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韓国:電気民営化は続く
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電気民営化は続く

知識経済部、電気民営化あおる集団エネルギー事業拡大

ユン・ジヨン記者 2010.12.20 17:52

10月に発生した舎堂洞ウソン、新東亜、極東アパートの断電危機は『電気区域 事業』の副作用が端的に表れた事例だった。電気料金を払っても、住民が断電 の危機に処するという事実は、多くの人々の耳目を集め、電気区域事業の弊害 は言論から集中打撃を受けた。

[出処:チャムセサン資料写真]

だが当時の事件は区域電気事業が導入された2004年から着実に積み重なってき た業者、住民、そして知識経済部と韓電の対立を本格的に予告する前哨戦に過 ぎなかった。特にまだ問題が解決していないこの地域では、住民の戦いの真っ 最中で、業者と住民の対立は今、知識経済部にまで拡大する様相を見せている。

舎堂洞ウソン・アパート3団地の住民は、昨年から知識経済部に『韓電から電気 の供給を受けたい』という意見を表明してきた。だが知識経済部はこれへの確 答を避けて、「舎堂地域全体の事業について総合的な検討が必要と判断される」 と答えた。知識経済部が区域電気事業地域の総合的な検討に着手したのは歓迎 すべき話かもしれないが、住民はすぐ反発した。区域電気事業が拡大している 状況で、知識経済部の回答は面皮用にすぎないという説明だった。

実際に知識経済部は継続的に電気区域事業を含む集団エネルギー事業の拡大を 進めており、7月に発表した『電力産業構造改編案』には大きな枠組みのエネル ギー民営化事業が含まれている。「韓電に戻りたい」という住民の要求に対し、 「無条件に韓電に移せるものではない」と粘る知識経済部の間には、こうした 電気民営化事業の拡大政策があるからだ。

電気民営化、多様な形態で拡大

知識経済部は12月17日、庶民アパートのマイホーム住宅地区3ケ所に集団エネル ギー供給計画を発表した。集団エネルギーは多くの使用者を対象に供給される 熱と電気に、集団エネルギー事業は民間業者が知識経済部の許可を受け、地域 冷暖房事業などを実施する政策だ。特に住民に熱と電気を直接供給する方式の 区域電気事業(CES)は電気民営化の一環で、舎堂洞断電事態を起こした。

知識経済部の発表により、南揚州ジンゴン、高揚ウォヌン、富川オクキルと始 興ウンゲなどのマイホーム住宅地区には、熱併合発電所建設事業のために1兆 5700億ウォンの民間資本が投入される予定だ。また知識経済部は昨年10月、す でにソウル江南と下南ミサ地区を集団エネルギー地区と確定し、今後、光明始 興、下南カンイルなど3次マイホーム地区まで供給する計画だと明らかにした。

それだけでなくセマングム、群山経済自由区域のセマン地区と鎮川サンス産業 団地も供給候補地域に確定し、2018年までは松都観光団地と2015年まで釜山長 安地区も集団エネルギー供給対象地域になった。

エネルギー供給を民間に委譲する知識経済部の民営化政策はこれに終わらない。 知識経済部は2020年までに1兆ウォンを投資して、竣工10年が過ぎたソウル地域 公共賃貸アパート88万世帯を対象にアパートエネルギー節約専門企業(ESCO)の 事業を拡大すると明らかにしている。ESCO事業は、エネルギー節約専門企業が 暖房、電気などのエネルギー節約型施設に先に投資して、エネルギー削減額で 投資額を回収する制度で、地域の電気事業を独占するということで、区域電気 事業と一脈通じる。

エネルギー労働社会ネットワークのソン・ユナ事務局長は「ESCO事業の出発は エネルギー削減事業だが、これまた区域電気事業と同じように韓電が独占して いた電気事業を民間に開放する多様な形態の一つ」と説明した。

政府の『電力産業構造改編案』、程度の高い市場化を標榜

7月、政府は『電力産業構造改編案』を発表するにあたり、電力事業の市場化を 標榜した。事実上、電力産業構造の改編は金大中政府で始まった議論で、韓電 などの公企業民営化がその議論の骨子だった。金大中政府は2001年、韓電から 韓国水力原子力(韓水原)と火力発電所を運営する 南東、南部、西部、東西、 中部の5つの子会社に分離したが、民営化は世論の反対で実行に移せなかった。

以後、金大中政府が標榜した公企業の民営化、そして電力産業の市場化は長期 的な課題に残された。つまり民営化、市場化の基調は維持したままで世論により 可能性だけを占う程度に過ぎなかった。李明博政権も就任当時、公企業の民営化 を標榜していたがキャンドル世論に押され、2008年6月、任期中には電気と水道、 ガスの民営化は推進しないと発表した。

だが今回の『電力産業構造改編案』では、韓水原と火力発電5社を市場型公企業 に転換する方針を含む電力産業の市場化が本格的に提示された。政府は『現行 体制を維持する』とは言うが、電力事業の民営化に向けて一段階跳躍した格好 になったのだ。

特に販売部門の競争強化は、民間企業等により電力構造が独占される形式にな り多くの憂慮を発生させている。もちろん現政権下で電力産業の民営化が行わ れる可能性はきわめて低いが、政権の電力産業民営化の意志はそのまま現わし ているわけだ。現在、電力産業民営化が定着した米国21の州と英国などの住民 は、継続的に電気料金が上がっているという。米国のカリフォルニア州では、 舎堂洞事態と同じように何度かの大規模停電事態を迎えることもした。

改編案が発表された7月、これに対して社会公共研究所はイシュー・ペーパーを 発行して政府の電力事業市場化を批判した。彼らはイシュー・ペーパーで 「KDI報告書の内容は、既存の分割-売却方式の構造改編方案をそのまま継承す る内容で、民営化に言及しなかっただけで発電と販売競争強化、送電の分離な どの電力産業の市場化強化の内容を踏襲している」とし「また料金現実化では、 料金値上げ不可避論を全面的に打ち出しており、エネルギー基本権、電力の 公共性の毀損を憂慮させる」と付け加えた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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