韓国:最低賃金の決定方式を変えろ | |
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最低賃金の決定方式を変えろ[連続寄稿](2)低賃金労働者と共に最低賃金闘争を
キム・ヘジン(全国不安定労働撤廃連帯) 2011.06.09 14:54
最低賃金に影響される労働者が増えた現実1990年代には最低賃金が今ほど重要ではなかった。最低賃金は文字通り賃金の 最低線で、労働者の賃金はそれより高いのが当然だったためだ。ところが今は 最低賃金が国民すべての関心事になってしまった。最低賃金に直接影響される 労働者があまりにも増えたからだ。国の経済は日々発展するが頑張って働く人々 の人生は貧しく、疲れている。法定最低賃金未達者も200万人になり、賃金労働 者の中位賃金の2/3未満の低賃金労働者は470万人になるのが現実だ。 大統領が『ビジネスフレンドリー』を叫び、ただ企業の利益が最高になる社会 で、労働者の賃金が最低線まで下がるのは当然かも知れない。非正規職という 理由でいつ解雇されるかわからず堂々と賃金を上げろと要求できない労働者、 大企業の単価引き下げ圧力を労働者の低賃金に転嫁する中小零細事業場で働く 労働者、そして社会的に労働を切下げられる老人と青少年、女性の多くが低賃 金に苦しんでいる。だが彼らはまだ組織率も高くなく組織されていても、いつ も解雇という威嚇に苦しむ。それで自分の力で賃金と労働条件を上げられない ので、最低賃金の引き上げを、それで自分の賃金が少しでも上がることを期待 しているのだ。 毎年同じ風景の最低賃金闘争組織された労働者が「最低賃金を上げ、すべての労働者の生活権を保証しろ」 と叫ぶ最低賃金闘争はとても大切だ。民主労総が最低賃金闘争を始めた2001年 から最低賃金は着実に上がり、全賃金労働者の時間当りの賃金総額の平均に対 する最低賃金水準も着実に上がり、2001年30.5%から2010年38.6%で上昇した。 しかし相変らずこの最低賃金では生計ができない。毎年最低賃金委員会で労働 者委員が闘っているが、経済人総連の凍結の主張と公益委員の資本家肩入戦略 で、2008年からは引き上げ率が一桁を越えず、その上、民主労総が『国民賃闘』 をするといった2010年には2.75%、110ウォン引き上げがすべてだった。今年も 経済人総連は最低賃金凍結案を出している。 低賃金労働者にとって最低賃金現実化はとても切実だが、現実はその切実さを 裏切る。なぜか? 今の最低賃金闘争を静かに見てみよう。労働界は全体労働者 の平均賃金が50%を要求している。まるで賃上げ闘争のように力関係で適切に調 整されていいはずの『要求案』だ。これに経済人総連は『凍結案』で対抗する。 平均賃金が50%と凍結案をめぐり攻防し、適正な時点に公益委員が登場する。こ れまで1人世帯の生計費も調査して物価上昇率も調査するが、これはすべて形 だけだ。公益委員はその調査とは無関係に毎年自分たちが適当だと思う『最低 賃金値上げ範囲』を出し、労働者委員と使用者委員はその範囲で駆け引きをする。 ▲2010年最低賃金委の前野宿座り込み[出処:チャムセサン資料写真] 最低賃金を決める日には、労働者たちは最低賃金委員会前に集まり集会をして 夜を明かす。だがすでに公益委員が出した範囲での駆け引きになり、労働者の 集会は労働者委員に力を入れるだけだ。そうして、結局、最低賃金が決定する と、労働者側交渉委員は徹夜座り込みをした労働者に『これしか取れなかった。 申し訳ない』と話す。一部の労働者はそうして合意したことに抗議するが、自 分とは無関係に一日座り込みにきたと思う正規職労働者は『終わったか』と考 えて座込場を離れる。低賃金労働者は翌年から新しく公布された最低賃金を適 用され、それは相変らず生計には不足する。いくら労働者が陣を敷いて座り込 みをして集会をしても、公益委員が制限した値上げ範囲を越えられない以上、 労働者の闘争は一回だけの動員でしかない。 低賃金労働者の要求が反映される最低賃金闘争を民主労総では今年はきちんと『国民賃闘』をしようという。もう今のような最 低賃金には耐えられないので今回はきちんと変えようという。だが今年の最低 賃金闘争は上のような風景から抜け出したか? それで今と同じ最低賃金を決定 的に変える契機になっているか? 不幸にもまだそうではない。相変らず低賃金 労働者にとって最低賃金は自分たちが努力したり共に闘争して変えられる何か ではなく、誰かが代理で決定するもので、少しでも高く決定されれば良く、で なければ残念というものでしかない。低賃金労働者が最低賃金闘争に自分の声 を反映する空間はなにもないためだ。 本当に最低賃金を現実化するには、だから低賃金労働者が連帯する闘争の構造 を作ろうと思えば、最低賃金闘争方式を変えなければならない。まず要求を決 める時、低賃金労働者の要求を反映するようにしなければならない。『全労働 者平均賃金の50%を法制化しろ』ではなく、単に最低賃金委員会での値上げ要求 を出す過程から民主労総はすでに貧困線以下の賃金を提起している。貧困線は 平均所得の2/3だが、民主労総は貧困線にも至らない全労働者平均賃金の半分を 要求している。今年の全労働者平均賃金の半分、5410ウォン、月平均113万ウォ ンの要求は、低賃金労働者の生活の苦痛を反映しない。四大保険などを引いた 手取りが100万ウォンにもならない賃金では貧困の苦しみから抜け出せない。そ の上、これは交渉過程でいつでもさらに下げられる、修正可能な『要求案』で しかない。 最低賃金の決定の過程でも、低賃金労働者の声は反映されない。最低賃金現実 化の切迫性があるのなら、政府と最低賃金委員会に私たちの要求を強制する闘 争戦術を立てるべきだが、私たちの戦術は最低賃金委員会前と経済人総連前で の集会がほとんどだ。実際に交渉が始まれば交渉委員に全てが委ねられ、最終 決定も交渉委員の役割だ。ひどい最低賃金を固守する最低賃金委員会に抗議す る進入戦術さえもない。とにかく最低賃金が決定すると、低賃金労働者はその 結果に賛成や反対を言うこともできず、単に受け入れなければならない。それ こそ代理交渉の典型だ。一銭でも上げることが重要だと感じ、最低賃金委員会 の交渉にしがみつくこともできるだろうが、まさにその点が低賃金労働者が 最低賃金闘争を自分の闘争と感じさせなくなり、最低賃金を現実化する闘争に 火がつかない要因だ。 低賃金労働者の声を反映して低賃金労働者が闘争で共にする空間を作ろうとす れば、要求案を決める過程から労働者が生活するために、どの程度の賃金が必 要なのかを問い、その過程で最低賃金要求案を決め、最低賃金交渉の過程で常 に労働者に交渉の状況を伝え、交渉がもう進まないと思ったり、交渉過程でこ れ以上妥協できないと思った時、果敢に交渉を破り、労働者にその過程を説明 し、政府と闘争する過程を作らなければならない。それでこそ、最低賃金は本 当に低賃金労働者と共にする闘争になる。 最低賃金の決定方式を変え、低賃金をなくす闘争に立ち上がれ最低賃金は人間らしい生活の基準を作る最低基準を設定する政治的な闘争だ。 それなら今は最低賃金闘争の方向を変えなければならない。最低賃金委員会に しがみつき、交渉で適切な水準で妥協する最低賃金委員会を無力にしなければ ならない。経済人総連と公益委員が労働者委員を圧迫し、妥協させる今の最低 賃金委員会の構造では、絶対に最低賃金現実化はできない。最低賃金委員会が 労働者の要求をきちんと反映しないということを暴露して、最低賃金の決定の 構造と決定方式を作り直す制度化闘争を始めなければならない。 最低賃金は労働者の闘争の成果で決定されるべきだ。生計費と物価上昇分が反 映され、法定最低賃金が自動的に上がるようにすることもできるだろうが、ひ とまず生計費と物価引上げ率により、基準が決まり、それよりさらに高い最低 賃金が決定されるように政府と闘争することができるだろう。労働者たちが直 接要求を決め、政府と闘争できるように最低賃金の決定方式を変えなければな らない。その時、最低賃金闘争は全体労働者の闘争になる。そしてそのような 制度化の闘争は、今の最低賃金委員会の構造をもう容認しないという労働者の 宣言と闘争がある時に始まる。 さらに重要なことは、低賃金構造をなくすことだ。最低賃金は人間らしい生活 のための最低基準だ。頑張って働く労働者の賃金は当然それより高くなければ ならない。そのような低賃金構造をなくすためにも、さらに多くの労働者が労 働組合を作り闘争するべきだ。すでに今年、ソウル地域の大学の清掃労働者は 集団交渉と集団闘争で、清掃労働者は最低賃金である必要はないと宣言し、闘 争で最低賃金を越えた。さらに多くの労働者が労働組合を組織することで、誰 もが生活できる賃金を受けられるということを知らせ、組織化を始めるべきだ。 それでこそ最低賃金は『最低線』になり私たちの賃金はそれ以上に進める。 そして労働者の賃金を最低賃金に固定させる各種の構造をなくすために努力し なければならない。中間搾取で労働者の賃金を下げる派遣用役などの間接雇用、 公共部門での最低価落札制度、最低賃金を全体賃金にする包括賃金制度、短時 間労働などの生活の権利を破壊する各種構造に対抗し、闘わなければならない。 組織された労働者は最低賃金闘争に劣らずこのように労働者の低賃金を固定さ せる構造に対抗する闘争に連帯しなければならない。 最低賃金委員会の前で一日徹夜をして何かをしたと満足する正規職労働者と、 最低賃金闘争に積極的でない低賃金労働者が、今こと闘争の主体になり、 最低賃金の決定方式と低賃金構造を変える闘争を始めよう。そうする時、 恩恵授与的で代理的な『国民賃闘』ではない本当の生活賃金連帯が形成される。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2011-06-10 11:51:15 / Last modified on 2011-06-10 11:51:18 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |