韓国:「サムスン以外に変わった10年」パノルリム活動10周年討論会 | |||||||
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「サムスン以外に変わった10年」パノルリム活動10周年討論会パノルリム10周年討論会… 「パノルリム活動で変わったこととその課題は?』
パク・タソル記者 2017.11.10 18:36
半導体労働者の健康と人権のために活動してきた団体パノルリムが活動10年をむかえた。 パノルリムは巨大企業サムスンに対抗して労災の責任を問い、 環境を改善する活動を積極的に繰り広げた。 その結果、職業病被害者の声が外に出てきて、 勤労福祉公団と裁判所で職業病労災を認め始めた。 職業病問題に対し、前向きに対処する企業も生まれた。 だが最も多くの被害者を量産したサムスンは、 労災の責任を回避する態度を一貫して固守していると批判されている。 11月9日午前、ソウル征東フランシスコ会館420号でパノルリムが主催した 「パノルリム10年、変わったことと残された課題」の討論会が開かれた。 10年間の成果と残された課題を振り返る場だった。 職業環境医学専門医のコンユ・ジョンオク パノルリム活動家は 「企業の変化と残された課題」についての問題提起を行い、 この10年の産業安全保健管理に対する企業の変化などを説明した。 最も多くの被害者が出てきたサムスン電子は変化を要求されていたが、ほとんど変わらなかった。 サムスンは、パノルリムが提起した問題を受け入れて問題の解決に出るどころか、 全面的に対応する方法を選んだ。 コンユ・ジョンオク活動家によれば、サムスンは職業病問題が明るみにでた2007年からオンブズマン委員会が活動を始めた最近まで、 問題がないということを知らせることに汲々とした。 サムスン電子のオンブズマン委員会は、パノルリム、家族対策委、サムスンが災害予防対策の一環として合意した事項で、昨年から活動を始めた。 オンブズマン委員会は毎年、年次報告書を作成して公開しなければならないが、 現在まで何の活動報告書も出していない。 オンブズマン委員会は構成までの時間が長くかかって活動が遅れたためだと話している。 こうした社会的合意も世論の圧迫のためにやっと形成された。 サムスンが独自に行った産業保健検証評価事業は、2010年に国際環境保健コンサルタントのインバイロンを雇用して遂行した 「サムスン電子半導体露出評価」と「露出再構成評価」だ。 2007年からパノルリムの集団白血病真相究明の要求に沈黙を続け、 2010年に白血病とリンパ腫被害労働者6人が労災認定を求める訴訟を始め、 訴訟の原告の1人だったパク・チヨン氏が死亡したことで批判の世論が高まり、 インバイロンに研究を依頼した。 インバイロンの結論は「サムスンの作業環境は非常によく管理されており、 改善すべき点はなく、労災認定訴訟原告6人の過去露出を再構成してみると発癌物質への露出がないか非常に低く、 彼らの白血病、リンパ腫は業務と何の関連もない」という主張に要約される。 インバイロンは、サムスンの器興、華城、温陽工場で使っている化学物質を測定したが、 それらの工場の有害化学物質露出水準は露出時間の95%以上で、 それぞれの露出許容基準の50%未満であることが明らかになった。 特に、評価対象の35の生産工程のうち33箇所(94%)では露出許容基準の10%未満を記録して 「高度によく管理されている環境」という評価を受けた。 コンユ・ジョンオク活動家は、この結果はサムスン半導体工場の露出管理の優秀性を示すものだというよりも、 半導体産業の特性が反映されたものと解釈するのが妥当だと主張した。 最近40年間、米国の半導体ウェハー加工工場で使われる化学物質60種以上の露出水準を分析した資料を見れば、 すでに1980年代後半から94%以上の物質が露出許容基準の1%未満に管理されている。 問題は、こうした低濃度に露出した女性半導体労働者の自然流産が3倍以上の有意に増加したというところにある。 その上、子供の先天性奇形や生殖能力減少も複数の研究により確認された。 このように、非常に低い露出水準でも健康の損傷が発生する米国半導体産業の問題について、 すでに20余年前に学者は現行の露出基準が健康を保護できない指標である可能性、 空気中の露出以外の露出経路が作用する可能性、 測定していない物質が健康に対して有害な可能性、 さまざまな化学物質の有害性が相乗作用をする可能性などを提起した。 化学物質を使う前にその有害性情報を確保し、 これにより使用の可否を決めたり使用時の露出予防のための対策を樹立するべきだが、 サムスンの場合は正確にいつからどんな基準で関連の対策を樹立したのかを明らかにしていない。 コンユ・ジョンオク活動家によれば、 サムスン電子の場合、生産品や協力社に納品する部品に含まれていた化学物質のうち、 有害化学物質を区分して管理する方案は2007年に備えられていて、 工程で使う物質の新規購入前の事前評価は2010年に入って新しく用意したと見られる。 コンユ・ジョンオク活動家は 「産業特性と私たちが持つ露出基準を盲信しない科学的な姿勢が必要だ。 これほど低いのに病気が続くことを考慮しなければならない。 この基準を作るのは何十年もかかる。 事前予防的な接近をしなければならない」と強調した。 閉鎖された空間、閉鎖された態度労働部は2009年のリンパ造血器系ガン疫学調査終了後の後続措置として、 ハナロ三星をはじめとする半導体事業場に独自に危険性評価諮問を受けるよう勧告した。 ソウル大学校が調査して評価し、諮問報告書を提出した。 2009年、最初に労災補償を請求したサムスン半導体リンパ造血器系ガン被害労働者たちが勤労福祉公団から労災不承認判定を受け、 2010年に労災認定のための行政訴訟を始めた時、 サムスン半導体工場の作業環境に対する唯一の報告書だったが、 サムスン電子は資料の提出を要求する行政法院の要請を拒否した。 この報告書の一部が知らされたのは2010年9月、匿名の情報提供者が報告書の一部を参与連帯に提出してからだった。 サムスン電子は事業場でのベンゼン使用はないと主張したが、 実際にサムスンが使用化学物質の成分を分析して物質安全保健資料(MSDS)が正確かどうかを確認したことはなく、 器興工場で使っている感光剤バルク数十種類のうち任意に選んで分析した6つの試料すべてからベンゼンが検出されたという事実があらわれた。 正常な作業過程でも有害ガスの漏出が頻繁だという弱点も確認された。 2011年に出てきたインバイロンの報告書発表は、器興工場内部に招待された人々しか聞くことができなかった。 パノルリムも招待されたが、たった2人の専門家しか入れないと制限された。 会社が提供した写真と映像が提供されており、録音機やカメラなどは使用が禁止された。 発表は英語で行われ、発表資料は配布されなかった。 これに対する市民社会の批判が高まると、2011年12月に1か月だけ、 器興工場に直接訪問した者だけが内容を閲覧できるというお知らせを英文ホームページに掲示した。 閲覧も秘密維持誓約を作成しなければならず、一人で行かなければならず、 複写や記録は禁止されるという条件がついた。 該当報告書は2012年3月になって〈サムスン半導体の話〉のブログに掲載された。 こうした閉鎖的な態度は、無労組事業場のサムスンの労働者にも影響を与えた。 サムスンは職員にインタビューして 「15年間働いた事業場なのに、何か問題があるのなら、すでにあるのではないか」、 「一度も危険と思ったことはない」等の内容を引き出した。 パノルリムも10年間活動をしながら、現職労働者の話はほとんど聞いたことがない。 ある労働者が情報提供をしてきたが、すぐマスコミには知らせるなという言葉を付け加え、 マスコミにも発表できなかった。 パノルリムは労働者たちが口を開きたがらない最大の理由は、雇用上の不利益ためだと見ている。 コンユ・ジョンオク活動家は 「安全保健管理を成功させるには、事業主や専門家の努力だけでなく、 労働者の積極的な参加と実践が必要だが、 企業が助長する安全不感症や責任転嫁で埋められているのではないのかが心配」と話した。 討論会に参加した大邱カトリック大産業保健学科のチェ・サンジュン教授は 「半導体産業は先端技術産業なので競争企業の間で徹底した企業秘密維持により、 競争力を維持しなければならないという考えが一般的だ。 こうした企業秘密維持の必要性が生産技術領域だけでなく、 安全保健領域でも幅広く認められる雰囲気だ」と現状況を診断した。 チェ教授は安全保健の面で半導体産業の企業秘密の領域を縮小し、 労働者の知る権利を拡大する制度的な改善を助言した。 チェ教授は「疫学調査を遂行する場合、できるだけ必要な情報を要求して、 企業体がどこまで許容して提供したのかについての制限を記録し、 こうした制限を考慮して疫学調査の結果を評価しなければならない」と述べた。 労働者の知る権利のための制度としては、 化学物質のMSDS作成で「営業秘密事前審査制度」を導入しようと推薦した。 一方、サムスンと対照的な姿を見せる企業はSKハイニックス半導体であった。 2014年に半導体事業場に関する職業病問題が発生した後、 SKハイニックスは外部の専門家と労使代表で構成した産業保健検証委員会を発足させ、 1年間、産業保健疫学調査を進めた。 調査発表も開かれた空間の光化門で何の制限もなく進められた。 SKハイニックスは2015年11月に公開発表された産業保健検証委員会の提案をそのまま受け入れて産業保健支援補償委員会を作り、 法務法人ハンギョルにその運営を委任した。 8月、大法院での「歴史的判決」しかし労災を扱う裁判所の判例は注目すべき変化があったということには、 発表者とパネルのほとんどが同意した。 パノルリムは10月31日の第13次集団労災申請を含み、現在まで電子産業労働者92人の30種類ほどの疾患について労災申請をした。 勤労福祉公団はそのうち11人の7つの疾患に対して労災認定処分を出し、 裁判所は10人の6つの疾患に対して労災認定判決を出した。 弁護士のイム・ジャウン パノルリム活動家は 「相変らず労災申請の数字と労災認定の数字の間隙は大きいが、 半導体労働者の疾病を労災と認める判決は時間が経つほど対象事業場と疾病を拡張しただけでなく、 判定の論理面でも発展する姿を見せた」と評価した。 イム・ジャウン活動家は8月29日の大法院のサムスンLCD希少疾患労災認定判決を 「歴史的な判決」と紹介した。 パノルリム事件が大法院で勝訴した初の事例だった。 大法院は労災補償保険が先端産業分野勤労者を保護すべき現実的、規範的な理由と、 労災補償保険制度の目的と機能を詳しく説明した。 また、労災保険法律上の「業務と疾病の間の因果関係」は、 医学的、自然科学的観点ではなく、法的、規範的な観点から判断すべきだと強調した。 大法院は該当事件で産業安全保健研究院疫学調査にどんな問題があって、 訴訟の過程でサムスン電子と雇用労働部が事業場関連の資料をどのように隠したのかを具体的に指摘して 「勤労者に責任がない事由により事実関係が糾明されない事情」を参酌した。 イム・ジャウン弁護士は 「一番印象的な点は、労災保険制度の目的と趣旨、 特に電子産業職業病問題にこの制度がどう適用されるべきかを具体的に実施したこと」で 「この制度を運営するにあたり、その本来の目的と機能に忠実でなければならないという大法院の峻厳な命令が入っていた」と述べた。 先月118人目の死者故ファン・ユミ氏お父さん、ファン・サンギ氏も討論会に参加してサムスン電子を糾弾した。 ファン・ユミ氏はサムスン半導体器興工場で働いて白血病にかかり、2007年に死亡した。 ファン・サンギ氏は「李在鎔(イ・ジェヨン)が聴聞会に出てきて問題解決を約束し、 労働部長官、共に民主党の指導部がサムスンとパノルリムの問題を解決すると約束したが、 世の中は言葉の羅列だけで終わっている」とし 「サムスンは政権が諦めるのを待っている」と批判した。 続いて「政府がサムスンに誤りを直せとは一言も言わず、 サムスンをずっとイミョンパククネのように甘やかすから解決しない」とし 「文在寅(ムン・ジェイン)政府も言葉を並べるのをやめて、行動で見せなければならない」と主張した。 一方、パノルリムは真摯な謝罪と再発防止対策などを要求し、2015年10月7日からサムスン瑞草社屋の前に座込場を作り2年以上、座り込みを続けている。 患者と死亡者も続いている。 10月4日、サムスン電子半導体工場で働いていたイ・ヘジョン氏が死亡した。 2007年11月以後、サムソン系列社で発生した118人目の職業病死亡者だ。 このうち半導体とLCD部門の死亡者は80人だ。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2017-11-16 04:22:18 / Last modified on 2017-11-16 04:22:19 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |