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韓国:106年目の女性デー、女性労働者は時間選択制雇用で疲労
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「時間制のお母さんはいない、時間制雇用もなくせ」

3・8女性デー106周年、女性労働者は「時間選択制雇用」で疲労

ユン・ジヨン記者 2014.03.06 00:29

慶北道漆谷にある初等ケア教室の専担教師のイ・ソンミ(仮名)氏は いつも無期契約職転換の敷居を越えられず挫折を経験する。

ケア専担教師の仕事を始めて24か月になった日、イ氏は無期契約職への転換を要求した。 だが校長は「失業給付を受けたので無期契約職に転換できない」とし、これを拒否した。 ケア専担教師の特性上、3月から12月までが契約期間なので、収入がない1〜2月に失業給付を受けたことが無期契約職転換不可の理由だった。

校長は以前のように15時間未満の「超短時間契約」でも働くか、あるいは解雇されるのかを選択しろといった。 また彼女に「ケア教室を職場と考えてはいけない。 無料奉仕と考えなければならない。 (職場という)考えで仕事をするのではない」と面と向かって非難した。

今年はケア専担教師らが3日間、慶北教育庁で占拠座り込みを行い、教育庁から無期契約職転換の約束を受け取った。 だが教育庁は一線の学校に「口頭」で伝えただけで、学校長は教育庁の文書がないので無期契約職転換はできないと釘を打ち込んだ。 教育庁に文書を送れと何度も要求したが全く無消息だった。 5日、学校に出勤したイ・ソンミ氏は「文書がないから帰れ」という校長の言葉を聞いて、結局引き返さなければならなかった。

「時間制のお母さんはいない、時間制雇用もなくせ」

3・8国際女性デーが制定されてから106年経った現在。 韓国女性労働者の人生は政府の「時間選択制雇用」の拡大政策でさらに劣悪になっている。 「仕事と家庭の両立」という趣旨が面目を失うほど、 時間選択制女性労働者たちは低賃金と正規職との差別、 育児と家事の負担で相変らず踏み付けられている。

「106周年3.8女性労働者大会共同企画団」は3月5日午後2時、国会の議員会館で 「時間制雇用の問題点と現実」の討論会と証言大会を開いた。 この席に参加したイ・ソンミ氏は 「教育庁は昨年まで存在していた一日ケア事業を廃止して、 常時持続的な業務を担当する初等ケア教室専担教師の超短時間契約を2倍にした」とし 「時間を分けたり、曜日を分けたりする超短時間契約と無期契約回避が続いており、 無期契約人員を完全に凍結したりもした」と説明した。

続いて「小学校に通う双子を隣に預けて働く労働者として、お母さんとして生き延びるのはとても苦しい」とし 「時間制のお母さんがないように、時間制雇用もなくさなければならない」と涙を流した。

学校や文化・教育センターなどで授業をする芸術講師も事情は似ている。 彼らも授業時間あたりの報酬を受ける。 芸術講師のイ・ミニョン氏は 「授業時間約一時間だけに報酬が支払われるが、われわれは授業の前に授業計画をたてて資料を収集し、授業の後には授業日誌を作り、統合運営システムに報告しなければならない」とし 「特に芸術講師は3月2日〜12月31日までが最大契約期間なので、1月、2月は契約期間ではないが、この期間に学校側と授業計画を作らなければならない」と説明した。

芸術講師は健康保険の職場加入の恩恵も享受できない。 その上、雇用保険料を納付しているのに失業給付も受け取れない。 11月の前後に、すでに次年度の契約が予定されていて、求職が完了したという理由だ。 芸術講師にとって1月、2月は「端境期」でしかない。

イ・ミニョン氏は「先日の慶州リゾート崩壊事故で死亡したイベント業者の人も、実は演劇分野の芸術講師だった。 この時期に講師はアルバイトをするしかなく、こうした被害に遭った」とし 「また、文体部や振興院、広域センター、地域運営団体、学校なは、互いに雇い主の責任を回避している」と指摘した。

ホームプラス労働者の30分単位勤労契約の問題は十分有名だ。 労組団体協約で30分単位の契約制廃止を勝ち取ったが、会社は今も6時間〜8時間までの契約上の差別を維持したいという立場だ。 ホームプラス労組ソウル本部のキム・ジンスク本部長は 「ツージョブをしたくてもスケジュールが毎日ゴムのように異なり、個人的な約束も難しい」とし 「特に同僚の中に存在する差別的な契約時間は月10万ウォンほどの月給の差につながり、これによる対立と乖離が14年間、ずっと続いてきた」と吐露した。

また政府は雇用率70%を達成するために時間選択制の公務員を拡大する方針で、これは全日制の勤務者と時間制の勤務者、正規職と非正規職、女性と男性の二極化現象をさらに広げるという批判が提起されている。

実際に全日制と時間選択制の公務員の給与水準を予測すると、時間制公務員の月報酬は78万ウォンで、全日制の156万ウォンの半分水準だ。 在職30年になった時も全日制は442万ウォン、時間制は221万ウォンの賃金格差が現れる。 公務員労組のユン・ソンムン政策室長は 「一回、時間選択制公務員になれば退職するまで永遠に時間選択制公務員」と説明した。

時間制雇用、女性が73.1%...低賃金と育児負担の二重苦を味わう女性たち

2013年3月現在、時間制労働者は賃金労働者の9.9%で、約175万人に達する。 時間制労働者の規模は着実に増加し、2001年の87万人から2013年には175万人と、2倍ほど増加した。 時間制雇用の90.6%、約159万の雇用は臨時職、日雇いなどの非常用型雇用だ。

時間制雇用労働者の女性の割合は73.1%になる。 時間制労働者4人に3人が女性というわけだ。 韓国非正規労働センターのナム・ウグン政策委員は 「女性時間制労働者の36.8%にあたる46万7千人が最低賃金未満と推定され、全体的には時間制労働者3人に1人が最低賃金も受けられない状況」とし 「また、時間制雇用の勤続年数は非常に短く、全体の66.3%が1年未満の勤続期間」だと説明した。

時間制労働者の主な就職理由は 「生活費など直ちに収入が必要」という応答が35.4%で一番高い。 女性は「育児と家事を併行するため」という応答もかなりになる。 だが時間制雇用を選択しても、根本的な保育サービスがなく、女性労働者たちは時間制雇用の低賃金と育児の二重苦を体験している。

公共運輸労組連盟のシム・ソニェ保育協議会議長は 「保育園は幼児保育法で12時間保育を原則とするが、両親は実際に12時間運営する保育園を探すのは難しい。 彼らは一般的に9時の登院と5時の下院を要求される」とし 「保育教師としては、時間外勤務手当てが支払われず、その後の業務処理のためにでも子供たちをはやく下院させることを望んでいて、教師と保護者間が対立することになる」と説明した。

朴槿恵(パク・クネ)大統領は、時間制雇用拡大と共に時間制保育も拡充すると明らかにしたが、これにより、女性の「仕事と家庭の両立」を定着させるのは容易ではない。 シム・ソニェ議長は「私の場合も4時間の時間制労働者だが、通勤時間と後片付けの時間を入れれば事実上、7〜8時間程度働いている」とし 「少なくとも12時間の保育サービスが提供されなければ女性は息を継げない。 時間制保育で女性が苦しむ人生は想像さえしたくない」と声を高めた。

一方、専門家は時間制雇用問題解決のために、まず最低賃金の現実化が先だと要求している。 時間制労働のほとんどが最低賃金の境界に置かれているためだ。

時間制雇用が中小零細事業場に集まっており、所定勤労時間が短く、解雇、休業手当て、残業、夜間・休日勤労適用から排除され、各種の社会保険恩恵から疎外されているのも問題だ。 特に「労働時間比例待遇」の原則で、時間制労働者に対する食事費、交通費、各種の手当て、社内福祉などで差別があるケースも多数存在する。

ナム・ウグン政策委員は「比例保護の原則は勤労対価性の賃金に限り、各種の厚生福祉的な次元で支払われる生活保障性の賃金は全て適用しなければならない」とし 「また、外国の時間制保護法制が共通に規定するように、労働者が全日制と時間制の転換申請ができるようにして、使用者は特別な事情がない限りこの要求を受け入れなければならない」と強調した。

また彼は「全日制労働に対する勤労時間規制を強化すれば、時間制労働の労働市場内での価値が上がり、時間制雇用の労働条件改善につなげられる」と助言した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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