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「勤労福祉公団は死神、疾病判定委は吸血鬼」

『不承認乱発』、『強制治療終結』に血の涙を流す労災労働者

ユン・ジヨン記者 2010.12.15 18:48

勤労福祉公団と傘下団体の業務上疾病判定委員会(疾判委)の労災不承認の乱発で 労災労働者が血の涙を流している。

40年ぶりの労災保険法改正で、2008年7月に疾判委が導入されたが、労災労働者 にとって疾判委は労災認定を遮る大きな妨害物に転落した。2010年8月、勤労福 祉公団が発表した『2008〜2010年5月までの業務上疾病判定委員会疾病判定現況 発生現況』によれば、疾判委の労災不承認率は着実に増加している。2008年の 不承認率は55.3%だったが、2009年には60.7%に増加し、2010年5月までの不承認 率だけでも64.5%にのぼる。労災労働者の10人中7人は労働現場で災害を受けても 労災と認められないのだ。

特に疾判委と勤労福祉公団の不承認処理の過程は労働者にとって再度の労災を 負わせている。労災労働者の陳述を排除して、事業主の陳述だけにより不承認 処分をしたり、医師の所見にもかかわらず、強制治療終結を督促したりもする。 それだけでなく勤労福祉公団は不十分な調査で、労災と無関係な過去の疾病を 理由に労災を不承認にしたこともある。

そのため労災保険改革対策委員会は12月15日午後、汝矣島国会議員会館130号で 『業務上疾病判定委員会不承認被害者証言大会』を開催した。この席に参加し た労災労働者たちは、勤労福祉公団と疾判委の根拠のない不承認の乱発と不良 調査、そして強制治療終結の督促などの経験を証言した。

事業主の言葉だけを聞いて不承認、調査は『2分通話』で終わり

主にアパート仕上げ工事をしてきたクニル建設のパク・クンギュ労働者は2009 年11月、視床部の脳出血で倒れた。毎日午前5時に起き、夜11〜12時に退勤する 生活を4年間続けてきた朴氏は、過労による脳出血と主張して、勤労福祉公団に 労災を申請したが不承認処分を受けた。

だが勤労福祉公団は労災調査の過程でまさに災害者の陳述を排除したまま、使 用者側の立場だけを伝え、不承認通知をしたと知らされた。朴氏は「脳出血で 病院に入院している状態だったが、話をするには何の支障がなかった」とし 「それなのに、勤労福祉公団は会社専務と兄弟からの質疑応答書を受けて不承 認を通知した」と鬱憤をぶちまけた。

それだけでなく、三湖重工業に勤めるキム・ボンテク氏の場合、彼が知らない 間に使用者側によって、労災療養申込書が受付られたし、勤労福祉公団はただ 2〜3分だけの電話通話で災害調査を終えた後、不承認を通知することもした。

金氏は去る6月、作業中に腰に怪我をする事故に遭ったが会社は金氏も知らずに 労災療養申込書を作成し、勤労福祉公団木浦支社に労災を申請した。これに対 してパク・ウンギ三湖重工業支会労安部長は「特に会社は本人の捺印に偽りの 署名をして、労災者に見せず勤労福祉公団に提出した」とし「また勤労福祉公 団木浦支社は労災労働者災害調査を2〜3分の電話通話で終わらせ、労災に有利 に適用される陳述書をすべて脱落させた」と明らかにした。

特に勤労福祉公団は右膝に怪我をした労働者に、20年前の交通事故で怪我をし た左膝を理由に労災不承認処理をした。民主労総大邱本部は、「災害者は右膝 に怪我をして、労災療養申請をしたのに、公団が20年前の交通事故で左膝が傷 ついたという事実に言及して、右か左かをはっきり明示せず、現在の傷病が過 去に発生したと誤解させるようにした」と主張した。

専門家も認めた労災、疾判委だけ『不承認』

勤労福祉公団は強制治療終結を督促

主治医と諮問委、勤労福祉公団調査者と専門家などの多数が認めた労災に対し て、疾判委だけが『不承認』と採決し、労災が不承認になることも珍しくない。

▲去る10月19日、勤労福祉公団の労災不承認乱発が続いて、サムソン半導体被害者が公団で座り込みを繰り広げた。[出処:チャムセサン資料写真]

22年以上、半導体工場で不良検査と検出作業を担当してきたパク・チョンスク 氏は手首が痛く、病院で診断を受けた。診断の結果、主治医は右手首の関節と 潤滑膜腱鞘炎と診断し、業務遂行中に手首の反復的な使用と関連が深いと見た。 ムン・ギルジュ金属労組労働安全保健局長は「一日に1000回程度手首を使った、 残業特別勤務時はさらに激しかった」とし「主治医と諮問と勤労福祉公団の調 査者と専門家がみんな業務との関連性があると判断した」と明らかにした。

だが疾判委の5人の委員は審議過程で全員『傷病の客観性が欠如し不認定』を決 めた。ムン・ギルジュ局長は「専門家の明らかな診断と所見があるのに、どん な根拠で客観性が欠如していると主張するのか、疾判委の委員に訊ねたい」と し「今、該当女性労働者は自分の金で物理治療をして現場で働いている」とし、 疾判委の問題を指摘した。

勤労福祉公団が労災労働者の治療を強制的に終結させるために督促する事例も 発生している。ソ・ミンソク氏は15年間キャリアで働き、腰椎捻挫、椎間板脱 出症になり、2009年12月29日、勤労福祉公団から労災療養承認を受けた。だが 勤労福祉公団は2010年1月5日、病院側に「2010年1月31日までに治療終結をお願 いします」という文書を発送した。

ソ・ミンソク氏は「勤労福祉公団が病院の院務部長に治療終結を要求し、これ に金属労組が抗議すると2か月の療養延期を承認した」と明らかにした。特に、 勤労福祉公団は治療終結処分では、諮問医師協議会も開催せず、金属労組の抗 議に「実務者の錯誤だった」と弁解したという。ソ・ミンソク氏は「公団側は 実務者の錯誤で『治療終結の検討をお願いします』という『検討』の文字を抜 かしたと弁解した」とし「金属労組が抗議して療養延期と治療を保障したが、 実は一回治療が終結すると元に戻すのは難しい」と説明した。

「疾判委の改善? 解体が答だ」

疾判委は勤労福祉公団の業務上疾病の判定で公正性および専門性問題が提起さ れ続けて設立された。だが労災労働者は誰もが疾判委の導入で公正性、専門性 だけでなく、迅速性も問題になっていると話す。

ムン・ギルジュ局長は「労災療養で承認判定まで最低2〜3月から最高1年までか かることがある」とし「判定期間が長くても承認率が高ければともかく、疾判 委の無差別の不承認で労働者は苦しんでいる」と打ち明けた。

そのためムン・ギルジュ局長は『勤労福祉公団は死神、疾判委は吸血鬼』とい う非難を浴びせた。勤労福祉公団職員が病院を訪問する日は強制治療終結を督 促する日で、疾判委の判定がなければ労働者は最低の労災承認ぐらいは受けら れるということだ。

こうした問題を解決するために、ムン・ギルジュ局長は疾判委の改善ではなく 解体を要求した。また現場災害調査の強化、審査機構独立、労災患者の弁論権 の確立なども主張した。また彼は「正直言って民主労総には労災政策がない。 あっても100点満点の10点程度」とし「民主労総が労災保険制度改革の先頭に立 つと同時に、現在の労災保険改革対策委員会もさらに多くの市民社会団体の参 加で社会的議題化に力を使わなければならない」と頼んだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-12-16 04:07:27 / Last modified on 2010-12-16 04:07:39 Copyright: Default

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