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IPTVとは何か?[IPTVがやってくる](1)IPTVに見るメディア融合環境
キム・ジヒ(民衆言論チャムセサン)/ 2008年02月05日17時04分
『時間も番組も思いのまま』、『映画も選べて何でもできる』という夢のTV、 IPTV。 企業等の修飾語はこの上なく派手で、政府の産業至上主義と絡んだマスコミの フレームアップはきらびやかなことこの上ない。人々は思うだろう。『いつも 似たような商品紹介、くそったれ売り飛ばす戦略』だと。 明らかに、いつものうんざりするような消費促進の過程であることに間違いな い。しかしIPTVは、これまでのいくつかの製品と違って、適当に売って終わる イベントとして扱うことができない何かが存在する。そのもの自体にも文化、 メディアの消費パターンを変更する余地があるばかりか、大衆の暮しに直接影 響するほどの資本化の過程に移転、広がる可能性はとても高い。 したがって、現時点でのIPTVに対する分析を通して、メディア融合状況を眺望 する作業は、今後変化していくメディアと生活文化の地形を把握することに 意味があると思う。 IPTVとは何だろう? [出処:ミディアクトhttp://www.mediact.org] 純粋に技術的な側面から見れば、IPTVは画期的な新技術とは言えない。それも そのはず、IPTVは既存のインターネットサービスで使われている超高速インター ネット網を通じ、インターネットと同じデータ転送方式を活用する端末機-PC ではない- であり、TVのサービスだというだけだ。もちろん放送と通信のメディ アの融合と広域網構築、ISO MPEG4を始めとする映像フォーマットの進化など、 関連技術は進んでいる。 だがやはり核心的な概念は、インターネットでデータをやり取りする IP(Internet Protocol)という情報伝達方式だ。IP方式は非常に単純で、それだ けに強力であり、インターネットの双方向性を実現する重要な概念だ。 したがってIPTVもインターネットと同じく映像、音声、テキストによる放送は もちろん、メール、メッセンジャー、電話、カフェ、オンライン ゲーム、ファ イル管理、検索、UCCなどさまざまなインターネットサービスの提供が可能だ。 IPTV導入段階の現在は、『好きな時間に好きなコンテンツを見られる』VOD (Video on Demand)サービスがほとんどだ。VODサービスでは既存のTVと違って、 まるでウェブサイトのようにメニューでチャンネルを選び、編成時間を待つ必 要なく好きな時間に思いのままに見られる。第1話から最終回まで蓄積された あらゆるドラマとシリーズ物は、すでに眠る時間を削ってハマる『IPTVオタク』 の量産に重要な役割を果たしている。 IPTVの主な特徴 IPTVの最大の特徴は、TVと違ってチャンネルの概念がない点だ。従来の地上波 とケーブルTVは、使用する周波数帯域とケーブルの分配により、チャンネル数 に制限がある。このような制限条件は、時にはケーブルTVのチャンネル獲得の ための放送チャンネル使用事業者(Program Provider)間での激しい競争と不正 を招く原因になることがある。 しかしIPTVはマルチキャストという方式を使い、論理的には無限のチャンネル を提供できる。実際、IPTVの画面はまるでインターネットポータルのメニュー 画面と同じ機能で、チャンネル制限による資源の効率的な分配を気にする必要 がない。したがって今後はブログやオンラインカフェのように利用者が運営す る個人メディアチャンネル(Personal Media Channel)サービスが誕生するかも しれない。 もう一つの主な特徴として、TVと違ってインターネットに近い双方向性を上げ られる。1月22日、ダウムコミュニケーションが韓国マイクロソフト、セルロン と共に『オープンIPTV』サービス開始の記者会見をした。この席で試演された オープンIPTVのテストバージョンによれば、コンテンツ記録機能はもちろん、 ドラマを視聴しながら人物情報、ショッピング、ニュース、関連カフェなどを 検索して見ることができる。また、ひとつのスポーツ競技をさまざまな位置か ら撮影し、利用者が好きな位置を選んで視聴する機能も提供される。このよう な機能がドラマに適用されると、ドラマにさまざまな結末を設定して利用者が 選べるようにすることもできるだろう。 今後、想像できるサービスを考えれば、大衆はIPTV中毒になり、ますますイン ターネットで始まった各種のコンテンツとサービスが、むしろIPTVに収斂する 可能性も排除できない。 [出処:ダウムgoTV(2006バージョン) -メニュー画面(http://www.daum.net)] 一方、IPTVが採択したデータ伝送方式により、サービス可能範囲が破壊される。 例えばIPTVは携帯用無線IPTV装備だけでなく携帯電話やPMPなど端末機に制限が ない。IP方式さえ合わせれば、世界中すべてのコンテンツが互いに交流し、融合 できる。 IPTVから見たメディア融合環境 これまでの通信市場のネットワーク中心の事業は、もはや物理的拡張空間も増 加する加入者もいない状況だ。それに加えて、ケーブルTVは放送ばかりでなく インターネット網サービスに事業を拡張してきた。守勢に追い込まれた通信業 界にとって、IPTVは新しい市場の構築とコンテンツ事業への拡張を同時に試み られる良いアイテムになった。もちろん事業進行の過程と主体の利害関係によ り、IPTVが徹底的に産業基調で体系化されていくだろうということは、言うま でもない。 昨年12月28日に通過したインターネットマルチメディア放送事業法(別名IPTV法) を見ただけでも、リアルタイム放送の規定はあるものの、核心のVODサービスへ の規制や公共性といった内容はすべて抜け落ちている。例えば障害者のための 手話や字幕放送などの適用規定もなく、大衆がメディアに参加する権利のため のパブリックアクセスの規定も全くない。 その上、すべてのコンテンツの配置とメニュー構成の権限は、すべて事業者に 与えられているので、途方もないメディア権力が集中することになる。現在と しては、公共コンテンツの義務送信や配置規定もないため、その権力はさらに 商業的に活用され、巨大になるだろう。 資本化の過程は単にIPTVに限らない。 今、コミュニケーションのためのネットワーキング技術は、人と人とのコミュ ニケーションを越え、人と物とのコミュニケーションに拡張されて行く。通信 業界は、今後冷蔵庫やガスレンジと対話するホームネットワーク時代に備え、 家庭内の有線・無線ネットワークと利用コンテンツを先行獲得したわけだ。先 行獲得したサービス利用が生活習慣になれば、未来の予測可能な収益まで独占 する効果が得られる。 [出処:myLGTV -メニュー画面(http://www.mylgtv.com)] メディア融合状況が持たらす驚くべき現象の一つは、メディアが言論、放送の 概念と分離することだ。普通、『ハンギョレ』というメディアには『新聞』と いうメディアが、『KBS』という放送には『地上波TV』というメディアが対になっ ていた。しかし今、メディアという器は、報道機関と放送というコンテンツと は無関係に成長している。すでにケーブルTVから進展したこの概念は、IPTVに 至っては、放送だけでなく従来のインターネットの各種の個人または協業コンテ ンツに拡大適用される。 この過程の中で、小規模メディアやオルタナティブ・メディア運動集団は大衆 との接点が大幅に減ることになる。これまで紙やインターネットが比較的安価 なメディアとしての役割を果たしてきたが、IPTVを始めとする融合メディアは 進入も簡単ではない。したがってオルタナティブ・メディアがメディアに対す る表現の自由と多様性、および公共性保障を叫ぶのは当然の現象だ。 一方、IPTVは開放性の象徴であるインターネット情報伝達方式を利用し、加入 者中心にサービスを提供する閉鎖型ネットワークを実現することで『支払った 者だけがアクセス』できるように設計されている。『支払い』で形成されるネッ トワークは、支払能力によって利用者の情報格差を広げるばかりか、相対的に 非商業的だったインターネットを資本化する。そして信頼度の高い加入者の個 人情報は、各種のセット商品とコンテンツ製作者との契約などで、どの範囲ま で流通するのかも分からない。 http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&id=42420原文(チャムセサン) 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2008-02-17 11:25:16 / Last modified on 2008-02-17 11:25:17 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |