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韓国:韓国非正規労働センター、『福祉と非正規労働』フォーラム開催
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普遍的福祉で『非正規労働』も変わるか?

韓国非正規労働センター、『福祉と非正規労働』フォーラム開催

ユン・ジヨン記者 2011.08.24 16:56

近来最大の問題に浮上した『無償給食』の議論は、『普遍的福祉』と『選別的福祉』 の談論を大衆化した。

普遍的福祉は大多数の国民を対象に社会的欲求を権利として保障する方式だが、 選別的福祉は特定集団の欲求に対し経済的能力を調査し、政策的基準に符合す れば提供する、国家が対象を選別して福祉恩恵を提供する方式だ。

最近話題に浮上している『福祉国家』論は、労働界も大きな関心を傾けている。 福祉が労働問題も解決できるのかという議論は相変らず存在するが、普遍的な 福祉が労働者の中でも弱者と認識される非正規労働者の問題をある程度解決で きるのではないかと期待する心理も存在するためだ。

韓国非正規労働センターは8月24日午後5時、民主労総で『福祉と非正規労働』 という主題で第16回月例非正規労働フォーラムを開催した。この席では非正規 労働の問題を、福祉がどの程度まで解消できるのか、未組織非正規労働者のた めに普遍的福祉が含むべきものは何を具体的に議論した。

普遍的福祉、『未組織非正規職』の陰へ向かってこそ

韓国の社会保障体制は、社会保険などの下降式拡大方式と、基礎生活保障制度 などのボトムアップ式拡大方式が存在する。事実上、社会保険などは保険料に 耐えられる経済的能力を資格条件として要求するので、賃金が安い非正規労働 の排除を量産し続ける。多数のボトムアップ式の方式も貧困層を除けば個人が 福祉サービスを市場で購入する方式と結合している。

現在の福祉制度のもうひとつの問題は、上下の極端な接近による『スキ間』の 問題だ。このスキ間は各種の法律と規定で施行令、施行規則、その他等で明記 され、残余的な性格を維持するだけだ。

発表者になった韓国非正規労働センターのユン・ジョンヒャン政策委員は、 「スキ間は残余的で小さく見えるが、実際には労働市場の50%を越える未組織、 排除労働という死角地帯を隠している」とし「つまり組織できず、組織されて いない非正規労働者と社会的・経済的に排除された労働が普遍的福祉の陰だ」 と指摘した。

特に労働権も行使できないケア労働者と家事労働者、外国人労働者は、普遍的 福祉で『薬味』と呼ばれる。彼らをはじめ多くの未組織、排除労働者は、保育、 教育、医療、介護、住居サービスなどを他の人々のように享受することもでき ない。だが社会は彼らの社会的・経済的な価値回復と非公式性を解消すること に関心がない。

これに対してユン政策委員は「普遍的福祉の真正性を論じる時、普遍性そのも のの華麗さより、その陰をどう注目するかによって普遍的福祉の実体を推し量 ることが必要だ」と強調した。普遍的福祉と説明される制度がすでに広いスキ 間を隠しているので、これらの制度の存在の有無で普遍的福祉を論じることは 適切とはいえないという指摘だ。

未組織、排除労働者のための普遍的福祉は?

現在、韓国には長期療養保険を含む5大社会保険が存在する。だが彼らは法律的 適用対象の死角地帯と恩恵の死角地帯を解消できない。

▲韓国非正規労働センター
ユン・ジョンヒャン政策委員

そのためユン政策委員は、社会保険の法的死角地帯に存在する非正規労働者と 保険料負担能力が弱く、適用対象だが排除されている労働者、そしてこれに準 じる零細事業者などの保険料を国家が支援する方式を現実化することが『普遍的 福祉』の礎石だと主張した。

また福祉サービスの適用対象を下位法で所得と経済水準に制限することも防ぐ べきだと強調した。場合により『選別的福祉』に転落する可能性があるため、 基本的に経済能力別の差異を排除して全面的に実施するべきだという説明だ。

福祉政策に関する当局の管理監督の問題と、事業場の忌避文化も普遍的福祉を 防ぐ原因として提起された。ユン政策委員は「下降式拡大方式の制度効果性が スキ間の近くで止まっている原因は、当局の管理監督の問題と、官僚的対応、 事業場の忌避文化が組合わさっているため」とし「現場の管理監督の過程で、 保険恩恵を受けられない未組織・排除労働者を発掘し、綿密な調査を通じて 国家支援の可能性を検討する手続きが安定したシステムにする必要がある」と 説明した。

何よりも問題は、『社会福祉サービス』人材も未組織・排除労働者として福祉 の死角地帯に置かれていることだ。特に社会福祉サービス労働者の雇用条件と 労働市場は、社会福祉伝達体系の性格を示すと同時に、公共部門の非正規労働 の特性を示す。したがって、意味ある普遍的福祉に進むには、公共性を強化し てこの問題を解消しなければならないという声も高い。

『普遍的福祉』ための『連帯』と『非正規労働者』による『非正規労働者』のための福祉

無償給食、無償教育、無償医療などの普遍的福祉のための正規職労組と非正規 労組、進歩的市民社会団体の同意構造は形成される。だが『労働者』を対象に する企業内、企業間の福祉で、正規職と非正規職間の連帯は容易ではない。

そのためユン政策委員は「普遍的福祉を指向するには、今のような企業福祉、 組織労働、国家福祉の関係を改革しなければならない」とし「また社会構成員 の自発的な同意と妥協を引き出す努力と疎通的な権力闘争が必要だ」と要請した。

非正規労働者が主体として実践する議題と、非正規労働者のための福祉政策も 提起された。

非正規労働者から福祉が始まるためには、彼ら自らが普遍的福祉の基盤である 『周辺部』ではなく『核心主体』になり、租税制度改革論争および改革過程に 積極的な主体として結合しなければならないということだ。また普遍的福祉の スキ間に放置される未組織・排除労働の福祉欲求解消と、伝達体系公共性強化 のために、正規職との積極的な連帯で問題闘争と予算確保闘争を併行していか なければならないという指摘も続いた。

一方ユン政策室長は、非正規労働者のための福祉として「社会保険体系と租税 体系の結合方式を考慮し、全国民的な社会安全網を構築しなければならない」 とし「またサービス業、製造業市場に広く存在する非公式労働者を公式化する 方案を講じるべき」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-08-25 14:37:43 / Last modified on 2011-08-25 14:37:44 Copyright: Default

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