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韓国:短時間勤労比重を高める柔軟勤務制拡散
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「女性雇用は短時間雇用だけを残す」

国家雇用戦略、短時間勤労比重を高める柔軟勤務制拡散

キム・ヨンウク記者/ 2010年02月18日18時27分

政府は2月18日(木)、大統領主催の第二回国家雇用戦略会議で『柔軟勤務制拡散 方案』を確定した。労働部は柔軟勤務制を労働者と事業主が勤務時間や場所を 選択調整し、仕事と家庭の調和がとれるようにしたり、人材活用の効率を向上 できるようにする制度だと説明した。政府は「我が国は少数が長時間勤労する 慣行で、短時間勤労の比重が低い」と短時間勤労の割合を上げる方式を推進し ている。

しかし労働界は柔軟勤務制が短時間雇用を正規職概念に変えたり、女性の雇用 のほとんどを分離職群制にする布石だと見た。また長時間労働の慣行を減らす には、労働時間短縮によるワークシェアが前提にされなければならないが、基 本給が低い賃金体系を改善しない労働時間短縮は生計の維持が難しいという指 摘も出た。

政府は今回の柔軟勤務制拡散政策で、他のOECD国家より低い我が国の雇用率も 高めると明らかにした。2008年、韓国の15〜64歳の雇用率は63.8%で、OECD平均 の66.5%より低い。イ・ジェガプ労働部雇用政策官は「とても少数の人が長時間 働き、他の人がそれで生活する形態なので雇用時間も長びき、雇用率も低い」 とし「短時間勤労者の割合が高い国ほど雇用率が高く現れた」と主張した。統 計上、指標の雇用率を上げるためにほとんどが非正規職である短時間勤労者の 割合を高めるということだ。

このように、柔軟勤務制による政府の雇用率高揚方式は、単なる数字の遊びだ という指摘だ。キム・ヘジン全国不安定労働撤廃連帯代表は「5時間働いて暮ら せるようにするべきだが、もうひとつの仕事をしなければならないというので はないか」とし「さらに大きな問題は、柔軟性が上がると安定した新規雇用の 創出は不可能になること」と指摘した。キム・ヘジン代表は「長時間労働慣行 を減らし、労働時間を短縮するには現賃金体系でも生計が保障されるべきだ」 とし「実労働時間を減らし賃上げや月給制が前提でなければならない」と主張 した。仕事・家庭の両立方案についても金代表は「今後、公務員女性雇用も職 群分離が可能になる」とし「パープルジョブで独立的な業務の性格を持つ雇用 に女性を追い込めば、女性の雇用は最初から短時間雇用しか残らない」と見通 した。このように短時間勤労が一つの雇用形態になった例が大学時間講師だ。 専任ではなく毎週決まった時間だけ講義して、時間当り一定額の給料を受ける 時間講師は代表的な短時間勤労者だ。

労働部もこうした短時間雇用の問題は認めた。イ・ジェガプ雇用政策官は「短 時間勤労は議論も多く、既存の雇用が劣悪で短時間勤労の拡散と同時に短時間 勤労者への保護を強化する必要がある」とし「短時間勤労者の差別是正に対す る勤労条件保護を強化する非正規対策も同じ文脈」と明らかにした。労働部は このために、短時間勤労者など雇用領域での差別を是正するために『(仮称)差 別是正総合相談センター』を設置する計画だ。しかし労働界はこれまでの差別 是正制度が事実上有名無実だったと主張してきた。キム・ヘジン代表も「正規 職と同一にして差別しないとしても結果的に分離職群制になれば、その職群の 労働者は比較対象がないので低賃金が一般化する。女性たちはさらに低賃金に なり、差別をなくすこともできない」と説明した。

政府は今回確定した仕事・家庭両立型短時間勤労を中心として柔軟勤務制を拡 散させるために、△公共部門柔軟勤務制先導モデルを発掘、民間拡散、△制度 的な柔軟勤務拡散障害法令改善、社会の雰囲気造成対策を樹立した。

これに伴い、公共部門で柔軟勤務制先導モデルを発掘し、新規雇用所要が発生 すれば短時間勤労が適する職務には短時間勤労者を採用し、在宅勤労など他の 柔軟勤務事例も積極的に拡散する計画だ。

労働部はこのような事例として今年、労働部雇用支援センターに短時間常用職 業相談員90人を期間制で採用する。彼らの勤務時間は1日5時間(10:00〜16:00)、 週25時間だ。またLH公社(韓国土地住宅公社)は60歳以上の高齢者を対象に週5日、 1日4時間、月50万ウォン内外の短時間勤労者2000人を採用する。

政府はまた柔軟勤務制促進のための制度的・政策的基盤を強化するために弾力的 勤労時間制を合理的に改善し、柔軟勤労時間制を拡散していく計画だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-02-20 04:30:38 / Last modified on 2010-02-20 04:30:39 Copyright: Default

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