韓日FTA交渉中断要求記者会見文
著者 民衆連帯
登録日 2004-04-26[12:57]
日韓FTA第三次交渉に関する日韓FTA交渉中断要求記者会見文
- 今日の世界的な危機に瀕した資本主義経済体制は、
企業の利潤追求活動には無限な自由を保障して、
労働者民衆の権利は縮小させるという新自由主義世界化を全地球的に追求している。
先進諸国と多国籍資本は、その有力な手段としてWTOを通じた
多国間協定を締結しようとしたが、第三世界政府と民衆の抵抗で
WTO第五次閣僚会議が霧散する等の障壁にぶつかると、
今度はFTAという二国間自由貿易協定を通してこれを推進している。
しかし、いわゆる自由貿易の恩恵は民衆に戻ってこないばかりでなく、
むしろ食糧、エネルギー、保健医療、教育、通信、水など、
民衆の生に欠かせない公共サービスを私有化して商品化し、
資本の金儲けの対象に転落させて、その過程で労働者民衆の
自主的な権利を剥奪している。
- 新自由主義世界化、外国人投資誘致と開放、構造調整、金融市場拡大などを
強力に推進する韓国政府もこれに伴いFTAを推進し、最近韓チリFTAを発効させた。
しかし農民を中心とする各市民社会は、開放を加速して農業を破壊し、
多国籍企業だけに利益になる韓チリFTAに強く反対した。
それにも拘わらずこれを強制的に通過させた韓国政府は、再び韓日FTAを推進している。
FTAはWTOが失敗した道をそのままたどっているだけだ。
去る10年間、われわれは投資と貿易の自由化、関税と非関税障壁撤廃、
公共サービスの私有化、新自由主義構造調整などが経済と民衆生活に
どれほど破壊的な影響をおよぼすのかを十分に見てきた。
それは労働者民衆に貧富の格差の拡大、実質賃金の低下、労働条件の悪化、
雇用の剥奪、公共サービス料金の暴騰など「涙の谷」を意味するものだった。
全世界的にも市民社会運動は地球を略奪するWTOとFTAを撤廃しろという声を
高めており、これは益々説得力を持っている。
- 韓日FTAは、このような問題点をそのまま抱えている。
第一に政府はFTA交渉内容を徹底して秘密にして密室だけで議論している。
FTA締結が国家的にも非常に重要な懸案であり、国民的な討論と合意が切実であるにも
かかわらず、内容を公開せずに妥結の段階になってから
内容を明らかにしようとしているのだ。
韓チリFTA推進過程でも密室交渉により、さまざまなな批判と非難を受け、
それによって市民社会の激烈な反発を呼び起こしたことに対して
まったく反省することなく教訓にしていない。
政府は即刻韓日FTA交渉内容を公開しなければならない。
第二に、政府が交渉の基礎とする産官学研究報告書やマスコミ報道を基礎に
交渉内容を見ると、一言で驚かされるほどだ。
まずWTO条項と精神を遵守しなければならないと規定して、
WTOの内容をそのまま受け入れている。また、両国政府は韓日FTAを通して
農業、サービスをはじめとするあらゆる分野をその対象に含め、
超国籍企業が侵入できる領域に変革させようとしている。
特定分野を除外せず、あらゆる分野で「包括的」に自由化を推進するということだ。
現在進められている構造調整を促進して、
いわゆるグローバルスタンダードに符合しない慣行を廃止しなければならないと言う。
投機資本を投資と認め、その所有権を徹底的に保障する措置をこの協定に
含めようとしている。サービス領域に関しては、
「WTOで行われる議論の範囲を超えることなく高度な自由化を達成しなければならない」
としている。これは、民衆の生と直結した必須公共サービスが、
資本の高度な金儲けの対象になるべきだということだ。
さらに韓日FTAが東アジアFTAと韓・中・日FTA締結を促進しなければならないとし、
東アジア全体を自由貿易地帯として資本活動の自由を保障しようとするものだ。
第三に、最も深刻な問題は、反労働者的措置を要求していることだ。
「非関税措置協議会報告書」には韓国労使関係を問題視して
▲無労働無賃金原則の遵守
▲不法ストライキに対する政府のすみやかな対処
▲退職金制度の柔軟化
▲年次・月次休暇手当てに対する使用者の義務の廃止
▲労働委員会が労働争議を解決するために一層努力することなどを要求している。
3月に開かれた韓日財界会議でも、日本経団連会長は韓国の労働問題を強く提起した。
韓日FTAで労働者の基本権は単なる
「企業活動の障害要因」として取扱われているのだ。
韓国経済の対日従属性が進む問題も看過できない。
韓日FTA推進に賛成する専門家たちさえ、FTAが締結されると
対日貿易赤字がさらに拡大し、依存度が高まると憂慮している。
対日輸入が増大して国内大企業が生産基地を海外移転させれば、
下請け中小企業が空洞化し、倒産に至るかもしれないという分析も出されている。
もちろん、資本側はFTAに反対するのではなく、その影響を最小化しながら
もう一つの利潤追求の機会を作ろうとするため、
被害は労働者民衆に転嫁されるだろう。
- われわれは既に韓日FTAの反民主性を指摘して、この交渉を即刻中断することを
両国政府に要求してきた。
民衆の基本的な権利を保障しなければ、自由貿易は資本の危機克服のための
利潤追求の手段にならざるをえない。
FTAは資本活動の自由化を通し、新自由主義構造調整を促進させる一方、
民衆の権利を剥奪するだろう。
94年に米国の主導の下に締結された北米自由貿易地帯(NAFTA)は、
10年が過ぎた今、失業と雇用不安、賃金低下、女性労働搾取など、労働界層の
災難という結果になっている事例を見ても、FTAは民衆にとっての苦痛だ。
今からでも韓国政府は交渉を中断しなければならない。
最小限の国民的合意も無く、両国政府が交渉を持続するとすれば、
この協定の締結を阻止するための各市民社会運動の闘争は
一層荒くならざるをえない。既に韓国政府が最初に推進した韓チリFTAは、
韓国産業と民衆に破壊的な結果を産むと予想され、
農民をはじめとする国民の反発をかったではないか。
両国の政府は遠いメキシコの地で、刃先で自身の心臓を狙ったイギョンヘ烈士の
「WTOが農民を殺す」という叫びをはっきり記憶しなければならない。
われわれは、韓日FTAをはじめ、現在推進中の韓シンガポールFTAなどの
新自由主義世界化を強要する各種協定とWTOに反対する闘争を、
労働者農民など民衆が連帯して世界民衆とも連帯して持続的に展開するはずだ。
2004年4月26日 全国民衆連帯自由貿易協定・WTO反対国民行動
"原文":http://www.minjung.or.kr/kimsboard6/bbs.php3?table=report&query=view&l=609
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Created on 2004-04-27 14:51:45 / Last modified on 2005-09-05 05:16:34 Copyright:
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