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韓国:ソウル駅の強制退去で追い出された野宿者はどこへ?
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ソウル駅の強制退去で追い出された野宿者はどこへ?

ソウル駅野宿者の夜...『怒り』だけが残る

ユン・ジヨン記者 2011.08.23 22:47

「服は臭く、身なりもひどい。金ができて、ご飯を食べようと食堂に入っても 飯を出してくれない。それで毎日ここでカップラーメンで間に合わせる。ここ にいる人を一度押してみろ。みんなバタバタ倒れるよ。そんな人に外に行けと? 記者先生も一日でも道で寝てみろ。その気持が理解できる。昨年の冬も外で寝 て凍え死んだ人がとても多いんのに...」

押し出せば押される本当の『社会的弱者』野宿者...『怒り』だけが残る

韓国鉄道公社がソウル駅の野宿者に退去を執行した8月22日の夜。ソウル駅の外 にはいつものように野宿者たちが三々五々集まっている。

公社側は事実上、8月1日から強制退去をする方針だったが、世論を意識して、 8月22日に延期していた。だが8月1日であれ、22日であれ、野宿者はもう間違い なく午前1時から朝の7時まで夜露に濡れなければならない。

ソウル駅の強制退去は22日の午前1時30分に行われた。当初、物理的衝突を憂慮 して用役職員を雇用するという立場まで発表したが、退去過程での特別な衝突 はなかった。駅職員の退去措置に大部分の野宿者は抵抗せず外に出された。

だが22日の夜に会った野宿者には怒りが残っていた。インタビューを一二回断 りながら、いつのまにか来て、ソウル駅強制退去の不当さを吐き出した。『い くらインタビューしても変わらない』とマスコミへの憎しみを口にしながらも、 また一回、藁でも捉むように『ちゃんと記事を書いてくれ』と要請した。

45年間ソウル駅で野宿をしてきたハン・グァンソク(仮名、68)氏は、ソウル駅 野宿者の間でも『超古参』だ。長い間ここで野宿をしてきたので、ソウル駅の 野宿の変遷について誰よりも詳しい。

「新しい駅ができる前は旧駅舎で寝ていた。そこは椅子が長くて楽に眠れたよ。 新駅舎になって、野宿者がそこに入って眠るしかなかったのに、椅子ごとに ひじ掛けがある。椅子ではまったく寝られない。

そして新しくできた建物なので、摘発も激しかった。われわれは毎日『花睡眠』 だった。花睡眠が何かというと、寝ては起きるということをずっと繰り返す。 駅で寝ると4時30分に職員が段ボールを片づけろと必ず起こす。前は清掃すると 起こして... それでも駅の中で寝るしかない。外で寝れば死ぬかもしれないか ら。去年の冬も外で寝ていて死んだ人は多い。死ななくても危急状況が多く、 よく救急車もきた... しかしもう外で寝るしかないので心配だ」。

[出処:ビーマイナー]

ハン氏の横にいたチョ・ソンマン(52)氏も言いたいことは多かった。彼はソウ ル駅野宿16年目だ。金ができて、食堂に入ってもご飯をくれないので、毎日カッ プラーメンで食事を間に合わせる。ここの野宿者のほとんどがそんな生活だ。

「先輩(ハン・グァンソク氏)が言う通り、昨年の冬にここで死んだ人も結構い る。凍え死んで、酒を飲んで死ぬ。毎日ラーメンばかり食べている野宿者の体 はひどい。寒い外で眠れば死ぬ。ソウル駅の下に地下道があるが、そこでも たくさん寝ている。それで場所がない。

ソウル駅で私たちが酒を飲んでいると言って追い出す。それで酒が飲めない。 いくら駅の中や地下道でも、夜は寒い。酒を飲んでからだを暖かくしなければ 眠れない。もうソウル駅に入れなくなったので、寒くなれば永登浦駅や乙支路 駅に行かなければいけない」

チョ氏に対し、寝床を失い、寒さと戦わなければならない野宿者のために政府 とソウル駅はどんな対策を出すべきかを聞いた。チョ氏の返事は簡単だった。 「ただ私たちをそのままにしておいてほしい。拘束せず、自由にしておいてほしい」

年齢と野宿期間など、一切の私生活の公開を拒否したキム・チョルミン(仮名) 氏は、誰よりも政府とソウル駅に不満が大きそうだった。

「物には順序がある。施設や休憩室を作ってから追い出すべきだ。何の対策も なく出て行けと言うのか。コレイル社長はホ・ジュニョンという人だろう? そ れほど路上生活者を見たくなければ、ホ・ジュニョンが出ていけば良いじゃな いか。寺が嫌なら坊主が出て行けばいいのに、ここの人を一度に追い出して どうするんだ。

簡易宿泊所を100作った? ソウル駅の路上生活者だけで300人をはるかに越える のに... そして簡易宿泊所に入る路上生活者もあまりいない。施設も問題だ。 シェルターは夜9時に入り、朝5時30分に出なければならない。それも酒をやめ なければ入ることもできない。ここで自由に暮らしている人の誰がそんな面倒 なところに入るか?」

野宿者のための『簡易宿泊所』、だが野宿者がいない『簡易宿泊所』

働いても心配、働けなくても心配する野宿者

ソウル駅による夜間野宿行為全面禁止措置の後、一部ではソウル駅の野宿者が 永登浦駅と竜山駅に流入するという風船効果が憂慮された。そのためコレイル の関係者は報道機関とのインタビューで、「退去措置初日の22日、永登浦駅と 龍山駅にの野宿者はあまり増えず、ソウル駅の野宿者が近所やシェルターに行っ たようだ」と明らかにした。

ソウル駅は、強制退去措置への世論の反発により、ソウル駅野宿者のための 簡易宿泊所100個所を無償賃貸すると発表した。ソウル駅側の説明によれば、 宿泊所対策がある程度の成果を上げているという。

だが野宿者の話は違う。チョ・ジャンホ(48)氏は先日、ソウル駅で寝ている時、 通行人から暴行された。チョ氏が野宿をしているという理由だった。突然の 暴行で頭が切れ、顔にアザができた。怪我も痛く、路上の野宿も恐ろしくなり、 彼は8月1日に簡易宿泊所の入居申請をして、宿泊所生活を始めた。

[出処:チャムセサン資料写真]

「この話は絶対に報道をしてほしい。簡易宿泊所に入った人のうち、野宿者は 5%しかいない。さあ見てみろ。ソウル駅の野宿者はそのままじゃないか。本来 の野宿者は5%しかいなくて、後の95%は生活能力がある人だ。人材紹介所を回っ て、仕事する人たち。その上部屋があって、タダ部屋だから入った人もいる。

審査する過程が間違っているからだ。審査基準がおかしい。ここにいる本当の 野宿者を優先して申請を受けなければならないのに、そんなことも考えない」。

野宿者を見る社会的な視線は多様だが、何よりも働く能力があるのに仕事をし ないという『怠惰』を指摘する視線が支配的だ。

だが働いている野宿者もいて、自活活動をする往年の野宿者も明らかに存在す る。問題は彼らの労働がそれだけの価値を認められず、野宿から抜け出せなかっ たり、野宿から抜け出しても相変らず生活に苦しむことが多い。特に働けない 野宿者はそれこそ『オリジナル野宿者』の生活を免れない。

チョ氏も働けない野宿者だ。8か月前までは時折土方仕事でわずかな金を握った が、交通事故の後遺症がひどくなり、それもできなくなった。

「何でもなさそうに見えるだろ? だけど足を見ろ。交通事故で足を怪我して、 最近はよく水がたまる。それで土方も仕事が切れた。そういえば働いていても とても足が痛み、もう働けない状況でもあったけれど。

働いてもほとんど稼げなかった。一日中仕事があるわけでもなかった。生活保 護も受けられない。それで私のようにしかたなく野宿をする人々が多い。いく ら夏でも夜露に濡れて眠ると、完全に体がおかしくなる。特に冬になると駅で なければ行くところがない。地下道に入ってもあまり空間がない。部屋を借り る金はなく、過ごす所は駅しかないってことだ。だけどもう駅には入れないの で、野宿者は雨を避ける所もなくなった」。

3年前から、10数年の野宿生活を終えて自活活動をしているホン・ジョンソク (仮名)氏は、大変な生活苦に苦しんでいる。道端の吸い殻掃除で1か月に得られ るのは33万6千ウォン。幸い条件付き受給者と認められ、1か月の生活保護10万 ウォンを受け取っているが、1か月の生計費はせいぜい43万6千ウォンだ。考試 院の部屋代20万ウォンを除けば食事をしたり、思いのままにタバコを吸うのも 難しい。

特に野宿者の自活勤労予算はゴムひも予算だ。これまでソウル市は季節により 特別自活勤労を増加、削減させ続けてきた。冬期の前には雇用を増やし、暖か くなると雇用を減少させる。実際に2009年の冬、特別自活勤労参加者数は860人 に達したが、3月には456人に人員を削減した。

給与もまた天気によって上げたり下げたりする。勤労日数を調節して、夏には 31万ウォンの給与を支払い、冬は39万ウォンに上げるという調子だ。だから、 雇用さえ奪われたり、不安定な特別自活勤労は、野宿者にとっての根本的な 対策にはならない。

野宿者の死の行列...『社会的殺人』はいつまで

ソウル市で一年間に客死する野宿者は、およそ300人にのぼる。この10年間、 ソウル市だけで1800人の野宿者が道路で命を失った。

野宿者に対する対策がない状況で、野宿者の死も社会的な関心を受けられない。 ソウル駅に苦情が来るという理由で野宿者の強制退去が行われるのも、野宿者 の人権が放置されていることを反証する。

だから市民社会団体は政府に根本的な対策を要求しているが、政府の対応は なまぬるい。ソウル駅も世論の反発にもかかわらず、結局、夜間の野宿行為の 全面禁止措置を施行した。

[出処:ビーマイナー]

『ソウル駅野宿者強制退去方針撤回、公共駅舎ホームレス支援対策用意のため の共同対策委員会』は22日、記者会見で「野宿は貧困の極端な形態でしかなく、 清掃の対象でも摘発の対象でもない」とし「野宿者だという理由だけでおおっ ぴらな社会的差別と弾圧が容認されれば、人間の普遍的権利は持てる者だけの 専有物に転落することを断言する」と憂慮した。

ソウル駅の措置についても「ソウル駅利用客の苦情の本質は脱野宿対策がなけ れば解消は不可能で、その責任分担は公共の駅であるソウル駅と韓国鉄道公社 にもある」と指摘した。世界的に鉄道の駅は、その立地的な特性により、多様 な危機階層が流入する入り口になっていて、ソウル駅と鉄道公社が彼らに公共 機関としての緊急支援を実施して、専門的な福祉支援を受けられる体系に連係 する役割を果たさなければならないと説明する。

また共対委は公共の駅のホームレス問題を根本的に解決するために、△危機介 入センターの設置、△社会危機階層の人権保護のための業務処理指針の用意、 △公共駅舎など野宿者密集地域での現場支援チームの拡充と効果的運営体系の 構築、△公共駅舎など地域での安全措置強化、△特殊な欲求を持つ野宿者への 支援体系構築および強化を要求している。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-08-24 08:23:55 / Last modified on 2011-08-24 08:24:16 Copyright: Default

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