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韓国:韓米FTAが無償医療を不可能にする
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「韓米FTAが無償医療を不可能にする」

健康保険の保障性強化は莫大な損害賠償の覚悟が必要

キム・ヨンウク記者 2011.01.21 16:38

韓米FTA(自由貿易協定)が、最近の福祉についての議論の中心にある健康保険の 保障性強化政策などの『無償医療』を事実上不可能にするという指摘がまた出 され、これへの関心が求められている。韓米FTAが施行されると、例えばガンに 対する健康保険の保障性を画期的に強化する場合、米国系保険会社のAIGなどが 政府に損害賠償請求訴訟を提起できるという。この規定は、韓米FTAの投資家- 国家紛争解決手続きに含まれ、政府の保健医療政策推進の深刻な威嚇として作 用するという。

民主労総が1月20日に発表した「韓米FTAの『操作された経済効果』批判と本質的な 問題点」という政策報告書は、こうした韓米FTAと無償医療関連の問題を詳しく まとめている。

民主労総は、韓米FTAが『無償医療』に影響する経路として、△民間医療保険の 包括的許容と規制不可による公的健康保険の侵害、△投資家-国家紛争解決手続 きによる損害賠償訴訟の可能性、△投資家-国家紛争の解決手続きの存在自体に よる政府規制萎縮効果、△経済自由区域法と済州特別自治道法による営利病院 許容について韓米FTAが施行されると副作用を回復できない点を上げた。

韓米FTA金融サービス協定(協定文13章)は、民間の医療保険商品を包括的に認め る。民主労総はこの規定について「すでに過度に肥大化し、公的な健康保険の 領域を侵している民間医療保険への公的な規制を事実上不可能にし、健康保険 制度の発展に大きな障害になる」と警告した。

現在、韓国の民営医療保険の規模は約12兆ウォンで、約30兆の国民健康保険の 30%に達するほど成長しており、民間医療保険の規制が切実だ。民間保険の規模 がさらに成長すると、国民健康保険の根幹が揺らぎかねないからだ。だが韓米 FTAは新しい規制措置を事実上不可能にし、公的健康保険制度の発展と保障性の 強化に否定的な影響を与える。

また韓米FTA投資協定(協定文11章)に含まれている投資家-国家紛争解決手続き (Investor-State Dispute ISD)は、政府が健康保険の保障性を強化する政策を 取る場合、保険会社は保障性の強化による民間医療保険市場の縮小を政府の 『間接収用』と見なし、損害賠償請求訴訟を提起することを許容している。

こうした問題提起はかなり以前から関連団体が提起していたが、政府は「韓米 FTA協定では公衆保健、安全、環境および不動産価格安定といった正当な公共の 福祉のための措置は原則的に間接収用にならないと明示している」とし、公衆 保健政策は投資家-国家紛争解決手続きによる提訴の対象にならないというよう に主張している。

しかし民主労総の報告書は、「実際にFTA協定文には上のように保健、社会福祉、 環境などに関する政府の措置は間接収用を構成しないと規定しているが、公共 政策を理由とする提訴の事例は多数発見されている」とし、米国廃棄物処理業者 メタルクラッド(Metalclad)社の事例を紹介した。

メキシコで廃棄場を運営する米国のメタルクラッドは、廃棄場周辺の環境が急激 に悪化し、メキシコ政府が廃棄場の許可を取り消したことで、メタルクラッドは 投資の不当な侵害として投資家-国家紛争解決手続き制度を発動した。結局、 メタルクラッド社はメキシコ政府に勝利して、利益を保証された。民主労総は 「メタルクラッド社の事例を見れば、投資家-国家提訴制度は健康保険の保障性を 現在以上に強化することを非常に難しくする障害になるだろう」と警告した。

報告書はまた韓米FTAが公衆保健政策を威嚇するもうひとつの方法として、開放 留保の例外に認められた経済自由区域特別法と、済州特別自治道法による営利 病院の拡散と固定化を上げた。

韓米FTAは保健医療サービスを『今後も開放を留保する』という『未来留保』と して認めるが、経済自由区域特別法と済州特別自治道法による関連特例は例外 にしている。これにより、韓米FTAが通過すると、経済自由区域と済州島に営利 病院、薬局あるいはこれと類似の施設が設置される場合、この規制措置はどんな 副作用が発生しても元に戻せなくなる。

民主労総は「韓米FTA体制の下で、政府が健康保険保障性を強化するには莫大な 規模の損害賠償を覚悟しなければ推進できないという状況に置かれかねない」 とし「『無償医療』は韓米FTA体制では事実上不可能だ」と警告した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-01-23 02:35:37 / Last modified on 2011-01-23 02:35:39 Copyright: Default

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