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公共部門労働者がジュネーブに行く理由

[寄稿]数十回のILO勧告にも韓国は相変らず労働後進国

イ・スンチョル(民主労総政策局長) 2013.06.03 18:25

民主労総は、6月5日に開かれる国際労働機構(ILO)総会に11人の代表団を派遣する。これは、民主労総創立以後、最大規模の総会対応だ。彼らは総会のる期間中、ずっと集会と宣伝戦、総会会議対応、各国労働組合代表者面談、国際労働団体代表者面談など、幅広い闘争-連帯事業を展開する。民主労総代表団は公務員労組(キム・ジュンナム委員長など3人)と全教組(キム・ジョンフン委員長など2人)、公共輸送労組連盟(ユン・ユシク副委員長など3人)、民主労総(キム・ギョンジャ副委員長など3人)で構成されている。民主労総が今回のILO総会に異例の規模の代表団を派遣し、例年と違う強力な実践を配置した理由は何だろうか。

代表団の構成でもわかるように、今回のILO対応は「公共部門労働基本権」議題 を中心に展開される。ILO基準適用委員会の一般討論の主題がまさに「公共部門 の労働基本権」だからだ。ILO傘下常設委員会の一つである基準適用委員会は、 各国の国際労働基準履行に関する監視監督機能を担当するILOの中枢的な委員会だ。

韓国の公共部門の労働者が処している最悪の労働基本権状況は、すでに国際的 な憂慮を一身に集めている。李明博(イ・ミョンバク)政権5年を経て後退に後退 を繰り返した労働基本権が、朴槿恵(パク・クネ)政権になっても良くなる兆しを 見せずにいるためだ。公務員労組は、労組設立畢証交付が4年も許可されずにいる。 「解職公務員」など労組加入の対象ではない組合員が含まれているためだというが、 根本的には「民主的で自主的な公務員労働組合」の設立を妨害するためだ。 「全教組は政府の一言で『法外労組』になる状況だ。やはり『解職教師』の組合員 資格を認めているという理由だ。『組合員の範囲』は労組が自主的に決める問題 なのに、政府の立場は変わらない。公共部門労働者の団体協約は政府の『指針』 の前では紙切れになり、労働条件決定の過程から徹底して疎外されている。 スト権は『必須維持業務制度』の下で徹底して封鎖されている。こうした弾圧の 中で、2013年1月現在、公共部門解雇者は648人になった。

韓国で今年のILO総会が注目される理由がここにある。最悪の労働基本権剥奪の 前に置かれた公共部門労働者の闘争が、6月1日の大規模決意大会を始め本格化 しており、6月3日からは民主労総公共部門共同闘争本部の時局座り込みが国会 前で行なわれている。さらに6月には臨時国会の開院で、△公務員労組法、△教員 労組法、△労組法改正案、△ILO核心協約批准要求決議案が扱われる。公共部門 労働基本権の問題が国内外で争点になる期間で、関連闘争も火を吐く時期だ。

[出処:チャムセサン資料写真]

民主労総代表団のILO総会対応も、こうした脈絡と基調の中で進められる。この ために民主労総代表団は、△労働基本権保障デモ行進および集会、△朴槿恵 大統領に送る各国労働組合代表者抗議書簡組織、△韓国公共部門労働者闘争に 対する国際連帯方案摸索懇談会、△総会長宣伝戦などジュネーブ現地でも闘争を 続ける。

特に、6月12日の「社会正義-労働基本権保障要求自転車デモ行進(Route of Shame)」は、各国の労働組合代表者200人が参加する大規模大衆闘争になる展望 だ。国際公共労連主催で進められる自転車デモ行進は、公共部門労働者弾圧が 行われている13か国がジュネーブ代表部を巡回する方式で進められる。これらの 国の中で労組弾圧が深刻な韓国を含む5か国の代表部(韓国、ロシア、グアテマラ、 バングラデシュ、ギリシャ)の前では、略式集会も開催される。

また6月10日には「韓国公共部門労働基本権の闘争現況および国際連帯方案」の 懇談会が招集される。懇談会には今回の総会に参加した各国の労働者代表が 大規模に集まり、韓国での民主労総公共部門共同闘争本部の闘争現況を共有し、 連帯方案を討論-実践する。

また6月13日には韓国のガス-鉄道-大学-水私有化の動きに歩調を合わせ「財政 統制と反腐敗戦略: 民営化 vs 公共サービス強化フォーラム」が開催される。 この他にも、△ガイ・ライダーILO事務総長面談、△各国労組代表者面談、 △ITUC(国際労総)および国際産別労連懇談会などがきめこまかく配置される。

ILOは、国際水準の労使政協議会と言える。つまり各国の労使政が集まり、総会 を構成しており、すべての討論には労使政代表が全員参加する。こうしたILOで 定めた国際労働基準や協約、勧告は過度なものではなく、すでに大部分の国で ILOの協約と勧告により労働政策を展開している。韓国政府は1991年ILOに加入 したが、主要協約の批准は20年過ぎても知らんふりを続けている。ILOが定めた 総189本の協約のうち、2012年現在、韓国政府が批准したILO協約はやっと28本 で、協約批准率は12.7%に留まっている。これはILO加入185か国中120位に終わ る数字だ。

韓国の労働基本権水準はILOによる勧告に対する政府の反応と後続措置からも 確認できる。韓国政府は1993年のILO加入以後、今まで29回にわたりILOの勧告を 受けたが、一度も実効性ある制度改善などの対策を取らなかった。労働後進国、 労働弾圧国という国際社会の非難と皮肉が韓国政府に集中するのもこのためだ。

憲法が認める労働三権を享受するために戦ってきた時間もすでに十数年だ。 「憲法が認める権利」を享受しようというのが無理な要求であるはずがない。 あれほど「グローバルスタンダード」が好きな政府が、なぜ労働基本権だけは 例外にするのか、分かるようで分からない。政府はILO主要協約を今すぐ批准し て、関連国内法を早期に改正しなければならない。公共部門労働者の労働基本権 を全面的に保障し、不当に解雇された労働者を皆復職させなければならない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-06-05 01:26:49 / Last modified on 2013-06-05 01:26:50 Copyright: Default

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