本文の先頭へ
韓国:生後7か月の赤ん坊も「不法滞留」で保護所に拘禁
Home 検索

生後7か月の赤ん坊も「不法滞留」で保護所に拘禁

出入国移住労働者摘発、また『不法摘発、人権蹂躙』非難

ビョン・ジョンピル記者 bipana@jinbo.net / 2007年08月30日17時11分

8月に予告された政府の移住労働者摘発が再び激しく非難されている。法務部 傘下の出入国管理事務所は、移住労働者の摘発の過程で適法な手続きを破り、 登録、未登録と無関係にやみくもに捕まえている。令状も取らずに工場や飲食 店に押しかけ、違法を行っていることも問題だと指摘されている。

雇用許可制の施行以後、さらに強化された様相を帯びている出入国管理事務所 の摘発は、これまで人権蹂躙や不法として非難されてきたが、今回の摘発でも 全く改善されたようすが見られない。むしろ摘発で労働組合活動を萎縮させる 意図が見られ、激しい反発をかっている。

令状もなく、合法、不法を問わずにとにかく捕える

8月20日、ソンスで行われた摘発は、出入国管理事務所の摘発で移住労働者の 人権が蹂躙された典型的な事例と言える。ソウル京畿仁川移住労働者労働組合 (移住労組)によれば、20日にソンス地域で行われた摘発の過程で、摘発班員は 「適法に滞在している移住労働者を摘発」し、「令状と身分証提示を要求する 移住労働者にいきなり無慈悲に暴行」したと主張した。暴行された移住労働者 の中には2人の女性も含まれ、全治3週の診断を受けたという。

適法な手続きに従わず、訳もなく容貌だけを見て、とにかく移住労働者に見え る人々を捕え、適法な身分かどうかを調べる摘発班の人種的偏見と低水準の人 権意識をそのまま示す事例だ。

これらの移住労働者が適法な身分だと確認されても、出入国は謝罪どころか逆 に公務執行妨害で告訴し、被害者のうち1人に令状を請求したが棄却されたと いう。

クォン・ヨングク弁護士は、不法滞留の疑いがある場合、調査目的で保護でき るが、「保護する時は緊急保護書を提示するか、出入国管理事務所長や外国人 保護所所長、または出張所所長などが発行する保護命令書を提示することになっ ている」とし、摘発の過程での適法な手続きを出入国自ら破っていると指摘した。

摘発された移住労働者たちは、ほとんど全員が保護所に入ってから保護命令書 を見せられる。23日にソンス地域で取り締まられたショハク移住労組組合員の 場合も、「何もない状態で摘発班に連れられてきた」が、摘発時に必ず提示す べき令状もなく、「保護命令書は入ってから見ることができた」と伝えている。

クォン・ヨングク弁護士は『令状主義の原則』とは、「事後にできるものでは ない」とし、「身体を拘禁する場合、適法な手続きを踏めということ」であり、 「身体の自由を制限する時は、手続きを守って行えということ」を意味すると 強調した。出入国で一般的な慣行と思っているとしても、事実は『令状主義原 則』を破る違法行為だとクォン・ヨングク弁護士は説明する。

また、訳もなく工場や食堂に入って移住労働者を摘発することも問題だとクォ ン・ヨングク弁護士は指摘する。「管理人がいる以上は、管理人の同意を受け たり捜索令状を受けてから入らなければならない」とし、こうした摘発形態は 住居侵入に値し、「刑事処罰の対象」と指摘した。

腸炎を病む生後7か月の赤ん坊も何の措置もなく保護所に

28日には、腸炎を病んでいる生後7ケ月の赤ん坊が保護所に拘禁され、出入国 管理事務所の人権に対する認識があからさまになった。

事件は、28日の午後8時頃、城南の壽井警察署に所属する警官二人が食堂に押 しかけ、令状提示などの適法な手続きもなく李某氏を連行したことで始まった。 訪問就職ビザで入国し、移住労働者として働いている夫は李某氏が摘発された という事実を聞き、腸炎を抱えている赤ん坊とともに保護所を訪ねた。赤ん坊 の状態が悪く、母親と離してはいけないと思い、出入国に出国を約束して赤ん 坊の母親を釈放するよう夫が要請したが、出入国はこれを拒否して「7か月の 子供もどうせ不法」と言って7か月の子供を放置したことは何も問題がないと いう立場を見せたと知らされた。

彼ら母子は保護所で一日を送り、300万ウォンの保証金を出して釈放された。 当初、法務部は一時保護解除の代価として1000万ウォンを要求したが、移住労 組をはじめとする社会運動団体の抗議により、保証金を300万ウォンに下げた。

労働部も社長側で摘発を黙認

摘発の過程での人権蹂躙として非難されるのは、単に出入国管理事務所だけで はなく、むしろ労働部がその一助となっている。8月24日、水原労働部(京仁地 方労働庁水原支庁)は、退職金の陳情に来た移住労働者が社長から申告すると 脅迫されている状況をただ放置した。社長は退職金を要求する移住労働者を警 察に申告し、出入国に引き渡される過程を黙認した。

労働部が未登録移住労働者の申告に協力すれば、賃金未払い、退職金未支給な ど、移住労働者の権利救済の方案は基本的に封鎖される。労働者の被害を救済 すべき労働部が、むしろ未登録移住労働者を権利の死角地帯に追いやっている わけだ。

移住労組事務室の前で摘発

出入国管理事務所は、摘発により、摘発に反対する移住労働者の活動そのもの を阻止しようとしているという非難も受けている。

28日、移住労組が木洞のソウル出入国管理事務所前で摘発に対する抗議集会を していた時、摘発班が移住労組事務室の前に車を止めて移住労働者を摘発した。 この過程で移住労組組合員1人を含む15人が摘発されたと移住労組は発表した。

労働組合の事務室の前で摘発を行い、組合員が摘発される状況が発生したとい う事実それ自体で組合活動の萎縮につながり、組合員に大きな威嚇になるとい う側面で、これもまた移住労働者の労働権を出入国が封じ込めているという非 難は避けられないと見られる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-09-20 20:41:28 / Last modified on 2007-09-20 20:41:30 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について