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韓国:麗水火災惨事共対委記者会見、全面再捜査要求
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「疑惑だらけの警察捜査、繕い合わせるな」

麗水火災惨事共対委記者会見、全面再捜査要求

ビョン・ジョンピル記者 bipana@jinbo.net / 2007年03月07日16時07分

警察が、麗水外国人保護所火災惨事の原因が放火だと結論した翌日の7日、 「麗水外国人保護所火災惨事共同対策委員会」が民主労総1階の会議室で記者 会見を行い、捜査過程の疑惑を提起し、全面的な再捜査を要求した。

疑惑1. 証拠はないが犯人はいる?

クォン・ヨングク弁護士は、前日に警察が「金某氏がライターを利用して点火 したという直接的な証拠はないが、本事件の放火犯と認めること自体が論理的 にとんでもない結論」とし、警察の早急性を示すものだと指摘した。対策委は、 ライターが金某氏のものか、火災事故当時に使った事実があるのかという点か ら明らかにならなければならないと主張した。特に、ライターを点火した痕跡、 例えば指紋なども発見されていないが、警察では証拠もなくまず犯人を作ると いう愚を冒していると指摘した。

特に、ライターの発見時点も問題だ。1次鑑識時には発見されなかったが、3日 後に発見されたという点は、対策委の疑惑をさらに強める。クォン・ヨングク 弁護士は「5坪ほどの部屋で、1次鑑識の時にはなぜライターを発見できなかっ たのかという疑問を提起し、ロッカーの焼けた残留物の中から発見されたライ ターが、若干くすんだ状態で原形がそのまま残り、その上ガスもそのまま残っ ているのは科学的に納得できない」と指摘した。

死者に口なし/MTU

疑惑2. 犯行動機

クォン・ヨングク弁護士は警察で「事件当時、金某氏の着衣状態は、他の保護 外国人と違って下着の上にズボンをはき、さらに運動服を重ねて着ていた。検 視の時、左側足首の下着の内側に現金13万ウォンをゴムひもを利用して着けて いたことが発見された点から見て、火災の混乱を利用して保護所から脱出しよ うとしていた」と犯行動機を結論付けたことに対しても疑惑を提起した。

クォン・ヨングク弁護士は「2月が非常に寒い時期で、居間に暖房がない関係 で主に居間いた金某氏が寒さに耐えるために幾重にも服を着る可能性は排除で きない。そして保護所の規定上、金を所持でき、生活用品を購買する状況で、 規定より多くの現金を持っていたといっても必ずしも逃走の意志があると断定 することはできない」と指摘し、警察が急いで事件を繕おうとしていると批判 した。また、着衣の状態や現金保管の状態は、第三者に公開されていない事実 なので、事実関係でも疑問の余地があると疑惑を提起した。

疑惑3. 目撃者の陳述に対する疑問点

クォン・ヨングク弁護士は「火災が発生した304号室に収容されていた被保護 者のうち、居間にいた人は2人の死亡者を除けば1人だけだった。303号室でも もっと目撃者がいるといっていたが、現地調査当時、同じ構造の2階を調べた 時は303号と304号が向かい合っているとはいえ、304号が見える窓は仕切りで 区分されていて、TVが置かれている側のかなりの部分は見えない」という点を 指摘した。303号室の収容者が304号の状況を語るのは不十分だという話だ。

クォン・ヨングク弁護士はまた、CCTVにチリ紙が貼られていたと警察は主張す るが、CCTVを根拠に現場の状況を話している点に注目して、CCTVで確認が可能 な部分はどこまでか、なぜ発火時点はCCTVで確認できないのかなどの疑惑も提 起してCCTVの内容を全面公開する必要があると主張した。

保護および保護所の性格規定も明確にせよ

MTU

チョン・ジョンフン弁護士は保護所が「更正、教化を目的にする収容施設では なく、強制退去手続きの執行のための身柄確保と手続き待機のための空間」と し、麗水保護所火災事件による人命被害の拡大は外国人「保護」と「保護所」 の性格規定に対する問題が立法的に未解決だという点に根本的な原因があると 主張した。現在、保護所では法律的な規定なく鉄格子を設置し、各部屋の移動 の自由を制限するのは「基本権の制限は法律によるという憲法の基本原理に違 反する」という点も指摘した。保護所が退去手続きを執行するための身柄確保 のために一定の自由制限が必要だが、自由の制限は退去手続きの執行のために 必要な限度内で最小化されなければならないということだ。

国家機関が違法行為
警備用役は被保護者の監視管理をできない

ウィ・ウンジン弁護士は被保護者を監視して管理する保護施設の警備業務を 公務員ではない警備用役業者職員が遂行した点に注目した。

ウィ・ウンジン弁護士によれば「国民(人間)の権利義務に関する事務は、国家 事務として民間委託が禁止されている。また、外国人保護規則でも被保護者の 監視と管理業務は担当公務員の業務で、一般の民間人に許された業務ではない」 とし、国家の違法行為に対して厳重な責任を負えと主張した。

そして実態調査の過程で「ただ逃走の憂慮だけを考慮して措置を取った事実が 確認」されたとし、「緊急事態が発生した時、被保護者を迅速に待避施設に待 避させる法に違反した点もあらわれた」と指摘した。

「真相調査がなければ補償も無意味」

対策委は「死体解剖検査当時、遺族の同意どころか通知もしなかった」とし、 「令状による死体解剖検査とはいえ最低限、家族に解剖検査事実を通知するべ きだ。これに違反した国家の行為は違法であり非難されて当然だ」と主張した。

対策委は「遺族の立場もそうだが、真相調査がなければ補償金も無意味だ。警 察が捜査結果を発表したので、賠償問題にすりかえる可能性が高い。これでは この問題を言い繕う次元で終わることになり、遺族や市民団体は同意し難い」 とし、納得できるように全面的な再捜査を要求し、捜査の公正性を確保する 官民合同共同調査を要求した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


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