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韓国:ソウル大病院清掃労働者を二回殺す検察、そして朝鮮日報
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ソウル大病院清掃労働者を二回殺す検察、そして朝鮮日報

[寄稿]もう私たちの声を踏みにじらないで下さい

イ・ヨンブン(公共労組ミンドゥルレ分会) 2011.04.11 01:00

1年6か月後に受け取った見慣れない手紙

私はソウル大病院で清掃する労働者です。またソウル大病院清掃労働者たちの 労働組合、公共労組医療連帯ソウル支部『ミンドゥルレ分会』の組合員です。 今日(4月5日)、ソウル中央地方検察庁からうれしくない手紙を受け取り、気分 が晴れません。50年以上生きて、検察庁から初めて手紙を受けましたが、その 中に書かれている監禁、暴力、業務妨害、廃棄物管理法違反などの単語はさら に見慣れません。数十人の組合員が同じ手紙を受け取りました。ある人は1か月 分の月給を越える罰金を払わなければならず、ある人は裁判を受けなければなら ないそうです。

1年6か月前の事です。2009年の冬にしたストライキがそれです。その年の冬は 本当に寒かったです。今考えても、わたしたちはそうせざるを得ませんでした。 私たちはソウル大病院で十時間以上、食事の時間もなく働きました。一週間に 一度休むことが夢でした。月給は最低賃金にもなりませんでした。何よりも、 私たちを怒らせたのは、管理者の横暴と透明人間扱いする人格的な蔑視でした。 両親が今日か明日かという時、まだ死んでいないから休暇をやらないという監 督に、クビになるかと思って返事もできませんでした。それで集まりました。 何日かでかなり多くの人が集まり、『タンポポ』という可愛い名前を持つ労働 組合を作りました。

[出処:チャムセサン資料写真]

なぜこれが暴行で監禁なのか

労働組合を作っても、当時、下請会社はすでに労働組合があるとして、私たち と対話をしませんでした。法院に申請して「下請会社は、ミンドゥルレ分会と 交渉をしろ」という回答を3か月後に受けました。法院の決定にもかかわらず、 会社は動きませんでした。何か月も会社と交渉するために待ちましたが、一度 も社長に会えませんでした。結局私たちはストライキをするしかなかったのです。

ストライキをすればゴミを片づけられず、ソウル大病院が困ると思ったのです が、違いました。下請業者とソウル大病院はグルになって代替人材を投入しま した。私たちの日当はせいぜい3万ウォンを少し越えるだけなのに、代替人材と して入ってきた人たちは私たちの2〜3倍の金を受け取りました。ある日、会社 がかなり多くの代替人材を講堂に集めて教育するといいました。組合員たちは 説得しにそこに行きました。私たちがそこに行くとすぐ、どうして知ったのか、 スーツを着た100人ほどのソウル大病院の男子職員が現れました。この人たちに 囲まれて、体当たりになり、多くの同僚が怪我をしました。これが検察が言う 暴行で監禁、業務妨害です。

ソウル大病院は、そのようにして私たちが見えないかのように、いや見たくな いかのように私たちを無視しました。その時、組合員たちは本当にとても腹を 立てました。私たちがこれまで見えない所でどんなことをしてきたのかソウル 大医院長に見せなければなりませんでした。それで考えたのがソウル大医院長 がいる時計塔の建物の前にゴミ袋をぶちまけて積み上げる象徴儀式でした。し かしソウル大病院は、これもそっとしておきませんでした。ゴミ袋を積んでお くと警備員を動員して散らし、また散らしておきました。そうして衝突しなが ら、あちこちでゴミ袋が破れました。とても体が小さいある同僚は警備員に投 げ飛ばされました。あちこちで警備員に踏まれ、殴られ、倒れ、組合員たちの 悲鳴があがりました。その瞬間、私たちの誰かが死ななければ状況が終わらな いのではないかと思うほど恐ろしかったです。結局、警備に蹴られたある組合 員が、あの寒い冬に上着を脱いで触るなとわめき、警備員は退きました。15分 もしない時間に行われたことです。検察はこれを暴力、廃棄物管理法違反だと 言っています。

清掃労働者失脚、そして朝鮮日報

3月31日、朝鮮日報には、起訴された私たちさえ知らない検察の起訴結果が報道 されました。私たちが「人体から摘出された医療廃棄物を病院のあちこちに積 み上げた」のだそうです。知らない人が見ればぞっとする場面です。私たちが 戦う時は、一度も注目しなかった巨大新聞の朝鮮日報が、検察が起訴の結果の 手紙を発送した当日、世論と裁判に悪影響を与える記事をす早く出した理由は 何なのでしょうか。

2009年冬、1か月近いストライキは、結局一度も社長の顔を見ずに終わりました。 ソウル大病院が清掃業者を変えたからでした。でも私は当時のストライキを後 悔しません。私たちが変わったからです。今、不当な現実に我慢しません。こ うした私たちの変化が集まって、昨年は団体交渉をして、団体協約を作り、少 ないけれど賃金も上げました。

真実は通じるという信頼

その時にできなくても、多分いつかはしたでしょう。私たちの分会の名前のよ うに、清掃労働者の権利宣言と闘争がタンポポの種のように広がったでしょう。 弘大、梨花大、高麗大、延大の清掃労働者がそうして戦い、勝利しています。 あるいは検察は、野火のように広がる清掃労働者の戦いに見えすいた脅しでも するかのように、1年半経ってから私たちに払えないような罰金を課したのでは ないか心配です。法は強者に弱く、弱者に強いそうですが、それでも真実は通 じるという信頼を捨てません。検事様、判事様が私たちを踏みにじらないと信 じたいです。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-04-12 00:55:23 / Last modified on 2011-04-12 00:55:26 Copyright: Default

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