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韓国:危険な妊娠中絶、遠征手術増加
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落胎罪、女性を陰地の手術台に追いやる

危険な妊娠中絶、遠征手術増加...「中絶は選択権」と主張

ユン・ジヨン記者 2010.08.31 17:56

韓国において、妊娠中絶は古くからの論争のテーマだが、相変わらず落胎罪の 適用は女性の身体を陰地の手術台に追いやっている。特に、昨年末から始まっ たプロライフ医師会による堕胎手術病院の告発で、妊娠中絶手術をおこなう病 院が減り、女性の妊娠中絶はさらに難しくなった。不法な手術を受けたり、海 外に遠征手術に行く事例も増えている。

その上、遠征手術を紹介される過程で女性が性暴行される2次被害も社会的な問 題として提起されている。これについて女性、労働、進歩団体および政党で構 成された『妊娠出産決定権のためのネットワーク(ネットワーク)』は8月31日、 清渓広場で記者会見を行い『堕胎した女性を処罰するな』と女性の身体権確保 を要求した。

彼らは政府が落胎罪の適用で女性の身体権、性的自己決定権、再生産権を抑圧 していると主張した。韓国性暴力相談所のイ・イクサン所長は、「政府が出産 抑制政策を取っていた時は不妊手術を強要し、避妊器具を乱発するなど女性の からだを抑圧したのに、出産率が低下すると不妊手術を健康保険の対象からこっ そりと除外した」とし「今までの政府の政策で、女性はからだに対する決定権 を持てたことがない」と非難した。

落胎罪の適用と、妊娠中絶手術病院の減少が女性のからだを危険に露すという 主張も提起された。健康と代案研究院のユン・ジョンウォン医師は「うしろ暗 く、危険な妊娠中絶手術が増えている」とし「中国、日本などの遠征手術が増 え、遠征手術の過程で性暴力が発生し、検証されない民間療法が女性のからだ を威嚇している」と強調した。

また妊娠中絶手術をする病院が減り、手術費用が増加する問題もあった。手術 費用の増加は低所得層や10代の女性には致命的で、彼女らは非専門手術や民間 療法に頼るしかない。ユン・ジョンウォン医師は「女性の健康が担保されない 限り、胎児と家庭、社会の健康も担保されないので、女性の安全な手術のため の接近権が必要だ」と強調した。

女性の妊娠と出産、妊娠中絶を社会的な政策として吸収せず、女性に転嫁する 政策も批判の対象になった。妊娠と出産を経験する女性が解雇を強要される労 働条件で、女性の妊娠中絶は生存権の選択になっているという主張だ。政府の 出産奨励政策もまた、保育政策と労働政策を改善せず形成されており、空虚な キャンペーンに終わっているということだ。

女性主義生協(準)のトヒ漢方医師は、「社会が責任を取らない生命について、 政府は女性に転嫁している」と非難し、全国地域児童センター協議会のパク・ キョンヤン理事長は「最も重要なのは生命だが、生命という名でまた別の生命 を威嚇し抑圧する政策は正しくない」と指摘した。

この日、ネットワークは妊娠中止(堕胎)権要求案を発表し、△妊娠中止を選択 した女性を処罰しないこと、△本人の要請による妊娠中絶の許容、△女性を自 主的に判断して行動する主体と認めること、△安全に妊娠中絶する女性の健康 権を保障すること、△避妊など女性のからだに対する医学的情報への接近権を 強化し、応急避妊薬を普遍的に市販すること、△女性が直面している不公平な 社会経済的な条件を改善することを政府に要求した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-09-01 13:01:29 / Last modified on 2010-09-01 13:01:33 Copyright: Default

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