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韓国:サムスン労災不承認をサムスンの医師が判定?
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サムスン労災不承認をサムスンの医師が判定?

故ユン・スルギ氏の労災不承認、勤労福祉公団判定委員にサムスン病院の医師が参加

ペク・イルジャ記者 2013.05.31 18:48

サムスンで職業病により56人目の死亡者になった故ユン・スルギ氏の労災認定申請が結局、不承認と判定された。しかしユン・スルギ氏の労災判定委員会にサムスン系列会社の江北三星病院の医師が参加したと言われ、遺族とパノルリムは不承認判定無効を主張している。

故ユン・スルギ氏追慕1年をむかえて、5月30日、勤労福祉公団の前でサムスン 職業病被害遺家族とパノルリムは「労災判定にサムスン病院の医師が参加、 判定委員非公開、労災不承認決定」の勤労福祉公団糾弾記者会見を行った。

[出処:オム・ミョンファン現場記者/ニュースセル]

故ユン・スルギ氏は、1999年6月にグンサン女子商業高校3年在学中にサムスン 電子LCD天安工場に入社、直ちにLCD生産ライン(スクライブ工程)に配置され、 3交代で勤務を始めた。彼女はここで有機溶剤と放射線に露出する環境で、保護 装具も支給されないままLCDパネル切断業務を遂行した。1999年11月末頃、勤務 の途中に目がくらみ、息が切れる症状が続いたため、ソウルの聖母病院で検査 をした結果、彼女は2000年1月「重症再生不良性貧血」と診断(2000年1月)され た。その後、13年間輸血に頼って生きてきたが、昨年6月2日、再生不良性貧血 が悪化して、膓出血と肺出血で死亡した。彼女はわずか満31歳だった。

再生不良性貧血は、血液を作る骨髄の損傷によるが、普通人口100万人当り年間 発生率は2〜14人と報告されており、非常に発生率が低い珍しい疾患だ。しかし サムスンで働いて再生不良性貧血にかかった被害労働者が、パノルリムに情報 提供した数だけでもすでに5人になる。白血病、リンパ腫などのリンパ造血器系 ガンと同じように、ベンゼン、ホルムアルデヒド、放射線、酸化エチレンといった 有害因子に露出することで発病する。

パノルリムは「再生不良性貧血は、短期間(6か月)に急性で発生すると言われる。 故ユン・スルギさんが該当作業に従事した5〜6か月の期間に再生不良性貧血の 原因物質に露出したのなら、十分疾患を発生させる期間」と説明した。続いて 「故人が働いていたスクライブ(scribe)工程は、洗浄、化学処理、放射線検査 をする。熱硬化のとき熱分解の産物として出てくるベンゼンと、放射線検査に よる放射線が複合的に作用した可能性が高い」、「しかし局所排気装置や個人 保護装具は全く支給されなかった。同じ工程の労働者の1人は白血病(20代後半、 男性)が発病し、別の1人は乳ガン(24歳 女性)を発病した」と明らかにした。

[出処:オム・ミョンファン現場記者/ニュースセル]

昨年7月、ユン・スルギ氏の遺族は勤労福祉公団天安支社に労災遺族給与を申請 し、今年の4月12日、勤労福祉公団傘下のソウル業務上病気判定委員会の一審の 会議に遺族代理人(パノルリムのイ・ジョンナン労務士)が出席し、業務と病気 には相当な因果関係があるという最終意見陳述書を提出した。当日、判定委員 が非公開で行った会議の結果は3対3の可否同数で、5月9日に再審議することに なった。再審議の判定会議では、また3対3の可否同数となり、最後に疾判委の 委員長が採決に参加して4対3でユン氏の労災は最終的に不承認になった。遺族 は5月27日に不承認通知書を受け取った。

この判定委員会に江北三星病院の医師が参加したこと、再審議までして疾判委 委員長の反対票で最終不承認になったことに関し公正性と透明性の論議がおき ている。

パノルリムは「勤労福祉公団は、労災申請当事者に事前に判定委員忌避制度と 判定委員の具体的な情報(名前、職業、所属)を提供せず、当事者の法律上権利 である『忌避申請権』を剥奪」したとし「公正な判定を害する恐れがある委員 の忌避申請権を行使できず、業務上病気判定の公正性と透明性が深刻に壊され た」と主張した。

江北三星病院は、サムスン電子と同じサムソン系列会社で、この事件での災害 労働者である故ユン・スルギ氏をはじめ、サムスン電子半導体およびLCD事業場 に特殊健康検診を実施している病院だ。パノルリムは「三星電子側の利害関係 に反する行為ができない病院なのに、勤労福祉公団は江北三星病院の医師をサ ムスン職業病労働者労災判定委員に配置したため、不承認になった」と判断した。

また、最終判定委員会委員長(常任委員)が不承認票を投じ、4対3で不承認処分 を受けることになったのは、「勤労福祉公団が労災労働者の側ではなく、企業 (サムスン)の側にいることをはっきり見せる行為」と糾弾し、「企業主が化学 物質などの情報を独占しているのに、労災の立証は労働者がしなければならな い労災立証責任の構造は、至急改善すべき」と主張した。

今回の労災事件について、勤労福祉公団は問題になりかねないサムスン病院の 医師を判定委員会に参加させ、リストを公開せずに遺族の忌避権限自体を剥奪 し、「サムスンの影響が強く作用したのではないか」という疑惑を呼んでいる。 (記事提携=ニュースセル)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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