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韓国:階級的基盤があらわれた2次大統領選挙討論
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朴槿恵、財閥減税・規制緩和・治安強化 vs 文在寅、財閥順機能 vs 李正姫、財閥解体

階級的基盤があらわれた2次大統領選挙討論...李・文が朴槿恵の財閥保護政策を猛攻

キム・ヨンウク記者 2012.12.11 10:43

12月10日に行われた朴槿恵(パク・クネ)・文在寅(ムン・ジェイン)・李正姫(イ・ ジョンヒ)大統領候補の2次TV討論は、三人の候補の階級的基盤と政治的ポジション を明確に示す討論会であった。

朴槿恵セヌリ党候補は、財閥中心経済成長というセヌリ党のアイデンティティ を守りながらも、専門性を通した親庶民イメージを強調するために、具体的な 数値などを提示して、経済問題の準備ができた女性大統領であることを強調し た。朴槿恵候補は特に経済民主化の公約と矛盾的な減税・規制緩和・治安強化 の公約を強く擁護し、事実上、財閥と大企業の憂慮を払拭させる信号を軟らかい ジェスチャーを混ぜて送った。

民主統合党の文在寅候補は、朴槿恵・李正姫候補がすべて対立する中で、中道 自由主義勢力としての現実的な実現の可能性を表わすことに集中し、財閥に対 する過度な攻撃は自制した。文在寅候補はまた、労働の最大の懸案である各地 域の鉄塔高空籠城などの問題がからむ整理解雇、非正規職問題に対しても、朴 槿恵候補と特別な争点を立てずに中道的路線の強調と過激な印象をみせないよう 努力した。

このような点で、地下経済活性化や税金問題で弱点を見せた朴槿恵候補は、は るかに安定して落ち着いて自分の政策を示した文候補に負けたと言うのは難し かった。

特に文在寅候補が農民の雇用問題である秋穀買い上げ価格問題や国公立保育園 の拡大問題で李正姫候補を攻撃した点は、主題を逸脱した曖昧な反撃で、過度 に現実性を主張して進歩的指向の有権者に失望感を抱かせた。

李正姫統合進歩党候補は討論の最初からサムスンの李健煕(イ・ゴニ)、現代の 鄭夢九(チョン・モング)会長を直接狙って、サムスン半導体白血病問題と現代 自動車不法派遣問題に言及し、財閥の問題を具体的に示した。李正姫候補は、 朴槿恵候補の税金納付問題を高所得層の増税と連係させるなど、財閥と権力の 政経癒着問題を強調した。

また、文在寅候補の雇用労使民政大妥協の問題を指摘し、農民問題も雇用と労 働問題という議題拡張により、文在寅候補の弱点を表わした。李候補は文在寅 候補や朴槿恵候補が語らない労働議題をはっきりと述べ、存在感を明確にした。

李正姫、財閥解体水準の強力な規制強調
文在寅、財閥順機能と世界的競争力を強調

この日、三人の候補は経済民主化をめぐりそれぞれの政治的基盤を正確に表わ して激しく衝突した。

李正姫候補は財閥解体水準の強力な規制を提示した。李正姫候補は「セヌリ党 は経済民主化を語るが、財閥からトラックで政治資金を受け取り、財閥に銀行 を差し出すかっぱらい法案を通過させた。セヌリ党が財閥改革にふさわしいの か」とし「統合進歩党は必ず財閥を解体する。財閥解体はオックスフォード辞典 にも載っている」と明らかにした。

李正姫候補は「朴正煕大統領との政経癒着でサッカリン密輸をしていた財閥が サムスンだ。政経癒着と腐敗の後には財閥が1%の持株で100%の権限を行使し、 帝王として君臨する」とし「こうした秩序をそのままにして、改革と進歩は不 可能だ。財閥に渡った権力を国民が取り戻し、庶民の持分をきちんと分配する ためには財閥を解体しなければならない。経済民主化は適当にしてはいけない」 と指摘した。

文在寅候補は、市場経済の持続可能な成長を強調した。文在寅候補は「財閥を 改革して市場経済の公正な経済秩序を確立し、市場経済の長所を生かすことが 経済民主化」とし「少数財閥だけでなく、国家経済共同体すべてが共に成長で きるようにして、国家経済の基礎を作り成長を持続可能にすることが経済民主化」 と説明した。

文在寅候補は李正姫候補の財閥解体の公約について「財閥改革が経済民主化の 核心だと思うが、財閥が持つ順機能と世界的な競争力まで損なってはいけない」 とし「財閥改革の目標は、財閥が国民から愛されるようにする方向に進まなけ ればならない」と線を引いた。

これに対して李正姫候補は「サムスンの李健煕会長が息子の李在鎔氏をサムス ン副会長に任命した。数百億ウォンの損失を出した人なのに継承される。(財閥)の 相続をどう解決するかが重要だ。順機能を残すには、このようなことがあっては ならない」と指摘した。

李正姫候補は続いて「前の討論で文候補は、参与政府にはサムスン奨学生がい なかったといったが、サムスンXファイルでは中央日報のホン・ソッキョン会長 は李健煕会長の義理の兄弟だ。駐米大使になった後、Xファイル事件で辞任した が、これだけでサムスンとの関係がわかったのではないのか」と文在寅候補の 弱点に食い込んだ。

文在寅候補は「財閥や大企業自体が問題なのではなく、総師の誤った態度と非 民主的な意志決定構造が問題だと考える。韓国社会の政経癒着構造、政治権力 と財閥、そして検察間の特権カルテルをよく指摘した」とし「その中心にいつ もセヌリ党があった。参与政府の時にきちんと財閥改革ができなかったという 指摘も受け入れる。今は経済民主化が台頭しており、きちんとやれる」と答えた。

[出処:民主統合党]

朴槿恵、「過度な財閥失脚は投資を萎縮させる」
李明博政権の減税・規制緩和・治安強化政策を固守する意志

朴槿恵候補は公正で透明な市場を強調したが、李明博政権の規制緩和政策である 減税・規制緩和・治安強化政策継承を強調し、経済民主化公約の弱点を表わした。

朴槿恵候補は「経済民主化は韓国の市場を公正かつ透明にして、誰でも努力す れば、それだけの補償と代価を受け取り、自らの夢と目標を実現できるという 確信を持たせる環境を作ろうということ」とし「経済民主化で、大企業改革は 重要な部分で、大企業の間違いは徹底的に正す」と明らかにした。

朴候補は「大株主が過度に私有したり、不公正取り引きを続けたり、路地商圏 まで掌握することをこれ以上させないようにする」とし、「大企業の法律違反 行為に免罪符を与えないようにする。私の経済民主化は実践の可能性が高く、 国民に実質的な助けを差し上げられる政策」と強調した。

朴候補の経済民主化について文在寅候補は「朴槿恵候補は減税・規制緩和・治 安強化を今でも主張している」とし、「減税・規制緩和・治安強化は金持ちと 財閥大企業の税金を減らし、財閥の規制をさらに緩和するものだ。李明博セヌ リ党政府が5年間してきたのが金持ち減税だ。減税・規制緩和・治安強化では、 経済民主化ができないことは、キム・ジョンイン前首席も何度も指摘した」と 朴槿恵候補を攻撃した。

朴槿恵候補は「減税・規制緩和・治安強化と経済民主化が同じだと思う理由は、 まず減税は税率を下げ、現政権になって『金持ち』とよく言われるが、中産層 庶民に(減税が)相当部分実現された。規制の緩和、法秩序の確立は相変らず有 効だ」とし「(企業への)規制を解き、経済を活性化することは国家の蔵を満た すことだ。経済民主化でも変わらない」と反論した。

また「法秩序を公正にすることは基本」とし「わが国が成長して先進国に近付 いたと言うが、成長の成果がまんべんなく広がらないのが大きな問題だと考える。 この解消のために経済民主化を強く推進する」と強調した。

減税・規制緩和・治安強化の公約は、税金の規模を下げ、不必要な企業への 規制を解き、法秩序を確立することで、財閥規制緩和政策と言える。李明博 政権では金持ち減税と労働法に含まれた財閥の規制緩和による労組破壊政策、 法秩序確立による竜山撤去民殺人鎮圧の形で減税・規制緩和・治安強化政策が あらわれた。

朴槿恵候補はこの日の討論で、減税・規制緩和・治安強化経済民主化が李明博 政権の成長によるトリクルダウン効果を補完するためだと明確にしたのだ。

朴槿恵候補の主張をめぐり李正姫候補は「言葉はちゃんと言うべきだ。不必要 な規制を解いて国家の蔵を満たしたのではなく、財閥規制を解いて財閥の蔵を 満たした」とし「これまでセヌリ党が要求し続けてきたのが財閥規制の解除だ。 だから解かなかったのか。出資総額制限制度(出総制)をなくして大騷ぎになっ た。路地商圏をすべて壊した」と批判した。

李正姫候補は「経済民主化をいう前に、まず減税・規制緩和・治安強化の痛烈 な反省をしなければならない」とし「なぜ財閥改革を言うのか訊ねたい。あら ゆる違法、不法、相続した李在鎔氏に李健煕のサムスンを譲るのが正当なのか。 経営権世襲、富の世襲どうするのか」と問い直した。

朴槿恵候補は「出総制が経済民主化のすべてであるかのように話すのは過度だ」 とし「グローバル経済危機が近づき、経済もかなり難しいが、これまでの循環 出資は合法的と認められた」とし「それを突然輪を切れというのは数兆の金を 投入しなければならない。合法といっておいて突然違うと言うなら、経済への 悪影響を考えなければならず、法的な安全性も問題だ。その金を投資して雇用 に使えるようになれば、国民の助けになる」と反論した。

朴槿恵候補は続いて「過度な財閥失脚政策は投資萎縮につながり潜在成長率の 低下、雇用減少につながる」とし「経済民主化も重要だが、財閥の解体が経済 民主化であるかのように言ってはいけない。中堅企業から大企業へ、世界競争力 持つ企業になれるようにする経済民主化にしなければならない」と主張した。

李正姫候補は「下請け企業が中堅企業へと大きくなれるのに、大企業が富の集 中で吸収し、買収合併まで行くケースが多い」とし「循環出資を可能にして、 財閥総師の子供たちがそれで一回まわした金をまた回す。経済民主化で中小企 業が共生するには、財閥への強力な規制が必要で、財閥の富の集中をなくすこ とが財閥解体だ。既存循環出資も明日すぐなくせというのではない。突然切れ と言うのは間違った反論」と指摘した。

李正姫、朴槿恵に「言葉ではいくらでも非正規職差別解消」 「財閥保護法のセヌリ党1号法案は社内下請け法撤回から」 朴槿恵、「社内下請けをなくすのは非現実的」

三人の候補は雇用創出と非正規職雇用安定対策でもぶつかった。

朴槿恵候補は非正規職差別是正制度補完を強調した。朴槿恵候補は「今までは わけもなく差別を話せば不利益を受けるかと思って話せなかったが、勤労者の 代表や労組が差別を是正してくれと言えるようにする」とし「会社が差別を繰 り返せば、損害額の10倍を金銭で補償するようにする。公共部門から正規職に 転換する」という懲罰的金銭補償制度導入を提示した。

反面、李正姫候補は「言葉ではできないことはない。李明博政権も非正規職の 差別をなくすといった」とし「差別是正制度の労組代表申請制度を言うが、 非正規職の労組加入率は1.9%だ。はっきり理解して政策をたてなければ ならない」と朴候補公約の虚構性を指摘した。

李候補は続いて「双竜車、韓進重工業、ユソン企業、マンド、SJM、韓国3Mのよ うに、用役チンピラで労働者を暴行する事例が李明博政権だった。朴槿恵候補 も全く同じだ」とし「社内下請け法を1号法案に出したが、国家人権委でもこれ は不法派遣を作るものといった。現代車保護法であり、財閥保護法」と攻撃した。

李正姫候補は「朴槿恵候補が非正規職問題をいうので期待したいが、信じられ ない。本当に心からするのなら、立証する方法がある」とし「まず公共部門から 正規職に変えると言うが、一番代表的な公共部門が学校非正規職労働者だ。 国会に係留中の彼らの給与体系予算900億を通過させると確約すればいい。 現代車保護法案の社内下請け法撤回を約束すれば良い。双竜車国政調査も 大統領選挙前にすると約束すれば良い」と要求した。

朴槿恵候補は「サービス業のようなところは社内下請けのようなものが適当 という面がある。そのため社内下請けをなくすのは現実的ではない」と社内 下請け法を固守する意志を明確にした。

朴候補はまた「非正規職問題はまず公共部門から行い、民間に影響を与えるよ うにしなければならない」とし「大企業雇用公示を義務化すれば、派遣勤労者 の問題について自然に責任を感じるようになる。差別を解消すればあえて常時 的な仕事に非正規職を使う必要はない。それが確実な非正規職解消法」と強調 し、企業のための労働政策の意志もはっきり表わした。

文在寅、「社会的大妥協、国民政府の整理解雇大妥協とは違う」
朴槿恵と似た論理展開、不明瞭な現実性を強調

文在寅候補は雇用と雇用解決のために社会的大妥協方案を強調し、李正姫候補 に「労働時間を短縮して雇用を増やしたり、非正規職正規職転換、最低賃金の 問題すべてで社会的大妥協を進めなければ多くの対立が生じる」とし、「雇用 問題解決のための社会的大妥協方案をどう考えるか」と尋ねた。

李正姫候補は「労働者の言葉に耳を傾けて聞いて『あなたも譲歩しろ』と言わ ないことが解決法」とし「大妥協を口にして、労働者も譲歩しなければならな いという。労働者の雇用不安定はいつもある。そのままの現実を受け入れて、 国民が共感できるように、政府が力を与えて参与政府の時のように整理解雇、 損害賠償仮差押さえをされないようにするのが社会的に対話で解決する最も重 要な方案」と明らかにした。

文在寅候補は「社会的大妥協が『労働者に苦痛を転嫁する』という認識を見せ た。少し遺憾だ」とし「多分、国民政府の時に労使政委員会が整理解雇を導入 した傷のためだろうが、そんな趣旨ではない。労働者の賃金減少なく雇用を増 やすには、社会的大妥協が必要だという趣旨だ。そういう趣旨で考え直してみ ることはできないだろうかと申し上げたい」と反論した。

文候補はまた「李候補が国公立保育園を50%まで拡大すると言うが、現実的に可 能か」とし「国公立保育園を増やせという趣旨と方向には共感するが私は現実 的に考えて、国公立保育園の利用児童数を今の二倍に増やす。李候補のように するといえば、1年に国公立保育園を4000増やさなければならない」と現実性の 問題を強調した。

李正姫候補は「4大河川事業には現実性があっただろうか。意志が重要だ」とし 「何よりもその方向を民営や民間で国公立に転換する意志が重要だ」と反論した。

すると文在寅候補は民間保育園の経営悪化問題で食い下がった。文候補は、 「子供の数が減っている状況で、民間保育園は難しい状況だが、そうすると 民間保育園もさらに難しくなりかねない。とても急激な推進はそうなる」 と反論した。

文候補の国公立保育園に関する現実性の論理は、朴槿恵候補が健康保険保障性 強化論争で現実性を強調し、ひとまず4大重症疾患から保障性を段階的に強化し ようという論理と似ていた。民主統合党が進歩的議題を先行獲得するために左 クリックするイメージを作ったが、安哲秀前候補との中道大統合を念頭に置き、 あいまいな基準と定規の断面を表わしたのだ。

文在寅候補のこうしたあい昧な中道的路線の強調は、危機管理能力の紹介でも 朴槿恵候補と違いがなかった。文在寅候補は「進歩と保守の枠組みを越える大 統合を実現する」とし、「大統合国民内閣で市民の政府を作り、韓国の歴史で 一度も経験したことがない共生と和合の政治をする」と統合のリーダーシップ を強調した。

朴槿恵候補も自分の危機管理能力について「国民の心を一つにしなければ国家 の発展も危機克服も難しいと考え、国民大統合委員会を作り、信頼と統合の 政治で100%大韓民国作ることに最善を尽くす」と統合のリーダーシップを強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-12-13 14:45:05 / Last modified on 2012-12-13 14:45:06 Copyright: Default

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