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間接監聴と言いながら国家情報院だけが直接監聴するとは

[寄稿]通信秘密保護法改正の議論がまた始まる

チャン・ヨギョン(進歩ネットワークセンター)/ 2009年12月03日10時39分

「犯罪予防ために携帯電話も監聴を認めよ」、「間接監聴制の導入が望ましい」

12月1日、国家情報院傘下の国家安保戦略研究所で開催した『先進韓国のための 通信秘密保護法改正方向』の討論会に対する各マスコミの報道の見出しだ。こ の日の討論会で発表された論文4本は、すべてハンナラ党特定議員の通信秘密保 護法改正案を擁護する内容で満たされていた。国家情報院がいわゆるMB悪法 と指定されてきたイ・ハンソン議員の通信秘密保護法改正案を支持する討論会 を開催したのだ。支持者が共通に主張した内容は、これらの表題に圧縮されて いる。携帯電話監聴のために通信秘密保護法を改正するべきだが、その方式は 情報捜査機関が直接監聴するのではなく事業者により間接的に監聴する方式で あるべきだということだ。

今でも携帯電話の監聴はできる

しかしこの日に参加したハンナラ党のチョン・オギム議員が主張したように、 携帯電話を監聴するためにあえて通信秘密保護法を改正する必要はない。現行 の通信秘密保護法でも、携帯電話監聴は十分に可能だからだ。法の条文には、 監聴方法を具体的に指示していない。だからインターネットをまるごと監聴す るいわゆる「インターネットパケット監聴」が「合法的」に可能ではないか。 携帯電話と特に違うのだろうか。

今の携帯電話監聴は、少なくとも公式に行われていないのは、法のためではな い。安全企画部Xファイル事件以後、国家情報院と政府の携帯電話監聴に対する 国民の不信が続いているため、政治的な理由でこの技術での監聴が許されてい ないのだ。

したがってこの法案の核心も携帯電話監聴ではない。この法案の本当の核心は、 「事業者に監聴させる」ことだ。

この部分は、西江大のキム・コニョク教授が確認してくれた。彼の発表内容に よれば、国家が事業者を通じて監聴しようとするのは、時間と費用を節約する ためだ。技術発展の速度が早く、情報捜査機関は新しい監聴装備を速く導入す る必要があるが、装備と人材と予算を拡充するために必要な公式の手続きをと るのが「障害」と見なされてきたし、高価な先端装備を導入しても、その寿命 はますます短くなっていくということだ。

つまり、政府が監聴するために必要な時間と費用上の便宜ために、民間事業者 を通じての監聴の必要性が提起されてきたのだ。政府の行政的業務を私的主体 により遂行するという意味で、これはオ・ドンソク教授が指摘した通り「行政 司法」に該当する。

直接監聴 vs 間接監聴

国家情報院とハンナラ党はこうした行政司法が監聴という行政公権力の不法と 不正乱用を防止し、透明な執行を持たらすと主張する。法院と事業者という第 三者が介入しているためだ。

しかし、法院と事業者が国家情報院の監聴に対する十分な牽制者役をするかど うかは疑問だ。しばらく前の祖国統一汎民族連合南側本部事件に対する裁判で、 裁判所は違憲法律審判の提案を受け入れたことで認めた事実は、現在わが司法 府には、国家情報院の監聴を牽制するほどの能力は何もないということだ。

法の条文では2か月と限定された盗聴期間が、何と28か月になるまで続けられ、 司法府や事業者はその過程で国家情報院の監聴を手伝うだけだった。全体的に は7年にわたり、固定電話、ファックス、携帯メール、Eメール、インターネッ ト回線に対し、底引き網式の監聴が行われてきたが、これを制止できるだけの 権力は大韓民国には存在しなかった。「少なくとも」通信秘密を侵害するとい う通信秘密保護法の制定趣旨と関連の条文は、私たちの具体的な現実の中で空 念仏に過ぎなかった。

だが間接監聴が標榜する趣旨が悪いのではない。捜査機関が直接監聴装備を持 つことは憂慮されることだ。直接監聴装備を運用すれば、その上にある法院の 統制も迂回して不法に、勝手に使っても誰にもわからないこともあるからだ。 公式な統計だけでも全体監聴件数の98.5%(2008年)を占める国家情報院の直接 監聴は最も恐ろしい。

2005年、いわゆる安全企画部Xファイルがなぜ衝撃的だったのか? 政府が表面的 にはCDMA携帯電話監聴が不可能だと主張してきたが、嘘だった。国家情報院は 携帯電話監聴装備をひそかに開発し、不法に運用してきた。種類も多様だった。 対象者に近く接近して使う携帯型監聴装備(CAS)と、事業者の設備につける設置 型監聴装備(R-2)を勝手に使ってきた。

討論会でチュ・ソンヨン議員が主張した通り、これらの装備が「スパイ」だけ を対象にしていたのだろうか? 当時の検察の捜査結果によれば、盗聴の被害者 は、政治家が273人で最も多く、高位公務員84人、マスコミ界の要人75人、財界 57人、法曹界27人、学界26人、その他104人だった。アゴラに大統領を批判する 掲示物を書き込んだだけで、42の政府部署と監査当局がその人の身上情報を共 有する最近の状況で、国家情報院の監聴問題は「スパイ」だけではなく、全て の市民の問題だ。

最近あらわれた事実はどうか? 国家情報院が90年代末からインターネットのパ ケット監聴装備を導入して使ってきたというが、国民も、国会も、その事実を 全く知らなかった。

国家情報院の直接監聴が最も問題

直接監聴、問題であり恐ろしい。だから今から監聴を間接化して、透明で民主 的な統制の下で執行するという国家情報院の話を額面そのまま信じたい。イ・ ハンソン議員の改正案では、捜査機関が監聴を執行する時、事業者に執行を委 託したり協力を要請することを義務化して(案第9条第1項第1号)、これに違反 した時は10年以下の懲役と5年以下の資格停止に処するようにした。

問題は、国家情報院にこの条項に対する例外が適用されるという点だ。上の条 項にもかかわらず、法第7条第1項第2号および第8条第8項により執行する監聴は、 義務事項から除外する(案第9条第1項第2号)。これらの条項は、情報捜査機関の 外国人監聴に対してだ。つまり国家情報院などの情報捜査機関は、外国人捜査 のために直接監聴装備を持って運用することができる。その上、外国人の監聴 は通信秘密保護法で唯一法院が関与できない秘密領域だ。秘密領域で秘密監聴 が行われるようになるのだ。

国家情報院がこの法案に懸命になっている理由はここにある。間接監聴という 名分で、事業者を通じて監聴執行に必要な時間と費用を大幅に削減する一方、 直接監聴装備を運用する名分も残すこと。それこそ一挙両得ではないのか。

このために今年のはじめにあった国会法制司法委員会法案審査小委では、イ・ ハンソン議員案に好意的だったチョ・スンヒョン議員も「こうした部分を残し てなぜ直接だ間接だと言えるのか」と問い詰める事態が行われたのだ。

国家情報院は最大の監聴機関だ。そのため間接監聴から国家情報院を除けば意 味がない。この法案が監聴を透明化するという主張は牛も笑うだろう。 携帯電話監聴が不可能だという過去の嘘以上に大きな嘘が今、横行している。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2009-12-03 18:44:47 / Last modified on 2009-12-03 18:44:50 Copyright: Default

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