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大韓民国に表現の自由を許可しろ

[寄稿]国連人権理事会表現の自由特別報告官公式報告の席で

キム・ドクチン(カトリック人権委員会) 2011.06.04 20:52

5月30日から3週間、スイスのジュネーブで開かれる17次国連人権理事会 (Seventeenth Session of Human Rights Council)では、表現の自由に高い関心 が集まっている。今日、6月3日午前9時30分からジュネーブの国連本部の第20号 会議室で開かれた国連人権理事会では、昨年5月韓国を公式訪問したフランク・ ラ・ルエ国連意思表明の自由特別報告官(Mr. Frank La Rue、UN Special Rapporteur on the Promotion and Protection of the Right to Freedom of Opinion and Expression、以下特別報告官)がこの1年間、彼が公式に訪問した 韓国とメキシコ、アルジェリア、ハンガリーなどの表現の自由状況を報告し、 韓国政府をはじめ各国政府代表の発言とNGOの発言が続いた。韓国政府の代表は パク・サンギ駐ジュネーブ大韓民国代表部大使、韓国市民社会の代表は弘益大 学校法学科のチョ・ヒギョン教授が発表した。

今年の初め、すでにマスコミを通じ、特別報告官の報告書草案の内容が伝えら れ、韓国の人権社会団体は報告書最終案全文を翻訳して記者懇談会を開いたこ とで、すでに特別報告官の公式報告書の内容は広く知られている。韓国の人権 社会団体は、今回の国連人権理事会に、民主社会のための弁護士の会のオ・ジェ チャン国際連帯委員長とイ・ジウン弁護士、弘益大学校法科大学のチョ・ヒギョ ン教授、軍不穏書籍違憲訴訟で罷免されたパク・チウン前法務官、全国公務員 労働組合のイ・チュンジェ副委員長とオ・ソンヒ国際部長、民主労総のリュ・ ミギョン国際部長、カトリック人権委員会のキム・ドクチン事務局長(筆者)、 総勢8人の大規模代表団をジュネーブに派遣し、韓国で表現の自由が後退してい る状況を伝え、韓国政府が国連の勧告をきちんと履行するよう要求する活動を 行った。韓国NGO代表団とは別にイ・ギェアン前議員と共にジュネーブに来て 人権理事会を傍聴しているチョン・ジョンベ民主党最高委員は国連人権理事会 をリアルタイムでツイッターに中継した。韓国政府からは法務部人権政策課長 と放送通信審議委員会の実務者などが傍聴した。

特別報告官は今日の午前すべての発言を通じて、どこであれインターネットの 規制は最小化されるべきで、全世界でインターネット関連表現の自由を保障す べきだと強調した。特別報告官は韓国が世界でインターネット産業が最も発達 した国家の一つと言及しつつ、韓国で名誉毀損、選挙前の6か月間の広報物配布、 オンラインサービス提供者の不法資料削除要請拒否、国家保安法上賞賛鼓舞な どの意思表明行為に懲役刑が宣告される法律があるという事実に大きく驚いた と感想を述べ、刑事処罰され得るという事実は自己検閲につながるので、韓国 政府は表現の自由に関する刑事処罰、特に名誉毀損罪の処罰、国家保安法7条 称賛鼓舞条項などは必ず廃止すべきだと勧告した。

▲フランク・ラ・ルエ国連意思表明の自由特別報告官

特別報告官は特に、公務員による名誉毀損訴訟が増えていることに対し、政府 と公務員は名誉毀損訴訟の主体になり得ないという点を強調し、これは、民主 主義の社会では公職者の大衆の監視と批判は、あまりにも当然だからだと言う。 特別報告官は、集会とデモの自由について、韓国の憲法21条が集会およびデモ に関する事前許可制を禁止しているにもかかわらず、事実上事前許可制で運営 され、集会の自由を認め公権力の過度な使用は処罰されるべきだと述べた。

特別報告官は「2008年のキャンドルデモ以後、韓国での表現の自由が萎縮する 傾向に注目しており、政府の批判に対し、寛容の文化で受け入れるよう期待す る」と要請し、韓国政府が軍隊内禁止書籍廃止、教師の表現の自由保障、メディ アの独立と多様性、国家人権委員会の独立性など、彼が報告書で言及した勧告 事項を継続的に履行するよう希望するとも述べた。

弘益大法科大学のチョ・ウンギョン教授による韓国NGO代表団の口頭発言(Oral Statement)は、韓国の表現の自由に深い関心を持って調査に臨んだ特別報告官 の労苦を労り、韓国政府は特別報告官が勧告した公務員の表現の自由、集会の 自由、言論の自由などに努力しなければならず、国家人権委員会の独立性が守 られるべきだと強調した。アムネスティ・インターナショナルも、キャンドル 集会以後、表現の自由が後退し、2008年に46人だった国家保安法違反者の数は 97人と倍以上増えたことを例示し、国家保安法の廃止を勧告した。

特別報告官の発表の後に発言の機会を得た駐ジュネーブ代表部のパク・サンギ 大使は、「韓国は基本的人権として、民主主義の根幹である表現の自由の保護 と増進に対する確固たる意志を持っており、表現の自由の制限を最小にするた めに努力しており、市民的・政治的な権利に関する国際規約19条3項が規定する 国際基準を遵守している」と主張した。また、韓国政府は国民の多様な政治的 試験の表現を保障してきたし、国家の政策決定の過程で大衆の参加を促してき たが、特別報告官の報告書はバランスが取れた評価が欠けた特別な事例だけを 強調し、韓国の表現の自由の水準を誤って認識させており、特別報告官が韓国 政策の肯定的な側面を認識せず特定の出処からの主張だけを偏向的に採択し、 韓国の表現の自由の状況を偏って評価したと、異例の強い遺憾を公開で表明した。

▲韓国政府発表文

パク大使の発言を聞いて、人権活動家のひとりとして本当に無力感を感じずに いられなかった。韓国の人権社会団体による批判と意見には、すでに目と耳を 塞いでいる韓国政府が、今度は国連の指摘と勧告まで徹底して無視していると いう事実に、今は怒りを越え、残念に思う気持ちまで感じる。パク大使の発言 は、明らかに外交通商部の確認を受けたものなのでさらに胸が痛い。誰もがご 存知のように、韓国は国連事務総長を輩出した国で、国連人権理事会が創立さ れたから理事国の地位を維持してきた国家だ。その上、李明博政権は韓国が OECDの一員であり、G20の議長国だという事実を誇る広報を吐き出し、押し付け の誇りを強要しさえした。だが李明博政権の人は、一国家が責任ある国際社会 の一員になるということがどんな意味かさえ知らないことは悲劇だ。

数十年間、国連でやり取りされたすべての言葉をきちんと知っているわけでは ないが、国連の勧告をこれほど正面から拒否し、無視する国家があったという 話は記憶にない。時々、中東やアフリカの独裁者が理性を失ってとんでもない 発言をしたという海外トピックニュースを見た記憶はあるが、自らを民主国家 であり国際社会の『リーダー』だと自負する国家が言うべきではないことを言っ たというのが、ジュネーブで会った人々の共通の意見だった。パク大使の発言 を簡単にまとめれば、「韓国は何も間違っておらず、きちんとやっているのに、 よく知りもしない1人、2人が話を聞いて事実を歪曲するようなひどいことをし ている国連意思表現の自由特別報告官を信頼するな」ぐらいになりそうだ。 国連という外交の舞台で驚くべき発言だ。

李明博政権になってから、韓国の人権はまっ逆さまに墜落したということは、 政府の実務者も認めざるを得ない事実だ。長官が地上波の放送ディレクターと 作家を名誉毀損で告訴し、国家情報院が市民団体の代表を名誉毀損で告訴した。 すでに法院で無罪が宣告され、国内外の非難も激しいが、政府の謝罪どころか ディレクターは左遷され、市民団体にはもう企業は寄付をしない。軽犯罪で5万 ウォンのステッカー一枚発行すればそれまでの『ネズミの絵ポスター』を描い た大学講師は検察公安部に徹底的に調査されて、結局重い罰金刑で刑事処罰を 宣告された。参加したのか記憶も曖昧な集会写真一枚を突きつけて、市民団体 の活動家を法廷に立たせ、さまざまな理由で毎日のように労働組合と市民団体 の事務室を押収捜索する。ホームページに誰かもわからない人が書き込んだ文 をすぐ削除しなければ罰金を課し、ホームページを閉鎖するという『法律に基 づいた』脅迫を聞かされ、世界が認める有名大学教授が書いた本は、光化門の 大型書店で10万部売れても軍人は絶対に読んではいけない。悪いことをした人 が悪いことをしたとインターネットに書けば、名誉毀損で監獄に行き、誤った 政策を間違いだと言えば選挙法違反で数百万ウォンの罰金を課され、被選挙権 を制限される。

こんな事実も事実ではない、誤った情報による偏向した意見だと主張するのだ ろうか。いったいなぜこの政権と官僚は、聞こうともせず、認めようともせず、 恥ずかしいとも思わないか? 特別報告官が公式に発表した22ページの報告書で、 国連人権理事会でたった3分間、後退する韓国表現の自由の状況を知らせ訴える ために、数十人の人権活動家と専門家が2年間、毎日のように明け方まで討論を して会議をして文を書いて資料を集めた。みんなが少しずつ出し合ったお金を 集め、10万キロも遠いジュネーブに飛んできたし、駐ジュネーブ韓国代表部の 職員と会って「お願いだから韓国政府は国連の勧告を聞くふりだけでもするよ うに、真摯かつ深刻に本部に意見を伝えてくれ」と呼び掛けもした。これ以上、 どうすれば私たちの言葉に心を開くのだろうか? 私たちがきちんと活動できて いないのか?

国民の思想と表現の自由は、抑圧しても抑圧できるものではないということを 歴史の中ですでに確認したのではないか? 国民を統制し、押さえ込む政権が、 美しく終わったことが人類の歴史にあるのか。大統領が作った流行語の中に 『私が身にしみて知っているが..』という言葉がある。大統領は商売もしたの で分かり、露天商もしたのでわかり、ソウル市長もしたのでわかり、企業もし たのでよくわかっているが、おそらく人権侵害はされたことがないのだろう。 表現の自由を抑圧されたことはないのだろう。国家人権委員長はしたことがな いので、誰もがしてもいいと思ったようだ。今でも希望を捨てず、大統領とこ の官僚の変化を期待して努力するべきなのか? さもなくば、残る1年半をじっと 我慢して、次に期待しなければならないか? 本当にはがゆくて心配だ。言いた い『言葉』と、やりたい『こと』と、書きたい『文』を書ける世の中はいつ来 るのか? 大韓民国政府に、朝鮮半島南側に、お願いだから表現の自由を認めろ!

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-06-07 01:30:30 / Last modified on 2011-06-07 01:30:30 Copyright: Default

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