韓国:2年目になる社会的ストライキ連帯基金 | |
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「ストライキすれば人生が終わるのに、スト基金もない韓国」[インタビュー] 2年目になる社会的ストライキ連帯基金、クォン・ヨンスク代表 「ストライキの社会的意味調べる時」...20日から『民主主義と労働』学校開催
キム・ヨンウク記者 2013.08.16 00:06
「社会的連帯でストライキ基金を造成しよう」資本には気違いじみた言葉のように聞こえるだろうが、労働者には希望のような言葉だ。しかし、「社会的」という言葉が前について「社会的ストライキ連帯基金」というのはどういうことだろうか。単語一つ一つ、念入りに十分読み解けば、社会的にストライキを作ろうという意味のようだ。ストライキは本来、社会的にならざるをえないのに、あえて社会的という単語を強調したのは韓国の社会ではそれだけストライキが社会的ではないものと認識されているためだろう。 「社会的ストライキ連帯基金(社会スト基金)」は、希望バスから始まってから、 もう2年続いている。絶望の末にしがみついた労働者たちの不安な闘争を訪問し、 励まして、金を集めることを越え、この単純な連帯にどんな意味があるのかを 瞬間ごとに確認する。一言で、お金の連帯が単にお金を払うこと以上の意味が あると強調する。 社会的ストライキ連帯基金のクォン・ヨンスク代表は、「労働者のストライキ 基金を社会的連帯で集めていくキャンペーン運動で、『社会的』という単語は 実は二重の重要な意味がある」と説明した。多くの人がストライキ基金という 単語を中心としてこの基金を理解しているが、一番重要な単語は社会的だという。 「労働者のストライキは社会的ストライキにならなければならず、ストライキ の社会的な意味を理解すれば、人々は社会的連帯を通じ、ストライキに連帯し たいと思うようになります」 韓進重工業、現代車非正規職の希望バスや、双竜車闘争に対する市民の連帯、 社会的ストライキへの社会的連帯にならなければならないということだ。スト の社会的な意味を理解すれば、ストライキや闘う当事者ではない人たちが連帯 する理由と意味が見つかるということだ。ストライキの社会的な意味を拡張す るのは、大漢門で戦う双竜車労働者の要求である「原職復帰、整理解雇撤廃」 において「原職復帰には現実性があるとしても、この戦いで本当に整理解雇の 撤廃が可能だろうか」という不確かな悩みへの答を得る糸口となる。 クォン・ヨンスク代表は「ひとつの事業場の問題が全ての労働者問題の一部だ ということ。ひとつの事業場の戦いに社会的な意味があることを理解する必要 がある」とし「その理解の中に社会的連帯が構築される。それで社会的という 意味は、社会的ストライキと社会的な連帯という二重の意味がある」と説明した。 「ストライキ基金の造成は、いつでも私にはストライキができるという認識の前提」ところでなぜ社会的連帯にお金(基金)が重要なのだろうか。クォン代表はスト ライキ基金の重要性を強調する。わが国のようにストライキをすれば、労働者 自身と家族が損賠仮差押えと生計費などで人生を決断しなければならなくなり、 時には死を選ばなければならない社会では、日常的なストライキ基金が切実だ が、まだストライキ基金への認識は強くないからだ。韓国では労働組合は闘争 基金は集めるがストライキ基金は集めない。 「ストライキ基金を日常的に造成することは、私がいつでもストライキができ るという認識がなければ不可能です。あらかじめストライキ基金を造成しない ということは、労働者自身が自分のスト権への認識が低い水準であることを 示すのです」 クォン・ヨンスク代表は、韓国社会でも労働組合が主体的にストライキ基金を 造成すべき時だと強調した。その方式も組合費からではなく、組合費のような 金額を別に造成し、ストライキができるようにしなければならないと言う。特 に、ストライキが長期化するのが韓国的な特性なので、労組がやらないのなら 社会的連帯でストライキ基金を準備しなければならないということだ。 「ストライキという単語が入った名前で生き残った」社会スト基金を準備するにあたり、ストライキという単語が入ることへの 拒否感を表す人も多かった。ストライキというと、みんなアカになる韓国社会で、 誰がストライキに金を出すかということだ。希望基金や連帯基金などの提案が 出されたが、クォン・ヨンスク代表はストライキと社会的という2つの単語を 曲げなかった。 クォン代表は「労働者のスト権を肯定する連帯という意味で基金を造成しよう ということであり、それが社会的連帯を拡張することになると考えた」として 「ストライキという単語が入った名前を維持して生き残り、さらに実効性ある 基金に進化した。そしてそれ自体が一つの媒介になり、社会的連帯を動かして 発展させる成果を出した」と評価した。 その意味で、社会スト基金と希望バスは切り離せない関係だ。希望バスは社会 スト基金誕生の契機であった。 彼が見るに、希望バスは労働者の社会的孤立の中で訪れてくる絶望の死を希望 に変えるため、韓国社会で始まった反作用だった。80年代の労学連帯のような 運動組織的な試みとも違う新しい連帯だった。クォン・ヨンスク代表は「社会 的原子、未組織の労働大衆が、労働に対する問題意識で労働問題に接近して、 自ら参加すると言って出てきたのが希望バス」とし「希望バスは、韓国社会で 一番意味がある労働の社会的連帯運動の出発点」だという。 韓進重工業のキム・ジュイク、チェ・ガンソの死は、どちらも労働者が社会的 孤立の中で自ら萎縮し、その中で自分の生存だけを企てようとする動きが続き、 労組活動や労働運動が小さくなったことによる死だった。 彼はこうした社会的な孤立は、社会的連帯でしか断ち切れないが、希望バスは 一回的かつ事件的な性格が強いという限界があったと言う。希望バスはキム・ ジンスク民主労総指導委員がクレーンに上がり、309日間続け、人の命が危険に さらされているという人権意識が追求させた。そのため希望バスから始まった 労働の社会的連帯を、いかにして持続的な問題意識に拡張し、長期的な展望が 追求できるのかを考えなければならなかった。さらに重要なことは、そうした 労働の連帯意識を示す媒介をどう確保して社会的連帯を制度化する枠組みに するのかであった。 「私が考えたことは、労働に対する社会的連帯を長期的展望と連結させて進め るのかがとても必要で、希望バス搭乗客の問題意識をさらに深める必要がある ということでした。人権的水準の接近や、かわいそうな人をひとり助けようと いう問題意識では、事実、ストライキに肯定して労働の市民権を肯定する問題 意識に進むには不足していると思いました。そんなことの触媒となる場が必要 だと考えました。」 それで、2次希望バス乗ってソウルにくるバスとして社会的ストライキ連帯基金 を構想し、2011年7月17日に初めてFaceBookに文を載せた。すぐ熱烈な反応がきた。 「文章による問題提起でした。反響がなくても一度考えてくれということだっ たんです。ストライキ基金がない韓国社会で、労働者は金の圧迫の中で苦しみ、 ストライキをすれば命も捨て、家族の生計と人生を亡ぼすと思われる状況で、 ここまでくれば韓国のスト権は有名無実です」 7月17日に提案して22日に口座を作り、すぐ金が入ってきた。準備の会を作って 関心を持つ人を招請した。そして、その年の9月上旬、韓進重工業に最初の基金 を渡して、才能、双竜車など、これまで18回、基金を労働者争議と生計基金と して支援した。また希望の歩み防寒服の支援や、去年の冬に全国の100以上の闘争 事業場への防寒具支援、解雇者の日イベントなど多様な事業を進めた。 社会スト基金の第1の支援原則は、金が集まれば貯めておかずにすぐ支援するこ とだ。そして金の圧迫に一番苦しんでいる闘争事業場への優先的な支援を原則 とする。またできるだけ注目されない所を中心に支援する。ある人は、あえて 基金ではなく労働者が戦うたびに金を集めれば良いではないかとも言うが、彼 は個別化され、原子化された連帯には問題があると見た。 「さらに大きな問題は、本人が決心した時にしか支援しないことです。実際、 ストの現場は維持され続け、戦いは続いているのに、そんな不安定な後援体系 には問題があると思うんです。社会スト基金は連帯を体系化して組織的にしな ければならないという意味があります。そして、なぜあらかじめ基金を積むの かという質問も多いのですが、私はそれがまさに他の後援運動と社会スト基金 の違いだと思います。私たちは金を貯めずに金が集まり次第、支援する体制で すが、あらかじめ準備された基金という意味で、労働者の最低の社会的安全網 だと見ます」 金を通じた連帯にも急進性が必要社会スト基金は2年になったが、クォン・ヨンスク代表は相変らず連帯を語る。 一度の連帯に期待していては、何かをすることはできないためだ。高揚された 連帯が必要で、そのためには連帯について、もっと急進的に考えなければなら ないという。金を通じた連帯にも、そんな急進性が必要だ。 「私が持っているものを少し与えると考えてはいけません。自分のものを分け て与えなければならず、私の代わりに戦う人々に連帯すると考えなければなり ません。彼らは解雇されたが、労働者である自分の問題のために戦っていて、 ひとつの事業場の労働者闘争の社会的意味を考えることは、社会的連帯を考え ることです。それは、自分が持っている金を分けるのではなく、労働する私が 労働の代価として得た金を分けるのだと考えなければなりません。だから 労働者たちはそうした金による連帯を重要だと感じるようになります。」 しかし、金を通じた連帯というが、社会スト基金は基金の規模などで相変らず 限界を感じている。社会スト基金の今年の目標は名実が一致するような実効性 ある基金になることだ。労働者のストライキだけでなく、損賠仮差押えや生計 基金にもあてられるほどに成長し、労働者が金のために死なないようにするこ とだ。その為に昨年2月から1万人1万ウォン口座運動を進め、月1億ウォンずつ 基金を作ることを目標にしている。それにより、一つの実効性ある基金として 安定して労働者の最低の社会的安全網として機能すると見ている。 2回の民主主義と労働学校、「人文学氾濫、歴史と社会科学をつなぐ必要」社会スト基金は単に金を集め、支援する基金だけではない。金は集まり次第送 るだけで、この過程でさらに重要なことは労働の問題意識の共有と労働問題を 社会的な議題にして、労働者連帯をさらに深め、広く拡張していくことだ。こ うした討論の場として社会ストフォーラムという労働フォーラムを作り、毎月 最終火曜に開いている。社会ストフォーラムは労組破壊問題、非正規職の人生、 労働政治など、その時々の重要な労働懸案や労働問題を中心に討論してきた。 また昨年に続いて今年も2回の民主主義と労働学校を進める予定だ。今年の民主 主義と労働学校は「87年の民主化以後の韓国労働運動の形成から転換まで」を 主題に、87年以後の韓国労働運動史についての企画講座だ。しかし単に歴史的 な事実の羅列でなく、現在の歴史という過程で87年以後の労働の歴史を再構成 する計画だ。 今回の労働学校は、民主化以後の民主主義社会で労働運動は何を要求し、韓国 の政治的民主主義の下で労働の希望を探せるのかへの答を探す時間になる予定だ。 クォン・ヨンスク代表は「もう人文学は充分に氾濫している」とし「歴史と 社会科学をつなぐことが必要な時代」と今回の講座を紹介した。 人文学をしようと叫ぶのではなく、ただ人間になって、人間的ならよろこび、 人間に共感すれば良いのに、それは哲学と古文を読んで教養をつければできる ことではないということだ。今は社会科学が不足している。彼は世の中がどう 変わるのかをもっと問い、知り、穴を見つけて、自明なことを自明ではないも のにし、虚偽の意識を越えて、真理の意志というものがあるのなら、思う存分 発揮するために、第2回民主主義と労働学校を強力に推薦する。 今年の民主主義と労働学校は、韓国の労働の歴史を縦断的に調べる。通史から 抜き取って労働だけを孤立的に見るのではなく、労働を全体的な地形と民主主 義政治史から鳥瞰する。彼は「ウォーラーステインが語る『歴史的社会科学』 で労働問題を考える今回の講座は、それなりに独特で興味深いアングル」と説明した。 講座は4回で、8月20日から毎週火曜の午後7時に韓国女性労働者の会の教室で 開かれる。講座問い合わせはsapafund@gmail.com、申し込みは http://goo.gl/AINfxですることができる。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2013-08-18 06:50:04 / Last modified on 2013-08-18 06:50:05 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |