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「正規職、正規職になることさえできれば…」〈清掃用役労働者金氏〉仕事はつらく、待遇は悪く…本当に抜け出したい

労働と世界 第287号 キムヨンジェ

〈特集〉立ち上がる非正規職

終着駅に着いた電車の網棚には新聞紙が山と積まれている。 出勤時に持ち込んだ三、四種類の無料日刊紙にあらまし目を通した後、 なにげなくあげたものだ。 電車が車両基地に入ってくれば、背のびしながら新聞紙を取って片腕に抱え、 もう一方の手で客車底に散らかっているゴミを拾う人々がいる。 ある人は窓ガラスを磨く。もう一人は薬品を撒いて、床と壁を磨く。

家を出た2人の娘と職場に通う息子二人を持つ都市鉄道傍花車両基地清掃用役労働者の キムチョンジャ氏(仮名、女・54)もその中のひとりだ。 金氏は今日も2人の息子に朝食も食べさせずに出勤させたという自責感で 心が重い。昨日の朝9時に出勤して明け方1時30分まで続いた電車の清掃で、 重いからだを起こすことができなかった。

隔日16時間の重労働で月給79万ウォン。隔日で一日16時間以上働く金氏の月給は、 本俸、夜勤・特別勤務手当て、月単位で支給される退職金を合わせて79万ウォンだ。 それさえも2年前の清掃用役労組(女性連盟)が設立された後に引き上げられた。 その前は50万ウォン程度で、月二日の週休もなかった。

傍花駅舎と車両基地で働く清掃用役労働者は41人。 このうち13人が駅舎で清掃をし、残りの28人は車両基地で隔日で働く。 週休日に休む人を除いた12人が、車両基地に入ってきた電車38台の 床(小清)、窓(中清)、車両全体(大清)を磨く清掃をする。 夕方6時までは休む暇もない。 夕飯を食べて30分程度休めるが、互いに話す気力もなく、休憩室で休んでいる。 夕方7時30分から明け方1時30分まで、また清掃が始まる。 終車では、所々に散らばった土砂を片づけなければならず、 公益勤務要員に連絡して泥酔した乗客を引出さなければならない。

金氏は「週休で抜けて急な仕事で抜ける人がいれば、ひとりで電車を清掃する時もある」 とし、 「一人で働き過労で突然に倒れたり、安全事故が起きれば応急処置もできずに 長時間放置される」と話した。 清掃用役労働者たちは、大部分が55歳〜60歳女性だ。 会社は金がないという言い訳で作業靴も支給せず、 床を清掃するための薬品も足りない中で仕事をすることも茶飯事だ。

金氏は「私達が人材充員や賃金引上げを要求すれば、用役会社は 『都市鉄道公社が入札過程で落札値格を低く策定しているので金がない』 と言い訳するだけ」とし、 「公社が落札値格の下限を決めて用役会社を選定しなければならない」と話した。 彼らを苦しめるのはつらい作業だけでない。 会社が自分たちを消耗品と感じる時ごとに悲哀を感じなければならない。

「正月の肉一斤の金もないというのか…」 「職員の子供のお祝いがある時は、会社が小さな誠意でも示してくれてもいいのでは ないでしょうか? 良い贈り物を願うのではなく、ほんの数万ウォン程度でも、 会社や社長の名前で誠意を示してくれれば、どんなにいいでしょう。 人は気分で生き、死ぬというのに…。 この前の旧盆時は、餅代3万ウォンをもらいましたが、 今度はそれもありません。 肉一斤のお金もだせばいいのではありませんか? われらはボーナスもないのに…。」 仕事がつらくて、会社に無視される時は佗びしいけれど、 都市鉄道の労働者たちの暖かい一言が大きな力になる。 金氏は「機関士が『ご苦労さま』と話しかけて、 新聞の束を持ってくれて気をかけてくれるのが本当に有難い」と話した。

民主労働党の院内進出も金氏にはうれしいことのひとつだ。 「私達が政治のなにを知っていますか? 私たちを代弁してくれる人ができてよかったです。 簡単な事ではないのは知っていますが、 正規職になれるようにしてくれれば、これ以上願うことはありません。」 2年ごとに再契約しなければならず、ボーナスも福祉の恩恵もない 低賃金用役労働者の暮らし抜け出すことは本当に容易ではないと感じられる。 金氏は「正規職にさえなれれば…いつかなれるのか…」と続けて言葉を濁した。

キムヨンジェ momo1917@nodong.org

2004-04-29 18:14:00

"原文":http://www.nodong.org/maynews/readview.php?table=webzine&item=4&no=3738

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2004-05-04 16:44:09 / Last modified on 2005-09-05 05:19:11 Copyright: Default

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