無茶苦茶になった『最低賃金委員会』...収拾できるか?
野党、労働界、経営界、政府の立場の差は相変わらず
ユン・ジヨン記者 2012.07.12 17:08
今年の最低賃金委員会が二大労総の勤労者委員が全員辞任したことで、例のない
混乱をむかえているが、最低賃金法を改正するための野党と労働界の議論が
続いている。
二大労総と民主統合党、統合進歩党は7月11日、国会議員会館新館小会議室で
『最低賃金法の問題と改善方向討論会』を開き、最低賃金委員会混乱の原因と
立法方向を討論した。今回の討論会は、最低賃金、非正規職、整理解雇、労働
時間短縮、労働基本権保障および労組法改正など、労働関係法の改正に向けた
連続討論会のうち最初の日程だ。
討論会には民主統合党の洪永杓(ホン・ヨンピョ)議員、統合進歩党のシム・
サンジョン議員、経済人総連のキム・ドンウク経済調査本部長、民主労総の
チョン・ヨンゴン副委員長、雇用労働部のヤン・ソンピル勤労改善政策課長が
参加した。
野党と労働界、最低賃金法改正案用意
平均賃金50%法制化などを要求...公益委員の選定手続きなど意見の差も存在
最低賃金委員会の混乱の火種は4月末、政府が一方的に公益委員と国民労総勤労者
委員を委嘱したことから始まった。
二大労総は、政府が公益委員の選出にあたり、ILO協約131号と勧告30号に違反
し、中立性、専門性に問題がある外部の専門家を一方的に委嘱したとし、最低
賃金委員会への不参加を宣言した。代表性がない国民労総を、一方的に勤労者
委員として委嘱したという批判も提起された。
結局、二大労総は最低賃金勤労者委員8人が7月9日、全員辞任の意志を表明し、
最低賃金法改善闘争を始めた。民主統合党と統合進歩党も、最低賃金法改正を
党論に採択し、法改正作業に着手した。
勤労者委員の全員辞任で、今年の最低賃金委員会での可視的の混乱が浮上した
が、事実上、最低賃金委員会の混乱はすでに数年前から予告されてきた。最低
賃金の決定方式と制度の問題から、OECD国家では最低水準の最低賃金は、毎年
労働界と市民社会に指摘されてきた事案だった。昨年の最低賃金委員会も終盤
の陣痛の末に勤労者委員が全員辞任し、労働界は下半期の最低賃金法改正闘争
を宣言した。
そのため今年、民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)議員と統合進歩党のシム・
サンジョン議員はそれぞれ19代国会に最低賃金法改正案を発議し、最低賃金法の
大々的な手入れを予告している。
まず、労働界をはじめ民主統合党、統合進歩党は、最低賃金を全勤労者の平均
賃金の50%以上と規定する改正案で立場を共にしている。家事使用、修習、
監視取締的労働者への減額適用規定を削除するという法改正案の内容も同じだ。
シム・サンジョン議員は「ただし、統合進歩党は精神障害や身体障害で、勤労
能力が低い者などに対する制約適用規定も削除するという立場で、この部分で
民主統合党と立場に違いがある」と明らかにした。また統合進歩党は最低賃金
勤労者を使うすべての事業または事業場に適用するという内容を改正案に含めた。
公益委員選定方式など、最低賃金委員会の構成についての問題でも、両党は立
場の違いがある。現在、民主統合党は公益委員を労使政それぞれ3人ずつを推薦
し、雇用労働部長官の提案で大統領が委嘱する内容の改正案を発議している。
しかし統合進歩党は、公益委員を労使政がそれぞれ推薦した者の中から労働者
委員と使用者委員を投票で選出し、大統領が委嘱する方式を提示した。また、
違反事業場への罰金の強化と過怠金の新設、勤労監督強化などの内容を入れた。
洪永杓(ホン・ヨンピョ)議員は、「最低賃金を定額賃金平均の50%にするという
内容などは、シム・サンジョン議員の案と似ているが、ただし公益委員の選定
などは労働界とは意見が異なる」とし「民主統合党の改正案の骨子は2017年を
目標に委員会の構成と運営の民主性を段階的に確立すること」と説明した。
経営界「最低賃金委員会は不要...政府が直接決めろ」
雇用労働部「現行の最低賃金委員会方式が正しい」
だが経営界と政府は、野党と労働界の最低賃金法改正案に難色を示している。
経済人総連のキム・ドンウク経済調査本部長は「経営界としても最低賃金だけ
で勤労者が生活するのは不足だということは知っている」が、「だが最低賃金
を負担する主体はほとんどが30人未満の零細な中小企業で、これらの小商工人
も最低賃金の対象になる勤労者とあまり違わない苦しい階層」と主張した。
現在の最低賃金水準も低くはなく、野党の最低賃金法改正案の妥当性が低いと
いう批判も提起した。キム・ドンウク本部長は「最低賃金水準が低いと言うが、
決してそうは思わない」とし「最低賃金は2000年から8%以上ずつ上がり、物価
上昇率や賃金上昇率の2.3倍上がった」と強調した。
野党の最低賃金法改正案について「平均給与の50%と規定するという主張の明確
な根拠を提示できず、法や制度で最低賃金が平均賃金の50%を越えるという法例
は、世界にもない」と主張した。
現在、経営界は公益委員の支持の有無により、労使どちらか一方の意見が反映
される意志決定構造を問題だと指摘している。そのため不要な最低賃金委員会
の運営をやめ、政府が直接決めることが妥当だという代案を出している。キム・
ドンウク本部長は「最低賃金委員会の制度改善については、政府が直接、最低
賃金を決めろと何度も申し上げた」とし「委員会の混乱などの社会的混乱を防
ぐためには、政府が責任を持って直接決めるのが有益」と付け加えた。
しかし雇用労働部は、現行の最低賃金委員会の決定方式や構造が最善だという
立場だ。雇用労働部のヤン・ソンピル勤労改善政策課長は「公益委員を労使が
推薦するのは難しく、公益委員を労使が推薦すると利害関係により中立的な
運営ができないので、現行方式がいいと思う」と明らかにした。
続いて公益委員が政府の意思を反映しているという批判にも「公益委員当事者
の意思が強く反映されており、公益委員の意見を労使がどれほど受け入れるか
は他の懸案」と強調した。
最低賃金を全勤労者賃金平均の50%以上に規定すべきという改正案についても
立場は異なる。ヤン・ソンピル課長は「最低賃金を平均賃金の50%に法制化する
ことが正しいのだろうか、悩みが多い」とし「自然に交渉で上がるのがいいが、
労使に不満があるのも現実」と説明した。
一方、ヤン・ソンピル課長は、国民労総の最低賃金委員会への参加について
「国民労総の最低賃金委員会の資格について申し上げるのは難しい」が「だが
国民労総も総連合団体で、法的に設立申告が完了しており、勤労者を代弁する
さまざまな方法があると思う」と述べた。
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可( 仮訳 )に従います。
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Created on 2012-07-13 05:03:18 / Last modified on 2012-07-13 05:03:18 Copyright:
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