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韓米FTA、シッコがやってくる

[コラム]韓米FTAと認知資本主義が襲ってくる

イ・ドクチェ(大邱カトリック大) 2011.11.08 17:00

すでに入ってきた。2008年の米国産BSE感染牛肉波動で触発されたキャンドルが 無慈悲な弾圧で消えた後、イーマートでも酒場でも米国産牛肉が売られている。 BSEの恐怖は消え、国籍も分からない肉が韓国の食卓を占領してしまった。

それはともかく、次は何か。恐らくマイケル・ムーアのシッコ(SICKO)がやって くるだろう。鄭東泳(チョン・ドンヨン)議員とナム・ギョンピル議員の間での 李完用論争とは無関係に、BSEの恐怖が医療民営化の恐怖になってよみがえるだ ろう。切れた指を付ける費用5千万ウォンに耐えられず、切れた指を鳥の餌に投 げるシッコの映画の一場面は、韓米FTA発効後、遅くとも5年内に現実になるだ ろう。国会議員は金を持っているので、指が切れてもそれを繋ぐ金があるだろ うが、一般の人には想像するのも難しい。ロシアでも首都モスクワにヨーロッ パ系の病院ができ、診察費だけで5万ウォンだ。韓国でもありそうなことだ。

最近、政府の薬価値下げの発表で、製薬会社が反発しているが心配することで ない。韓米FTAが発効すれば、健康保険公団と健康保険審査評価院が決めた薬価 を製薬資本も参加する『独立的検討機構』の意見を受けなければならない。な かったことを新しくすることになるので、結局薬の価格は上がる。その上、全 世界の製薬市場を席巻する米国系の製薬会社は韓米FTAの『許可-特許連携制度』 でさらに大きな利益を得ることになる。

だが、韓米FTAが出発点なのではない。韓米FTAが始まれば、医療民営化が始ま るのではないということだ。医療民営化はすでに稼動しており、盧武鉉政権か ら李明博政権まで、韓米FTA発効のための基礎作りが着々と進行しているのだ。 盧武鉉政権の時に推進されたサービス市場先進化事業がそれだ。すでに、三星 生命は医療保険商品を売り、ソウルで高級診療を受ける患者が現れた状態だ。 問題は、韓米FTAがこれまでに進められてきた医療民営化を国際法的に確認して、 それをさらに露骨にすることだ。

純真な国民は、健康保険証はなくならないだろうと思っているかもしれないが、 米国の生命保険会社が韓国の健康保険証を黙って見ているはずがない。三星生 命保険会社の株式を分ける場合があっても健康保険証を保険に変えるだろう。 いわゆる紛争処理制度のISD(投資家-国家訴訟制度)により米国の生命保険会社 は利益侵害を理由に大韓民国という主権国家を国際投資紛争調整センター (ICSID)に引き出せる。韓米FTAにある『自動同意条項』のために米国の会社が 韓国を提訴すれば、好むと好まざるとにかかわらず、仲裁裁判所に行って判決 を受けなければならないためだ。

現在、世界的に大民領土の10倍もの土地で遺伝子操作植物が栽培されている。 米国はそのほとんどの土地で遺伝子操作植物を栽培している。米国で栽培され た豆の87%、とうもろこしの62%が遺伝子操作されたのだ。豆ととうもろこしだ けだろうか。綿花などの遺伝子操作植物の品種は広がっている。では、その豆 ととうもろこしはどこに行ったのか。すべて米国人が食べたのか。違う。中国 はかなり前から5千万トンの豆を米国から輸入してきた。その豆はすでに韓国の 食卓にも上がっている。2004年には米国産の遺伝子操作豆86%、とうもろこしの 46%が日本の食卓に上がっている。2008年のキャンドルの時にも米国産の遺伝子 操作とうもろこしの3万9千トンが群山港から大韓民国に入ってきた。

韓米FTAが発効すれば、大韓民国はそれこそプリオン病と遺伝子操作が原因の病 気など、各種の病気に苦しむことになる。そればかりか投資家保護という美名 により、事実上の医療民営化が行われ、病院が公共性を失い私有化され、民間 保険が健康保険証に代わるため、病気になっても労働者民衆は病院の前に行く こともできないかもしれない。このように韓米FTAはシッコで大韓民国の領土を 侵すだろう。

だが、米国の狙いは、別にある。それは、牛肉でも遺伝子操作植物でもない。 米国の狙いは生命産業を基盤とする、いわゆる認知資本主義という最先端武器 を韓米FTAを通じ、全世界に誇示することにある。認知資本主義は、自動車や物 などの商品で利益を蓄積するのではなく、遺伝子技術(G)、ナノ技術(N)、ロボッ ト技術(R)というGNR革命を基盤に生命、身体自体を商品化し、利益を蓄積する。 2010年のバイオ産業市場の規模は1京を越えた。そのほとんどを米国バイオ産業 が占めている。2010年には米国のバイオ産業ベンチャー数は1274社で、60社し かない日本や、716社にのぼるヨーロッパのベンチャーの数を圧倒する。米国産 牛肉は、二番目の問題かもしれない。大学-企業-政府の三角同盟の下で、米国 が全世界の市場のほとんどをさらっている認知資本主義は、米国の軍事覇権主義 に続く科学覇権主義を米国に抱かせるだろう。

大韓民国はその試験台でしかない。大きくなりつつある炭素排出権市場も同じ だ。米国は2050年以後を見通し、大韓民国に韓米FTAを強要している。ところが 大韓民国は、ISD打令だの総選挙打令だのをならべているだけだ。米国はISDだ けを狙っているのではない。それがまさに米国が狙う見せ掛けとマトリックス だ。大韓民国はそのマトリックスにひっかかっている。牛肉であれ遺伝子操作 植物であれ健康保険証破壊であれ、米国は大韓民国の全国民と全国民の健康を 試験台にして、認知資本主義という最先端武器をこの土地に降り注ぐ準備をし ている。

韓米FTAが韓国の国会を通過すれば、これまで進められてきた水私有化、鉄道民 営化、国立大法人化などあらゆる民営化の論理がさらに弾みがつくだろうが、 市民を含む韓国の労働者民衆は、一方的な整理解雇に続いてシッコの恐怖の前 に露されるだろう。韓米FTAは米国と米国の金融資本、カーギル、モンサント、 タイソンフードといった世界的な農畜産資本、医療資本、国内のサムスンなど の大資本に莫大な利益を上げさせ、市民を含む労働者民衆には生命の恐怖を抱 かせるだろう。

結局われわれは、狂牛病からシッコまできてしまった。李明博政権とハンナラ 党が強行処理する韓米FTAを阻止して、第2のキャンドルを燃え上がらせる理由 はここにある。韓米FTAは、貿易関連知的財産権協定(TRIPs)によって、米国の 知的財産権を保護し、韓国を米国生命産業の植民地にする第2の乙巳保護条約だ。 日本の乙巳保護条約が土地と財産を強奪して行った事件だとすれば、韓米FTAは 大韓民国の生命を略奪していく前代未聞の事件になるだろう。

切れた指を鳥の餌にするのか、さもなくば米国のトリックを阻止するのか。す いかの栽培で全国的に有名な慶尚道の高嶺が4大河川事業による地下水の流入で 浸水する事件が起きた。韓米FTAも狂った4大河川事業の効果のように、数年で 金がなく、薬を飲めず、手術を受けられないきちがいじみた結果を生むだろう。 怒りと抵抗に点火する他の何か方法があるだろうか。韓米FTAを阻止しよう!

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-11-09 05:21:42 / Last modified on 2011-11-09 05:21:46 Copyright: Default

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