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韓国:江南鉄塔上のキム・ヨンヒを忘れないで
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そこに人がいる

[寄稿]江南駅交差点鉄塔の上、キム・ヨンヒを忘れないでください

キム・ジョンヒョン(行動する市民) 2020.04.20 18:40

[出処:チャムセサン資料写真]

地上から25メートル離れた上空に人がいる。 江南駅交差点の鉄塔の上にキム・ヨンヒという人がいる。 そこは足を延ばして横になるのも難しい半坪程度の狭い空間だ。 2019年の暑かった夏と激しい風が吹いた冬の寒さをキム・ヨンヒはひとりで耐えなければならなかった。 そうして300日が過ぎた。 専門の医者によれば、人が動かずに長時間同じ姿勢を取っていると、 体内の臓器が本来の機能ができないという。 身体の筋肉もほとんどが損傷した状態と考えなければならないという。 そんな彼が今は死を覚悟してハンストを始めた。 2020年の4月18日は、彼がハンストを始めてから15日目になる日だ。 江南駅交差点のそこには大韓民国の一等企業と呼ばれるサムスン本社があって、 サムスン財閥と300日を越える容易ではない戦いを続けている 白髪のキム・ヨンヒがいる。彼は1959年生まれだ。

鉄塔上のキム・ヨンヒは憲法が保障する労働組合をサムスン財閥で作ろうと思った。 サムスンの返事は10億をあげるから労働組合を作るのを諦めろという懐柔と、 生命の威嚇を感じさせる数回の暴力として返ってきた。 これに適当に妥協していれば、今彼が江南駅交差点鉄塔の上にいる理由はなかっただろう。 暴力的な強要と懐柔に屈しない人間、キム・ヨンヒに対するサムスンの次の返事は、 ひとりの人生を壊すばかりでなく、彼の家族までを徹底的に破壊した。 サムスン財閥は法より拳が早いことを証明しようとし、 大韓民国の憲法の上にサムスン財閥が君臨していることを証明しようとした。 これが果たして大韓民国一等企業の本当の姿なのか尋ねざるをえない。 サムスンが世界の有名大企業になりたいのなら、 労働者の基本権を主張するキム・ヨンヒ、 彼の26年間のすさまじい叫びにまともに返事をしなければならないだろう。

「人が優先だ」というスローガンを押し出して 「1700万キャンドル市民の熱望」により執権した文在寅(ムン・ジェイン)政府はどうだろうか。 文在寅大統領は 430億ウォンの賄賂供与と97億ウォンを横領したサムスンの実質的な第一人者で法律違反者の 李在鎔とのスキンシップを止めなければならない。 李在鎔をまた監獄に送らる職務と責任が、 司法府と文在寅政府にある。 そして法律違反者の李在鎔をまた監獄に送ることが、 大韓民国がまともな法治国家であることを証明することだ。 李在鎔副会長は、 今までのすべての不法行為について国民の前にひざまずいて謝罪しなければならない。 また、一人の労働者の血を吐くような絶叫に対しても、 心からの謝罪と責任ある行為が行われなければならないだろう。

やはり16年間、生存権保障を要求するサムスンの撤去民被害者、 ガン保険費が約款のとおりに支払われず、 道路で怒りとくやしさを叫ぶ癌患者にも、 李在鎔とサムスンはきちんとした解決法を提示しなければならないだろう。 これが企業の首長として当然すべきな正しい姿であり、大韓民国一等企業の姿勢である。

文在寅政府も 一人の労働者の命がけの叫びに知らんふりをし続けたことに対する謝罪が必要で、 問題の解決法を用意しなければならないだろう。 文在寅政府が本当に 「人が優先」だと考えるのなら、当然そうするべきだ。 文在寅大統領は以前、 キム・ヨンヒ氏の弁護人としてサムスンとの法定闘争できちんと役割を果たせず、 裁判で敗訴したことがある。 裁判でキム・ヨンヒ氏が勝訴できる核心的な証拠資料を脱落させたのが、 当時、キム・ヨンヒ氏の担当弁護士だった今の文在寅大統領だ。

では生活がさらに苦しくなったわれわれ市民は、 果たして何をするべきだろうか。 文在寅政府に対して 私たちが一層声を高めるべきではないだろうか。 人が優先だと、鉄塔の上で人が飢えて死ぬというのに、 あなたたちはいったい何をしているのかと。 また、絶対的な資本に対抗して容易ではない道を進む彼に、 そこでくやしく死んではいけないと力いっぱい叫んでほしい。 あるいは彼は、大韓民国の法治をしっかり立て直されなければと、 私たちの代わりに、かろうじて叫んでいるのかもしれない。 もしキム・ヨンヒがそこで死ねば、 これは韓国社会の基本倫理と道徳の死であり、 また韓国社会の良心の敗北であろう。 多くの市民が彼が生きて、堂々と歩いて降りてくることができるように、 声をあげてほしい。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-04-23 05:10:21 / Last modified on 2020-04-23 05:10:23 Copyright: Default

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