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韓国:公共病院晋州医療院廃業、根拠は?
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公共病院晋州医療院廃業、根拠は?

廃業反発の世論が広がる...労組は「公共医療死守」で断髪

チョン・ジェウン記者 2013.03.12 14:58

慶尚南道は、国民の税金で運営される地域公共病院の晋州医療院を廃業するという立場を表明し、これに対する反発が広がっている。朴槿恵(パク・クネ)大統領大統領の選挙公約は「公共病院拡充と地域拠点公共病院活性化」だったが、洪準杓(ホン・ジュンピョ)慶南道知事は大統領当選翌日、晋州医療院廃業計画を発表した。

続いて3月8日「慶尚南道医療院設立および運営条例一部改正案」を立法予告し、 廃業を強行しようとしている。慶尚南道は改正案の立法予告後、27日まで意見 を聞き、来月開かれる慶尚南道議会で条例改正が終われば廃業を申告して解散 と清算の手順を追う計画だ。

全国保健医療労組は、慶尚南道議会が臨時会を終える14日に議会広場で大規模 な集会を開き、晋州医療院の廃業撤回を要求する予定で、衝突が避けられない 状況だ。保健医療労組晋州医療院支部に所属する3人が12日、慶南道庁正門前で 断髪して、晋州医療院廃業阻止と公共医療死守のために総力闘争すると約束した。

労組は「廃業強行は地域住民の意見を聞かず、手続きも無視した非民主的決定 で、公共医療への無関心と無知に始まった時代錯誤的な決定」とし「地方医療院 の運営に過度な市場論理を適用するな」と主張している。

▲[写真:全国保健医療労組]

公共病院に収益性の論理?...「公共病院の特性上、健康な赤字」

労組、市民社会団体などは、慶尚南道が「収益性」を根拠に晋州医療院廃業を 強行していると批判している。民間病院と違い、公共病院では収益性が存廃の 根拠にならないためだ。

参与連帯は3月11日に声明書を出して「晋州医療院が廃業すれば、診療費が高い 民間病院を利用するのが難しく、地方医療院に来ていた低所得層はさらに深い 貧困に陥る」と憂慮した。労働界と市民社会団体で構成された公共部門民営化 反対・公共性強化国民行動(準)も、12日午前に記者会見を行って「公共医療を 市場論理だけで閉鎖するのは、慶尚南道が地域住民の健康を捨てるということ」 と晋州医療院の廃業撤回を要求した。

地域公共病院は全国36箇所しかない。労組の資料によれば韓国の公共医療機関 の割合は、地域の公共病院と保健所、国立大病院などをすべて合計しても7%で、 非常に低い。労組は「晋州医療院は、毎年20万人の患者を見て、看病費負担を 減らすための保護者のいない病棟の運営、一人暮しの老人等のぜい弱階層無料 診療、医療給与患者と低所得層医療支援事業、地域社会保健教育など、毎年7億 ウォンほどの公共保険医療事業を遂行してきた」と明らかにした。収益性が 病院運営の重要な根拠である民間病院では簡単にはできないことだ。

こうした理由で地域公共病院で赤字が発生するのは当然だろう。公共病院運営 のための「健康な赤字」だと表現されることもある。参与連帯は「地域の拠点 公共病院の赤字は、低い保険点数と公共病院という特性上、非給付診療が殆どなく、 公共医療を遂行するために避けられない面がある。『健康な赤字』といえる」 と主張した。

だが慶尚南道はおよそ300億ウォンの累積負債と毎年40~60億ほど発生する赤字 にもう責任が持てないとし、設立100年を越える晋州医療院廃業を強行している。 5年以内に資本金(330億ウォン)蚕食と破産は避けられないと展望した。

慶尚南道経営危機説流布疑惑...道民65% 「晋州医療院廃業は誤り」

慶尚南道が主張するように、果たして晋州医療院は破産が避けられない程経営 が苦しいのかという疑問が提起されている。社会進歩連帯付設労働者運動研究 所は、11日に報告書で「負債規模が増加し、負債比率も増加したのは事実だが、 他の事実はすべて無視して300億ウォンという金額だけ出してきたのは経営危機 説を流布するためのずるい方策」だと主張した。経営の安全性を判断する指標 の負債比率を見ると、晋州医療院は63.9%で安定した財務構造だという。

彼らは「2011年末現在、晋州医療院の純資産は396億ウォンだが、すべての負債 を償還、清算すると仮定すれば、396億ウォン残ることを意味する。このような 状態を『廃業するしかない経営危機』というのはまったくおかしい」と主張した。

続いて病院の資産規模そのものが大きくなったため、負債比率の増加が経営の 安定性が低下したと見ることができず、「現代車の負債は74兆ウォンにのぼり、 負債比率は154%だが、現代車の経営危機を意味しないのと同じ論理」と説明した。

▲報告書によれば2005年より、2011年の負債は170億ウォン増加し、負債比率も2倍ほど上がったが、病院の資産規模自体が大きくなったので負債比率が増加しても経営の安定性が低下したと言えない。

彼らはまた「6年間の営業活動によるキャッシュフローを平均すれば、実際の 現金損失は年平均9億9千万ウォンに過ぎず、40~60億ウォンの帳簿上の損失とは 差がある。結論として3年から5年以内に晋州医療院が破産するという主張は とんでもない誇張」だと明らかにした。

晋州医療院の負債のかなりの部分が地域開発基金借入金だという事実も注目す べきだ。晋州医療院の新築移転事業費534億850万ウォンのうち200億ウォンを越 える費用は中央政府からの支援を受け、慶尚南道が約22億ウォンの敷地と92億 ウォン程度の資金を支援した。現在残された地域開発基金借入金は117億ウォン 程度で、2018年までに年10~20億ウォン程度を償還しなければならない。突然 の廃業の根拠とするのは難しい部分だ。

国民行動(準)は「晋州医療院の負債の33.6%は『地域開発基金』で、病院の移転 による新築工事・新築装備購入費と運営資金用途だった。責任当事者の慶南道 が負担する部分」とし「もし毎年10億~20億ウォンずつ負担する地域開発基金 の借入金を慶南道が負担していれば、晋州医療院の経営は大きな問題がなかっ ただろう」と主張した。

一方、金美希(キム・ミヒ)統合進歩党議員が社会動向研究所(STI)に依頼して、 9日に19歳以上の慶南道民1000人を対象として実施した世論調査の結果、慶南道 民の65.4%が公共病院の晋州医療院を閉鎖するという慶南道の決定は誤っている と答えた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-03-13 02:44:33 / Last modified on 2013-03-13 02:44:34 Copyright: Default

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