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「選挙で勝てば福祉国家が達成されるのか?」[民衆福祉アカデミー](1)福祉国家、不安な生活の代案か
イ・サンウォン修習記者 2012.01.05 21:15
1月4日午後7時、民主労総13階の大会議室で「99%の代案探し」民衆福祉アカデ ミー初講演が始まった。この日の講演は社会公共研究所のジェガル・ヒョンスク 研究委員が「福祉国家、不安な生活の代案になるか?」という主題で2時間ほど 熱弁をふるった。貧困社会連帯とフォーラム社会福祉と労働の主催で開かれた この日の講演は、最近の福祉問題に対する関心を反映するかのように大会議室 は参加者で埋め尽くされた。 〈白いジャングル〉に映った民衆の現実ジェガル・ヒョンスク研究委員は「今では進歩陣営のスペクトラムが広がり、 いつから進歩だったのか分からない人も進歩と呼ばれている。広くなったのは 良いが、互いの違いは無視して、統合だけを強調する態度は問題」とし「この ように統合を強調する福祉が語られる時、われわれはどんな面に留意して慎重 に見るべきかを基調として講演を準備した」と述べ、講演を始めた。 講演は韓国の医療福祉の死角を扱ったドキュメンタリー映画〈白いジャングル〉 の一こまで始められた。映画に登場するイウクおばあさんは、血圧の薬を受け 取りに行った病院での侮蔑を忘れない。医師は名前を見間違えて血圧薬を処方 していくらも経たないのに、どうしてまた来たのかと文句を言う。名前を見間 違えたという事実を知っても医師は謝罪しなかった。ただ笑っていた。 おばあさんは、障害を持つ息子と共に暮らしており、先日、おじいさんが国家 有功者に認められ、国家補助金を受け取り始めた。補助金を受け取ってもおば あさんはまだ相変らず古紙を集める。一日中古紙を集めると2、3千ウォン稼げる。 ジェガル・ヒョンスク研究委員は、この映画の中にはさまざまな話が入ってい ると暗示した。「映画の中の老人世帯の暮らしは特殊な例でしょうか? 私たち があの年齢になれば、あのように暮らすことになるのではないでしょうか?」 聴衆はみな違うと答えた。「違う、そうだ。映画のナレーションが語るように 韓国の政府は国民が完全にほろびてから介入を始める。それで福祉の死角地帯 はとても広い。私たちの現実はまさにここにある」 続いて彼女は統計資料を見せた。2010年と較べ、2011年の世帯所得は25.2%減少、 負債は27.3%増加。自分を下層民と思う人は45.5%。青年が一番働きたい職場は 国家機関(28.7%)、大企業(21.6%)の順で、半分以上の青年が安定した職場を望 んでいることを示す統計庁発表資料は、韓国に貧困と雇用不安がいかに蔓延し ているのかを見せた。 「福祉国家になれば、本当にみんな解決するのでしょうか? 資本主義社会では、 貧困は競争に負け、等数で負け、能力で負けたから受ける当然の結果だと習う。 非正規職でも、就職できなくても、貧困層でも、所得がなくなっても、とにか く個人の問題にされる」と彼女は話を続けた。「それで金持ちは自分たちが金 持ちになった理由は、すべて自分のためだ。どれほど金を転がして、どれほど 他人を搾取したかは知らず、自分が上手くやったからだと考える。そのような 人々が『福祉国家をしましょう』、自分の金を出して『福祉しましょう』とい うでしょうか?」聴衆は答えなかった。 ▲1月4日の講演に参加した人々が講演に熱中している。 普遍福祉と選別福祉の中に隠された労働彼女は「今まで韓国社会では、とても長い間、自由主義者と保守主義者は福祉 を語らなかった。福祉はアカがすることだという意識が一軸にあった。それで、 韓国では朴槿恵(パク・クネ)がある日福祉をすると言い始めれば、朴槿恵が進 歩であるかのように勘違いさせる。彼らも十分にできる話が福祉だ。単に彼ら とわれわれは、福祉を見る視角が違うだけ」で、「普遍福祉の賛否論争は進歩 と保守の対立で表面化したが、結局、福祉政治によるブルジョア政治体系の新 しい再編に寄与している。もはや福祉は進歩の所有物ではない」と、韓国にお いて福祉が意味を持つ意味を指摘した。 彼女は「生活保障制度について、貧困社会連帯も長い間運動をしてきた。福祉 に対する意志を持って運動してきた主導者が、法案を上程して問題化するまで、 本当に長い時間がかかった。ところがある日突然、韓国社会に福祉をしようと いう談論が出てきた。どうして出てきたのかを考えなければならない」と話を 続けた。彼女は「普遍と選別の中に隠された真実を見なければならない。選別 を主張するハンナラ党は結局、保守主義者の福祉に対する観念を見せる。保守 陣営の『連携型、庶民型、韓国型』といった福祉レジームの共通点は、労働と 個人の責任の強化という新自由主義の原則で欲求を審査し判定すること中心」 とし「新自由主義構造調整の結果、深刻になった労働と社会問題の解決方法は、 階級政治ではなく福祉政治の対決で表面化した」と話した。 彼女は「選挙が近づき、政党間の競争と統合の問題があった。この時、政党間 の利害関係が対立し、福祉が社会問題に浮上した。福祉が問題になったのは良 いが、福祉政治が選挙のフレームに閉じ込められる結果を持たらした」ため、 福祉という言葉を使った詐欺に気を付るべきだと話す。 「進歩は無償給食に賛成、保守は無償給食に反対し、政治的フレームが組まれ た。福祉は労組業種別に、市民団体は多様に話されてきた。あちこちで現実に 引きつけられた話が一か所に傾いてかたまり、党を統合させる状況に達した。 問題はすべての福祉フレームが反MB戦線に集まっていることだ。反MB戦線の内、 朴槿恵のハンナラ党と統合進歩党の福祉政策に大きな差はない」。 彼女は「没階級的で没価値的な福祉より、自分の階級で見える福祉が何かを考 えなければならない」とし「労働の部分を見過ごしてはいけない。キム・ジン スク同志が長い間、ひとりで闘って成果をあげたが、社会の関心を受けられな いまま長期闘争をする人は多い。福祉でその事業場の問題が解決するわけでは ない。私が働いた代価を受け取ることを優先しなければならない。福祉談論は、 労働と共に語られなければならない」と民衆が見るべき福祉の観点を提示した。 「福祉を話す時、私が労働者だとは言わない。市民だと話す」と、彼女は福祉 論争に隠された労働の価値を明らかにした。 「投票で終わりではない。日常の政治をしなければならない」▲白熱の講義をしている社会公共 研究所のジェガル・ヒョンスク 研究委員 「私たちが選挙で勝てば福祉国家が達成されるかのように言われる。本質的に 労働の問題、階級の問題を、こうした政治的な地形で話すのは難しい。政治が 優先するかもしれない。だが彼らが代表しているのは果たして何かを見なけれ ばならない」と彼女は政治の必要性を語った。 「彼らが労働を代弁しないことが問題なのではなく、普遍福祉談論形成の背景 になっている社会経済的な条件の階級的問題が、分配の問題だけを浮き彫りに していることが問題だ」とし、ここで留まらずに日常の政治をしなければなら ないと話す。 「日常の政治をしなければならない。投票権一つにすべてを任せてはいけない。 所有権と市民権が衝突すると、裁判所は所有権の手をあげる。半導体の会社で 白血病にかかり、40人以上の20代の兄弟たちが死んでいったが、サムスンは まだ自分の責任ではないと言い、国家はその味方をしている」と国家が守って くれない労働の領域を話した。 「私たちが福祉を悩む時、各自の生活空間と連係させて福祉を悩まなければ ならない。投票だけで終わるのではない」と彼女は講演を結んだ。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2012-01-07 03:35:17 / Last modified on 2012-01-07 03:39:12 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |