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韓国:米国、アジア太平洋地域軍事戦略再調整...済州海軍基地は?
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米国、アジア太平洋地域軍事戦略再調整...済州海軍基地はどのように?

韓米日中北、西海での衝突の威嚇が深化...済州海軍基地、米軍活用の可能性高まる

ホン・ソンマン記者 2012.06.06 00:40

米国がアジア太平洋地域に集中する新軍事戦略の再調整の方針を明言し、西海 での軍事的危機が高まりそうだ。特に駐留方式の均衡を再調整する方針と言わ れ、建設中の済州海軍基地が米軍が常時駐留する基地ではなく米軍が活用可能 な戦略拠点基地になるものと見られ、米中間の対立要素に浮上する可能性もある。

米国のパネッタ国防長官は6月2日、シンガポールで開かれた第11回アジア安保 会議(シャングリラ対話)で『アジア太平洋地域への米国の再調整(rebalance)』 をテーマに演説し、アジア太平洋地域での米国の役割と新軍事戦略の『再調整』 の推進について重点的に話した。

特に注目されるのは、海軍力の60%をアジア太平洋地域に配置する方針を表明し たことだ。米国は、今年1月に発表した新軍事戦略で、戦略の中心をアジアに 『移動(shift)』とすると明らかにした。だが『移動』という表現はとても多義 的だったため、国内外で問題になったため、これを『再調整』に変えた。米国 がアジア太平洋地域から離れるのではなく、イラク、アフガン二つの戦争以後、 重点を再調整するに過ぎないということを強調する目的だ。

[出処:米国防総省ホームページ]

米国はどんな『再調整』を望むのか

米国の新軍事戦略上の再調整は、大きく地域、軍事力、駐留方式について、 これまでとは違う方式で行われることを意味する。

第一に、ヨーロッパとアジアの戦略均衡。つまり米国戦略の中心はすでにヨー ロッパではなくアジアになっているということだ。パネッタ長官は「今後5年〜 10年、米国はアジア太平洋地域で軍事的な位置づけを強化し続け、さらに大き な割合で部隊を配置する」と話した。パネッタ長官は5月29日、海軍士官学校の 卒業式の演説でも「次世代米海軍の核心プロジェクトは、アジア太平洋地域で 米軍の力量を維持して強化すること」と訓示した。

第二に、軍事戦略の均衡。つまり海軍と空軍をさらに重視するということだ。 太平洋と大西洋で50:50という現在の海軍力の配置構成を変更し、60%の軍艦を 太平洋に配置する。巡洋艦、駆逐艦、潜水艦、沿海地域戦闘艦(LCS)のほとんど を太平洋に配置して、空母も6隻に増やす。パネッタ長官は数的な向上だけでなく、 さらに先進的な潜水艦、軍艦、新型電子戦装備および通信システムを太平洋に 配置するなどの質的な向上も企てている。

第三に、配置(駐留)方式の均衡。つまり冷戦時のように大規模な永久基地を新 しく建設することにより、アジア太平洋地域の軍事的な位置づけを強化するの ではなく、同盟やパートナー国家と協力して、一時的な任務と合同軍事演習と 行動への参加を通じ、パートナー国家の港湾、空港、附帯施設の利用を確保す る。こうした方法は、さらに経済的で費用を抑制することができ、パートナー 国家の政治的な反対も比較的に小さい。

パネッタ国防長官は、アジア安保会議が終わった直後にベトナム戦争の時、米 海軍の核心基地だったカムラン港を訪問した。パネッタ長官は米海軍補給艦に 乗ってベトナムとの軍事協力の強化を力説し、「ベトナムと同じように協力で き、この港を利用できることは大変重要だ」と強調した。

このように、米国は永久駐留基地より同盟国の港湾と附帯施設の利用を確保す る戦略へと旋回している状況だ。

米国の新軍事戦略の再調整と済州海軍基地の軍事戦略的な意味

親中指向の台湾国民党の馬英九総統が再選に成功し、両岸問題は安定しつつあ る。反面、東シナ海で日本との尖閣諸島紛争、南シナ海でフィリピンとのスカ ボロ礁島紛争が頻繁に起きている。南砂群島でも中国とベトナムの領土紛争の 兆しが広がり、最近は離於島付近でも対立が広がる兆しもある。

これに関連して、米国の対中国封鎖戦略の一環だという分析が支配的だ。米国 は、最近伝統的な友邦である日本をはじめ、フィリピン、ベトナムなど、中国 との領土紛争を抱える国家との軍事的同盟の強化に傾いている。紛争で米国は 常に中国ではなく他の国々の立場を擁護してきた。

今年1月、ワシントンポスト(WP)は、米国とフィリピン当局の間でフィリピン内 米軍の活動強化についての交渉が急進展していると伝えた。WPによれば、ワシ ントンのある外交消息筋は「米国は最高友邦の韓国、日本がある太平洋の北の 他に、太平洋の南でも中国を牽制する方案を模索してきた」と伝えた。

フィリピンは、兵力が周期的に循環するという前提のもとに、さらに多くの米 地上軍や海軍艦艇が自国内に留まることを許容できるという立場だと言う。3月 初めには、米国とフィリピンが合同軍事訓練をして、ここに日本自衛隊も参加 し、国際的な論議がおきた。この他に米国はオーストラリア北部のダーウィン に米海兵を配置することにし、シンガポールに米海軍艦艇の配置を協議した。

韓国海軍が建設中の済州海軍基地がこれまで絶えず「済州海軍基地は米軍基地」 という疑いを受けてきたのも、米国の対中国封鎖の必要における済州道の地政 学的な位置のためだ。またこれに対して軍当局は絶えず米軍基地でなく、軍民 観光美港だと主張してきた。

しかし、済州海軍基地が建設されれば米軍の戦略再調整により米軍は常時駐留 (済州海軍基地=米軍基地)せず、必要により米軍が利用する拠点基地になるかも しれない。済州海軍基地にクルーズ船が入港するとしても、この港が海軍基地 のある限り、いつでも米軍の拠点基地として使われる。これが、前述のような 米国の新軍事戦略再調整の一環であり、米国はすでに中国沿岸国家とこうした 方式で基地利用計画を拡大しつつある。

また沖縄米海軍基地の拡充が難航するほど、建設中の済州海軍基地の戦略的な 意味は大きくなるほかはない。西海上で中国との対立が激しくなれば、米国の 介入の可能性はそれだけより大きくなるという点で、済州海軍基地が建設され れば米軍の軍事戦略的な拠点になるのはほぼ確実と思われる。

西海での武力衝突の可能性と軍費支出

米国は、このような再調整がアジアに中心をおくだけで、中国の海軍力の拡張 を念頭に置いているのではないと主張している。

パネッタ長官は「アジア太平洋地域の安定の鍵は、米中両軍が共に安保に責任 を持ち、アジア太平洋および世界平和を促進することだ。中国との防衛協力を 強化して、新しい時代を切り開く」と話した。

しかし中国は、パネッタ長官の話は口先だけだとし「言葉以上に行動を重視す る」と真正性を疑っている。4日付の人民日報(電子版)は「このような『均衡』 で米国がアジアを行動の場所に変え、武力を誇示して軍事的存在の持続的な強 化を特徴とする『再調整』は、これまでの地域の均衡を破ろうとしているのは 明らかだ」と指摘した。

こうした米国の再調整は、アジア太平洋地域の軍事的な危機、特に西海上での 軍事的な激突の可能性を高めている。中国としても米国の軍事力拡張を座視し ないという態度だ。今年8月、中国は初めて独自に製作した空母ワリヤーグ号を 西海に投入する予定だ。また中露合同軍事訓練を敢行し、米国の軍事的膨張を 警戒している。

また、米中の軍事力の拡大は、西海上の利害当事国の連鎖反応を引き起こす。 中国を通して外交的な孤立を解いていくことを望む北朝鮮としては、西海上の 紛争の拡大は中国を当事者に引き込む効果を上げることができ、米国との常時 的な緊張を維持することにも役立つ。日本も北朝鮮の長距離ロケット動向探知 を口実にしてイージス艦を西海に配置し、北朝鮮と中国の双方を牽制する意図 を明らかにしている。

韓国内でも政府と軍当局、保守陣営は、西海上での中国と北朝鮮威嚇論を誇張 して、世界2位の武器輸入国の韓国の軍費支出をさらに加速するものと見られる。

経済的安定と軍事的威嚇という二匹のウサギ

しかし現在の状況で、米国の対中国戦略は二重的な矛盾を現わしている。経済 危機の状況で米国は、アジア太平洋地域の経済的安定を追求しなければならな いが、一方、中国の軍事的威嚇という二匹ウサギを追わなければならない状況 だからだ。

米国務部、財務部、国防部はすべてそれぞれの領域で対中国封鎖を遂行してき た。クリントン国務長官を筆頭に対中国外交的封鎖を進め、財務部を通じ人民 元切上げ要求など為替レート戦争も辞さない経済的封鎖を敢行してきた。そし て、国防部を軸とする軍事的封鎖戦略を中国に駆使している。

しかし資本主義世界経済危機が続く状況では、G2の戦略的協調がさらに切実に 要求され、経済的には戦略的パートナー関係を持つほかはない。これがまさに 軍事的封鎖の必要性であると同時に、米国の軍事戦略の不安定性を引き起こす 要因と見ることができる。

人民日報は、こうした軍事戦略的な『均衡』以外に、米国の別の『再調整』を 考慮する必要があると指摘する。すなわち、軍事費とアジアの経済貿易関係の 強化の間の矛盾だ。緊縮財政に足を引っ張られているヨーロッパやその他の地 域と比べ、アジア経済は最も活力ある成長地域だということだ。米国はアジア 地域ろの輸出を拡大して国内雇用を創出し、アジア経済の成長による利益を共 有できるように対外経済貿易戦略におけるアジアの地位向上を切実に必要とし ている。

アジア地域で冷戦の幽霊を復活させて緊張を作り出すのが米国の『輸出倍増』 計画に否定的であるのは明らかだ。だが実際には、覇権を目標とする軍事中心 の『再調整』が、過去30余年の地域の平和と安定、アジア各国間の相互信頼と 相互利益を侵食し、アジア太平洋地域に『一層の緊張』をもたらすの可能性が 非常に高いということだ。

米国の軍事的膨張が経済的協調という枠組みの中で、どこが限界なのかはまだ 不透明だ。その上、前例なく国防費まで削減するホワイトハウスが、中国との 軍事的な対決をどこまで引っ張っていけるのかも確信できない。

しかし米国の再調整が現実になり、中国が韓国と日本を含む沿岸国家との日常 的(領土)紛争状況に陥ると、彼ら国は米国の代わりに中国と代理戦を行うこと になり、米国は単に裏方役だけになる可能性もある。

特に、米軍の再調整計画は、連鎖的に中国、北朝鮮、日本などの軍事力拡大を 鼓吹し、西海での武力衝突の可能性を強めるものと見られる。これは、単なる 領土紛争ではなく、北朝鮮の核問題など複合的な政治軍事的理由により西海の 危機が拡大する可能性が高い。そればかりか済州海軍基地が建設されると米国 の軍事戦略的な要衝基地として活用され、いつよりも西海上の軍事的危機を 深める契機になるだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-06-06 11:11:33 / Last modified on 2012-06-06 11:11:35 Copyright: Default

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