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[論評]自尊心も売り飛ばした盧武鉉大統領

盧大統領の韓米FTA談話文発表に際して

チャムセサン/ 2007年04月03日1時33分

最悪の黄砂に続き、最悪の交渉が妥結した。キム・ヒョンジョン通商交渉本部 長とカラン・バティア米USTR副代表が4月2日午後4時、韓米FTAの「妥結」を 公式に宣言した。続いて盧武鉉大統領は2日の午後9時50分、対国民談話文を 発表した。

盧大統領は談話で、今回の交渉は国際的に普遍化した原則と先例による交渉で あり、農業と製薬産業以外の被害は微小で、FTAによる損失は制度と政策を用 意して補償すると約束した。また、開城工業団地の原産地認定の根拠を得たし、 サービス市場は法律と会計市場だけの開放で、むしろ不満だというほどの交渉 だといった。一方、韓米FTA反対論者に対しても、論理と根拠のない批判で、 政府は民族的感情や政略的な意図を排除して先進国に跳躍する踏み台として 韓米FTAを推進したと発表した。結論から言えば、こうした盧武鉉大統領の 談話はそれこそ偽善と欺瞞で埋めつくされている。

まず、今回の交渉は徹底した米国中心の交渉であったし、屈辱的な交渉だった。 当初から交渉過程でテコにすべき重要な問題を4大先決課題の形でまず聞き入 れ、交渉の過程では始終一貫して米国の意図の言いなりになった。最後の8次 交渉は屈辱交渉の白眉といえるが、韓国で進行しながらも、米国時間を基準と して進められた。TPA(貿易促進権限法)のスケジュールにより交渉日程が決まっ た状態で、米議会の承認によって交渉時間がゴムひものように行ったり来たり した。米議会の業務時間に合わせて交渉をしたため、交渉団が昼間は寝て夜に 交渉をする奇異な姿もみせた。なぜこんな交渉を「国際的に普遍化した原則と 先例にしたがって交渉を進めた」と言えるのか? もしこの話が正しければ、盧 大統領は米国の意図のとおりに交渉することが国際的に普遍化した原則と先例 だということだ。

盧大統領は談話文で「農業と製薬産業以外の被害は微々」といった。さらに 「法律と会計市場だけが開放され、残りのサービス市場は交渉団が交渉をとて もよく防ぎ、不満を感じる」とまで言った。しかし事実はそうだったろうか? 全産業の被害は詳細に確かめてみなければならないが、サービス市場だけでも 政府はいわゆる自発的開放政策で、韓米FTAではなく国内法で開放している。 資本市場、教育、医療市場が国内法で完全開放状態まで行っているのに、強い てFTAの議題として扱う理由がない。それでも法律と会計市場だけを開放する ので不満だと冗談を言い、国民を欺瞞している。

とりあえず被害が予想される産業と、予想できなかったが損害をこうむった部 門には制度的な保護方案を用意するという。被害があれば支援して、廃業して も支援するという。大統領の話を善意で受け入れるとしても補助金支給はそれ 自体が国際的な争点となる事案だ。もしどこかの投資家が農業補助金が違反だ と主張すれば、身動きもできなくなり、今回の韓米FTAがその道を開いた。政 府の補助金も政府の意図のとおりになるのか、米国の投資家と米議会の承認を 受けなければ分からない状況になった。

盧武鉉大統領は談話文で、韓米FTA締結の真の意図を隠さなかった。一言で言 えば、開放までの時間をやるから構造調整を断行しろということだ。言い換え れば、構造調整のために韓米FTAを推進したということで、これこそが先進国 への近道だという。そして構造調整の方向は農業の抹殺で、その代わりに自動 車、繊維、鉄鋼、電子などの財閥の利害を極大化しようということだ。また、 産業競争力確保のために強力な内部構造調整、労働市場柔軟化をさらに拡大し ろという注文だ。それでも大統領は韓米FTAが二極化を深化させないと強弁し て、根拠をあげろという。構造調整と労働柔軟化、開放と世界化による公共 サービスの破壊でなければ、いったいなぜ二極化が深刻化しているのか、 盧大統領はまだこの事実を知らずにいるのか?

韓米FTA交渉はまだ終わっていない。さらに深刻なことは、米議会の要求によ り追加交渉があるかもしれないという点だ。交渉文は5月にならなければ公開 されないので、現在はわからないことも問題だが、6月末まで米議会の要求に よって追加開放は不可避だ。そしてそれによる被害はさらに大きくなるのは 自明だ。一度引きずられた交渉をとり戻すのは難しいからだ。

開放哲学を持ってくれ、困難な交渉のたびにしんばり棒になった大統領に感謝 するというキム・ヒョンジョン通商交渉本部長の発言は意味深長だ。これらの 諸々の事態がほかでもない大統領の決断で進められたという事実を語るためだ。 そう思えば、わが政府が定見もなく、愛国心も自尊心もない、そんな政府では ないという盧武鉉大統領の言葉が部分的には事実かもしれない。しかし国民を 死に追いやる大統領をどう見るべきか? 盧武鉉政府になって、軍事政権より多 くの労働者・農民が焚身したり自ら運命を別にした。労働者、農民、移住労働 者はもちろん、芸能人から学生と老人まで、自ら命を絶っている。自殺率が OECD国家で1位に達する間、大統領はたった一度も責任ある発言をしたことが ない。今回のことも自国民が焚身までしたのに、これに対しては一言半句もな い大統領だ、こな大統領こそ、自尊心まで売り飛ばした大統領ではないか!

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-05-29 05:08:50 / Last modified on 2007-05-29 05:08:51 Copyright: Default

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