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韓国:[IPTVがやってくる](4) IPTVとメニュー構成
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IPTV、メニューに含まれた階級性

[IPTVがやってくる](4) IPTVとメニュー構成

マ・ヘウォン(RTV企画室) arupa@rtv.or.kr / 2008年02月13日13時22分

[出処:イラスト:タルグン]

名前:カン先生(30才、女)
職業:IT業界従事(?)
家族関係:夫、1女
参考事項:最近太王ヨンジュンと別れてチ・ソンと熱愛中

平和な夕方の時間、カン先生は久しぶりに家族とニュースを見ることにした。 三人は並んで座り、リモコンを持ってメニューからニュースチャンネルを探し た。この前ニュースを見たのはいつだっただろう。そういえば加入して1か月たっ たが、一度もニュースを見たことがない。「そうだニューハートだけ見て暮し ているわけにはいかない」。その時は8時だったが「9時ニュースデスク」を見 ることにしてチャンネルを固定したのに! 2007大統領選挙特別放送が出てきた ではないか! いや李明博が大統領に当選したのがいつのことで、就任まで何日 も残っていないが、それがなぜ大統領選挙放送というのか! リアルタイムの ニュースサービスは準備中なんだ。それなら時事教養番組で討論番組でも見よ うかと思ったのに、「100分討論」はまったくサービスにない。子供が好きだっ た「ポロロの大冒険」は元の位置から消え、どのチャンネルに移動したという 表示もみつからなかった。結局、彼らは、「ニューハート」を見ることにした。

我が家の居間でこんなことが起きる日もそんなに遠くない。TVとインターネッ ト、放送と通信が結びついた新しい形態のデジタルTVであるIPTVが、7-8月には 視聴者に届けられる。

ずる賢いIPTV、「なぜ我が家にきたの? なぜきたの」

従来の放送に加え、VODサービスと映画などさまざまな映像コンテンツが追加さ れ、インターネット情報検索からメール、チャット、映像通話、インターネッ トバンキング、ショッピング、証券取り引き、コミュニティサービスなど、イ ンターネットで使えるすべての機能が使えるIPTVサービスが6か月以内に始まる。

すぐ数ヶ月先に迫ったIPTVだ。だが私たち視聴者はこのIPTVについてどれほど 知っているだろうか? ただいくつかの機能だけが追加された便利なTVぐらいに 考えているのはでないだろうか? だが問題はそんなに簡単ではない。現在、 IPTVについての情報は、ほとんどがIPTV事業の受恵者である通信事業者が提供 しているので、視聴者はIPTVが持たらす放送環境の変化を正確に予測できない のが事実だ。当初から視聴者の要求でIPTVが導入されたのではないだけに、ア ナログTVからデジタルTVに、そしてIPTVへの転換の過程から、事実上視聴者は 徹底的に排除されている。では新しいメディアであるIPTV放送環境で放送視聴 者と同時に通信利用者でもある消費者にとっての得と実は何だろうか?

派手なIPTV誕生の中で失踪した「視聴者主権」と「放送の公益性」

IPTVは通信と結びつき、インターネット網を通じてサービスされるが、やはり TVであり、放送だ。今までKBS、MBC、SBSなどの地上波放送とケーブル放送、衛 星放送などで構成されていた韓国の放送環境において、視聴者らの多様な権益 保護と放送の公的責任を放送事業者に賦課してきたのは放送法だった。だが IPTVの導入と共に、放送法は歴史の中に消えるだろう。そしてその代わりにな る法案として「インターネットマルチメディア放送事業法(IPTV法)」が用意さ れた。ではIPTV法はこれまで放送法で守られてきた「視聴者主権と放送の公益 性」を十分に継承しているだろうか? 残念ながらそうではない。これまで市民 社会団体とメディア運動陣営、視聴者主権運動陣営などが作り上げてきた放送 の独立と公共性の保障、視聴者主権保護などの条項は、このIPTV法案には見つ からない。

まず、既存の放送法が保障していた「視聴者権益保護」の部分は、「利用者の 不満処理」と大幅に縮小されている。「放送の公共性と公益性」の部分に関す る条項はまったくなくなっている。特に放送の「視聴者製作番組」の放映義務 や、公益チャンネルの運用義務などは、IPTVプラットホーム事業者には義務化 しないことで事実上、視聴者の権利と放送の公益性が深刻な毀損されることが 予想されている。このように、IPTVを中心とする放送通信融合の状況では、と にかく法案だけを見ても、視聴者主権の保護と放送の公益性は、以前のアナロ グ放送時代よりもはるかに縮小されつつあるということを簡単に発見できる。

「しっかり隠れろ、髪の毛が見えるかも!」-メニューに含まれた階級性

だがさらに重要な問題は、法案では全く考慮されていない「初期画面とメニュー 構成」の問題だ。現在、IPTV法案にはチャンネル構成政策のメニュー構成に関 する言及は全くないが、メニュー構成の問題は事実上、今のようなアナログ放送 時代に「視聴者主権と放送の公益性具現」のために推進してきた「チャンネル構成 と運用政策」の問題と全く同じ問題だ。

これまでのアナログ放送が水平的なチャンネルの概念だとすれば、IPTVは従来 のチャンネルの概念とはまったく異なり、階層性を帯びる。IPTVではディレク トリ方式でチャンネルを選ぶことになる。初期画面やメニューバーのインデッ クスから一つを選択して入ると、その下にもいくつもの下位ディレクトリがあ り、それを何度もクリックしなければ見たい番組にアクセスできない。だから 露出と接近の問題が視聴者のチャンネル選択にとって重要なカギになる。

初期画面をはじめ、上位ディレクトリに露出されているかどうか、あるいは一 度クリックしてアクセスできるか、五回クリックしなければアクセスできない かという問題は、まさにチャンネル選択に影響を及ぼすことになる。ある番組 やチャンネルが下位ディレクトリにあれば、視聴者のアクセスの可能性はます ます下がる。IPTVにおいてチャンネルアクセスの問題の深刻性は、端的に視聴 者が好む番組をまた見つけることが難しい状況さえ発生するということだ。で は視聴者は自分が見たいコンテンツを探して、何度も間違って入ったり回り道 をしながら、ディレクトリの階層の間をさまようことが発生するかもしれない。 それよりも、いっそ眼につく位置にある気楽な番組を選ぶようになるだろう。 これは事実上、視聴者のチャンネル選択権を侵害するものだ。

なぜならKTや、ハナロテレコム、LGデイコムなどの巨大通信資本のIPTVプラッ トホーム事業者は、視聴者が簡単にアクセスできる位置に「金になる」チャン ネルを配置するだろうというのは火を見るより明らかな事実だ。多チャンネル 放送環境だが、大多数のチャンネルは娯楽・商業的な性格を帯びており、視聴 者の実質的なチャンネル選択権と放送の公益性が無視される可能性は非常に高 い。事実上、KBS、MBC、EBSのような公営放送さえ「リアルタイム放送番組」の 下位ディレクトリに入るIPTV環境では、その他の非商業的なチャンネルや公益 番組、およびコンテンツがどのようなIPTVのディレクトリの中で、どのような 階級を与えられるかは簡単に想像することができる。

視聴者権利ための最低限の規制、初期画面の一部を公益性領域に

こうした問題はもちろん従来のアナログ放送やケーブルプラットホーム事業者 のチャンネル構成でも如実にあらわれた。だがこれを政策的に補完することで 視聴者のチャンネル選択権と放送の公益性を保護しようとする努力があった。 これがまさに放送委員会の「公益性チャンネル政策」だ。公益性チャンネル政 策とは「公益性を持つが相対的にチャンネル競争で不利なチャンネル」をケー ブル放送事業者と衛星放送事業者が義務的に送信するよう強制するチャンネル 政策だ。だが現在のIPTV法案には、公益性チャンネル政策に関する条項が抜け ているばかりか、実質的なチャンネル構成の初期画面とメニューに関する規定 はどこにもないため、今後視聴者のチャンネル選択権と放送の公益性問題にお いて非常に大きな退行と混乱が予想されている。隠されてしまった非商業公共 の公益コンテンツを探さなければならないのかもしれない。

インターネット通信と結びついてはいるが、IPTVもTVであり放送だ。したがっ て、現在の放送が持つ多様な機能を遂行する。それができなければ強制する政 策的な装置が必要だろう。IPTVはリアルタイム放送であるだけでなく、VODサー ビスとデータ送信、通信とインターネットなど、さまざまなサービスを同時に 提供する代表的な融合メディアとして、従来は放送が担ってきた公共性をその まま持っていかなければならない。IPTVは従来の放送よりさらに市民の情報共 有、文化生活、公的コミュニケーション参加の過程で重要な役割を担うことに なり、そのために放送というメディアの固有性においてIPTVは社会的役割と公 的な義務を果たす責任がある事業であるのは明らかだ。

だからIPTV放送サービスにも公共性の強化と視聴者の権利保護および増進のた めの政策がなければならず、そのためには初期画面の何パーセントかをこうし たコンテンツに割り当てなければならないという政策的な保護が必要だ。これ は前に説明したように、IPTV環境では初期画面とメニュー構成が露出と接近の 問題で視聴者のチャンネル選択権と直結するためだ。そしてこうしたコンテン ツは、放送の公益性を実現する公共的、非営利的コンテンツと社会的少数者を 含む視聴者の放送接近権を保障する視聴者参加番組(パブリック・アクセス)で なければならない。これはIPTV時代において視聴者主権を保護するための最低 限の装置であろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-02-17 11:27:18 / Last modified on 2008-02-17 11:27:19 Copyright: Default

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