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韓国:故障したシステム、『雇用許可制』
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故障したシステム、『雇用許可制』

[低い声](6)雇用許可制7年の風景

チョン・ヨンソプ(移住労組) 2011.08.25 18:38

移住労働者のK氏が最近労組を訪ねてきた。彼は働いていた工場での契約が7月 末で終わることと知って、8月の初めに雇用センターをに来て、青天の霹靂のよ うな話を聞いた。6月末日ですでに契約が終わっており、1か月以内に求職申請 をしなかったので、もうビザが切れているという。

後でわかったのは、形式上工場を二つ持っていた社長が、ソウルの工場を閉鎖 して所属労働者をすべて楊州工場に登録し(しかし労働者は初めから楊州工場だ けで働いていた)、退職処理をして(労働者たちには話していない)新しく契約書 を書かせた。だが、K氏は新しい契約書にサインすればさらに1年働かなければ ならないので、そのまま既存の契約書のとおりに働いて、終われば移動するつ もりだった。K氏が新しい契約書にサインしなかったので、社長は6月末にすで に退職申告をしたと知らせ、7月末までに雇用センターに求職申請をしなければ ならなかったのに知らせもせず、7月末までそのまま働かせたのだ。

突然の事態に、K氏はあちこちを飛び回って解決しようとしたが、雇用センター はすでにビザが切れたので仕方ないという言葉を繰り返すだけだった。結局、 移住労組と共にまた陳情を提起した。

雇用許可制は涙の種...7年間、ずっと移住労働者は抵抗

▲雇用許可制により9か月目に
自殺した故ラズ・カルレ氏。

この事例は雇用許可制の問題を端的に示す。すべての権限と情報が事業主に集 中し、労働者は何をするには自分が思う通りにできない事実上の強制労働状態 に置かれている。

移住労働者雇用許可制は2004年8月17日に始まったので、いつのまにか7年が過 ぎた。雇用許可制は数え切れない人権蹂躙と搾取で非難を受けてきた産業研修 制度の代わりに、移住労働者を労働者として扱い、未登録滞留者数を減らす 改善された制度だと宣伝された。

しかし法案が通過してインクも乾かない2003年下半期から、政府が追い詰めた 大規模な摘発追放と各事業場での解雇事態は、全国の移住労働者に行動を起さ せた。ソウルでは11月から明洞聖堂と聖公会聖堂で摘発追放反対と合法化を要 求する座り込みが展開され、全国100か所あまりで座り込みが始まった。特に、 明洞聖堂での座り込みは2004年12月まで380日間ほど行われ、大規模移住労働者 活動家の育成、韓国の労働社会運動との連帯強化、韓国社会内の移住労働者の 主体的発言と運動の発展、移住労組建設などの成果をあげた。

雇用許可制はその導入の時期から未登録移住労働者を露骨に排除したため、強 い抵抗にあたり、傷を受けた。雇用許可制導入に反対して労働許可制を擁護し、 当時座り込み団は雇用許可制が産業研修制度の問題を同じように作り出すと はっきり指摘した。

雇用許可制7年、搾取の世界化7年

7年が過ぎた今日、私たちの予想は当った。就職が自由ではないため、事業主に 拘束されて労働をせざるをえず、事業場内の不合理、非人間的待遇、人格無視、 搾取に不満を提起することがとても難しくなった。何でも一言言おうとすれば 「何度もそんなことを言うと国に送りかえす」という調子の脅迫が戻る(事業主 は労働者を本国に強制的に送りかえせない)。2011年の外労協のアンケート調査 の結果を見れば、事業場内差別は悪口、文化差別、暴行、宗教、セクハラの順 になる。特に悪口はほとんど80%になる。労働条件の不満足も苦情処理、人格的 待遇問題が最も高い。

何をどうすることもできない労働者たちは、ただ我慢することが多い。労組に 電話をして、問題提起でもすれば、事業主側はほとんど「われわれは法の通り にしている」とか「家族のようによくしてやっているのに何を言うのか」、あ るいは「そいつが問題だ」と返事をする。それと共に中小企業がいかに難しい のかをならべる。もちろん財閥を頂点とする垂直的多段階下請体系の中で、 一番下にある小規模事業場は難しいだろう。

しかしそうした反応には概して「貧しい国から連れてきて働かせ、月給を払う のに何で不平を言うのか」というような心理がある。本国にはあまり雇用もな く、賃金も韓国の何倍も少ないからここにきて働いて金を稼ぐこと自体が大変 有難いことだという話だ。だから人間以下の待遇を受けても我慢し、つらい仕 事でもしろというのだ。本当に厚顔無恥な言葉だ。3K業種で働く内国人がいな くて、他の国から呼び込んだというのは、言い換えれば助けに来た隣人のよう な人なのに、お客さん扱いしても足りないのに、お前らの家が貧しいから私が 勝手にこき使うというなど話になるだろうか?

結局誤った制度が誤った現実と認識を強化して、これはまた誤った制度を正当 化し、維持するという悪循環を拡大再生産しているのだ。

この前の討論会で、長期滞在を許容すると社会的費用が大きくなるので許容で きないという労働部側の論理に対し、移住労組の委員長は「雇用許可制労働者 を送る本国で、その成年労働者を育てるためにかかった社会的費用はなぜ考え ないのか」と厳しい言葉があった。つまり数年使って送りかえし、また新しい 労働力を使う短期循環の移住労働政策は、本国の社会が投入した労働力の育成 費用は支払わず、満18歳〜39歳の間の絶頂年齢の労働者の労働力だけをせしめ、 それも権利は与えない強制労働の形態で使って送ってしまう『搾取の世界化』 の一つである。

雇用許可制は故障したシステム、代案用意が至急

短期労働という不安な地位を強制する雇用許可制が、政府の強い統制と移住民 抑圧政策とからみ、移住民の自己組織化と社会勢力化を妨害してきたことも指 摘せざるをえない。入国そのものがとても難しく、いざという時にはビザをな くす状況で、移住民が主体的に声をあげることは容易ではない。

したがってこれ以上、この故障したシステムの代案の導入を先送りしてはなら ないし、それは雇用許可制ばかりか全般的な入管規制と移住民統制政策を改善 することを共に意図することを示す。概してそれは長期滞留を可能にする労働 許可、就職活動の自由、結社の自由保障、移住民の自己組織化の擁護と支援だ。 労働運動・進歩運動陣営は、もっと積極的にこのような議論と実践に参加しな ければならないだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-08-26 22:18:46 / Last modified on 2011-08-26 22:18:48 Copyright: Default

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