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韓国:[女性労働者、話す] (2)大型スーパー女性労働者
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「『カート』は予告篇...どこへ行っても『申し訳ありません』」

[女性労働者、話す] (2)大型スーパー女性労働者

キム・ギュヒョン記者 2014.11.20 15:05

3年前、大型スーパーでアルバイトを求めているという知らせを聞いて入社したキム・ミスク(仮名、40代)氏。 スーパーで働きながら「申し訳ありません」が口についた。 彼女もこの仕事を3年も続けるとは思わなかった。 顧客には常に申し訳なく思わなければならず、管理職員に「おばさん」と冷遇され、自尊心を台なしにされながら働く職場の同僚を不思議に思った。

ミスク氏は「初めに入って先輩に、こんな扱いを受けてなぜ出て行かないのかと話した。 その時先輩たちが、あんたもそうするようになると言ったが、今そうしている」と苦々しく笑った。

続いて「おばさんたちが辞めても雇用があるか、 ここの人がどこで働けるのかという皮肉も聞いた」と話した。

スーパーにくる前、ミスク氏は10年間サムスン系列の保険会社で働いた。 保険会社の仕事を辞めた後、いい職業を見つけられなかった。 中年女性が見つけられる職場は多くなかった。 ミスク氏の境遇では、スーパーは午前に家事をして、午後に出勤できるので良かった。

彼女は「40代から50代の女性は専門職でなければ、確実に行けるような所はない。 あるいは工場に行ったりしなければならない。 確実に行けるところがない」とし 「年齢のために私たちが弱くなっていることもある。 この年で私たちがどこに行くのかと思う気持ちもある」と話した。

同じスーパーで3年間働いているイ・ジヒョン(仮名、40代)氏も同じだった。 ジヒョン氏は「アルバイトを探しているというので来たが、こんなに大変だとは思わなかった。 商売も本当に繁盛している。 全国十指に入る」とし 「3年会社で働いて辞めた後は、家にいた」と話した。

大型スーパーの1階は「炭鉱」だという

ミスク氏とジヒョン氏は、スーパー1階の加工食品販売場で働く。 製品を陳列し、欠品を補充し、価格表を付ける仕事だ。

菓子販売スタンドで働くミスク氏は 「昨日まではペペロデイだったので大騷ぎだった。 品物を持ってきて、なくなれば補充して、われわれはそれを『カデギを打つ』と呼んでいる」とし 「欠品になった製品を私たちが見つけなければならない。 後ろの隅っこにある。 特にペペロのようなものは見つけるのが難しい」と話した。

続いて「働くのは1階が一番大変だ。 昔は阿吾地炭鉱(北朝鮮にあった炭鉱)だと言った」とし 「商売がうまくいけば一番遅くまで働く。 終業後に整理をしていると客がきて、物をさっさと取っていく。 11時50分までに終わらせなければいけないのに、昨日のような日はいくら補充しても終わりがない」と吐露した。

加工飲料販売スタンドで働くジヒョン氏は 「仕事は男1人、女4人でする。 コーヒー、茶、水、ジュースをパレットで引っ張って移し、陳列しなければならない」とし 「荷物やパレットなど重いものをたくさん運ぶが、顧客がよけてくれない。 重いのできちんと止められず、どいてと大声を出してもよけてくれず、顧客が怪我をすればまた大騷ぎになる」と話した。

「お客さまは神様」のサービス業界で、彼らは常に罪人だ。 誤りがなくてもひとまず謝罪をしなければならない。 理由は簡単だ。 客が望むから。 混んだ地下鉄で少し体がぶつかっても、「申し訳ありません、お客様」が飛び出す。

ショッピング終着地であり不満の終着地のレジ、映画「カート」は一部分

11月13日に封切られた映画「カート」は、大型スーパー労働者の姿を描いている。 映画には管理チーム長が職員を立たせ、ある職員を公開で叱責する場面が出てくる。 キャッシャーが謝罪を要求するお客さんの前でひざをつき、涙をのんで謝罪する場面もある。

別の大型スーパーのレジで働くキャッシャーたちは 「映画の場面は少ない。映画に出てくるのは本当に一部分」だと口をそろえた。

映画「カート」を見た後、 7人のキャッシャーは、誰もが映画よりきびしい現実を吐き出した。

大型スーパーのキャッシャーで働き始め、いつのまにか10年を超えたチョン・ジヨン(仮名、50代)氏は 「並ばせて訓戒するのは何年か前まであった。映画の場面は少ない」とし 「お客様を感動させなければならないと言って、上役の管理職に叱られる。 そうして、心をさらに傷つける。 お客さんから傷つけられて、なぜそんな形で応対してクレームをつけられるようなことをするのかと管理職から傷つけられて...」と話した。

続いて「顧客からクレームがつけば無条件に悪いことになる。 われわれは無条件に罪人だ。 私が悪かったのか、調べもしない。 内容も必要なく、結果だけを問い詰める」とし 「顧客の前で謝罪する経験はみんなが持っている。 お客さんが大声を出せば無条件に罪人になる。 口からまず『申し訳ありません。お客様』が出る」と話した。

レジはスーパーでのショッピングの終着地だ。 そのためレジはショッピングで積もった不満も清算する所になる。 ひどいクレームに泣きながら品物の計算をすることも多い。

夫と一緒に「カート」を見たパク・チョンア(仮名、40代)氏は、 映画の感情労働は一部分でしかないと話す。

「会社はお客様と目を合わせろ、感動サービスをしろという。 『あら、お客さん今日はきれいですね』とサービストークもしろという。 ミステリーショッピングだと言って評点も付ける。 品物のスキャンの速度も測定する。 個人の評点が低ければ相談も受けなければならない。 点数で順序を付け、壁に貼りだす。 部署を移動させると脅迫もする」

キャッシャーはレジに立つ前に水を飲まない、 それでも笑わなければならない。

キャッシャーの業務は計算が全てではない。 目を合わせること、サービストークなどの顧客感動サービスはもちろん、 会員カードの発行、クレジットカードの発行、スーパー割引券、応募イベントの案内まで…。 それと共に、品物のスキャンの速度も上げなければならない。

製品をすべてスキャンしても、お客さんが製品をすべて持って行くまで待たなければならない。 その間、後のお客さんがクレームを提起すれば、それもまた悲しいことにキャッシャーが悪いことになる。

ジヨン氏は「はやくしなければ、なぜはやくしないのかと言われ、 原則通りにすれば融通性がないと言う。 仕事を繰り返せばもっと楽になるはずなのに、仕事はさらに多くなり、難しくなる」と訴えた。

レジの清掃、かごの清掃もキャッシャーの役割だ。 レジ周辺の清掃は勤務時間ではない時間にしなければならない。 3年前、清掃人員を半分に減らして直接清掃をするようになった。 清掃が終わった後に管理職に写真を撮って送り、検査を受けなければならない。

レジに入れば3時間30分ほどは動けない。 それを2回繰り返す。 長くない7時間だが、3時間30分身動きもせずレジの中にいなければならない。 2時間過ぎると片方の足がしびれてくる。

ジョンア氏は「休み時間がない。 トイレも我慢しなければならない。 忙しければ我慢しなくちゃ。 週末のアルバイトはめまいがして倒れる」とし 「機械でしかないんでしょう。 あまりにつらいと笑いが出ないでしょう。 ちょうど2時間が限界だ。 2時間は本当に笑いながらやれるけれど、それを過ぎればつらくてできない」と話した。

キャッシャーはレジに入る前、水やコーヒーを飲まない。 生理現象が発動しても動けないからだ。 管理職員はキャッシャーの名前を呼んで「笑え」と言う。

40代〜50代のおばさんたちがこんなに多いのは大型スーパーだけ

ジヨン氏は「10年前と今の賃金の差はほとんどない。 年を取って良い職場が見つかるかと思うと、納得して満足しようとするんです。 40代〜50代のおばさんたちがこれほどたくさん集まって働く所はない」と言った。

ジヨン氏はこのスーパーが結婚後、初の職場だ。 10年以上働いて、結婚した中年女性がアルバイトで就職する姿をたくさん見た。 ジヨン氏は「家で生活していた人がきて働くでしょう。 70万〜80万ウォンでは(若い人々は)できない」と話した。

7人のキャッシャーの就職の動機はそれぞれだったが、一つの共通点があった。 まさに結婚後の経歴断絶で再就職が難しかったという点だ。 キャッシャーはパートタイムで働くことができ、唯一、家事と共にできる仕事だった。

一生の職場、良い職場を作るために労働組合を作る

スーパーで会った労働者たちは、ここを一生の職場にしたかった。 一生の職場にするために、もっと働きやすい職場にしようと、去る6月に労組を結成した。

労組を作った後の最大の変化は、座って働けるようになったことだ。 以前は椅子があっても忙しい時に嫌っているようで座れなかった。 9月の秋夕名節に3日間の部分ストをして勝ち取った成果だ。

ジヨン氏は「前は座れなかった。 ミステリーショッパーがいるから、お客さんがくる時から立っていなければならない。 今でも立って働く方が楽な先輩がいる」とし 「私たちがストライキをして、座ってレジ打ち、ゆっくりレジ打ちする方が顧客の反応が良い。 私の気持ちはさらに気楽だ」と話した。

パク・ミニョン(仮名、40代)氏は 「昨年の蔚山は夢のようだった。 こうなるとは想像もできなかった。 病暇、保健休業、そんなものがあることも知らなかった」と話した。

ミスク氏も8月に労組を結成した後、病暇が使えるようになった。 休み時間も堂々と要求する。

ミスク氏は「前の病暇システムは、病気になると年次休暇を使った。 病暇制度が明らかにあるのに知らせないのです。 だからわたしたちは知らないんです。 再来年の年次休暇まで使うこともあった」と話した。

一日7.5時間働く別名「.5制」も廃止された。 8時間勤務時に発生する休み時間と手当てを避けるための小細工だ。

ミスク氏は「給料が上がったと言える。 8時間働き、30分の有給の休み時間ができた」とし 「今までは休み時間があっても、1階の加工側では忙しくて休めなかった。 事務室でも『休んで下さい』そんな話もしない。 ひそかに顔色を見て休んでいたが、今は堂々と休む」と話した。

スーパーで会った労働者は全員、 「労組の結成を後悔しない」と話した。

「意地が生まれた。 初めてやったことなので試行錯誤も多いが、よく作ったなと思う。 もっと堂々としていたい。 前は知らなかったこと、当然受け取るべき権利を一つずつ知るようになった。 知るたびに『バカみたいなことしていたんだな』という気がする。 まだ遠い。これからが始まりだ。 職場が好きだから通う。 この職場を最後の職場にしたい。 働きやすく、良い条件にすれば、長く働ける」

仕事と家庭の両立という重い荷物を肩に担った大型スーパーの女性労働者。 映画「カート」は彼女たちに同質感とともに希望を持たせるのだろうか。

付記
キム・ギュヒョン記者はニュースミンの記者です。この記事はニュースミンにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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