韓国:アシアナ機着陸事故報道は残念 | |
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「逆賊」でなければ「英雄」[保守言論を暴く]アシアナ機着陸事故報道は残念
イ・ジョンホ(蔚山ジャーナル編集局長) 2013.07.17 11:54
韓国時間7月7日午前3時27分、サンフランシスコ国際空港に着陸しようとしていたアシアナ航空の旅客機が事故を起こし、今までに3人の中国人が亡くなり、180人ほどが負傷した。事故の記事を出すたびに、韓国のマスコミはおかしな病気が再発する。まず、死亡者数にとてもこだわる。これよりも深刻なことは、とても性急に結論を下す悪いクセだ。そのために複合的な原因による事故では、ほとんどを見過ごしたり、とんでもない加害者を作り出したりもする。 数字にこだわる理由は、長い軍事政権で、政治権力がよく死亡者数を隠し、 少なくしようとした歴史的な事実の拒否感のためだ。遠くは1950年代の朝鮮戦争 での居昌良民虐殺事件がそうだったし、1980年の新軍部の5.18光州民主化運動鎮圧 の時もそうだった。 1980〜1990年代には、政権に反対する集会とデモに加担した群衆の数を少なく した。そのため80年代の街頭でのデモは、いつも警察により1/10ぐらいに縮小 され、集計されてきた。警察のこの悪いクセの後遺症は大きく、深い。今では 逆の反応もしばしば現れる。最近は、むしろデモをする側が数字を膨らませる 悪いクセがついた。たとえば、ソウル市庁前広場には、ぎっしり詰めて座って も1万人も入らない。面積を計算してかなり科学的に計算すると、ソウル広場に は9千人ほどしか入らない。集まった参加者がソウル広場を埋めただけなのに、 集会の主催側は3万〜5万人とむやみに叫びまくる。 下の写真の二つの記事は、事故直後、日刊紙の最初の報道だった7月8日付の 京郷新聞とハンギョレ新聞の1面トップ記事の題名だ。まず小さい題名から見れば ハンギョレ新聞が京郷新聞に勝った。京郷新聞は「180余人負傷」と書いたが、 ハンギョレはもう少し正確に「182人負傷」と一の桁まで書いたから。 ところが2001年9月11日に起きたニューヨークの世界貿易センターのテロの時、 CNNなどの米国言論の報道では、事故から10日経っても正確な死亡者数が出て こなかった。ただ数千人が建物の中にいたという程度で終わる。当時のニュース を見て、事件記者を経験した私は苦しかった。「何であんなに遅いのか」と繰り 返していた。 もちろん、事件の記事では被害者数はとても重要なファクトだ。その一方では、 記者がこんな枝葉の数字遊びをしていて事故の本当の原因を見のがすことも多い。 記者が警察などの捜査当局と数字遊びにふけっている間、事件の構造的な原因は きちんと解明できずに終結する。 数字遊びよりも危険なのは、早急に結論を下すことだ。上の写真の二つの新聞 の1面トップ記事は、互いにずいぶん違う。京郷新聞はやや留保的な結論を出し たが、ハンギョレ新聞はアシアナ側を批判する論調ではっきり違う。ところで 私はアシアナだけが今回の事件の主犯なのかという疑問を感じた。さらに正確 には「異常を感知できなかった」操縦席の操縦士だけが主犯なのだろうか。決 してそうではない。この程度の事故が起きるまでには、さまざまな原因が複合 的に絡んでいるのは明らかだが、ハンギョレ新聞のように事故を認知してから 数時間で早急に結論を出して報道するのが正しいのだろうか。 それでも京郷新聞の1面トップ記事が優秀だったのではない。京郷新聞の論調は まさに下の朝鮮日報という保守新聞の性急な「英雄」作りにつながる部分も多 い。朝鮮日報は下の写真のように「女性乗務員、阿鼻地獄から負傷者を脱出さ せる... 大惨事を防いだ英雄たち」という見出しをつけた。 二つの新聞は、わが国のマスコミの事件報道態度の典型を見せる。事件が起き れば無条件にまず結論を出すので、「逆賊」でなければ「英雄」が続出する。 実体的な真実は常に「逆賊」と「英雄」の間にある。朝鮮日報は、ひとまず 「英雄」という結論を出して、突然英雄作りの美談記事を吐き出す。その間、 「逆賊」は報道の裏で笑っているのに。 航空業界に従事するある友人は、こうした初期三日間、韓国のマスコミの報道 態度を見て嫌になるといった。 韓国のマスコミがこれほど右往左往している間、実体的な真実を明らかにする 時間はますます短くなる。10年も前の話だが、大邱地下鉄惨事の時を思い出し てみよう。当時、東亜日報は2003年2月19日付の1面記事(下写真)で死亡者数と 負傷者数の遊びにふけっていた。 当時の報道は、事故から1か月近く続いたが、大邱地下鉄だけが当時、唯一12両 の車両をつなげていたが、一番前に運転手しかおらず、ソウルの地下鉄や釜山 の地下鉄にある一番後ろの車両に補助運転手がいなかった事実を報道した新聞 はいくつもない。地下鉄労働者たちはこれを「1人乗務」と呼ぶ。それさえも、 地下鉄労組が泣き喚き、何度も問題提起をした後に報道しただけだ。 今回のアシアナ機事故を報道したハンギョレ新聞に、もう一つ残念な点がある。 ハンギョレ新聞は何と5年前の2008年3月28日付の姉妹紙「ハンギョレ21」で、 「アシアナの操縦士はなぜ辞めるのか」という題の報道をした。機長に昇進する 時、労組員への差別の問題で、一人二人とベテランの操縦士がアシアナ航空を 辞めるという報道だった。この記事は一部不足な点があったが、続々と辞めていく 操縦士の話に耳を傾けた数少ない秀作だった。 しかし今回の事件について、航空会社内部の人事、組織管理体系の問題を指摘 する報道は見ることができなかった。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2013-07-18 05:32:26 / Last modified on 2013-07-18 05:32:26 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |