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怪しい医療商売「お姉さん、江南に行きましょう。病院を紹介しますから」

医療観光1番地江南区、『脱税』、『医療事故』病院も『協力医療業者』で堂々と

ユン・ジヨン記者 2015.07.09 17:24

「江南スタイル」で有名になった江南区が今、医療観光の尖兵になっている。 「江南美人図」というオンライン・コミックができる程、江南一帯の工場式の整形産業は冷たい眼差しを受けていたが、 その程度の皮肉は何でもなかった。 もう内国人ばかりか、海外の観光客まで大挙押し寄せていて、 江南の病院はいつのまにか天文学的な診療収入を上げる「観光名所」として定着している。

江南が医療観光の天国になったのは、何よりも政府と地方自治体の功績が大きかった。 政府の規制緩和と医療産業育成政策で翼をつけた江南区は、主要病院と協力関係を結び、 海外の患者をぞろぞろと手術台に案内した。 脱税と誇大広告、医療事故などの多くの問題を起こした病院の過去の行跡はたいして重要ではなかった。 政府と地方自治体の強固な支援を踏み台として資本力をつけた病院は、 政府の応援に相応するかのように医療営利化のための後続作業を忠実に履行している。

腕まくりした江南区、「直接病院を斡旋します」…昨年の診療収入は1657億

胛鴎亭洞の現代デパートの近くにある「江南メディカルツアーセンター」。 江南区が医療観光客を誘致するために2013年6月にオープンした総合医療観光案内センターだ。 海外からの医療観光客に体験サービスを提供し、直接観光客を病院と連係させる斡旋業務も併行している。 江南地域の皮膚科や漢方医院で作った化粧品も販売する。 センターに入って「体験サービス」を受けにきたというと、 医療観光コーディネイターが直接案内してくれる。 「体験ゾーン」は無料で皮膚測定や血圧測定、体成分分析、3D仮想整形などを提供するサービスだ。

海外の医療観光客をターゲットにしているが、内国人も一定のサービスが受けられる。 芳名録にはかなり多くの内国人の訪問記録が含まれていた。 測定の後、いい病院を紹介してくれと頼むとコーディネイターが困った表情をする。 外国人には病院の紹介や連係ができるが、内国人は病院情報を入手しやすいので連係サービスはしていないという。 原則的に医療法には営利を目的として患者を医療機関や医療関係者に紹介、斡旋、誘引する行為を禁じている。 だが李明博政権の時に医療法が改正され、外国人患者に対しては病院斡旋、誘引ができるようになった。

センターには江南地域の整形外科、皮膚科、脊椎および関節治療病院、漢方病院など、 多くの病院のビラが展示されていた。 皮膚科が作った化粧品を展示して販売している所もあった。 医療観光客のための空港出迎え-病院およびホテルピックアップ-空港移動などのピックアップサービスもしている。 直接江南の医療観光商品も運営している。 健康診断、スキンケア、スパなどをはじめとする「パッケージ」商品もある。 健康診断パッケージは600ドル、トータルビューティーパッケージ(フィラー手術、韓方、スパ、スタジオ撮影)商品は1740ドル程度だ。

江南区庁の関係者によれば、昨年センターを訪問した人は1万1千人ほど。 そのうち外国人観光客は約6千2百人で、内国人訪問客も4千8百人ほどだ。 関係者は「体成分分析や仮想整形などの体験をはじめ、 化粧品テストと購入もできる。 本人が望めば病院も紹介する」と説明した。 江南区庁は先週末(7月5日)報道資料を通して、 江南区が昨年医療観光誘致実績1位を達成したと明らかにした。 江南区は2010年から5年連続で医療観光客誘致関連の地方自治体評価1位を記録している。

昨年、江南区が誘致した医療観光客は約5万6千人。 大韓民国全体の医療観光客の21.2%にのぼる数値だ。 江南区医療観光客の訪問数は2013年度に比べ、23.8%(1万856人)増加した。 江南区の外国人患者のうち中国人が44.2%で最も多く、 米国が12.8%、ロシアが7.5%、日本が7.2%、カザフスタンが4.5%と続く。 最も多い診療科目は整形、皮膚診療で47.1%を占めている。 江南病院の外国人患者診療収入は毎年高空デモを続けている。 昨年の江南地域の外国人患者総診療収入は1657億ウォンで、前年比42.8%増加した。

江南区-江南病院の奇妙な共生関係
脱税、医療過誤の病院も「協力医療機関」に選定

江南区は外国人患者を直接病院に誘引、斡旋し、医療観光事業に総力を入れている。 そのために地域の主要病院との緊密な協力関係が欠かせない。 江南区は整形外科をはじめとする各種の医療機関が密集している地域だ。 江南区にある医療機関は約2400か所。江南区はそのうち約160の病院を「江南区協力医療機関」に選定し、医療観光を集中的に育成している。 整形外科65か所、皮膚美容13か所、脊椎および関節治療病院5か所が協力医療機関に選ばれた。 総合病院としては江南セブランス病院とサムスンソウル病院、江南チャ病院が名前を連ねている。

深刻なことは、過去に数十億ウォンの脱税をした大型整形外科をはじめ、 過大に誇大広告で制裁措置を受けるなどで問題を起こした病院が江南区協力医療機関として大挙選ばれている点だ。 その上、医療過誤により外国人医療観光患者を死亡させた病院も、江南区の協力医療機関に選ばれていた。

江南区協力医療機関の一つであるA整形外科は、江南最大規模の整形外科とされる。 新沙駅の近くに職員だけで180人にのぼるという。 ここは2012年、巨額の脱税事件で問題になった。 当時、検察は病院代表院長のホン某氏をはじめ3人が2007年から2009年まで、総収入金額545億余ウォンを税務当局に過少申告し、 23億ウォンを脱税したと明らかにした。 彼ら三人は病院の株式100%を所有しており、 それぞれ10億4千万ウォンと2億ウォンを個人的に脱税したという。

だがA整形外科は、地方自治体と政府機関の支持や支援を踏み台にして、相変らず好況を享受している。 法務部は昨年、ここを「医療観光優秀誘致機関」に選定し、江南区も「外国人患者誘致活動優秀機関」に選定する栄誉を抱かせた。 今年の6月には韓国消費者協会が主催する「2015大韓民国消費者大賞」で、整形外科部門大賞を受賞した。 この整形外科は現在も江南区と「協力医療機関」という緊密な関係を結んでいる。

江南区は、医療過誤で死亡事故が起きた病院とも手を握った。 江南区の協力医療機関で名をあげた脊椎関節治療病院のB病院は、 外国人観光客が手術の途中に命を落とした所だ。 2013年6月、UAEから医療観光にきた10代(当時16歳)の女性が該当病院で脊柱側弯症矯正手術を受けて過多出血で死亡した。 病院は、体重30キロ代の10代の女性に対し、何と3回も手術をしたという。 脊柱側弯症は手術しなくても治療できるため、当時、病院が過剰診療や無理な手術を強行したのではないかという声が上がった。 韓国医療紛争調整仲裁院は今年3月、この病院の医療過誤を一部認めた。

そればかりか、医療紛争の頻度が高い整形外科も堂々と江南区の協力医療機関に選ばれていた。 2011年12月、韓国消費者院は整形被害申告の頻度が高い12の整形外科を「多頻度病院」に分類して発表した。 12の病院の中には現在、江南区協力医療機関に選ばれたC整形外科医院とA整形外科も含まれている。

虚偽、誇大広告などで制裁措置を受けた病院も、江南区との協力医療機関関係を結んでいる。 公正取引委員会は2013年12月、インターネットのホームページやバナー広告等を通じ、 美容整形手術に関する虚偽、誇張、欺瞞的広告行為をした13の病院に対し是正措置を出した。 是正措置を受けた13の病院のうち、D整形外科、E整形外科、F整形外科は江南区の協力医療機関に選ばれた。

「医療観光」で太った大型病院
「医療営利化」を主導し、政府、地方自治体に恩返し

江南区は協力医療機関を中心として医療観光を集中的に育成している。 「江南医療観光ガイドブック」を作り、選ばれた医療機関の連絡先と価格帯、位置、治療期間などを表記して配布している。 協力医療機関に対する財政支援事業も行っている。 江南区は協力医療機関の一部を選定し、外国人患者誘致活動事業予算の50%程度(最高300万ウォン)を支援している。 では、問題も多く、落ち度も多い医療機関がどんな基準で「協力医療機関」に選ばれたのだろうか。

江南区の関係者は「参加募集を受け、100点満点を基準とする評価票により、質問項目別に評価する。 点数も重要だが、江南区医療観光諮問委員会で協力機関選定を決める」と明らかにした。 結果として協力医療機関の選定は、江南区医療観光諮問委員会により処理される。 諮問委員会は15人以内の関連分野の教授および専門家、旅行会社の関係者、区議員、保健所長などで構成される。 江南区医療観光政策樹立諮問の役割と主要業務審査および評価などを担当する。 だが、具体的に誰が諮問委員会に参加しているかは知らされていない。 江南区側にリストを要請したが回答がなく、現在、情報公開請求を要請している。

政府と地方自治体の支援に力づけられ、医療観光の中心に立った大型病院らは「医療営利化」事業を主導し、政府の誠意に応えている。 保健福祉部は6月15日、中国の緑地グループが提出した済州営利病院設立計画書を受け付けた。 国内第1号の営利病院設立を準備している緑地グループは不動産開発専門会社で、 実際の病院の運営は中国の病院経営支援会社であるBBC(連合リーガー)が担当する。 特異なことは、済州の営利病院設立に前述の江南最大の整形外科であるA病院の迂回的投資の議論が持ち上がっていることだ。

保健医療団体連合によれば、連合リーガー内の最大規模の営利病院であるソウルリーガーは、A整形外科の元代表院長が設立し、運営しているという。 結局、韓国資本が中国に設立した営利病院を国内に再輸入するというおかしな方式の迂回投資が行われているのだ。 済州営利病院は内国人の利用に制限がなく、事実上、本格的な国内医療商業化の導火線になる展望だ。

そればかりか政府は、医療機関の「メディテル(医療観光ホテル)」の設立を認めるなど、 医療観光による大型病院の収益率増大を試みてきた。 設立資格が大幅に緩和され、多数の誘致業者による共同設立も可能で、 早くから江南の病院が最大の受恵者になるという展望が続いている。 市民社会はメディテルが「海外医療観光客誘致」という名目で進められているが、 事実上、国内の医療商業化のためのステップだと批判している。 実際にメディテルも、客室全体の40%以下までは内国人の使用が可能だ。 果たして「医療観光」という皮をかぶって太った大型病院の視線はどこに向けられているのだろうか。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-07-11 12:12:02 / Last modified on 2015-07-11 12:12:03 Copyright: Default

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