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野4党、韓米FTAをめぐる異論が爆発..政治工学的接近の限界

参与政府の時に締結した韓米FTA原案をめぐり鋭く対立

キム・ヨンウク記者 2011.03.07 21:13

「これで野党圏連帯ができるか。まだ批判ばかりしている」

これは民主党政策研究所のある関係者が、3月7日に国会図書館の大会議室で開 かれた『韓米FTAに対する進歩改革陣営の選択』の討論会の後に言った言葉だ。 だが民主労働党のある関係者は、反対に民主党と国民参与党を批判した。彼は 「ノ・ハンネ政策委員長はひどい。全く内容が変わっていない」と評価した。 別の民主労働党の関係者は、「国民参与党や民主党が参与政府だった時の韓米 FTA交渉の間違いを認めれば、こちらも野党圏連帯をもっと力強く進められるの だが」と、はがゆさを表わした。

この日の討論会は、民主党の民主政策研究院、民主労働党の新しい世の中研究所、 進歩新党の想像研究所、国民参与党の参与政策研究院という野党4党の政策研究所 とハンギョレ経済研究所が共同で主催した。これらの野4党の研究所は、公開 討論会の前に2回の非公開懇談会で韓米FTAへの意見の差を確認し、討論会で 韓米FTA反対戦線による野党圏連帯の枠組みを強化しようという趣旨で討論会を 準備した。韓米FTA問題は、李明博政権の再協議が媒介になり、もうひとつの 反MB戦線の出発点になると思われていた。だが、戦線を越えた選挙の野党圏連合 にとって、韓米FTA原案の問題は重要な尺度だった。

討論会の祝辞のために来た民主党の孫鶴圭(ソン・ハッキュ)代表は、「野党圏 連帯が人的な単一化や組織的な側面の連帯統合だけで終れば、歴史的な正当性 を認めることができない」とし、「われわれが追求する新しい社会への理念と ビジョンを共有しなければならない。小さな差は後まわしにして、大同を追求 するという名分があれば、単一化の正当性が認められる」と述べた。孫鶴圭代 表のこうした期待は討論会が進むにつれ、互いの差が小さくないことをはっき り示した。

民主労働党の権永吉(クォン・ヨンギル)院内代表は祝辞で「孫鶴圭代表は4.27 補欠選が野党圏連帯のリトマス紙だといったが、私は韓米FTAがそうだと思う。 内容には合意しても、共に防ぐ姿勢が野党圏の団結と連帯の重要な要素の一つ」 とし「韓米FTA体系では、福祉も失敗し、農業と食糧主権を確保する努力も利益 の論理を越えられないだろう。今日のこの席を、韓米FTAを阻止する野4党の協 調を本格化させる場にしよう。この討論会が来年の総選挙の勝利の基礎になる ことを希望する」と明らかにした。

進歩新党の趙承洙(チョ・スンス)代表は、「現象的には立場の違いは大きくな いようだし、野4党が再協議を中心に反対の声をあげているが、実際のところ、 韓米FTA交渉そのものは4党の間で少しずつ立場が違う」とし「FTA不可避論と、 これを進めると市場原理主義になって二極化し、福祉が自滅するという立場の 違いがある。差を恐れてはならない。本当の野党圏連帯は、価値と政策の合意 によらなければならない」と強調した。しかし討論会は各党の代表が要請した 共感ではなく、異論が爆発した。選挙による野党圏連帯の政治工学的な接近を 強調する民主党と違い、進歩両党は価値中心で接近するという差が表面化した。

2007年の韓米FTAはそれだけ深刻な問題だった。韓米FTAを推進した党があり、 それを防ぐために国会と路上で闘争した党と市民社会団体があったから。その 上、討論者として参加した民主労総のチョン・ヒソン副委員長は、韓米FTA反対 闘争で服役した張本人だ。しかし、この日の討論会では韓米FTAを締結した参与 政府の執権勢力だった民主党と国民参与党は、謝罪や反省ではなく当時の韓米 FTA締結の正当性と当為性を強調した。

討論会中ずっと続いた参与政府が締結した原案の問題点の批判

司会をした民主政策研究院のパク・スンソン院長は、「非公開の懇談会を開い たが、まだしこりが残っている。どうすれば良い社会が作れるかという問題も からむ。経済危機が発生したが、経済危機の性格の規定や、いかに対応するか についての考えも違う。原案を修正した再協議があり、再協議案の評価がそれ ぞれ違う。そのために4党の専門家の議論は困難なものだった」と明らかにした。

しかし今回の公開討論会の核心は単なる感情の問題ではない。参与政府が締結 した韓米FTA原案に含まれる深刻な毒素条項はまだ生きているという進歩両党と 市民社会団体の問題提起が続き、原案はやむを得ない状況だったとはいえ、MB が締結した再交渉案は野党圏連帯で力を合わせて批准を防ぐことが重要だとい う当然の反論が戻ってきた。

この日の討論会で問題提起をした、新しい社会を開く研究院のチョン・テイン 院長は、軟らかい口調で2008年の世界金融危機後、韓国社会に韓米FTAが与えた 影響を説明し、単なる再協議案を越えて韓米FTAを根本的に考え直すことを強調 した。チョン・テイン院長は「福祉国家を指向する政党なら、韓米FTAを根本的 に再検討し、原点から再協議するか廃棄しなければならない」とし「特に福祉 国家を妨害し、経済危機への対応を妨害する毒素条項は、撤廃するか、非常に 具体的な水準で修正しなければならない」と強調した。

チョン院長は続いて「野4党はそれぞれの立場の違いにもかかわらず、外交主権 を失った再協議、交渉利益をほとんどを取ったと政府が主張した自動車分野の 利益喪失、金融危機以後の状況の変化、韓米FTAと福祉国家が相反する可能性を 上げ、少なくとも韓米FTA批准阻止には合意が可能だ」とし「野4党と市民社会 が韓米FTAを全面的に再検討した後、さらに具体的な対応方向が提示できるだろう」 と明らかにした。

開放か鎖国か、また再燃した歪んだ議論

しかし国民参与党のノ・ハンネ政策委員会委員長は、参与政府の時に締結した 韓米FTA交渉について、「韓米間の利益均衡の実現と主権国家として通商により 国民経済の利益に最善を尽くした、原則を守った交渉だったと評価する」と述 べ、討論会には戦雲が漂い始めた。

彼は「大韓民国の通商戦略を検討して、先進通商国家のビジョンを打ち立てる その頂点に韓米FTAがあった。その時点では十分に妥当で、未来に責任のある執 権勢力としては当然のことだった」とし「80年代後半から通商交渉の世界的な 傾向であった二者間協定による世界市場の傾向と、新しい市場を確保するとい う問題意識があった。サービス産業の育成と産業の構造革新と国際標準の受け 入れが必要だという積極的な通商政策が必要だったし、執権勢力として当然の ビジョンの頂点だった」と強調した。

ノ・ハンネ政策委員長は「大韓民国政府の対外市場開放の努力を擁護し、一貫 した通商開放政策を要求する」とし「市場開放は大韓民国経済の機会を拡大し、 新しい可能性に挑戦する国民経済を革新する努力の一環だということを一貫し て擁護する」と再度強調した。

続いて「チョン・テイン院長の金融危機以後に提起された問題や、国民経済の 安定性を点検し、金融システムの安定と規制強化、為替管理権限の拡大など、 国民経済を安定させるために協定の内容を再検討する必要があることには共感 する」が、「原則として通商交渉に反対するのかという質問に、野党圏が市場 開放に批判的なように見られないよう望む」と明らかにした。

こうしたノ委員長の立場は、参与政府の時に韓米FTA議論の核心であった開放か 鎖国かの論争を連想させた。当時、参与政府は、韓米FTAに反対する政党と市民 社会団体を鎖国政策だと非難したことがある。

国民参与党のこうした視点をめぐり、他の討論者の批判は強かった。

韓米FTA阻止汎国民運動本部を代表して出た保健医療団体連合のウ・ソッキュン 政策室長は、「韓米FTAの問題を市場開放に賛成か反対かで理解するのは、なぜ 韓米FTAに反対するのかを知らない誤った理解」とし「通商に反対するというよ うに言うのなら、反対した市民社会団体との対話はしないということ」と憂慮 を表わした。

ウ・ソッキュン室長は「野党全体で福祉国家無償福祉、無償医療などの福祉の 公約があるが、この福祉の部分が野4党の福祉協調の核心」だとし「韓米FTAが 批准されれば無償医療に近い政策や、健康保険の保障性を上げられない。最近 のSSM規制法案も問題になる。こうした状態で福祉国家の可能性がどうして成立 するか。福祉の各部分で大きな問題になる」と明らかにした。

ウ・ソッキュン室長は、民主党にも警告の言葉を投げた。彼は「今日済州出身 の民主党国会議員の3人が総理と面談し、済州島に営利病院を許容する方案を話 した」とし「民主党が福祉国家をするには、民営化や営利化、商業化に対する 真正性ある独自の政策を示さなければならない。医療民営化反対の明確な立場 が必要だが、民主党の態度を憂慮する。民主党が韓米FTA廃棄に行かない限り、 福祉国家への民主党の立場は限りなく疑がわしい」と警告した。

進歩新党のイ・ジェヨン政策委議長も、「ラチェット条項(力尽防止条項)や、 投資家国家提訴条項のような韓米FTAの拘束力は、韓米FTAを完全に廃棄するま で非可逆的条項として残る。一度批准したら、それを破棄して再交渉するのは リスクが高すぎる」とし「韓米FTAは今後どんな政権であれ、次の世代であれ、 国家の政策として福祉政策ができなくという反福祉政策であり、反庶民政策だ。 盧武鉉政権であれ李明博政権であれ、どちらにしても韓米FTAでは、農業や零細 自営業や中小資本は損をするほかはない」と警告した。

チェ・ギュヨプ所長、「MBだけは違うというのは説得力がない」

民主労働党の研究所である新しい世の中研究所のチェ・ギュヨプ所長は「二回 の非公式懇談会で、韓米FTA批准を防ごうというには異論はなく、努力したが重 要な問題でうまく合意ができなかった。米国の金融恐慌以後の状況を真剣に考 え、毒素条項についてもっと検討してみようといったが、民主党や国参党がと ても忙しかったからか、合意点についての進展がないようで非常に遺憾だ。07 年の時の交渉は正しく、MBは違うというのは説得力がない」と直撃弾を飛ばした。

チェ・ギュヨプ所長は「MBの再協議も、過去の韓米FTAの延長であり一部分だ。 07年の時、すでに屈辱的な交渉を行ったし、それが再協議に持ち込む必然性が あった。内的関連を見なければならない。原案と再協議には関係がないかのよ うに話すことには批判的だ。今日の討論会も再交渉を阻止するという点で意見 の差はないが、さらに深く内容を共有し、もっと非公式な討論をして、共感を 高めたい。討論会が互いの違いを確認する場になったのは残念だ」と残念さを 表わした。

ホン・ヨンピョ、「韓米FTAを推進したことで参与政府に新自由主義のレッテルは正しくない」

反面、参与政府で韓米FTA締結支援団長だった民主党のホン・ヨンピョ議員は、 個人の意見を前提として「韓米FTAを推進したから参与政府が新自由主義を信奉 するような政府になったと断定的に言うのは同意しにくい」とし「最初に参与 政府が締結した原案は、最善を尽くして利益の均衡に努力したし、成功した 交渉結果だったと思う」と反論した。

ホン・ヨンピョ議員は「参与政府が韓米FTAを含むFTAを推進した背景の理解が 重要だと思う」とし「韓米FTAは韓国を不可避に規定する分断体制も多くの作用 をしたし、開放型通商国家として4-50年間発展させざるをえなかった過程で、 私たちを規定する環境があると思う」と説明した。

彼は続いて「FTAと福祉国家を相互補完して行くしかない環境を理解する必要が ある。盧武鉉大統領がビジョン2030という戦略的な福祉政策を同時に提示した。 それを立体的に見なければならない。韓米FTAだけで参与政府の全てを規定する のは正しくない」と反論した。

ホン議員はまた「前政権の時、使用理由制限だけで非正規職法案全体を拒否し、 参与政府に非正規職量産というレッテルを貼り、新自由主義のレッテルを貼っ て、市民社会や他の野党と対立関係になった。それについての冷徹な評価が必 要だ」とし「先進通商国家のための不可避な国家的な課題を実行するために、 韓米FTAを推進した。参与政府も韓米FTAが持たらす問題について非常に悩み、 代案を模索して、政策代案を作っていくべきだと考えた」と強調した。

ホン・ヨンピョ議員は「根本的に韓米関係を見れば、現実的に交渉の時に衝突 する部分がある。米国は超強大国だ。現実的に完全に平等な交渉をしようとい うのは、ある意味、理想的」と吐露することもした。

ホン議員は最後に「韓米FTA全てを完全に拒否すべきかという問題には異論もあ るので、補完政策で福祉の強化に力を集めなければならない」と述べた。

ホン議員の立場まで出て、討論者たちは韓米FTA原案の問題をさらに強く批判し、 ノ・ハンネ委員長とホン・ヨンピョ議員もさらに強く反論した。

民主労総のチョン・ヒソン副委員長は、「各党で『以前、政権を取った時に 締結したものには問題がない』というように考えるのはやめよう」と指摘した。

チェ・ギュヨプ所長は「ホン・ヨンピョ議員による米国は超強大国というよう な発言はとても率直でありがたい。ブッシュが朝鮮半島を戦争のルツボに追い 込むなど、盧武鉉前大統領のイラク派兵など、率直な内心は理解が出来る」が、 「韓米FTAにはあらゆる毒素条項がある。代案をめぐって討論すれば、共通点が 見つかるだろう」と明らかにした。

イ・ジェヨン政策委議長は、「FTAと福祉は相互補完的であるべきだというが、 ビジョン2030は07年の国家予算に反映されず、むしろ縮小された。使い捨てだっ たのではないか疑わしい。開放型通商国家と福祉国家モデルは衝突すると見る しかない。韓米FTAを前提に対策をたてるということは、事後の福祉で補完的な 福祉だ。普遍的な福祉ではない」と指摘した。

ウ・ソッキュン政策室長は「水道、ガス、電気、鉄道、水、教育、医療、刑務 所、国防、年金、これらのサービス分野を包括的に開放するのが韓米FTA」とし 「韓米FTAの力尽防止(ラチェット)条項は、一度開放すれば後戻りができない。 政府の公共サービス分野を企業に渡したら、もう政府は取り戻せないというこ とだ。韓米FTAが批准されると、もうこれ以上福祉はないと断言できる」と韓米 FTAの原案を再度批判した。

ノ・ハンネ政策委員長は「ビジョン2030は、FTAとともに20年後までの福祉拡大 についての現実的な、そして具体的な財政も含む福祉政策で、今の福祉に関す る様々な議論は、2030の政策課題水準を越えていないと思う」とイ・ジェヨン 議長に反論した。

基調発表の時に強い批判は控えていたチョン・テイン院長は、「金融危機とい う歴史的な事件を機会に、FTAから抜け出せ」、「もう一度、きちんと金融中心 の経済を調べてみようということだ。金融ハブやサービス中心の経済構成とは、 何を意味しているのかを調べようということだ。参与党や民主党は信じている。 しかし朴槿恵氏が大統領になって、すべて民営化されてしまえば、また政権を 取っても戻せない」と忠告した。

ホン・ヨンピョ議員は最後に「チョン・テイン院長が参与政府の小さな経験か ら参与政府の全てを規定し、自分だけが絶対に正しいというのは私たちが力を 合わせるために決して役立たない。民主改革勢力がこれからどう力を合わせる かを真剣に悩み、批判すればおしまいという論争にならないことを望む」と述 べて終わった。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-03-09 03:30:22 / Last modified on 2011-03-09 03:30:30 Copyright: Default

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