなかった。
1人当りの営業利益、人件費、売上額、付加価値などの経営成果に与える影響も発見されなかった。
キム・ユソン研究委員は
「外国為替危機以後、政府が力を入れてきた成果主義賃金制度
(年俸制、成果配分制度、賃金ピーク制)
が企業の経営成果に与えた影響を固定効果モデルでパネル回帰分析した結果からも、
成果主義賃金制度は経営成果に有意味な肯定的影響がなかった」と説明した。
続いて「このように成果主義賃金制度が企業の経営成果に与える肯定的効果が発見されないのに、政府と財界、学界の一部ではこの10数年間、成果主義賃金制度拡散に力を入れてきた」とし
「その理由は2種類の仮設が考えられる。
一つは制度的同型化の仮設に従い、流行と共に走ってきたこと」と指摘した。
また「もう一つは分割統治の仮設に従い、労働者間に競争を助長し、内部統制を強化するためだ。
だが二つとも企業にとって役に立たない」と指摘した。
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
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Created on 2014-03-31 01:58:43 / Last modified on 2014-03-31 01:58:43 Copyright:
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