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韓国:特別に法で保護されるべき通信が特別に監視される理由
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特別に法で保護されるべき通信が特別に監視される理由

[インタビュー]情報人権運動15年チャン・ヨギョン進歩ネットワークセンター活動家
大統領を嫌うのは内心の自由なのに捜査の対象?

キム・ヨンウク記者 2014.10.15 13:37

検察-ポータル・ホットラインでインターネット監視、平凡な人々には恐ろしい話

労働党のチョン・ジヌ副代表に対するカカオトークの査察問題がサイバー亡命につながって、 おりしも国政監査でモバイルとサイバー監視に対する暴露が洪水のように溢れている。 大統領の侮辱と名誉毀損に対応するための検察-ポータルのホットライン・システムの検討のニュースが伝えられ、 ユビキタス時代の情報人権の重要性が強調されている。 通信は、法が特別な保護を保障しているが、 通信は特別に監視されているという状況だ。

▲チャン・ヨギョン進歩ネットワークセンター
活動家[チャムセサン資料写真]

軍事独裁の時代には、公開された場所でマッコリを飲んで大統領の悪口を言えば捕まったが、 今では友人や家族しか読めないカカオトークの対話室で私的に各種の疑惑や噂を伝えても、 思いがけず捜査の対象になりかねず、私の情報がすべて奪われることになる。 友人や同窓の中にチョン・ジヌ副代表のような人でもいればさらに危険になる。

暮らしにくい時代には、プライバシーや表現の自由はぜいたくな声だったのかもしれない。 二つの問題は主に運動社会の問題だったが、いつのまにか平凡な人々にとってとても重要な問題になった。 これについて15年間、情報人権活動をしてきた進歩ネットワークセンターのチャン・ヨギョン活動家は 「前は表現の自由やプライバシーが、何か政府の政策や体制に反発する人たちだけの問題だった面がある」とし 「表現の手段や通信手段が制約的で、表現をするには宣伝ビラを印刷しなければならないが、 金もかかり、危険も甘受しなければならず、平凡な人々にはできることではなかった」と説明した。

インターネット時代とモバイル時代には、個人の表現のメディアができ、 プライバシーと表現の自由問題が生活に密接になったということだ。 チャン・ヨギョン活動家は 「皆にモバイルという表現メディアが一つずつできて、通信手段ができて、 一時はとても自由になったと思ったが、それで陰もできることになった」とし 「前は公人だけに責任があった自分の言動に対する責任を一般人に対してあまりに厳格にあてはめる時代になった」と指摘した。

個人のモバイル機器ができて、その人の人格ととても密着した時代なので、 通信の秘密が保障されなければ通信機器と密着した個人のすべての私生活が破壊される時代になったということだ。 結局、インターネットとモバイル機器の発展、LTE技術といった発展がさらに多くの民主主義の拡張の可能性をもたらしたのに、 逆説的にさらに統制を呼ぶ状況になったのだ。

チャン・ヨギョン活動家は、ユビキタス社会では自分の行跡以外にも、 自分が考えたことが意識されず通信に保存されると説明した。 その意味で、モバイルと思想の自由が衝突を起こすことになる。 人権において、思想の自由は内心の秘密を保障することだが、 Eメールやカカオトークの私的な対話が情報機関により監視される瞬間、 個人の私生活と内心が裸にされるということだ。

チャン・ヨギョン活動家は検察が大統領のような公人に、 名誉毀損、虚偽事実、侮辱罪を処罰すると言うが、 裁判所で認められるのはかなり難しいと指摘した。 それで検察がポータル事業者とリアルタイムのホットラインを構築すると発表し、 人々を怖がらせ、表現の自由の「萎縮効果」を狙っていると分析した。

以下はチャン・ヨギョン活動家とのインタビューだ。 チャムセサンは10月14日、進歩ネットワークセンターでチャン・ヨギョン活動家と会い、 多様なサイバー査察の事例とユビキタス時代のプライバシー、表現の自由の重要性を語った。

インタビュー全文

最近のカカオトーク事件がこうしてサイバー亡命事態まで広がると思いましたか

思いませんでした。 カカオトークの押収捜索は初めてのことでもなく、監聴も以前からありましたし。 情報人権活動家としてさまざまな事例をずいぶん見てきましたが、 国内で営業するどのインターネット会社も捜査機関の強制捜査の例外ではありません。

チョン・ジヌ氏の事件が私たちにとって衝撃的だったのは、 彼が通知書を受け取ったところ40日分が押収されたとなっていました。 カカオトーク押収捜索によるカカオトークの証拠は、 以前の芸能人パク某氏事件やソウル市議員殺人事件などでずっと問題になっていました。 ですからチョン・ジヌ氏の事件は目新しいものではありませんでした。

ところがカカオトークのこれまでの釈明では、7日ほどしか内容を保管していないと言っていたのに、 チョン・ジヌ氏の事件は警察が40日分を押収したという通知書を送ったので、 その真相を明らかにしなければならないとして、とにかく捜査当局に対する怒りがありました。 彼の罪はセウォル号問題の解決を要求して青瓦台にデモ行進したことしかないのに、 集示法違反容疑のためにカカオトークをすべて奪われなければならないのかから始まって、 後で話を聞いてみると裁判の証拠にも出てきませんでした。 容疑を立証するために使いもしない不必要な押収捜索があまり過度だったので、 問題を提起しなければならないといったのです。 私たちもこれほど大きくなるとは思わなかったのですが、 事実、事態を大きくしたのは検察だったと思います。

それだけ人々の不信が強かったということを見せているようです

私も人々がカカオトークに対してこれほど不安な気持ちを持っているとは思いませんでした。 しかし大統領が自分への冒とくに我慢できないとして、 サイバー上の虚偽事実に対処するよう検察に指示して二日後に検察が虚偽事実対策班を作り、 そこにポータルとカカオトークの幹部が参加したことが知らされ、 それと同時にサイバー亡命が始まったのです。 キム・オジュン氏がハンギョレTVでテレグラムを紹介したのが9月末です。 その時から人々が不安な状態でしたが、 私たちの記者会見がその時にあったのです。 新しい問題ではありませんでしたが、最近の公安政局と捜査機関の態度に市民が不満を持っている状態で、 事態を検察が大きくしたと見ています。

チョン・ジヌ氏の個人情報がどれほど奪われたのかはまだ釈明がない

他の見方をすれば、ダウム・カカオが大きくしたのではありませんか

私たちはダウム・カカオが発足した日が私たちの記者会見と同じ日だということを知りませんでした。 私たちが10時に記者会見をしたのですが、後で知ったのですが11時にダウム・カカオ発足記者会見が私たちの記者会見場から遠くないところでありました。 それで記者の人がここに来てから、そこに行って続けて質問をしたようです。 ところがカカオの釈明には、事件の当事者と一般利用者には理解できない釈明だったのでしょう。

私たちは初めから警察が無理な押収捜索をして、 検察がサイバー検閲をしたと問題提起を始めたのに、 これがよくカカオ側との攻防になります。 代表的なことは2つあって、 「リアルタイムでの提供は技術的に不可能だ。令状も受け取ったことがない」 こうした形で釈明をしたのですが、後で偽りだったことがわかりました。 内乱陰謀事件の被害者がカカオトーク監聴が続けられ、 すべて裁判の証拠として出てきたのに、しなかったといって、 今回カカオが明らかにした統計数値もかなりなものになります。

二つ目は、これは釈明されるべき部分です。 チョン・ジヌ氏本人が一番気を遣っている部分が「どれほど多くの情報が行ったか」ということです。 チョン・ジヌ氏はこの問題でとても苦しんでいます。 その上、彼は政治家でしょう。 しかし自分と一緒に対話室にいたという理由で罪のない人たちの情報が行ったので、 すまなく思っているのです。 その部分についての真実は必ず明らかにしなければとチョン・ジヌ氏は考えています。

全く釈明がなかったのですか

とにかく検察が先に釈明をしました。 JTBCニュースで検察が 「われわれは私生活関連の部分は受け取らなかった。 容疑に関する部分だけを受け取った」と話しました。 ところがカカオはすべてを出したと言っています。 令状は40日全てではなく、一日だったのに、要請された通りにわれわれはすべて渡した。 選別して渡すことはなかったと釈明したのですが、 検察は私生活関連の部分は受け取っていないと言う... 二つの釈明が交錯しています。

チョン・ジヌ氏のカカオトークの友人は、 私生活が情報機関に行ったのか行かなかったのか。 それがとても心配でしょう。 過去の判例では、ソウル市の進歩教育監候補に立候補したチュ・ギョンボク教授のような場合、 Eメールが全て押収捜索され、裁判所は損害賠償を認めました。 これはチョン・ジヌ氏の権利回復とも関係があります。 またこのような問題が発生するのは、刑事訴訟法にも問題があります。

刑事訴訟法にどんな問題があるのですか

今回の事態は新しいことではありません。 よくあることなのに、検察のために大きくなったのです。 結局繰り返された問題なら、制度改善に向かわなければなりません。 今は暴露の時点なのです。 国民が知らなかったことなので、衝撃を受け続け、暴露をし続けているのですから、 問題を解決するには制度改善に行くしかありません。

どんな制度改善が必要でしょうか

刑事訴訟法の問題は、刑事法関連の教授が立場を明らかにされると思います。 私は活動家としての立場で言えば、初めて私がこの論争に飛び込んだのは2000年代の初期でした。 その時、米軍部隊でデモをした大学生が逮捕されたのです。 検察が携帯電話を開いてその中にあるすべての携帯メールを見て、 携帯メッセージを送った友人やガールフレンドなどにみんな電話をして、 友人がいじめられました。 その被害事例を私達が知って、なぜ検察が携帯電話を押収して古いメッセージを読むのかと問題提起をしました。 携帯電話のメッセージは通信なので、特別に保護しなければならないということでした。 通信秘密法もあるのに、なぜ通信を特別に保護しないかという問題提起をしました。

その後にも似たような問題が提起され続けました。 保存された通信内容は通信なのかどうか、論争が続いています。 今は送受信が完了して保存されている通信内容は押収捜索されているのが慣行でしょう。 最高裁で2005年に 「リアルタイム通信は通信秘密保護法により厳格に保護して、保存され、送受信が完了した通信の内容は押収物として取り扱え」としたのです。

ところが何か問題が起きると、一般の家や本など、こうした物の押収捜索は有体物でしょう。 そして捜査機関が私がいる所に来て、 普通は当事者が押収捜索に参加して 「この本は関係がないのになぜ持っていくのですか」と抗議することもできます。 当事者が立ち会って捜索をするので、選別的にすることになります。 ところが通信はとにかく私がいない所でごっそり(押収捜索を)します。 私がいない所に通信会社があるからです。 そこ行って第三者が執行し、第三者は私の言い分を聞きませんね。 ですから当事者がいないまま、全て持っていきます。 当事者が抗弁する機会もありません。 このように過剰な押収捜索が行われ、 チュ・ギョンボク教授のEメール押収捜索事例は過剰だという判決があって、 刑事訴訟法が少し改善されました。 通信に対する押収をする時は、少なくとも当事者が参加しなければならないという条項ができたのですが、 今回見られるように全く保障されていません。 当事者は全く知らずにいて、後で通知書一枚を受け取っただけです。

デジタル技術はあらゆる事を保存するが、すでに保存された内容は通信扱いされない

通知書制度も初めはなかったと聞きました

通知書の発送も紆余曲折の末にできた制度です。 2009年にPD手帳作家のEメール事件がありました。 私的なEメールを検察が公開して、議論の末に国会で通信秘密保護法を改正し、 本来は送受信が完了した通信内容は通秘法の管轄ではないが、 少なくとも通知はする、そうしてできた制度です。 その上、通知を受け取っていなければ、 チョン・ジヌ氏は全く知らなかったところでした。

しかし制度がちょっと変です。 すでに保存されたものは通信として扱われないというわけでしょう。 今日のデジタル技術の発展は、全てを記録する時代です。 ですから忘れられる権利を主張する人さえ出てくるのです。 デジタル技術は私たちの一挙手一投足をすべき保存する時代になったのに、 それが1分前、一日前のことでも、保存されているから厳格な保護は受けられないというのは問題でしょう。 その部分について制度改善が必要だということで、 結局、刑事訴訟法の問題ではないかということです。

法には当事者が立ち会うことになっているのに、なぜ立会なしでするのでしょうか

ですからチョン・ジヌ氏のカカオトーク押収は違法だったと見る専門家もいます。 違法の余地があるので告訴告発を検討しています。 どんな内容が持って行かれたのか、全くわかりません。 通知書一枚しか受け取っていないのに、本当に一日分しか持って行かなかったのか、 私生活が含まれていたのかどうか、 私の友人の誰の情報が持って行かれたのか、 それが捜査に使われたのなら、少なくとも裁判に容疑立証用に出てくるはずなのに、 全く出てくることもせず、その上、チョン・ジヌ氏は 「これを自分しか見ていないのか? 捜査機関や無関係の情報当局の人が持っていって見たのではないか?」 そんな疑いを持っていますが、その疑いが事実ではないという保障はありますか。

話された内容の中に、通信は特別に保護されるべきだと言いますが、なぜ通信は特別に保護を受けるべきなのですか

チョン・ジヌ氏の不安と関係があります。 通信というのは双方、あるいは多数が参加する行為ですね。 私が押収捜索を受けたり監聴されると、私だけがやられるのではありません。 私の基本権だけが制限されるのではなく、 必ず私と通信した他人の基本権もパッケージになって制限されるのが通信だといいます。 ですから通信の秘密は、憲法が保障する権利だけでなく、通信秘密保護法などで特別に厳格に保護をしています。

監聴も誰にでもできるものではありません。 まず法が定めた容疑がある人にしかできません。 国家保安法違反や、そんなものだけが対象になって、 チョン・ジヌ氏のように青瓦台の前で集会デモをしたことがどれほどの重罪なのか知りませんが、 その行為をしたことで40日分の通信内訳を持って行く、通信秘密保護法にはそんなことは規定されていないということです。

対象犯罪、対象期間がとても厳しく制限されていて、 他の捜査方法はすべて使った後、どうしようもなければやむをえず監聴をしますが、 それは補充的に限り通信を見てみろというように保護をしています。 ところがすでに保存されている通信の内容はそうではないというのです。 当事者も知らないうちにすべてを持っていくことは問題だということでしょう。

特に最近のようなユビキタス社会では、自分の全てが通信に保存されます。 どこかに行った行跡、誰に会ったのか、行動についてだけでなく、 通信は私の考えもすべて保存します。 私がどんな考えを持っていて、どんなものが好きなのか、 そうしたこともあるでしょう。 今日では私の頭の中もすべてを保存するメディアになってしまいました。 前から私たちが人権における思想の自由を話す時、 私が何を考えるとしても、内心の秘密は保障されるべきだというのが思想の自由ですが、 通信が公開された瞬間、頭の中のすべての内容が知られ、 それを判断の根拠にするような環境なのです。

PD手帳の作家のEメール事件が代表的です。 この人が大統領を好きでも嫌いでも、それはその人の私生活や内心の自由に該当しますが、 検察がこれを捜査対象だといって押収し、その上、記者の前ですべてを公開してしまったのです。 通信の秘密が保障されなければ、私生活が全て破壊される状況になってしまうのです。

通信を読まれても誰かが死ぬわけではないでしょう。韓国の社会で国家保安法があり続けているのは、生活に大きな支障はないといった心理が作用する部分があります。 表現の自由や思想の自由は本来抵抗する人や運動社会だけの問題だったと思います。 その意味で、今回の事件もハプニングのようにいつのまにか関心から遠ざかるのではないかと思います

[出処:進歩ネットワークセンター]

これをハプニングで終わらせないようにするには、なぜ通信が重要で、なぜ制度改善まで行かなければならないのかをはっきりさせなければならないようです。 テレグラムを見れば、最近は活動家だけでなく、普通の学校の同窓生たちもみんな持っています。 人々が自分の発言を不安に思っているのです。 例えば公的な意思を表現します。 ポータルサイトに文を書き込むと弾圧されるようになります。 大統領が私を冒涜するなと話したではないですか。 公的な意思表現のようなことを検察が捜査すると言い始めたら、 人々は「不当だが文を書き込まなければ良い」というように考えるでしょう。

しかし自分の友人とも気楽に話すこともできない。 これは私の基本的な生活が破壊されるわけです。 今、そんな状況になったのではないかという不安があります。 友人とも(大統領をののしる)話ができなくなるでしょう。 すべて保存され、それが私も知らない新しい捜査機関がいつでも持っていけるのに、 その捜査機関は何を持っていくと宣言したかというと、 大統領への冒涜、国論分裂の対話内容をすべてモニターするというのですから、 とても不安です。 私がした話の中に大統領に尊称も付けずに話したことが1つか2つはありそうで、 セウォル号関連の疑惑が出てきた時、陰謀説が出てきたけれど、 そんな文を二本ほど転載されたこともありそうだ、 そうして検閲をするようになります。 私はそんな行為をしてはいけないと思っていますが、実際に裁判になれば検察が負けるかもしれないと思います。

「検察も大統領侮辱の処罰は難しいことを知っている」

検察はすでに2つの重要な事件で負けたことがあります。 狂牛病キャンドルの時の重要な判例が二つがあるんです。 一つは南大門警察署長事件でした。 南大門署長が狂牛病キャンドルデモの真っ最だった時、 DCインサイドは警察の主張を認めましたが、ネチズンがプロフィールに行ってみると警察署長だったのです。 大騷ぎになりました。 掲示板でひどい言葉で人々がののしるから、 南大門署長がネチズンを名誉毀損で告訴告発したのですが、 大法院では公人の公的な事案についての名誉毀損は認定されないといいました。 このように、公人に対する名誉毀損はとても厳格です。

また最近出た判例に、狂牛病怪談だと言って、戦闘警察が部隊を離脱しているという文を書き込んだ人が、戦闘警察ではなく大学講師で、虚偽だったとして起訴されたのですが、 それも最近判決が下されたでしょう。 「名誉毀損が成立するには、社会的評判を低下させなければならないが、 この文は虚偽ではあるが何か(警察の)社会的な評判を低下させるのかわからない」として無罪判決が出されました。 ですから検察が今回、名誉毀損、虚偽事実、侮辱、そんなもので不法行為を厳しく処断するというのは話になりません。 事実は成立させることはとても難しいのです。 なぜなら完全に私的な内容には検察が介入するのは難しいのです。 当事者が告訴告発しなければならないのです。 名誉毀損は反意思不罰罪で、侮辱は親告罪なのですが、 当事者の意志が重要で、結局検察が動けるのは私的な事案ではない公的な事案と、 公人について動くといっても大統領のような公人に対する名誉毀損は、 裁判所で認めさせるのはとても困難です。 ですから検察がリアルタイムホットラインを構築するというのは、 自分たちが起訴しても自信がないからポータルに電話して消せ、そのようにするという計画が出てきたのではないだろうかと思います。

事実上、起訴が難しいのに検察が強く出るのは理由がありそうですが

これが果たして公的な機関がすべきことなのかと思うと情けありません。 検察の関連機関対策会議は実際に裁判に行けば勝つのは難しいことを検察が非公開で検閲をするということで、 表現に自由に対する重大な侵害ですね。 これがたとえ計画だとしても、そんな状況を広げて人々を怖がらせるんです。 表現の自由の理論では「萎縮効果」という行為が蔓延しているのに、 平凡な人たちはいざという時には「書き込んではいけない、書き込まないようにしよう」こうなります。

しかしカカオトークは「私が家族や友人ともそんな対話をすることができないのか?」という問いが出てきます。 私がカカオトークでした対話も持っていって、いつでも問題になるということでしょう。 普通は私が罪を犯さなければ被疑者にはなりません。 しかし私の友人や同窓が偶然に被疑者になることが発生したのです。 同窓が偶然、チョン・ジヌだったり、チョン・ジヌの情報を持って行くのと一緒に私の情報も持っていくというのです。 これは平凡な人々にとって恐ろしい話ですね。

わが国はプライバシーや表現の自由に対する重要性がとても軽く認識されているようだと思います。今は沸き立っていますが国政監査が終わって退屈な法案改正論争になって、うやむやになるかもしれません

私は韓国だけの特別な問題とは思いません。 例えば地球的には情報機関が通信内容をすべて持っていくということがずっと問題になっていますね。 なにしろ9月の国連人権理事会で国連人権最高代表がデジタル時代のプライバシーの権利という報告書を特別に発表するほど、地球的に重大な事案なのです。 デジタル技術が発達しているのに、人権の保護や法的な統制が不充分な状態で、 各国の情報機関と検警、捜査機関が途方もない不正乱用をしている状況です。

地球的な問題ですが、実際の人たちは他の重大犯罪と較べ、プライバシーの侵害はあまり深刻な犯罪だという考えが強くはないようですが

私はそうではないと思います。 なぜなら李明博政権の時もEメール(検閲)でみんなが大騷ぎになったではありませんか。 以前はこうした私的なメディアがありませんでした。 個人に完全に密着して、1対1で自分とマッチングされる通信手段というのは、 過去にはありませんでしたし、 それが登場した後に問題になったのであって、 李明博政権の時はEメールの問題でしたが、今ではモバイルメッセンジャーの問題になったのです。

個人ごとの表現メディアが生まれたモバイル時代、表現の自由は私生活の領域に

今回の事態はプライバシーの問題と表現の自由の問題がインターネット技術とからんで爆発した面がありそうです。 他の見方をすれば、表現の自由の面は韓国社会での運動社会の主要問題だとすれば、プライバシーの問題は十分に大衆的な問題になるのに人々が適当に辛抱して暮らしてきたような問題だったのですが。今回、モバイルを媒介として2つの問題が融合して爆発したようです

以前は表現の自由やプライバシーは、何か政府の政策や体制に反発する人だけの問題であった面があります。 表現手段や通信手段が制約的だったからです。 インターネット以前は私が表現をするには、宣伝ビラを印刷しなければならず、 印刷所に行かなければならず、お金もかかり、危険も甘受しなければならず、 平凡な人にできるものではありません。

インターネット時代とモバイル時代には、個人の表現のメディアができました。 三つから八十まで、皆に一つずつ表現メディアができて、通信手段ができました。 それで一時は、これはとても自由だと考えましたが陰もできました。 以前は公人だけに責任があった自分の言動に対する責任を一般人にもとても厳格に問い始める時代になりました。 それがいわゆる晒す、ということです。 私が以前、ブランドのカバンを持っていたらそれを探して非難するんです。 私は公人でもないのに、これがインターネットの陰でしょう。 だからすべての人たちが自己表現と言動に責任を持つことになりました。 公人でもないのに自分の言動がすべての人に露出するようになりました。 だから忘れられる権利だというものが出てくる時代なのです。

インターネットのおかげで一般人も政治家のような公人や社会運動家と同じように、 社会に対して発言できる環境ができて、 そのために表現の自由が誰にでも重要な時代になったのです。 同じように、モバイル機器が人ごとに与えられるようになり、 それが自分の人格ととても密着した時代なので、 通信の秘密がこの環境で保障されなければ通信機器と密着している私のすべての私生活が破壊されるような時代がきたのです、平凡な人々にも。

インターネットとモバイル機器の発展、LTE技術のようなモバイルの急速な発展が、さらに多くの民主主義の拡張の可能性をもたらしましたが、逆説的にさらに統制を呼ぶ状況になったのですね

そうです。一般市民がどうして公権力に勝てるでしょうか。 公権力が圧倒しています。 あるユーモアサイトの議論を掌握しようと思えば国家情報院は何人かの職員で、数万人が利用するユーモアサイトの議論を掌握できます。 そんな資源と権力に市民は勝てません。 カカオトークの議論も本来、カカオトークはとても自由と感じられました。 私の友人と部屋を作り、どんな対話も自由にすることができて、誰にも見られないから裏話も自由にできるように感じられましたが、 実は公権力が腹をくくればいくらでもインターネットとモバイル技術の環境を掌握できるのです。 米国のNSAなどは大西洋を横断するケーブルの内容をすべて見ていますし、 太平洋を横断するインターネット回線をすべて持っていきました。 腹をくくればできるのです。

思い出す代表的な監聴事件を紹介してください

汎民連(祖国統一汎民族連合)の関係者が2000年代の初期から7年間監聴されていたことがあります。 電話、ファックス、Eメール、その上、パケット監聴までされていたのに、 一昨年だったか起訴されました。 「7年間、私たちが監聴してきた」そういうことです。 これについて、憲法裁判所は2011年12月に憲法不合致と決定しました。

通信秘密保護法でこうした犯罪の捜査を2か月に制限している理由は、基本権の侵害が広すぎるということです。 同じ人に対して令状の発行を受け続けたり、延長する方式で2か月だけにしろという条項をすべて迂回して、制限を形骸化したのです。 ところが今回の李石基(イ・ソッキ)議員内乱陰謀事件を見ると、これも数年間、監聴をしていたのです。 どうしてかというと、憲法に違反決定は法改正まで効力があるそうですね。 法が改正されていないので、延長を続けて監聴をしました。

カカオ側で令状執行を拒否すると言いましたが可能でしょうか

押収捜索を拒否するというのではなく、監聴だけを拒否するといいました。 ところがこれまで執行された収監令状が違法だという論議がおきているでしょう。 技術的にリアルタイムの提供ができないというのは事実のようです。 提供できなければ令状を拒否しなければならないのですが、便法で提供をして、 それが2-3日分まとめて提供したということではありませんか。 野党議員が問題を提起して違法の論議が起きたので、その問題の部分を収拾する水準でしょう。

憲法裁判所は匿名の表現の自由が重要だと言うがすべてのログ記録を残す

今までは収監令状を持って押収捜索令状のように提供をしたということです。保守言論はカカオ側の令状執行拒否発表に大騷ぎしています。事実、歴史的に見れば以前はログ記録を残さなくても良い時期がありました

通信秘密保護法施行令を見ると、移動電話事業者は6か月、 インターネット事業者は3か月程度のログ記録の保管が義務化されました。 911テロ以後、そんな制度を導入した国家が増えて、世界的に反対運動が起きもしました。 今年のはじめにはヨーロッパの憲法裁判所といえる司法裁判所がこうした制度に違憲の決定をしたりもしました。 韓国のログ記録保管も違憲性があると見ます。

本来は事業者がログ記録は残さなくてもいいのに、捜査機関の便宜のために保管を義務化をしたのは違憲的だと思います。 憲法裁判所が2012年に本人確認制について違憲決定をして、 匿名の表現の自由が重要だといいました。 ところが韓国では、インターネットで匿名の表現の自由を行使する方法はありません。 憲法裁判所が匿名の表現の自由が重要だと宣言をしたとしても、 技術的環境は匿名の表現の自由が保障されない環境です。 ログ記録をすべて残すように義務化した理由があると考えます。

インターネットにログ記録を残すように義務化し、匿名性が消えて表現の自由がとても萎縮したようです。モバイルも一種の通話記録を残すようにしたのと似た脈絡でしょうか

カカオトークは対話内容を5日から7日残していましたが、 今度は反発があったため2-3日に減らすといいました。 事実、利用者が反発しなければ通信事業者がどんな政策を行うのか、 政策の中に悪かったり利用者の権利を侵害する内容があれば変えるべきなのに、 利用者の抗議がなければそうしたことの保障は難しいですね。

実際、携帯電話会社は6バイトまで保管しますが、初めからそうだったのではなく、 2004年に修学能力不正腐敗の捜査すると言って全国民のすべての携帯電話携帯メールが押収されたことがあります。 大騷ぎになりました。 修学能力不正腐敗は悪いことですが、 それでも修学能力試験時間にやりとりされたすべての全国民の携帯メールをすべて暴いたのです。 後で検察が数字だけのやりとりを選別したと言いましたが、それも便宜的でしょう。

利用者が「なぜ携帯メールを保管してきたのか。 私の携帯電話に受信されればそれで終わりだ」と抗議したのですが、 携帯電話会社の釈明は料金受納のために保管したということでした。 ましてカカオトークは料金を払わせる構造ではありません。 その後、携帯電話会社は料金受納のために前の三文字だけを保管するようにして、6バイトだけ保管しているのです。 カカオトークは今、抗議を受けてあわててポリシーを修正しています。 自然にできるポリシーでも保障される権利はありません。 利用者が進んで抗議して問題提起をしながら、少しずつ整えられるのです。

カカオトークは恣意的にしていたのですね

カカオトークも一定期間対話を残す立場には理解できる部分はあります。 利用者が端末機とpcの両方を使うので、すぐ消されると過去の対話は受信できませんから。 団体対話室などで時間が経って読まれなくなり、内容が消えるからです。

ナビゲーションの問題も最近言及されました

ユビキタス時代とは、いつどこでも接続できるということです。 私が認識できなくても接続ができ、これからはウェアラブル通信メディアとして時計やメガネなどの通信メディアを着る時代が来ます。 さらに、自分のからだにチップを埋め込んで通信をするかも知れません。 すでに医療界には患者にチップを移植する試みがあるといいます。 患者の脈拍数などを通信するというのです。 つまり、すべての所で通信するようになるといいます。 その話は、通信で残した痕跡は、どこかに残るしかありません。 これをデジタル足跡といいます。 今は文章や言葉は揮発するのではありません。 すでに言葉と文の境界が不明瞭になり始めました。 すべての言葉が記録される時代でしょう。 いつでも通信できるということは、いつでも記録されるという時代になるということです。

ナビゲーションのような、全く考えもしなかったアプリケーションで私の考えが読まれます。 私が何を検索して、私がどこに遊びに行くか、そうしたことが残るのです。 公益のために捜査に必要なら、情報を持っていくことはできると思います。 ただし、適切な水準で持っていくように、適切な手続きと制限が必要ですが、 それが今、全く保障されないから問題になっているのです。

最近、情報人権の現場で感じた点は

正直に言えば、今回のチョン・ジヌ氏の記者会見は、私たちがほとんど毎日していることだったのに、 これだけ波紋が大きくなって、私も驚きました。 ひとまず検察が事態を大きくして、私が考えていたより一般市民や利用者の不安と心理的萎縮感が思ったより大きかったのです。 情報人権の現場にいる私が思っていたより、はるかに市民の方が不安に思っていることを今回の事態で学びました。

そして今回の事態でチョン・ジヌ氏を近くで見ながら、この人は他の見方をすれば専門家です。 長い間、社会運動をしてきたのに、自分の一般人の友人の情報が情報機関に行ったかもしれないというのでとても苦しんでいるのを見て、 私が考えているよりはるかに深刻な問題だということを学んでいます。

ビッグデータ時代の情報人権活動家の役割はさらに重要になりました

事実、ビッグデータ技術そのものは生活に役に立ちます。 例えば深夜バスの路線を組む時、タクシーコールを呼ぶビッグデータを分析して路線を組んだそうです。 それで生活の役に立つのですが、問題はこれがお金になるということです。 金になるかもppしれないから、ただでさえ全てが保存され、記録され、絶対に消されないこの時代に、 企業はいつお金になるかわからないというので、ますます消さなくなりました。

それと共に、忘れられる権利を主張したり、自分の私生活の保護を要求する不満と権利を主張する要求が出始めたと私は見ています。 そんな緊張と葛藤の構造が大きな枠組みで形成されたのでしょう。 利用者は、もう自分の私生活がなくなったという鬱憤に充ちた時、 そんな恐怖、あるいは心理的な不安、萎縮感には理由があります。 彼らが私生活を取り戻せるように、私たちのような情報人権活動家が役割を果たすべきです。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-10-16 10:31:00 / Last modified on 2014-10-16 10:37:19 Copyright: Default

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