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移住労働者の組織化戦略、熱い討論

移住労働者労働基本権争奪のための国際会議開催

ビョン・ジョンピル記者 bipana@jinbo.net / 2007年08月20日22時38分

移住は現代社会が直面している最も複雑な問題の一つだ。同時に、労働者にも 『移住』または『移住労働』問題は避けられない問題だ。

労働部が2月に発表した資料によれば、『07年末総国内滞留外国労働者は06年 (42万5千名)より5万9千人多い48万4千人で、経済活動人口(2435万人)の1.9%、 賃金労働者の3.2%になると予想』されている。2007年末には労働者十人のうち 二人が移住労働者になるということだ。こうした側面で民主労総をはじめとす る産別労組と、地域次元での移住労働者の組織化は避けられない問題になっている。

もちろん、2000年10月『移住労働者労働権完全争奪と移住就職の自由実現のた めの闘争本部』の結成に続き、2000年4月には平等労組移住労働者支部が設立 され、380日間にわたる『強制追放阻止、未登録移住労働者全面合法化』のた めの明洞座り込み闘争の成果として、全国的移住労働者の組織化を目標とする ソウル京畿仁川移住労働組合が2005年4月に建設され、移住労働者を移住労働 者運動の全面的な主体とした活動が進められてきた。しかし既存の労働組合で 移住労働者を組織するシステムと力量の投与は不足しているという指摘があった。

8月20日と21日の二日間、民主労総9階の教育院では国際労働基準と移住労働者 の基本権に対する理解を高め、移住労働者の組織化戦略を議論する重要な討論 が進められる。民主労総主催、ILO、国際建設木工労連、移住共同行動後援で 開かれた『移住労働者労働基本権争奪のための国際会議(移住住労働権国際会議)』だ。

今回の移住労働権国際会議にはマノルロ・アベラEU-ILO移住プロジェクト高位 諮問委員とカルル・アヌアル、マレーシア半島木工労組教育・組織担当、中島浩 日本全統一労組、アナ・マリア、コーラル・スペイン労総移住担当者、チュンダ マニ、ネパール労総担当者などが参加して、各国の経験を共有する。

20日の討論では、移住労働者組織化戦略に対する集中的な討論が進められた。 参加者たちは討論を通じて国際的水準で進んでいる移住労働者の組織化戦略に ついての経験を共有した。同時に今回の討論は、民主労総をはじめとする地域 と産別で移住労働者組織化「戦略」に対する悩みを本格化する出発点になるも のと見られる。

マレーシア、「送出国-受入国間の労働組合は直接連帯を」

マレー半島木工労連(TEUPM)で教育と組織を担当するカルルアヌワルは、建設・ 木材労働者国際労組(BWI)とともに進めてきた2年間の移住労働者組織化プロジェ クトを紹介して注目された。

カルル・アヌワルは、産業的な特性により工団地域を中心に家具工場が集まっ ていることを活用したと伝えた。工団地域の2つ程の小規模家具工場の一つを ターゲットとして「進入地点」(組織化の出発)とし、これを基礎に工団全体に 拡げる方案を選んだ。ここにはある工場の中で移住労働者を国家別に組織する のではなく、国家を越えて一つの組織化チームを作ることが重要だと説明した。 そしてこの工場の組織化チームが工団内の他の工場に拡散、結合し、一つの地 域核心グループを形成するモデルを持っていると付け加えた。

マレー半島木工労連(TEUPM)で紹介した移住労働者組織化戦略で大いに関心を 引いた部分は、まさに送出国と受入国の労働組合の直接的な連帯だ。これまで マレー半島木工労連は、組織化キャンペーンのためにネパール労総などから組 織活動家が直接マレーシアに入って移住労働者を組織化した事例を紹介した。 組織化キャンペーンのために、送出国と受入国の間の直接的な活動家の交換に より移住労働者の組織化を強化し、これによりさらに国際連帯を強化した。

また一つ興味深い点は、建設木材労働者国際労組(BWI)の事例だ。カルル・ア ヌアルは建設木材労働者国際労組(BWI)組合員は、どの国にいても、どの労組 の組合員でも、バングラデシュやネパールなどで組合員であったとすれば、マ レーシアでも自動的に組合員の資格が得られるようになると説明した。国際産 別労働組合が移住労働者の組織化においても、もうひとつの可能性を示す部分 と見られる。

日本はまだ研修生制度...強制労働に非難

日本の移住労働者闘争の経験を共有するためにきた日本の全統一労組の中島浩 活動家は「トイレに行くために1分当り15円の罰金を移住労働者に払わせたり、 室内でコートを着なければならないほど劣悪な条件」で移住労働者が労働して おり、日本の移住労働者の人権蹂躙も深刻な状況だと伝えた。

しかし日本政府は「外国人雇用状況申告を義務化」するといってさらに移住労 働者への規制と監視を強めていると伝えた。日本政府は「法務省に情報提供を 一元化して、治安政策およびテロ対策の影響で罰則規定が強化されている」と 説明した。現在、日本には外国人研修生制度と実習制度の二種類があり、2つ の制度により最大3年間滞留できるようにする短期ローテーション就職プログ ラムがある。

中島浩は米国務省の2007年「人身売買報告書」で、日本が「外国人労働者は 『外国人研修』制度により強制労働の状況にある」とした指摘を引用し、日本 の状況を暴露した。

しかし日本の全統一労組は現在2000人ほどの移住労働者組合員を組織している と説明した。『1人でも労働組合を作れば交渉の権限を持つ』という法律を活 用して移住労働者の組織化に集中していると説明した。

韓国、組織化「戦略」を語る

韓国の事例では、この数年間の移住労働者運動の躍動性を反映するかのように、 地域と産業別、そして移住労働者独自労組組織などさまざまな側面での可能性 が討論された。

金属労組のキム・ヒョク政策局長は、移住労働者の独自労働組合は「多くの活 動家が追放される状況では再生産が難しい。移住労働者が日常的な臨時団体協 議交渉をするのが難しい条件にある」とし、現在移住労働者の独自的労働組合 である移住労組(MTU)が持つ問題を指摘した。しかし「移住労働者労働組合は 当分はそのまま行かざるを得ない。産別労組と連盟があるが、課題としてもき ちんと事業をしていない」と既存の労働組合の秩序が移住労働者運動を包括す るにあたって、やはり限界を持っていることを指摘した。

キム・ヒョク金属労組政策局長は「長期的にはむしろ産別労組体制が移住労働 者を組織するシステムを構築しなければならない。主要支部と支会まで担当者 を作り、戦略地域と業種を選択して、積極的に組織しなければならない」とい う案を提示した。

しかし、やはり産別が移住労働者を主体とする闘争を組織するには限界を持っ ているという指摘も出た。

民主労総ソウル本部のキム・ジノク政策局長は「相当数の移住労働者が金属で 働いているので金属労組の役割は重要だが、また相当数の移住労働者が労働組 合のない零細事業場で働いている。すなわち、金属労組の影響力が及ばない所 で働いている」と指摘し、地域での組織化が重要だという点を強調した。

また、産別労組が「移住労働者の代理となって、臨時団体協議交渉で部分的な 労働改善は可能だが、ほとんどの活動が多数者を中心に展開するため、少数者 は周辺化、対象化されやすい」とし、産別中心の移住労働者組織化は、移住労 働者を労組活動の周辺部に追いやる結果になりかねないと提起した。

キム・ジノク局長は、移住労働者独自労組の限界も指摘した。移住労組(MTU) は「法制度の改善を突破口としているが、制度が改善されても組織化はそれと は別の努力が必要だ」と前提にした。未登録移住労働者が多数を占める移住労 働者の独自労組の再生産の不安定性に対する指摘だ。

キム・ジノク局長は「3つの戦略は、どれも根拠があり、問題と限界がある。 現在としては多面的な組織化が必要だと思う」とし、「移住労組の独自的中心 性に産別と地域を結合させる方向に進むのが一番の近道」という見解を提示した。

合わせて「産別組織化と移住労働者独自的組織化の間で結合の地点を探すため に、二重メンバーシップを持つこと」を提案して目を引いた。日常的組合とし ての産別組合員として活動することと、移住労働者自身の要求を主体化できる ようにする移住独自労組組合員としての二重メンバーシップだ。

しかしキム・ジノク局長は相変らず「地域組織化が核心」という点を強調した。

今日に続いて21日には各国の移住政策と労働組合の対応を共有し、韓国での 移住労組闘争の経験を分かちあう場が用意される予定だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-08-24 06:19:41 / Last modified on 2007-08-24 06:19:44 Copyright: Default

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