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11回からは500ウォン?![IPTVがやってくる](3) IPTVと有料化
キム・ジヒョン(ミディアクト政策研究室)
imaginekim@empal.com / 2008年02月12日13時21分
[出処:イラスト:タルグン] 名前:カン先生(30才、女)
帰宅したカン先生は、まずリモコンを探す。「からだをほぐすつもりでイサン を見ようと思ってボタンを押したのに、いや何も期待していた場面は出てこず にとんでもない画面が映る。内容はつまり「11編からは試験放送次元で有料で 運営される」という。「いや、晴れた空にこんな青天の霹靂もあるとは..」 2007年のダボスフォーラムで、ビル・ゲイツは「(今の)TVを見る方式が5年後に は笑い話になるだろう」と言ったという。IPTVがTVの革命に持たらす数え切れ ない変化の一つは、おそらく誰もが無料で視聴できた番組を、これからは金を 払って見なければならないかもしれないという点ではないか? 最近、IPTVサービスの本格化で大きくなっている地上波放送番組の有料化論争 は、これまで放送、映画、音楽などの制限された市場で進められてきたメディ アと大衆文化産業の独占化現象が、今や巨大通信資本の通信とメディア市場の 統合により、新しい次元の市場主義体制に改編される過程での雑音だという点 で、深刻に憂慮せざるをえない。 もちろん、IPTVの登場以前にも、文化的コンテンツの商品化、独占化の現象は 常にあった。映画は常に劇場で金を払って見る対象だったし、音楽と新聞、放 送、本も該当産業の生産と流通体系によって少数の資本による市場寡占体制を 強化させてきた。 しかし、デジタル技術を基盤とする融合メディアの登場は、そうでなくてもま すます加速するメディア分野の新自由主義的再編を新しい軌道にのせる。有線 通信、インターネットサービス、移動通信分野を中心として成長してきた巨大 通信事業者のメディア市場の進出でわかるこうした流れは、実際に従来の通信 市場の独占構造を延長すると同時に、メディア市場全体を通信資本の手中に従 属させるという点で、新しい秩序の登場を意味する。 通信産業によるメディア/文化産業の従属を見ることができる最も代表的な例と しては、ニューメディアに従属する音楽市場が上げられる。レコード市場とラ イブ公演市場を中心として発展してきた音楽産業は、デジタル技術の発達によっ て不法市場が大勢になっているMP3市場(ソリバダ)やストリーミング市場(ポク スミュージック)の登場によって、従来の市場の没落を見守るしかはなかったが、 しっかり著作権料を取れる音源市場により新しい活力を模索しようとした。 だがまさに音源著作権の実はすべて、インターネットのポータルサイトと移動 通信会社が持っていったとしても言過ではない。たとえばインターネットのポー タルサイトの『ネイト』が、サイワールドミニホームページのバックミュージッ ク(BGM)音源使用料で稼いだ収益の累計は1兆ウォンを突破し、移動通信会社が モバイルカラーリングサービスや着信音サービスで2005年に稼いだ収益もおよ そ2800億ウォンを越えた。これはオフラインのレコード市場の3倍に迫る数値だ という。1) この過程で移動通信会社との戦略的提携により、安定した製作投資と収益配分 を確保しようとした音楽産業界は、むしろ移動通信会社の各種の音楽サービス 事業の言いなりになっている。移動通信事業者にとっての音楽事業は、収益が 出なければいつでも他の付加サービス開発に代えられる多くのコンテンツの一 つでしかなく、こうした力の不均衡関係は結局、携帯電話の着信音やストリー ミングサービスの収益の配分にあたり、過度に移動通信会社に有利に策定され ている音源分配構造につながった。これを突破する新しい分配構造を見つけな い限り、移動通信産業に対する音楽産業の従属化はこれからさらに強まるだろう。 放送と通信の本格的な結合を意味するIPTVも、同じ流れで把握できる。まず 「インターネット・マルチメディア放送事業法」という名で昨年末に法案を通 過させ、早ければ今年の上半期からIPTV事業者もリアルタイム放送サービスを 提供できるようになり、放送コンテンツ製作者は独自のコンテンツを販売する もう一つのプラットホームを得た。 しかしここでも放送コンテンツは、今後IPTV事業者が提供することになる数え 切れない付加サービスの一つでしかない。もしIPTV事業者を単にケーブル、衛 星放送、DMBに続いて放送市場に飛び込んだもう一つの有料放送事業者と考える とすれば、これは通信資本によるメディア構造の再編を非常に狭く解釈するも のであるばかりか、今のメディア融合現象が追求する重要なポイントを見のが すことになりかねない。 現在の「インターネット・マルチメディア放送事業法」の規定によれば、IPTV で放送サービスは、『リアルタイム放送』の概念に包括され、IPTVが提供する 多様なコンテンツ(VOD、データ、映像、音声、音響および電子商取引など)の一 つに過ぎない。それだけでなく、こうした多様なメディア/文化的コンテンツの 提供は、従来の通信事業者が確保している超高速インターネットとインターネッ ト電話などの多様な通信サービスと結びついたパッケージ商品と価格政策を通 して提供される予定だ。こうなると、IPTVという一つのサービスへの加入で、 メディアと情報/通信領域を合わせ持ち、あらゆるサービスを提供する通信事業 者の競争力に誰が追いつけるだろうか? 今、プラットホーム事業者は単に一つ の機能だけを提供するだけでは、もはや競争力を確保することがますます難し くなるものと見られる。 このように、デジタル技術の発展により、従来は分離していたメディアと文化 産業が一つに統合されるだけでなく、これが通信市場との統合と同時に形成さ れるという点で、IPTVが投げかける有料化の問題は非常に意味が深い。 まずそれは既存のコンテンツ提供事業者の利益を保障する形で、急速にコンテ ンツの課金システムを構築していくだろう。放送、音楽、映画、動画、ゲーム、 各種の生活情報サービスなど、さまざまな文化コンテンツ産業はこの新しい(融 合)メディアの登場で、独自のコンテンツを販売する良い市場を発見するだろう。 とうとう公営放送まで独自コンテンツを有料化するとあわてることにならない だろうか! これは、通信資本の立場から見ても、競争力があり安定したコンテンツの確保 で、プラットホーム市場を掌握する戦略とともにスムーズに進められるだろう。 音源市場との出会いでもわかるように、コンテンツの有料化による収益分配構 造は、コンテンツの流通を担当するプラットホーム事業者の得にはなっても、 害にはならないためだ。もし収益が出ないければ、該当分野のコンテンツを外 して他の付加サービスに変えるか、新しい付加サービスを開発すれば良い。(著 作権の強化で最大の受恵者は今後、デジタル融合環境でIPTVのような融合メディ ア事業者になるかもしれない。) 一方、通信資本の市場戦略から見て、今後の情報化社会の核心は、何といって も情報伝送網を得ることだ。どんな手を使っても、自社のネットワーク加入者 数を維持するか拡大しなければならない。これに関わる未来の収益構造を計算 すれば、当面の有料コンテンツを一定期間無料で提供することも、未来への投 資と見ることができる。とにかく消費者の興味を引く各種のコンテンツと新規 サービスにより、市場での独占的地位を確保することがカギだ。 こうして見れば、IPTVは通信資本によるメディア市場の統合および吸収の可能 性を意味する。これからわれわれが享受するメディアと文化コンテンツの提供 方式は、もちろん通信サービスの提供方式にも強い影響を及ぼすという点で、 共同でIPTVに対応することが大変重要だ。事実、放送と通信の融合と思われて いる現在のIPTVの事業推進方式は、従来の放送における公共性とインターネッ トにおける公共性を深刻に縮小する形で進められている。 かろうじて勝ち取った放送でのパブリック・アクセスの権利と公益チャンネル の義務送信、地域性などの公的義務は、この新しい融合メディアでは考慮の対 象から完全に外され、ネットワークは開放的でも、閉鎖的なコンテンツで構成 される傾向は、これまでインターネットでの緩い規制網を通して(比較的)自由 に発言し、資本の収益創出構造の外で文化的なコンテンツを創造/再創造/利用 /消費/共有しようとするインターネットユーザーの能動的なアイデンティティ を、資本が仕組んだ枠組みの中で提供されるサービスを一方的に消費する受動 的な消費者に徹底的に変革させている。政策的水準で介入しなければ、IPTVの ような融合メディアだけでなく、IPTVが従来のメディアに持たらす公共性の弱 化は火を見るより明らかだ。 したがって、IPTVに対する公共性の要求を積極的に展開する必要がある。この 融合メディアは、独自のサービスを提供するにあたり、何よりも公益的、公共 的なサービス提供を最優先に配慮しなければならず、そのために可能なすべて の措置を取らなければならない。これは、メディアと通信資本の市場独占と、 それによる弊害を規制し、市民の自発的かつ自律的な、そして民主的なコミュ ニケーション活動を支援、育成することを原則に据えなければならないだろう。 資本がメディアの未来を彼らの思い通り描いていくように、私たちも積極的に 私たちのメディアの未来に対するイメージを展開しよう。デジタル技術の発展 とメディアの融合が、閉鎖的なコミュニケーション構造と、もう一つの金儲け の手段を意味するのではなく、これまで保証されて当然だったのに保証されて こなかった韓国社会の多様な構成員のメディアの権利と表現の自由を実現する 時代にしよう。 1)イ・ドンヨン(2007)、"大衆文化産業の独占化論理と代案文化行動"、新自由主義体制文化運動の新しいフレーム、『文化圏』:文化圏、文化的生活の社会的拡散のための連続討論会5. 社会権3(市場):「消費を越えて、共有の市場を」資料集、文化連帯、2007年6月 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2008-02-17 11:26:43 / Last modified on 2008-02-17 11:26:43 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |